個人事業主の節税は「経費」と「控除」のどちらが効く?
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税金

個人事業主の節税は、経費と控除のどちらか一方ではなく、両方を取りこぼさないことが基本です。税金が計算される流れのどこで経費と控除が効くのかを整理し、それぞれの役割と上手な使い方をわかりやすくお伝えします。
「節税したいなら経費を使え」。個人事業主なら、一度はこんな言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。たしかに経費は重要な要素ですが、節税の柱は経費だけではありません。もう一つの大きな柱が「控除」です。この二つの違いを理解しないまま、やみくもに経費を増やそうとすると、かえってお金を減らしてしまうこともあります。まずは、税金がどのような順番で計算されるのかという流れから見ていきましょう。
☑ 節税というと「経費を増やすこと」しか思い浮かばない
☑ 「控除」という言葉はよく聞くが、経費とどう違うのか説明できない
☑ 税金を減らそうとして必要のないものまで買ってしまわないか不安
そもそも税金はどう計算されるのか
「売上」から税金が決まるわけではない
個人事業主の所得税は、売上そのものにかかるわけではありません。まず売上から事業にかかった「経費」を引いて「所得(もうけ)」を出します。次に、その所得から「所得控除」を引いて「課税される所得」を出し、最後にそこへ税率をかけて税額を計算します。つまり、税金は段階を踏んで決まっていくのです。
経費と控除は効く段階が違う
ここが大事なポイントです。経費は「売上から所得を出す」段階で引かれ、控除は「所得から課税対象を出す」段階で引かれます。どちらも最終的に課税される所得を小さくする働きがありますが、効くタイミングと性質がまったく異なります。この違いを押さえると、両者を混同せずに考えられるようになります。
経費とは何か
事業のために使ったお金
経費とは、事業を行ううえで必要だった支出のことです。仕入れ、事務用品、通信費、交通費、打ち合わせの費用など、売上を生み出すために使ったお金が該当します。どこまでが必要経費になるかの基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」で確認できます。これらを正しく計上することで所得が小さくなり、結果として税負担が軽くなります。日々の領収書をきちんと残しておくことが、経費を漏れなく計上する第一歩です。
「使えば使うほど得」ではない
節税のためだからと、必要のないものまで買うのは考えものです。たとえば10万円の経費を増やしても、税負担が軽くなるのはその一部にすぎません。残りは結局、手元から出ていったお金です。つまり「節税のために使う」と、トータルでは手元のお金が減ります。経費はあくまで「事業に本当に必要な支出」を漏れなく計上することが基本で、無駄遣いは節税になりません。高額な備品を買った年は、減価償却の特例を組み合わせて節税効果を最大化する方法を知っておくと、経費の入れ方の選択肢が広がります。
経費は事業に必要な支出を正しく計上することが基本
節税のためだけの不要な買い物は、かえって手元資金を減らす
領収書を残し、漏れなく計上することが何より大切
控除とは何か
所得から差し引ける一定の金額
控除とは、一定の条件を満たすことで所得から差し引ける金額のことです。すべての人が受けられる基礎控除のほか、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、扶養に関する控除など、さまざまな種類があります。だれもが対象になる基礎控除の仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.1199「基礎控除」で確認できます。控除が増えれば課税される所得が小さくなり、税負担が軽くなります。
「お金を使わずに」効く控除もある
控除の魅力は、必ずしも新たな出費を伴わないものがある点です。たとえば、すでに支払っている国民年金や国民健康保険の保険料は社会保険料控除の対象になりますし、基礎控除のように要件を満たせば自動的に受けられるものもあります。出費を増やさずに税負担を軽くできる可能性があるのが、控除の見逃せないところです。
申告しなければ受けられない控除もある
控除の中には、条件を満たしていても自分で申告しなければ受けられないものがあります。たとえば、一年間に支払った医療費が一定額を超えたときの医療費控除などは、自分で計算して申告に反映させる必要があります。「対象になっていたのに知らなくて使わなかった」というのは、もったいない取りこぼしの典型です。一年を通して、保険料の支払い、医療費、寄付など、控除につながりそうな記録は手元にまとめておくと、申告のときに慌てずに済みます。領収書や証明書が散らばりがちで取りこぼしが心配なら、日々の記帳を代行してもらうやり方で漏れを防ぐという選択肢もあります。
結局どちらを優先すべきか
まずは「すでにあるもの」を取りこぼさない
節税を考えるとき、最初にやるべきは新しく何かを買うことではありません。すでに支払っている経費や、受けられるはずの控除をきちんと申告に反映させ、取りこぼしをなくすことです。使える控除を見落としていたり、計上できる経費を忘れていたりするケースは意外と多く、ここを丁寧に押さえるだけで効果が出ることがあります。実際、記帳をお預かりすると計上もれの経費が見つかることは珍しくありません。
その先に「制度を使った節税」がある
取りこぼしをなくしたうえで、さらに踏み込みたい場合は、控除を増やせる制度の活用が選択肢になります。小規模企業共済やiDeCoの掛金、青色申告による控除などは、将来への備えや手続きを通じて控除を積み上げられる方法として知られています。青色申告の控除額ごとの効果は青色申告特別控除65万・55万・10万の節税額を段階別に試算した記事が、共済を使った備えは赤字の年こそ使いたい節税の備え(共済の掛金調整と繰越)が参考になります。経費を無理に増やすより、こうした制度を活用するほうが効率的なことも多いのです。
「いくら税金が軽くなるか」は人によって違う
同じ金額の経費や控除でも、実際にどれだけ税負担が軽くなるかは、その人の所得の大きさによって変わります。所得が大きく高い税率がかかっている方ほど、控除や経費を一つ増やしたときの効果が大きく感じられる傾向があります。逆に所得がそれほど多くない場合は、効果が小さく見えることもあります。だからこそ「他の人がやっているから」ではなく、自分の所得の状況に照らして、何が効きそうかを考える視点が役に立ちます。判断に迷うときは、数字を見ながら専門家に相談すると安心です。
よくある質問
Q. 経費を増やせば増やすほど税金は減りますか?
経費が増えれば課税される所得は小さくなりますが、軽くなる税額は支出額の一部にすぎません。節税のためだけに不要なものを買えば、トータルでは手元のお金が減ってしまいます。経費は「事業に本当に必要な支出を漏れなく計上する」ものと考えましょう。
Q. 控除と経費はどちらが節税効果が大きいですか?
一概には言えません。両者は税金の計算上、効く段階が異なり、状況によって効果も変わります。大切なのはどちらか一方ではなく、計上できる経費と受けられる控除の両方を取りこぼさないことです。
Q. 自分が使える控除がよくわかりません。どうすればいいですか?
控除には多くの種類があり、人によって使えるものが異なります。支払った保険料の証明書や医療費の記録などを手元にそろえておくと確認しやすくなります。判断に迷う場合は、税の専門家や記帳代行サービスに相談するのも一つの方法です。
今日から見直したい経費と控除の考え方
節税というと経費を増やすことばかりに目が向きがちですが、税金は「売上から経費を引いて所得を出し、所得から控除を引いて課税対象を出す」という段階を経て決まります。経費と控除は効くタイミングも性質も違うため、どちらか一方だけで考えるのは得策ではありません。まずは、すでに支払っている経費と受けられる控除を漏れなく反映させ、取りこぼしをなくすことが節税の基本です。
そのうえで、控除を増やせる制度を活用していくのが効率的な進め方です。なお、控除の種類や金額、適用の条件は改正で変わることがあるため、最新情報は国税庁のサイト等でご確認ください。節税のために無駄な出費をするのではなく、仕組みを理解して使えるものをきちんと使う。これが遠回りのようで一番の近道です。
経費の取りこぼしを防ぐいちばんの近道は、日々の領収書を確実に記録に残すことです。領収書丸投げドットコムは、たまった領収書を郵送するかスマホで撮影して送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。何枚送っても定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円で、税理士監修のもとで計上もれのない申告を目指せます。まずは使える経費と控除を取りこぼさない体制を相談するところから始めてみてください。ご相談は無料です。費用の目安は料金プランでご確認いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








