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減価償却の特例を組み合わせて節税効果を最...

2026/7/19

減価償却の特例を組み合わせて節税効果を最大化する方法を解説

  • 税金

減価償却の特例は取得価額の金額帯ごとに選べる方法が決まり、青色申告者は30万円未満を一括経費にできる特例が使えます。一つの資産に重ねがけはできませんが、資産ごと・年ごとに最適な処理を選べば節税効果を最大化できます。

事業のために購入したパソコンや工具、設備などは、金額によっては買った年に全額を経費にできず、何年かに分けて少しずつ経費にしていく「減価償却」が必要になります。せっかくお金を使ったのに、今年の経費に十分入らず税金が思ったより減らない、と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

☑ パソコンや機材を買ったのに、一度に経費にできず数年に分けて償却するのがもどかしい

☑ 「少額減価償却資産の特例」や「一括償却資産」という言葉は聞くが、どう使い分ければよいかわからない

☑ 同じ金額の買い物でも、処理の仕方で節税効果が変わると聞いて気になっている

ここでは、個人事業主が使える減価償却の特例の種類と、それぞれをどう使い分け・組み合わせればよいのかを、具体例を交えて整理します。買い物のたびに迷わず有利な処理を選べるようになります。

そもそも減価償却とは?基本のしくみを確認しましょう

高額な資産は「使う年数」で分けて経費にする

減価償却とは、長く使う高額な資産について、購入した年に全額を経費にするのではなく、その資産を使う年数(耐用年数)にわたって少しずつ経費にしていく考え方です。たとえば耐用年数4年のパソコンを買った場合、原則としては購入代金を4年に分けて経費にしていきます。減価償却の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。

なぜこうした処理をするかというと、その資産は1年だけでなく数年にわたって事業の売上に貢献するからです。「お金を払った年」と「経費になる年」が必ずしも一致しないのが減価償却の特徴で、ここを理解しておくと特例の意味もつかみやすくなります。

原則は10万円以上の資産が減価償却の対象

取得価額が10万円未満のものは、原則として買った年に消耗品費などとして全額を経費にできます。一方、10万円以上のものは原則として減価償却の対象となり、耐用年数に応じて分割して経費にしていくのが基本です。つまり、節税の工夫が必要になるのは主に10万円以上の資産を買ったときだといえます。

取得価額には付随費用も含まれる

金額の判定で見落としがちなのが「取得価額」の考え方です。取得価額には本体価格だけでなく、配送料や設置費用など、その資産を使えるようにするためにかかった費用も含めるのが原則です。本体が9万8千円でも送料を足すと10万円を超える、というケースもあるため、判定は税込・税抜の経理方式とあわせて慎重に確認しましょう。

個人事業主が使える3つの処理方法を整理する

一括償却資産(3年均等償却)

取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、「一括償却資産」として3年間で均等に経費にする方法を選べます。たとえば18万円の資産なら、耐用年数にかかわらず毎年6万円ずつ、3年で全額を経費にできます。耐用年数が長い資産でも短期間で経費化できるのがメリットです。さらに、一括償却資産は通常の減価償却資産と違い、原則として固定資産税(償却資産税)の課税対象に含めなくてよいという利点もあります。少額のリースやレンタルとの使い分けは、少額・短期リースの経理が参考になります。

少額減価償却資産の特例(30万円未満を一括経費)

青色申告をしている個人事業主であれば、取得価額が30万円未満の資産について、買った年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」が使えます。年間の合計額に上限(300万円まで)はありますが、20万円や25万円といった資産を一気に経費にできるため、節税効果が大きい使い勝手のよい特例です。年間300万円の枠の管理は、少額減価償却資産の300万円枠の管理で解説しています。

  • 対象は青色申告者であること

  • 1つあたり30万円未満の資産であること

  • その年に取得して事業に使い始めたものであること

  • 確定申告書(青色申告決算書)に必要事項を記載すること

通常の減価償却(耐用年数で分割)

特例を使わず、耐用年数にわたって通常どおり減価償却する方法も、もちろん選べます。利益が少ない年は、あえて一気に経費化せず、将来の利益が大きくなりそうな年に経費を残しておく、という考え方もできます。どの方法を選ぶかは「いつ経費にしたいか」という視点で考えるのがポイントです。

金額帯ごとの選択肢を一覧で押さえる

金額で使える処理が変わる

同じ資産でも、取得価額がいくらかによって選べる処理が変わります。下の整理を頭に入れておくと、買い物のたびに迷わなくなります。

  • 10万円未満:消耗品費などとして購入年に全額経費(特例は不要)

  • 10万円以上20万円未満:通常の減価償却/一括償却資産(3年均等)/少額減価償却資産の特例(青色のみ)から選択

  • 20万円以上30万円未満:通常の減価償却/少額減価償却資産の特例(青色のみ)から選択

  • 30万円以上:原則として通常の減価償却

青色申告かどうかで選択肢が大きく変わる

表からもわかるとおり、30万円未満を一括経費にできる特例は青色申告者だけの特典です。白色申告の場合、10万円以上20万円未満は一括償却資産(3年均等)が使えますが、20万円以上は原則どおりの減価償却になります。減価償却の節税という観点でも、青色申告の届出を出しておく価値は大きいといえます。

「組み合わせ」とは年単位の最適化のこと

減価償却の特例の組み合わせとは、複数の資産を別々の方法で処理したり、その年の利益や上限額をにらみながら方法を選んだりして、年全体の税負担を最適化することを指します。一つの資産にすべての特例を重ねがけできるわけではなく、資産ごと・年ごとに最適な方法を選ぶ、という考え方です。

具体例で見る「組み合わせ」の節税効果

利益が大きい年は一括経費でしっかり圧縮する

たとえば、ある年に25万円のパソコンと18万円の撮影機材を購入し、その年の利益が大きく出そうな場合を考えます。青色申告者であれば、25万円のパソコンは少額減価償却資産の特例で全額をその年の経費にし、18万円の機材も特例または一括償却資産で早めに経費化することで、利益をしっかり圧縮できます。利益が多い年ほど、早く経費にする選択が効いてきます。

少額減価償却資産の年間上限を意識して配分する

少額減価償却資産の特例には、その年に一括経費にできる合計額に上限があります。設備をまとめて買って上限を超えそうな年は、一部を一括償却資産(3年均等)や通常の減価償却に回すことで、無理なく処理できます。「すべてを特例で一括」ではなく、上限内で効果の大きいものから優先するのがコツです。

償却資産税まで見据えて方法を選ぶ

少額減価償却資産の特例で経費にした資産は、一定額以上になると償却資産税(固定資産税)の申告対象に含まれる点に注意が必要です。一方、一括償却資産は原則として償却資産税の対象外です。所得税・住民税だけでなく、翌年以降の償却資産税まで含めて考えると、金額帯によっては一括償却資産を選んだほうがトータルで有利になる場合もあります。開業費など繰延資産の償却の考え方は、繰延資産の償却の実務もあわせて確認しておくと安心です。

特例を使うときの注意点と手続き

帳簿づけと申告書への記載が必須

特例は「使います」と口頭で決めれば適用されるものではなく、帳簿に正しく記録し、確定申告書(青色申告決算書)の所定の欄に金額や明細を記載することで初めて認められます。特に少額減価償却資産の特例は、決算書に取得価額の合計や「措置法28条の2」といった適用条文を記載する必要があり、記載漏れがあると適用を受けられないおそれがあります。資産ごとの判定や記帳を負担に感じるなら、記帳代行の活用も選択肢になります。

事業用とプライベートの按分を忘れない

自宅兼事務所で使うパソコンなど、事業とプライベートの両方で使う資産は、事業で使う割合(事業割合)に応じて経費にするのが原則です。特例を使う場合も、まず事業割合をかけた金額で取得価額や経費額を判定・計算します。全額を事業経費にしてしまうと、後の税務調査で否認されるリスクがあるため注意しましょう。

制度の細かい要件・期限は最新情報を確認する

少額減価償却資産の特例のように、適用期限が区切られていて延長を繰り返している制度もあります。上限額や対象者の要件などの細かい条件は見直されることがあるため、購入を検討する際は、その時点の最新の要件を国税庁の情報や専門家に確認しておくと安心です。ここで示した金額の枠組みは定番の考え方として押さえつつ、実際の判断は最新情報とあわせて行いましょう。

よくある質問

Q. 一つの資産に複数の特例を重ねて使えますか?

いいえ、一つの資産に対して使える処理方法は一つだけです。「少額減価償却資産の特例で一括経費にしたうえに一括償却資産でも処理する」といった重ねがけはできません。組み合わせとは、複数の資産をそれぞれ別の方法で処理したり、その年の利益や上限額に応じて方法を選んだりして、年全体で税負担を最適化することを指します。

Q. 利益が少ない年は、どの方法を選ぶのが得ですか?

その年の利益が少なく、もともと税額がほとんど出ない場合は、無理に一括で経費化せず、通常の減価償却で将来に経費を残しておく選択も有効です。経費は利益が大きく税率の影響を受けやすい年に当てたほうが、節税効果を実感しやすくなります。数年先の見通しも踏まえて、いつ経費にするかを考えるとよいでしょう。

Q. 中古で買った資産でも特例は使えますか?

はい、中古資産でも取得価額や青色申告などの要件を満たせば、一括償却資産や少額減価償却資産の特例の対象になります。中古資産は耐用年数が新品より短く見積もられることが多いため、通常の減価償却を選んだ場合でも比較的早く経費化できる場合があります。金額と耐用年数の両面から、有利な方法を比べてみましょう。

結論:減価償却は「金額」と「年」で最適な方法を選ぶ

減価償却の特例は、取得価額の金額帯ごとに選べる方法が決まっており、青色申告者であれば30万円未満を一括経費にできる特例という強い武器が使えます。一つの資産に重ねがけはできませんが、資産ごと・年ごとに最適な処理を選び、その年の利益や上限額、償却資産税まで見据えて配分することで、節税効果を最大化できます。利益が大きい年は早めの経費化、少ない年は将来へ温存、という発想がポイントです。

とはいえ、資産ごとに最適な処理を判定し、帳簿づけや決算書への記載まで正確に行うのは、本業の合間ではなかなか骨の折れる作業です。判定を誤ると、せっかくの特例が使えなかったり、後から指摘を受けたりすることにもなりかねません。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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