個人事業主の経費はどこまでOK?経費にできるもの・できないものを勘定科目別に解説
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確定申告

経費にできるかどうかの判断基準は「事業との関連性」の一点です。私的な支出は経費にできませんが、自宅兼事務所の家賃や光熱費は家事按分で事業使用分だけを計上できます。勘定科目別に、経費の線引きと注意点を整理しました。
「どこまで経費にしていいの?」「この支出は経費になる?」と迷う個人事業主は多いものです。経費にできるものを見落とせば余計な税金を払うことになり、逆に私的な支出を経費にすれば税務調査で否認されるリスクがあります。必要経費の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」で確認できます。まずは経費の基本ルールから見ていきましょう。
☑ 経費の判断基準は「事業との関連性」― 私的な支出は一切経費にできない
☑ 自宅兼事務所の家賃や光熱費は「家事按分」で事業使用分のみ経費計上が可能
☑ 勘定科目の選び方に厳密なルールはないが、毎年統一することが大切
個人事業主やフリーランスにとって、経費の管理は節税の基本です。経費を正しく計上すれば所得が減り、所得税・住民税・国民健康保険料の負担を軽減できます。
しかし、「どこまで経費にしていいの?」「この支出は経費になる?」と迷う方も多いのではないでしょうか。経費にできるものを見落とせば余計な税金を払うことになり、逆に私的な支出を経費にすれば税務調査で否認されるリスクがあります。
個人事業主の経費の基本ルール
経費の判断基準は「事業との関連性」
経費として認められるかどうかの判断基準はシンプルです。「その支出が事業の遂行に必要かどうか」が基本原則です。
具体的には、以下の条件を満たす支出が経費として認められます。
・事業の売上を得るために直接必要な支出であること
・事業との関連性を合理的に説明できること
・領収書や請求書などの証拠書類が保存されていること
「なんでも経費にできる」というのは危険な誤解です。税務調査で経費の妥当性を問われた際に、事業との関連性を説明できなければ否認される可能性があります。
経費に上限はあるのか?
経費の計上に法律上の上限はありません。事業に必要な支出であれば、金額にかかわらず経費として認められます。
ただし、売上に対して経費の割合が極端に高い場合は、税務署から確認が入ることがあります。業種によって経費率の相場は異なりますが、不自然に高い経費率は税務調査のきっかけになり得るため、正確な記帳を心がけましょう。日々の仕訳や証憑の管理に手が回らない場合は、領収書を送るだけで帳簿を整えられる記帳代行というやり方もあります。
経費にできるもの ― 勘定科目別一覧
売上に直接かかわる経費
以下は、事業の売上に直接関連する主な経費と勘定科目です。
【仕入高】
販売目的で購入した商品の仕入れ代金。物販業や飲食業で発生します。
【外注工賃】
業務の一部を外部に委託した際の費用。デザインの外注費、プログラミングの委託費など。
【荷造運賃】
商品の発送にかかる送料、梱包材料費。ネットショップ運営者に多い経費です。
【広告宣伝費】
チラシの作成費、Web広告費、名刺の印刷費、SNS広告など。事業の宣伝にかかる費用全般。日常的な事業運営にかかる経費
【旅費交通費】
電車代、バス代、タクシー代、出張時の宿泊費、高速道路料金など。営業先への移動や出張にかかる交通費。
【通信費】
インターネット回線料金、携帯電話料金、郵便代、宅配便の送料。事業用とプライベート兼用の場合は家事按分が必要です。
【消耗品費】
文房具、コピー用紙、インク、10万円未満のパソコン周辺機器、事務用品など。1個または1組の取得価額が10万円未満のもの。
【新聞図書費】
事業に関連する書籍、専門雑誌、新聞、有料メルマガ、セミナー資料など。
【接待交際費】
取引先との飲食代、お中元・お歳暮、慶弔費など。ただし、友人との飲食は私的な支出であり経費にできません。
【租税公課】
事業税、固定資産税(事業用)、自動車税(事業用)、印紙税、登録免許税など。
【損害保険料】
事業用の火災保険、賠償責任保険、自動車保険(事業用)など。車の維持費をどの勘定科目で処理するかは、車の維持費の勘定科目で詳しく解説しています。
自宅兼事務所に関連する経費(家事按分)
自宅を事務所としても使っている場合、以下の経費を「家事按分」で事業使用分のみ経費にできます。
【地代家賃】
自宅兼事務所の家賃のうち、事業に使用している面積の割合分。例えば、60㎡のうち15㎡を事務所として使用していれば、25%を経費に計上できます。
【水道光熱費】
電気代、ガス代、水道代のうち、事業使用分。使用時間や面積に応じて按分します。
【減価償却費】
10万円以上のパソコン、車、事務机など。取得価額に応じて法定耐用年数で分割して経費計上します。青色申告者は30万円未満(改正後は40万円未満)の資産を「少額減価償却資産の特例」で一括経費にできます。減価償却の基本は、国税庁タックスアンサー「No.2100 減価償却のあらまし」で確認できます。
経費にできないもの
税金のうち経費にならないもの
以下の税金は、必要経費として計上することができません。
・所得税
・住民税
・相続税
・国民健康保険料・国民年金保険料(※所得控除として別途控除可能)
これらは「事業の経費」ではなく「個人にかかる税金」であるため、経費としては認められません。ただし、国民健康保険料や国民年金保険料は、確定申告で「社会保険料控除」として所得から控除できます。
私的な支出・その他経費にならないもの
以下のような支出は、事業との関連性がないため経費にできません。
・家族の生活費、食費、被服費
・プライベートの旅行費用
・趣味や娯楽のための支出
・交通違反の反則金、罰金
・自分自身への給与(事業主貸として処理)
・事業に関連しない友人との飲食代
「なんでも経費にすれば節税になる」という考えは危険です。私的な支出を経費に計上すると、税務調査で否認されるだけでなく、加算税などのペナルティを受ける可能性があります。判断に迷いやすい支出の線引きは、経費にならない支出の見分け方もあわせて確認すると安心です。家事按分の考え方と計算方法
自宅兼事務所で仕事をしている個人事業主にとって、「家事按分」は正しく理解しておくべき重要な概念です。
家事按分とは、プライベートと事業の両方に使っている費用を、合理的な基準で事業分と私用分に分けることです。按分の方法には主に以下の基準があります。
【面積基準】
家賃や固定資産税に適用。自宅の総面積のうち、事業に使用している面積の割合で計算します。
例:60㎡の自宅のうち15㎡が仕事部屋 → 按分割合25%
【時間基準】
電気代やインターネット回線に適用。1日のうち事業に使用している時間の割合で計算します。
例:1日8時間仕事に使用 → 按分割合 8÷24 = 約33%
【走行距離基準】
自動車関連費用(ガソリン代、駐車場代、自動車保険など)に適用。総走行距離のうち、事業使用分の割合で計算します。
例:月間走行距離1,000kmのうち事業用が600km → 按分割合60%
按分割合は合理的に説明できることが重要です。税務調査で根拠を聞かれた際に説明できるよう、按分の計算根拠を記録しておきましょう。具体的な割合の決め方は、家事按分の割合の決め方で確認できます。
Q&A:個人事業主の経費に関するよくある質問
Q1. 勘定科目はどうやって決めればいいですか?
A. 勘定科目の選び方に厳密なルールはありません。例えばガソリン代は「車両費」「旅費交通費」「燃料費」「消耗品費」のどれでも構いません。大切なのは、一度決めた勘定科目を毎年統一して使うことです。途中で変えると経年比較が難しくなり、税務署からの印象も悪くなります。
Q2. レシートや領収書がない場合は経費にできませんか?
A. 原則として、経費の計上には領収書やレシートなどの証拠書類が必要です。しかし、電車賃や自動販売機での購入など、領収書がもらえない場合は「出金伝票」を作成して記録しておくことで経費として認められます。日付・金額・支払先・内容を記録しましょう。
Q3. 家事按分の割合はどのくらいが妥当ですか?
A. 業種や働き方によって異なりますが、一般的な目安として家賃は20〜50%、電気代は20〜40%、通信費は30〜60%程度が多いです。ただし、実際の使用状況に基づいた合理的な割合であることが重要です。実態と合わない高すぎる按分割合は税務調査で否認されるリスクがあります。
Q4. 開業前にかかった費用は経費にできますか?
A. はい、開業前にかかった費用は「開業費」として経費にできます。開業のために購入した備品、セミナー受講費、名刺作成費、市場調査のための交通費などが該当します。開業費は繰延資産として、任意の年に一括または分割で経費計上できます。
結論:経費は「事業との関連性」で線を引く
個人事業主の経費について、重要なポイントを整理します。
・経費の判断基準は「事業との関連性」― 私的な支出は経費にできない
・経費に法律上の上限はないが、不自然に高い経費率は税務調査のリスクあり
・自宅兼事務所の家賃・光熱費は「家事按分」で事業使用分のみ計上可能
・所得税・住民税・罰金は経費にならない(社会保険料は所得控除で対応)
・勘定科目の選び方は自由だが、毎年統一することが大切
・領収書がない場合は出金伝票で記録を残す
経費を正しく計上することは、最も基本的で効果的な節税対策です。漏れなく・正確に記帳して、適切な確定申告を行いましょう。
とはいえ、勘定科目の判断や家事按分、領収書の整理を毎月続けるのは、本業がある個人事業主にとって大きな負担です。記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」なら、届いた領収書や請求書を送るだけで、専門スタッフが適切な勘定科目へ仕訳し、確定申告に必要な帳簿まで整えます。何枚たまっていても月額6,600円(税込)の定額です。経費の判断を任せられるか無料で相談することができます。依頼から記帳開始までの流れはご利用の流れでご確認いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。







