年の途中で開業した人の青色申告の期限|2か月ルールを解説
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確定申告
☑ 年の途中で開業したけれど、青色申告の届出をいつまでに出せばいいのかわからない
☑ 「2か月以内」という話を聞いたが、起算日がどこなのか自信がない
☑ 開業した最初の年から65万円控除を受けられるのか知りたい
会社員を辞めて独立したり、副業から本格的に事業を始めたりと、年の途中で開業する方は少なくありません。ところが青色申告には提出期限があり、しかもその期限は人によって日付が変わります。「いつまでに何を出せばいいのか」がはっきりしないまま時間が過ぎてしまうと、本来受けられたはずの節税のチャンスを逃してしまうこともあります。
本記事では、年の途中で開業した方が青色申告を始めるための期限、いわゆる「2か月ルール」を中心に、起算日の考え方や提出すべき書類、最初の年から特別控除を受けるための条件までをやさしく解説します。読み終えるころには、自分が何をいつまでに準備すればよいのかがはっきりイメージできるようになります。
青色申告を始めるには「届出」が必要です
開業届とセットで考える
個人事業を始めたら、まず税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を提出します。これは事業を始めたことを知らせる書類で、青色申告そのものの申請とは別物です。青色申告を行うには、これとは別に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
実務では、開業届と青色申告承認申請書を同じタイミングで一緒に提出する方が多く、手続きの手間も少なく済みます。開業届だけを出して青色申告承認申請書を出し忘れると、その年は自動的に白色申告になってしまうため、2枚セットで考えておくと安心です。
白色申告と青色申告の違い
白色申告は事前の届出が不要で記帳も比較的簡単ですが、青色申告のような特別控除はありません。一方、青色申告は事前の申請と複式簿記などの帳簿づけが求められる代わりに、次のような特典があります。
最大65万円の青色申告特別控除(要件を満たした場合)
赤字を翌年以降3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」
家族へ支払う給与を経費にできる「青色事業専従者給与」
開業初年度は何かと出費がかさみ、赤字になることもあります。赤字を翌年以降に繰り越せる仕組みは、開業して間もない時期ほど効いてくる特典です。だからこそ、最初の年から青色申告を選べるよう、期限内に申請しておく価値は大きいといえます。
承認は「申請」して受けるもの
青色申告承認申請書は、提出すれば原則として承認される手続きです。ただし、期限を過ぎてしまうと、その年分の青色申告は認められません。「出せば通る」ものだからこそ、肝心なのは中身よりも期限内に出すことだと覚えておきましょう。
年の途中で開業した人の「2か月ルール」
原則の期限と特例の期限
青色申告承認申請書の提出期限には、大きく2つのパターンがあります。すでに事業を行っている人が翌年から青色申告に切り替える場合は、その年の3月15日までが原則です。これに対して、年の途中で新しく開業した人には特例があり、開業した日から2か月以内が期限になります。これがいわゆる「2か月ルール」です。
つまり、すでに事業をしている人と新規開業の人とでは、適用される期限のルールが違います。年の途中で初めて開業した方は、3月15日ではなく「開業から2か月以内」という日付を意識する必要があります。
起算日は「開業した日」
2か月のカウントは、開業届に記載する「開業日」を基準に数えます。たとえば6月1日に開業したなら、その2か月後にあたる8月1日が一つの目安です。具体的な日付の数え方には細かなルールがあるため、ぎりぎりを狙わず、開業届と一緒に早めに提出してしまうのが確実です。
開業日は自分で決めて記載する欄ですが、実態とかけ離れた日付にするのは望ましくありません。事業の準備が整い、実際に活動を始めた日を基準に考えるとよいでしょう。開業日をいつにするかで2か月ルールの期限も動くため、開業日と申請期限はセットで把握しておくことをおすすめします。
具体的なスケジュール例
イメージしやすいよう、開業時期ごとの期限の考え方を整理します。
春〜秋に開業:開業日から2か月以内が期限。たとえば4月開業なら6月ごろ、9月開業なら11月ごろが目安です。
年末近くに開業:11月や12月に開業した場合も、考え方は同じく開業日から2か月以内です。期限が翌年にまたがることもあるため、年をまたぐ手続きとして忘れないよう注意します。
1月15日以前に開業:その年の1月1日から1月15日までに開業した場合は、2か月ルールではなく原則どおり「その年の3月15日まで」が期限になります。
このように、開業のタイミングによって期限の考え方が変わります。迷ったら「開業から2か月以内、ただし年明けすぐの開業は3月15日まで」と覚えておくと整理しやすくなります。
開業初年度から青色申告特別控除を受けるには
期限内の申請が大前提
開業した最初の年から青色申告特別控除を受けるには、ここまで説明した2か月ルールの期限内に青色申告承認申請書を提出していることが大前提です。期限を過ぎてから申請した場合、その申請は翌年分から有効となり、開業初年度は白色申告での申告になります。最初の年の特別控除を逃さないためにも、申請のタイミングが何より重要です。
65万円控除には帳簿と申告方法の条件がある
申請を期限内に出したうえで、青色申告特別控除の最大額である65万円を受けるには、いくつかの要件を満たす必要があります。代表的なものは次のとおりです。
複式簿記で日々の取引を記帳していること
その記帳にもとづいて貸借対照表と損益計算書を作成し、確定申告書に添付すること
e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行っていること
これらの条件のうち、電子申告などの要件を満たさず複式簿記だけの場合は、控除額が55万円にとどまります。さらに、簡易な記帳(単式簿記)の場合は10万円の控除となります。開業初年度は売上の規模が小さくても、きちんと複式簿記で帳簿をつけておけば、その後も継続して特別控除を受けやすくなります。
期限内に申告することも忘れずに
見落としがちなのが、確定申告そのものの期限です。最大65万円や55万円の特別控除は、確定申告の期限(原則2月16日〜3月15日)内に申告した場合に適用されます。期限を過ぎて申告すると、たとえ複式簿記で帳簿をつけていても特別控除が10万円に減ってしまうことがあります。申請の期限と申告の期限は別物なので、両方をカレンダーに書き込んでおきましょう。
提出方法と提出後にやるべきこと
申請書の提出方法
青色申告承認申請書は、納税地を所轄する税務署に提出します。提出方法は、税務署の窓口への持参、郵送、e-Taxによる電子申請の3つから選べます。控えを手元に残しておくと、後から「いつ提出したか」を確認できて安心です。窓口や郵送の場合は、控えにも収受の記録が残るように準備しておくとよいでしょう。
開業したら帳簿づけをすぐ始める
青色申告を選ぶと決めたら、開業した時点から帳簿づけを始めることが大切です。年明けにまとめてやろうとすると、領収書の山を前に何の支出だったか思い出せず、結局正確な記帳ができなくなりがちです。日々の売上や経費を、こまめに記録しておく習慣をつけましょう。
領収書・請求書の保存も忘れずに
青色申告では、帳簿だけでなく、その根拠となる領収書や請求書などの書類も一定期間保存する必要があります。紙で受け取ったものは月ごとに分けて保管し、電子データで受け取ったものは電子帳簿保存法のルールに沿って保存します。開業当初から保存の仕組みを整えておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。
よくある質問
Q. 開業届だけ出して、青色申告承認申請書を出し忘れました。今年は青色申告できますか?
残念ながら、開業から2か月以内の期限を過ぎている場合、その年分は青色申告ができず、白色申告での申告になります。ただし、期限後に提出した青色申告承認申請書は翌年分から有効になりますので、翌年からは青色申告に切り替えられます。出し忘れに気づいたら、来年のためにできるだけ早く提出しておきましょう。
Q. 開業日はいつにすればよいですか?2か月ルールの期限に影響しますか?
開業日は、実際に事業の活動を始めた日を基準に決めるのが基本です。この開業日から2か月以内が青色申告承認申請書の期限になるため、開業日を遅らせれば期限も後ろにずれます。とはいえ、実態と大きく異なる開業日を記載するのは望ましくありません。準備が整い事業を始めた日を素直に記載し、開業届と申請書を一緒に出してしまうのが確実です。
Q. 開業初年度が赤字でも青色申告をする意味はありますか?
大いにあります。青色申告なら、その年の赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字が出た年の所得と相殺できます。開業初年度は設備投資などで赤字になりやすいため、この繰越控除はとても心強い仕組みです。赤字だからと申告を省略せず、青色申告できちんと申告しておくことをおすすめします。
まとめ:開業したら「開業から2か月」を最優先で押さえましょう
年の途中で開業した方が青色申告を始めるには、開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出することが鍵になります。期限を過ぎると最初の年は白色申告になってしまい、特別控除や赤字の繰越といった特典を初年度から受けられません。開業届と青色申告承認申請書はセットで、できるだけ早めに提出してしまうのが安心です。そのうえで、開業した時点から複式簿記での帳簿づけと書類の保存を始めておけば、最初の確定申告もスムーズに進みます。
とはいえ、開業したばかりの時期は、事業を軌道に乗せることに精一杯で、帳簿づけまで手が回らないのが正直なところかもしれません。複式簿記や貸借対照表と聞くだけで、難しそうだと身構えてしまう方も多いはずです。
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