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家事按分のやり方総まとめ|家賃・光熱費・...

2026/7/19

家事按分のやり方総まとめ|家賃・光熱費・通信費の按分を解説

  • 税務

家事按分とは、家賃・光熱費・通信費など公私が混ざった支出のうち、事業で使った割合分だけを経費にする手続きです。費目ごとの按分のやり方から、割合を決める根拠の残し方、青色申告と白色申告での違いまで、実務に沿って総まとめします。

自宅兼事務所で仕事をしている個人事業主やフリーランスの方にとって、家賃や水道光熱費、通信費などは生活と仕事の両方にまたがる支出です。「全部経費にしたいけれど、さすがにそれはまずい気がする」「かといって一切入れないのももったいない」と、判断に迷われる方はとても多いです。こうした生活費と事業費が混ざった支出を、合理的な割合で事業分だけ経費にする手続きが家事按分(かじあんぶん)です。

☑ 自宅で仕事をしているけれど、家賃や電気代をどこまで経費にできるのかわからない

☑ 「家事按分」という言葉は聞くものの、具体的な割合の決め方がイメージできない

☑ 按分の根拠を聞かれたときに、きちんと説明できる自信がない

迷いやすいのは、費目ごとに「どの基準で・何割を」経費にできるのかという点です。まず基本の考え方を押さえ、家賃・光熱費・通信費・車関連費といった費目ごとに、按分の方法と根拠の残し方を順に確認していきます。割合そのものの決め方は家事按分の割合の決め方でも掘り下げています。

按分の判断も含めて日々の記帳をまるごと任せたいときは、記帳代行というやり方もあります。まずは自分のケースで按分の考え方を押さえておきましょう。

家事按分とは何か|基本の考え方

生活費と事業費が混ざった支出を分けること

家事按分とは、一つの支出のなかに事業で使う部分(事業用)と私生活で使う部分(家事用)が混ざっているとき、そのうち事業に対応する分だけを必要経費として計上する考え方です(必要経費の基本的な考え方は国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」で確認できます)。たとえば自宅の一室を仕事部屋にしている場合、家賃は住まいとしての性格と事務所としての性格の両方を持っています。その家賃まるごとを経費にすることはできませんが、仕事に使っている割合だけは経費にできる、というのが按分の発想です。

逆に言えば、最初から完全に事業専用のもの(事務所として別に借りた部屋、仕事専用のパソコンなど)は按分の必要がなく、全額が経費になります。家事按分が登場するのは、あくまで「公私が混ざっている支出」に限られます。

按分できる費目とできない費目

家事按分の対象になりやすい代表的な費目には、次のようなものがあります。

  • 家賃・地代(自宅兼事務所の場合)

  • 電気代・ガス代・水道代などの水道光熱費

  • 携帯電話・固定電話・インターネットなどの通信費

  • 自動車のガソリン代・駐車場代・自動車保険・車検費用

  • 持ち家の場合の固定資産税・住宅ローンの利息部分・減価償却費

一方で、按分という考え方になじまない支出もあります。プライベートの食費や家族の生活費、事業と無関係な交際費などは、そもそも事業との関連がないため経費にはできません(経費にならない支出の見分け方もあわせて確認しておくと安心です)。「生活に使っているが仕事にも関わる」ものが按分の対象で、「完全に私生活のもの」は対象外、と整理しておくとわかりやすいでしょう。

家賃の家事按分|面積と使用時間で考える

床面積で按分する方法

自宅兼事務所の家賃を按分するときに、もっとも一般的でわかりやすいのが床面積による按分です。家全体の床面積のうち、仕事専用に使っている部屋やスペースが占める割合を計算します。たとえば家全体が50平方メートルで、そのうち仕事部屋が10平方メートルなら、10÷50=20%を事業割合として家賃の20%を経費にする、という考え方です。按分した家賃を計上する科目については、地代家賃と賃借料の使い分けも参考になります。

専用の仕事部屋がなく、リビングの一角を作業スペースにしている場合は、そのスペースの面積をおおよそ見積もって割合を出します。間取り図やメジャーで測った数値をもとにすると、根拠として説明しやすくなります。

使用時間で按分する方法

面積で分けにくいケースでは、使用時間による按分も使えます。たとえば一日のうち仕事に部屋を使っている時間が8時間で、それ以外は生活に使っているといった場合、24時間のうち8時間ぶんを事業割合とする考え方です。また、面積と時間を組み合わせる方法もあります。「家全体に占める仕事スペースの面積割合」と「そのスペースを仕事に使う時間割合」を掛け合わせて、より実態に近い割合を出すやり方です。

いずれの方法でも大切なのは、自分の働き方の実態に合っていて、誰かに説明したときに納得してもらえる合理的な数字であることです。根拠なく「だいたい半分くらい」と決めてしまうのは避けたいところです。

光熱費・通信費の家事按分

電気・ガス・水道の考え方

水道光熱費のなかでも、業種によって事業との関わり方は大きく異なります。電気代はパソコンや照明、エアコンなど仕事中も使うため、按分対象に含めやすい費目です。家賃と同じ床面積割合を使ったり、仕事をしている時間割合を使ったりして計算するのが一般的です。

一方でガス代や水道代は、業種によって事業との関連性が変わります。料理教室や飲食、美容系のサービスなど水やガスを仕事で使う業態であれば按分の余地がありますが、デスクワーク中心の仕事では事業との関連を説明しにくいため、無理に計上しない判断も大切です。

携帯・ネット回線の按分

通信費は、多くの個人事業主にとって身近な按分対象です。携帯電話を仕事とプライベートの両方で使っている場合、通話時間や利用状況からおおよその事業割合を見積もって按分します。最初から仕事用とプライベート用で番号を分けておけば、仕事用は全額経費にできるため、按分の手間も判断の迷いもなくなります。

インターネット回線も同様に、仕事と私生活の両方で使うなら事業割合で按分します。在宅で仕事のほとんどをネット経由で行っているような働き方であれば事業割合は高くなりますし、ネットを主に私的に使っているなら割合は低くなります。ここでも、自分の使い方の実態に沿った割合を選ぶことがポイントです。

車・その他の費用の家事按分

自動車関連費の按分

仕事の移動に自家用車を使っている場合、ガソリン代・駐車場代・自動車保険・車検費用・自動車税などをまとめて按分できます。よく使われるのが走行距離による按分です。一定期間の総走行距離のうち、仕事のための移動が占める距離の割合を計算し、その割合を車関連費全体にかけます。たとえば月の走行距離のうち6割が仕事の移動なら、ガソリン代などの60%を経費にする、という考え方です。走行距離の記録の付け方は車の走行距離を記録して按分する方法で詳しく解説しています。

車そのものを事業にも使う場合は、車両の減価償却費も同じ事業割合で按分できます。日々の走行記録や、おおまかでも移動の用途を記録しておくと、割合の根拠として役立ちます。

持ち家の場合に按分できるもの

賃貸ではなく持ち家で仕事をしている場合は、家賃の代わりに次のような費用を事業割合で按分できます。

  • 建物の減価償却費(事業に使っている部分)

  • 固定資産税

  • 住宅ローンの利息部分(元本返済は経費になりません)

  • 火災保険料やマンションの管理費・修繕積立金

ここで注意したいのが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)との関係です。自宅の一部を事業用として経費に按分すると、住宅ローン控除の対象となる居住用部分の割合に影響する場合があります。持ち家で事業割合が大きくなりそうなときは、どちらが有利かを含めて慎重に判断することをおすすめします。

按分割合の決め方と根拠の残し方

合理的な基準を選ぶ

家事按分でもっとも大切なのは、割合そのものよりもその割合を導いた基準が合理的であることです。費目ごとに、実態に合った基準を選びましょう。家賃や電気代なら床面積、車なら走行距離、通信費なら使用時間や利用状況、というように、なぜその割合になるのかを説明できる基準であることが重要です。「みんながこのくらいだから」という理由だけで割合を決めるのは避けたほうが安心です。

根拠資料を残しておく

按分の割合は、後から税務署などに質問されたときに説明できるよう、根拠を残しておくと安心です。事業用と私用の支出を最初から分けて記録しておくと按分の根拠も示しやすくなります(生活費と事業費の記録の分け方もご覧ください)。たとえば次のようなものが根拠資料になります。

  • 間取り図や面積を記したメモ(家賃・電気代の床面積按分)

  • 仕事の使用時間を記録したもの(時間按分)

  • 走行距離や移動の用途を記したメモ(車関連費)

  • 計算の根拠を残した按分の計算書

一度決めた割合は、働き方が大きく変わらない限り毎年同じ基準で計算するのが基本です。引っ越しや業種の変化、在宅と外出の比率が変わったときなどは、そのタイミングで割合を見直し、変更した理由をメモしておくとよいでしょう。

青色申告と白色申告での違い

家事按分は青色申告でも白色申告でも行えますが、扱いに少し違いがあります。白色申告では、原則として事業に使う割合が大きい支出(おおむね5割を超えるもの)が按分の対象とされ、それ以外は事業との関連が明らかな部分に限るという考え方が示されています。一方、青色申告では、取引の記録に基づいて事業に必要だと明らかにできる部分であれば、割合の大小にかかわらず必要経費に算入できるとされています。日々の帳簿づけをきちんと行っていることが前提になりますので、按分を含めて経費をしっかり計上したい方には青色申告が向いています。

よくある質問

Q. 家賃の半分を経費にしても大丈夫ですか?

割合そのものに一律の上限が決まっているわけではなく、実態に合った合理的な根拠があるかどうかが判断のポイントです。家の半分を仕事専用スペースとして使っていて、その面積割合がきちんと説明できるのであれば問題ありません。逆に、実態として一部屋しか使っていないのに半分を経費にしてしまうと、根拠を説明できず指摘を受ける可能性があります。面積や時間など、説明できる基準で割合を決めましょう。

Q. 一度決めた按分割合は毎年変えてもいいですか?

働き方や住環境が変われば、それに合わせて割合を見直すのはむしろ自然なことです。引っ越して仕事部屋の広さが変わった、在宅の比率が増えた、といった変化があれば割合を調整して構いません。大切なのは、変更した理由を説明できることです。逆に、特に状況が変わっていないのに毎年大きく割合を動かすと不自然に見えますので、合理的な理由がある場合に見直すと考えておくとよいでしょう。

Q. 領収書やレシートは按分しても全額分を保管するのですか?

はい、按分して経費にする金額が一部であっても、支払いの証拠となる領収書やレシート、検針票、明細などは全額分をそのまま保管します。按分はあくまで計算上の処理であり、もとの支払い金額がいくらだったかを示す書類は丸ごと残しておく必要があります。そのうえで、どの割合でいくらを経費にしたかという計算の根拠を別途メモしておくと安心です。

結論:家事按分は割合よりも「根拠」がものを言う

家事按分は、自宅兼事務所で働く個人事業主・フリーランスにとって、無理なく節税につながる大切な仕組みです。家賃や電気代は床面積、車関連費は走行距離、通信費は使用状況、というように費目ごとに合理的な基準で割合を決め、その根拠を資料として残しておくことが何よりのポイントです。割合の大きさそのものよりも、なぜその割合になるのかをきちんと説明できるかどうかが、安心して経費にできるかの分かれ目になります。

とはいえ、費目ごとに按分の基準を選び、割合を計算し、根拠を整理しながら帳簿につけていく作業は、本業が忙しいなかで自分一人で続けるのはなかなか大変です。「この支出は按分していいのか」「割合はこれで妥当なのか」と一つひとつ迷っていると、申告期限が近づくほど負担は重くなっていきます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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