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2026/7/18

海外赴任から帰国した個人事業主の確定申告|居住者に戻った年の所得の扱いを解説

  • 確定申告

海外赴任から帰国した年の確定申告は、1年を非居住者だった期間と居住者になった期間に分け、それぞれの課税範囲で所得を整理するのが基本です。所得の区切り方、課税範囲、二重課税の調整までを具体的に解説します。

海外赴任や長期の海外生活を終えて帰国した年は、確定申告の考え方が普段と少し変わります。「居住者」「非居住者」という区分が出てきたり、海外にいた期間の所得をどこまで日本で申告するか迷ったりと、戸惑う個人事業主・フリーランスは少なくありません。まずは区分の意味から確認しましょう。

☑ 海外赴任から帰国した年の確定申告は、いつからいつまでの所得を申告すればよいのかわからない

☑ 海外にいた間の事業収入や現地で稼いだお金まで日本で申告する必要があるのか不安だ

☑ 「非居住者」から「居住者」に戻ったことで、税金の扱いがどう変わるのか整理できていない

まず「居住者」と「非居住者」の違いを理解しましょう

日本の税金は「居住者かどうか」で範囲が変わる

日本の所得税では、その人が居住者非居住者かによって、課税される所得の範囲が大きく異なります。居住者とは、日本国内に「住所」があるか、または現在まで引き続いて1年以上「居所」がある人を指します。一方、非居住者は居住者以外の人、つまり生活の拠点が海外にある人をイメージするとわかりやすいでしょう。

海外赴任中で生活の本拠が現地にあった期間は、原則として非居住者にあたります。そして日本に帰国し、再び日本で生活する状態になると、その時点から居住者へと切り替わります。この切り替わりのタイミングが、帰国年の確定申告を考えるうえでの出発点になります。

課税される所得の範囲の違い

  • 居住者…原則として、国内で得た所得だけでなく、海外で得た所得も含めた「全世界の所得」が日本の課税対象になります

  • 非居住者…原則として、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)のみが日本の課税対象になります

つまり、同じ人でも居住者か非居住者かによって、日本で申告すべき所得の広さが変わるということです。帰国した年は、この2つの立場をまたぐため、期間ごとに分けて考える必要があります。

「いつから居住者に戻ったか」の判断

帰国後に日本での生活を再開し、住む場所を構えて仕事や生活の拠点が日本に移れば、その時点から居住者として扱われるのが一般的です。単なる一時帰国や短期の出張とは異なり、生活の本拠が日本に戻ったかどうかがポイントになります。判断に迷う場合は、住民票の異動状況や生活実態などを踏まえて慎重に確認しましょう。反対に日本から海外へ出るときにかかる国外転出時課税の扱いは、国外転出時課税(出国税)の扱いで整理しています。境界的なケースでは、税務署や専門家に相談しておくと安心です。

帰国した年の所得は「期間で分けて」考える

非居住者だった期間と居住者になった期間

帰国年の確定申告では、1年(1月1日〜12月31日)を非居住者だった期間居住者になってからの期間に分けて整理するのが基本です。前半の海外にいた期間は非居住者として国内源泉所得のみが対象、後半の帰国後の期間は居住者として全世界の所得が対象、という二段構えになります。

個人事業主の方であれば、帰国後に日本で事業を再開・継続して得た事業所得は、居住者期間の所得として日本での申告対象になります。一方、非居住者だった期間に日本国内の取引先から得ていた事業の所得などがあれば、それは国内源泉所得として申告の対象になり得ます。

海外にいた間の現地所得の扱い

非居住者だった期間に海外で得ていた現地の給与や事業収入は、原則として日本の課税対象には含まれません。日本で課税されるのはあくまで国内源泉所得が中心だからです。ただし、居住者に戻ったあとに受け取ったお金や、居住者期間に対応する所得については、全世界所得の考え方により日本での申告対象になる場合があります。外貨で保有する資産にかかる為替差益の扱いは、外貨預金の為替差益と確定申告で確認できます。

「どの所得が、どちらの期間に属するのか」を取り違えると、申告すべきものを漏らしたり、逆に申告しなくてよいものまで含めてしまったりする原因になります。収入が発生した時期と、その時点で自分が居住者だったか非居住者だったかをセットで確認していきましょう。期間ごとの所得の振り分けに自信が持てないときは、確定申告を丸ごと任せる代行という選択肢もあります。

区切りを意識した帳簿づけが大切

帰国年は所得を期間で分ける必要があるため、日々の帳簿づけでも「いつの取引か」を明確にしておくことが重要です。請求書や入金の記録に日付を残し、帰国前と帰国後の収支がはっきり区別できるようにしておくと、後から申告書を作成する際の整理がぐっと楽になります。

個人事業主が特に注意したいポイント

事業所得の計算と必要経費

帰国後に日本で事業を再開した場合、その事業から生じた売上は事業所得として申告し、対応する必要経費を差し引いて所得を計算します。海外赴任の前から続けていた事業であっても、帰国後に得た分は居住者期間の事業所得として扱うのが基本です。売上に対応する経費を正しく紐づけて、所得を過不足なく計算しましょう。

なお、開業や事業の状況によっては、税務署への届出が改めて必要になる場合もあります。帰国後に新たに開業の手続きをして青色申告を始める場合の申請期限は、年の途中で開業したときの青色申告の期限で確認できます。帰国後に事業形態が変わったときは、必要な届出が済んでいるかも確認しておきましょう。

青色申告を続けたい場合の確認

青色申告には、最大65万円の青色申告特別控除など、税金の面でうれしい仕組みがあります。海外赴任で事業を一時休止していた場合や、青色申告の承認の状態が帰国後にどうなっているかは、人それぞれ事情が異なります。帰国後も青色申告を続けたい、あるいは新たに青色申告を始めたいという場合は、必要な手続きや適用の条件を早めに確認しておくと安心です。控除を確実に受けるためにも、要件の確認は後回しにしないことをおすすめします。

所得控除の対象期間にも注意

社会保険料控除や生命保険料控除などの所得控除は、原則として居住者期間に支払った分が対象になります。社会保険料控除の対象は国税庁タックスアンサー「No.1130 社会保険料控除」で確認できます。海外に扶養している親族がいる場合の控除は国外に住む扶養親族の確定申告で扱っています。海外赴任中に日本の国民年金保険料を支払っていたケースなど、扱いが分かれる項目もあります。控除証明書や支払いの記録を整理し、どの期間に対応する支払いなのかを確認しながら、控除の漏れや誤りを防ぎましょう。

海外で税金を払っていた場合の二重課税の調整

外国税額控除という仕組み

居住者になってから受け取った海外由来の所得について、現地でも税金が課されているような場合、日本と海外の両方で課税される「二重課税」が起きることがあります。これを和らげるための仕組みが外国税額控除です。一定の要件を満たせば、海外で納めた税金の一部を日本の所得税から差し引ける場合があります。

外国税額控除を受けるには、海外で実際に納税したことがわかる書類などが必要になります。海外で源泉徴収されたり、現地で申告・納税したりした記録は、捨てずにきちんと保管しておきましょう。

租税条約や手続きは個別性が高い

二重課税の調整は、相手国との租税条約の内容や、所得の種類によって扱いが細かく分かれます。「海外で払った税金が全額そのまま日本で差し引ける」とは限らず、計算には一定のルールがあります。金額が大きい場合や、複数の国にまたがる所得がある場合は、自己判断で進めず、専門家に確認しながら手続きを行うと安心です。

帰国年の申告で押さえておきたい実務の流れ

期間の区分と必要書類の準備

帰国年の申告では、まず非居住者期間と居住者期間の区切りをはっきりさせ、それぞれに対応する収入・経費・控除の資料をそろえることから始めます。事業の請求書や領収書、入出金の記録、海外での収入や納税がわかる書類、各種控除証明書などを、期間ごとに分けて整理しておくとスムーズです。

申告書の作成と提出

資料がそろったら、居住者期間の事業所得などを中心に所得を計算し、所得控除や税額控除を反映して申告書を作成します。確定申告の期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。確定申告の基本的な手続きは国税庁タックスアンサー「No.2020 確定申告」で確認できます。提出方法には、e-Taxによる電子申告、税務署への持参、郵送があります。帰国年は通常より整理する項目が多くなりがちなので、期限間際に慌てないよう早めに準備を進めましょう。

判断に迷う点は早めに相談を

居住者・非居住者の区分や、海外所得の扱い、二重課税の調整などは、個別の事情によって結論が変わりやすい分野です。少しでも判断に迷う点があれば、税務署や税理士などの専門家に早めに相談することで、申告ミスや余計な税負担を防ぎやすくなります。

よくある質問

Q. 海外赴任中に日本国内の取引先から事業収入を得ていました。これは日本で申告が必要ですか?

非居住者であっても、日本国内で生じた所得(国内源泉所得)は日本の課税対象になり得ます。海外にいる間に日本の取引先から得ていた事業の所得がある場合は、その内容に応じて申告が必要になることがあります。所得の種類や金額によって扱いが変わるため、心当たりがある場合は事前に確認しておきましょう。

Q. 帰国後に日本で再開した事業の所得は、いつからの分を申告すればよいですか?

原則として、居住者に戻ったあとに得た事業所得が居住者期間の申告対象になります。帰国して日本での生活と事業を再開した時点を区切りとし、それ以降の売上と必要経費をもとに所得を計算するのが基本です。帰国前と帰国後の取引が混ざらないよう、日付で区別して帳簿を整理しておくと安心です。

Q. 海外で給与から税金が引かれていました。日本でも課税されると二重に払うことになりませんか?

居住者期間に対応する海外所得について日本と海外の双方で課税される場合は、外国税額控除という仕組みで二重課税を和らげられることがあります。適用には海外での納税がわかる書類が必要で、計算にもルールがあります。金額が大きいときや複数国にまたがるときは、専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

まとめ|帰国年は「期間で分ける」発想がカギ

海外赴任から帰国した年の確定申告は、1年を非居住者だった期間と居住者になった期間に分け、それぞれの課税範囲に沿って所得を整理することが基本になります。非居住者期間は国内源泉所得が中心、居住者期間は全世界の所得が対象という違いを押さえ、収入が発生した時期と自分の立場をセットで確認していけば、全体像は決して複雑すぎるものではありません。海外で税金を払っていた場合の二重課税の調整や、青色申告・所得控除の対象期間など、個別性の高い論点は早めに確認しておくと安心です。

とはいえ、帰国後の生活や事業の立て直しで忙しい中、期間ごとの整理や慣れない論点の確認をしながら、記帳から申告書の作成までをすべて自分で行うのは大きな負担になりがちです。記帳代行の現場でも、帰国年の期間区分についてのご相談をいただくことがあります。無理をして期限間際に慌てるより、専門家の力を借りるのも賢い選択肢のひとつです。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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