個人事業主の帳簿の付け方入門|単式簿記と複式簿記の違いをやさしく解説
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税務

個人事業主の帳簿付けの基本は「お金の出入りを記録すること」です。単式簿記と複式簿記の違い、青色申告の控除額との関係、そして自分にはどちらが向いているのかまでを、簿記が初めての方にもわかるように整理します。
個人事業主として活動を始めると、避けて通れないのが「帳簿付け」です。とはいえ、簿記を学んだことがない方にとっては、「何を、どう記録すればいいのか」がまったくイメージできない、というのが正直なところではないでしょうか。帳簿という言葉だけで身構えてしまう方も多いはずです。
☑ そもそも帳簿って何を書けばいいのか分からない
☑ 単式簿記と複式簿記、どちらで付ければいいのか迷っている
☑ 青色申告にすると帳簿が大変になりそうで不安
でも、安心してください。帳簿付けの基本は、「お金の出入りを記録すること」というシンプルなものです。以下では、帳簿とは何かという基本から、単式簿記と複式簿記の違い、そして自分にはどちらが向いているのかまでを順に見ていきます。
「複式簿記は難しそう」と感じても、記帳そのものを任せる記帳代行という方法を使えば、簿記の知識がなくても青色申告の帳簿を整えられます。まずは帳簿の基本から確認していきましょう。
そもそも帳簿とは何か
事業のお金の動きを記録するノート
帳簿とは、事業で発生したお金の出入りを記録しておくものです。売上が入った、仕入れで支払った、交通費を使った——こうした取引を日付順に書き留めていきます。これがあることで、1年間にどれだけ稼ぎ、どれだけ使ったのかが分かり、確定申告のもとになる数字を計算できます。
帳簿付けは法律上の義務でもある
個人事業主には、所得税法によって帳簿を作成し、一定期間保存する義務があります。これは青色申告でも白色申告でも同じです(白色申告者の記帳・保存義務は国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます)。「申告さえすればいい」のではなく、その根拠となる記録を残しておくことが求められているのです。
帳簿は原則7年間の保存が必要(書類によっては5年)
領収書や請求書などの証ひょう書類もあわせて保存する
白色申告でも簡易な帳簿付けが必要
単式簿記とはどんな記録方法か
家計簿に近いシンプルな付け方
単式簿記は、お金の増減を一つの視点だけで記録する方法です。イメージとしては家計簿に近く、「いつ、何に、いくら使ったか(もらったか)」を順番に書いていきます。記入する項目が少ないため、簿記の知識がなくても比較的取り組みやすいのが特徴です。
白色申告や簡易な青色申告で使われる
単式簿記は、白色申告のほか、青色申告でも簡易な方式を選んだ場合に用いられます。手間が少ない反面、記録から読み取れる情報も限られます。たとえば「今、現金と預金がいくらあるのか」「いくらの資産や借入があるのか」といった財産の状況までは把握しにくいという面があります。
メリット:付け方が簡単で、初心者でも始めやすい
デメリット:財産の全体像が見えにくい
デメリット:青色申告特別控除が最大10万円にとどまる
複式簿記とはどんな記録方法か
一つの取引を二つの面から記録する
複式簿記は、一つの取引を「原因」と「結果」の二つの面からとらえて記録する方法です。たとえば「現金で商品を仕入れた」という取引なら、「仕入れが増えた」という面と「現金が減った」という面の両方を同時に記録します。少し難しく感じますが、これによって損益と財産の両方を正確に把握できます。
青色申告で最大65万円の控除が受けられる
複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内にe-Taxなどで申告すると、青色申告特別控除として最大65万円を所得から差し引けます(青色申告制度の全体像は国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」で確認できます)。これは節税効果が大きく、複式簿記に取り組む大きな動機になります。控除額が65万円・55万円・10万円のどれになるかは青色申告特別控除の65万円・55万円・10万円の違いで整理しています。控除の要件は年度や申告方法で変わる場合があるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認ください。
メリット:最大65万円の青色申告特別控除が狙える
メリット:財産と損益の両方を正確に把握できる
デメリット:簿記の知識が必要で、付け方がやや複雑
自分にはどちらが向いている?
手間と節税効果のバランスで考える
単式簿記は手軽ですが控除が小さく、複式簿記は手間がかかるものの控除が大きいという関係にあります。どちらが向いているかは、事業の規模や利益、かけられる手間のバランスで考えるとよいでしょう。利益がしっかり出ているなら、65万円控除のメリットは見逃せません。
会計ソフトや代行サービスで負担を減らす
「複式簿記は難しそう」と感じても、今は会計ソフトを使えば、入力すれば自動で複式簿記の形に整えてくれるものが多くあります。さらに、記帳そのものを代行するサービス(記帳代行とは何か)を使えば、簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿を整えられます。手間を理由に控除をあきらめる前に、こうした方法も検討してみましょう。
まずは記録を残す習慣をつける
どちらの方式でも、共通して大切なのは「取引のたびに記録を残す」習慣です。領収書をためこまず、こまめに整理しておくだけで、後の作業が格段に楽になります。完璧を目指すより、まず続けることを意識しましょう。1年分の領収書を確定申告の直前にまとめて処理しようとすると、量に圧倒されてミスも増えがちです。週に一度、あるいは月に一度でも整理する時間を決めておくと、負担を分散できます。
帳簿付けでつまずきやすいポイント
事業用とプライベートのお金を分ける
個人事業主が帳簿付けで最初に戸惑いやすいのが、事業のお金と生活のお金の区別です。両方が同じ財布や口座に混ざっていると、どれが事業の取引なのか分からなくなってしまいます。できれば事業専用の銀行口座やクレジットカードを用意し、事業のお金の流れを生活費と切り離しておくと、帳簿付けが一気に楽になります。最初に環境を整えておくことが、結果的に手間を減らす近道です。
現金商売は特に記録をこまめに
飲食店や小売など、現金でのやり取りが多い事業では、その都度の記録がとても重要になります。現金は通帳のように履歴が自動で残らないため、記録を怠ると、後から「いくら入っていくら出たのか」を再現できなくなります。レジの記録や手書きのメモでもよいので、その日のうちに残す習慣をつけましょう。現金の管理には現金出納帳の付け方が役立ちます。
分からない取引は印をつけて後でまとめて確認
記帳していると、「これはどう処理すればいいのか」と迷う取引が必ず出てきます。そこで作業を止めてしまうと、帳簿付けが嫌になりがちです。迷うものはいったん印をつけて先に進め、後でまとめて調べたり相談したりするほうが効率的です。記帳を間違えたときの直し方は帳簿の間違いの直し方にまとめています。一つひとつ完璧に処理しようとしすぎないことも、続けるコツの一つです。
よくある質問
Q. 簿記の資格がないと複式簿記は無理ですか?
いいえ、資格は必要ありません。会計ソフトを使えば、簿記の細かい知識がなくても複式簿記の帳簿を作れる場合が多くあります。それでも難しいと感じる場合は、記帳代行サービスを利用する方法もあります。資格の有無で青色申告ができなくなることはありません。
Q. 白色申告でも帳簿は必要ですか?
はい、必要です。白色申告でも、収入金額や必要経費を記録した簡易な帳簿の作成と保存が求められています。「白色だから帳簿はいらない」というのは誤解ですので、注意しましょう。
Q. 帳簿はいつまで保存すればいいですか?
帳簿は原則として7年間の保存が必要です。領収書などの書類は種類によって保存期間が異なる場合があります。電子データで受け取った書類は電子で保存するルールもあるため(電子取引データの保存を参照)、保存方法の詳細は国税庁サイト等でご確認ください。
今日からできる|帳簿づけを無理なく続けるコツ
帳簿付けは、事業のお金の動きを記録する大切な作業です。単式簿記は手軽でシンプル、複式簿記は手間がかかる分だけ最大65万円の控除という大きなメリットがあります。どちらを選ぶかは、事業の規模や利益、かけられる時間によって判断するとよいでしょう。
大切なのは、難しさを理由にあきらめるのではなく、会計ソフトや代行サービスといった選択肢も含めて、自分に合った方法で無理なく続けることです。最初の一歩を踏み出せば、確定申告のときの不安はぐっと小さくなります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








