確定申告に向けた1年間の経理スケジュールを解説
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税務

確定申告に向けた経理は、毎月の記帳・四半期の振り返り・年末の控除確認・1〜3月の申告という4つのリズムに分けると、申告直前の徹夜がなくなります。いつ・何を・どのくらいやっておけばよいのかを、月ごと・四半期ごとの経理スケジュールとして具体的に整理します。
個人事業主やフリーランスにとって、確定申告は避けて通れない大切な手続きです。ところが多くの方が、年が明けてから慌てて1年分の領収書を引っ張り出し、深夜まで入力作業に追われてしまいます。日頃から少しずつ進めておけば、申告期間はぐっと楽になります。今年こそ計画的に経理を進めたい方に向けて、全体の流れをつかんでいきましょう。
☑ 確定申告の直前になって、1年分の領収書をまとめて入力するのが毎年つらい
☑ いつ何をやればいいのか分からず、気づいたら申告期限ぎりぎりになっている
☑ 経理を「年に一度のイベント」にせず、日々の習慣に落とし込みたい
確定申告の全体像と1年間の流れ
確定申告の対象期間と申告のタイミング
個人事業主の確定申告は、原則として1月1日から12月31日までの1年間の所得を対象に計算します。そして翌年の確定申告期間(原則として2月16日から3月15日まで)に申告書を提出し、税金を納めます。つまり「対象となる1年」と「申告作業をする時期」がずれているのがポイントです。
このずれを意識せず、申告期間が来てから1年分を一気にさかのぼって処理しようとすると、領収書の山と向き合うことになります。逆に言えば、対象期間の1年を通じてこまめに記帳しておけば、申告期間にやることは「集計と確認、書類作成」だけに絞り込めます。
経理を「年中行事」から「毎月のルーティン」へ
経理がつらく感じる最大の原因は、作業を1年分ためてしまうことにあります。半年前のレシートを見ても「これは何の支払いだったか」を思い出せず、調べ直しに時間がかかってしまうのです。
そこでおすすめなのが、経理を毎月・四半期・年末・申告期間という4つのリズムに分けて考える方法です。次の章から、それぞれの時期にやるべきことを具体的に見ていきましょう。
毎月やっておきたい経理作業
領収書・請求書の整理と保管
毎月の基本は、その月に発生した領収書・レシート・請求書をためずに整理することです。紙の書類は月ごとに封筒やクリアファイルに分けておき、ネット通販やサブスクの電子的な領収書はフォルダにまとめておくと、後で探す手間がなくなります。
なお、事業に関する帳簿や書類は原則として一定期間(青色申告では多くが7年など)の保存が必要です。捨ててしまうと経費の証明ができなくなるため、申告が終わっても年度ごとにまとめて保管しておきましょう。帳簿づけそのものが不安な方は、単式簿記と複式簿記の違いから学ぶ帳簿の付け方入門で基礎を確認しておくと、毎月の記帳が進めやすくなります。
売上と経費の記帳(できれば毎月締める)
毎月の終わりか翌月のはじめに、その月の売上と経費を帳簿に記録する習慣をつけましょう。会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込める場合も多く、入力の手間を減らせます。クレジットカードの明細をどこまで経費の根拠にできるかはクレジットカード明細と領収書の関係にまとめています。記帳のときに意識したいのは次の点です。
事業用とプライベートの支出をきちんと分けること(できれば事業用の口座・カードを用意する)
自宅兼事務所の家賃や通信費など、事業とプライベートが混ざる費用は「家事按分」の割合をあらかじめ決めておくこと(家賃・光熱費・通信費の家事按分のやり方)
現金で払った経費は、その都度メモやレシートを残しておくこと
請求漏れ・入金確認のチェック
毎月の記帳は、税金のためだけでなく経営状態の把握にも役立ちます。得意先への請求を出し忘れていないか、入金されるべきお金がきちんと振り込まれているかを毎月確認すれば、売上の取りこぼしや回収漏れを防げます。月次でお金の流れが見えていると、資金繰りの不安も和らぎます。記帳代行の現場でも、毎月締めている方ほど申告期の負担が軽く済んでいる印象があります。
四半期・半期ごとに見直したいこと
3か月ごとの数字の振り返り
3か月に一度は、その期間の売上と経費、おおよその利益を振り返ってみましょう。「思ったより経費がかさんでいる」「売上が伸びている」といった傾向が早めに分かれば、年末になってから慌てて節税策を考えるのではなく、余裕をもって対策を検討できます。
予定納税や消費税の納付時期に注意
前年の所得がある程度あった方は、年の途中で「予定納税」として所得税の一部を前払いする通知が届くことがあります。また、課税事業者の方は消費税の納付も発生します。こうした納付は年の途中に訪れることがあるため、四半期ごとの振り返りのタイミングで納税資金を意識し、別口座に取り分けておくと安心です。
制度変更や届出のチェック
税制や各種制度は年によって見直されることがあります。年度の途中でも、自分の事業に関係しそうな変更がないかをときどき確認しておきましょう。たとえば、新たに人を雇った、事業の規模が変わった、屋号付きの口座を作ったなど、状況が変わったときは必要な届出がないかを意識しておくとよいでしょう。
10月〜12月にやっておくと楽になること
年末に向けた経費・控除の最終確認
年末が近づいてきたら、その年の所得の見通しを立て、使える控除を確認しておきましょう。確定申告で関わってくる代表的な控除には、次のようなものがあります。
社会保険料控除(国民年金・国民健康保険など)
小規模企業共済等掛金控除(iDeCoや小規模企業共済の掛金)
生命保険料控除・地震保険料控除
医療費控除・ふるさと納税(寄附金控除)
これらは年内の支払いやアクションが必要なものも多いため、年が明けてからでは間に合わないことがあります。12月のうちに「今年使える控除」を一度棚卸ししておくと安心です。
必要書類の有無を確認しておく
申告時には、各種控除の証明書が必要になります。保険会社からの控除証明書、年金の納付証明、ふるさと納税の寄附金受領証明書(またはワンストップ特例の状況)などは、秋から冬にかけて届くことが多いので、なくさないよう一か所にまとめておきましょう。年末までに「足りない書類はないか」を確認しておくと、申告期間に慌てずに済みます。
12月までの記帳を締めておく
年内最後の取引まで記帳を済ませ、可能な範囲で帳簿を締めておきましょう。この段階で記帳ミスがないかを点検しておくと安心です。個人事業主がやりがちなつまずきは帳簿づけでよくある間違い10選にまとめているので、締める前のチェックに役立ちます。年末時点で記帳が追いついていれば、年明けにやることは「1月分以降の最終確認」と「申告書類の作成」だけになります。
1月〜3月:確定申告の本番
1月:1年分の最終チェックと集計
年が明けたら、まず12月までの記帳に漏れがないかを確認します。月ごとにこまめに記帳してきた方なら、ここでの作業は「抜けの確認」と「年間の集計」が中心になります。所得の合計、経費の合計、各控除の金額をそろえ、申告書作成の準備を整えましょう。ここまでの記帳や集計、書類作成をまとめて任せたい場合は、確定申告の作成までまとめて任せる方法もあります。
2月:申告書類の作成
確定申告期間は原則として2月16日から始まります。青色申告の方は、複式簿記による帳簿をもとに作成した青色申告決算書が必要になります。きちんと帳簿をつけて要件を満たせば、青色申告特別控除(最大65万円)を受けられる点は大きなメリットです。控除の要件は国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」(青色申告特別控除|国税庁)で確認できます。確定申告書とあわせて、控除証明書などの必要書類を手元にそろえてから作成に取りかかりましょう。
3月15日まで:提出と納税
作成した申告書は、原則として3月15日までに提出します。国税電子申告・納税システムのe-Tax(e-Tax|国税庁)を使えばオンラインで提出でき、青色申告特別控除の最大額を受けるための要件にもつながります。納める税金がある場合は納付の期限にも注意し、口座振替などの方法も含めて早めに準備しておきましょう。提出が終わったら、その年の帳簿と書類をまとめて保管し、翌年に向けて気持ちを切り替えます。
よくある質問
Q. 経理は毎月やるべきですか。年末にまとめてではダメですか。
年末や申告直前にまとめて行うことも不可能ではありませんが、おすすめはできません。時間がたつほど取引の内容を思い出しにくくなり、記帳ミスや経費の入れ忘れが起きやすくなります。毎月こまめに記帳しておけば、1回あたりの負担が小さく、申告期間も格段に楽になります。
Q. 確定申告期間はいつですか。
個人事業主の所得税の確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までが申告期間です。期限の日が土日にあたる場合などは前後することがあるため、その年の正確な日程は早めに確認しておきましょう。期限を過ぎると加算税などが発生する可能性があります。
Q. スケジュール通りに進められる自信がありません。
本業が忙しいと、毎月の経理を計画通り進めるのは簡単ではありません。記帳がたまってしまったときほど手をつけにくくなるものです。自分だけで抱え込まず、会計ソフトの自動取り込みを活用したり、記帳代行サービスに任せたりして、無理なく続けられる仕組みをつくることが大切です。
まとめ:1年を通じた経理で確定申告を乗り切る
確定申告は年に一度の手続きですが、その準備は1年を通じて進めるものです。毎月は領収書の整理と記帳、四半期ごとに数字の振り返りと納税の準備、秋から年末にかけて控除と書類の確認、そして1月から3月の申告本番という流れを意識すれば、直前に慌てることなく落ち着いて申告を終えられます。経理を「毎月のルーティン」に変えることが、もっとも確実な近道です。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。







