簡易課税を選ぶと損する年|設備投資・大きな仕入れがある場合の判断を解説
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税金

簡易課税は手間が少なく有利なことが多い一方で、設備投資や大きな仕入れがある年は本則課税より損をすることがあります。簡易課税で損をしやすいケースと、本則課税に切り替えて還付を受ける判断のしかたを、具体例で整理します。
簡易課税は「経費の消費税を集計しなくてよい」手軽さから選ばれがちですが、いったん選ぶと原則2年間は変更できません。その間に大きな設備投資をすると、本則課税なら受けられたはずの還付を取り逃してしまうことがあります。損をしないために、簡易課税が不利になる年を知っておきましょう。
☑ 簡易課税を選んでいるが、設備投資を予定している
☑ 大きな仕入れがある年に損をしないか心配だ
☑ 本則課税に切り替えるべきか判断したい
簡易課税と本則課税の違いをおさえたうえで、簡易課税が損になる典型的なケースと、切り替えの判断ポイントを見ていきましょう。
簡易課税で損をするのはどんなとき?
簡易課税は「預かった消費税 × みなし仕入率」で控除額が決まるため、実際に支払った消費税がその金額を上回る年は損をします。とくに、店舗改装・車両購入・機械導入などの大きな課税仕入がある年は、本則課税なら控除額が増え、場合によっては還付になるため、簡易課税だと差額分を損する形になります。
簡易課税では還付が受けられない
本則課税では、支払った消費税が預かった消費税を上回れば差額が還付されます。しかし簡易課税は計算のしくみ上、納税額がマイナスになることがなく、還付は生じません。設備投資で大きな消費税を払っても、それが控除に反映されないのです。
2年縛りにも注意
簡易課税はいったん選ぶと、原則として2年間は本則課税に戻せません。この期間中に投資が重なると、身動きが取れないまま損を確定させてしまうことがあります。簡易課税の基本は国税庁タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」で確認できます。
具体例で見る損得の分かれ目
実際の数字で比べると、損得の分かれ目がはっきりします。サービス業(第5種・みなし仕入率50%)で、店舗改装のため大きな課税仕入があった年を例にします。自分の事業区分とみなし仕入率は簡易課税の事業区分とみなし仕入率で確認できます。
設備投資がある年の試算
年間売上:税込660万円(預かった消費税60万円)
通常経費+設備投資の課税仕入:税込770万円(支払った消費税70万円)
この前提で、簡易課税と本則課税の納税額を比べると、次のようになります。
計算方法 | 計算式 | 納税額 |
|---|---|---|
簡易課税(第5種) | 60万円 −(60万円 × 50%) | 30万円の納税 |
本則課税 | 60万円 − 70万円 | 10万円の還付 |
この例では、簡易課税だと30万円を納めるのに対し、本則課税なら10万円が還付されます。差は実に40万円です。大きな投資がある年は、本則課税を選べていたかどうかで結果が大きく変わります。本則課税で還付を受けるには課税仕入を漏れなく記帳する必要があるため、記帳をまとめて任せる記帳代行を使う方もいます。方式選びの全体像は消費税の本則課税と簡易課税の選び方をご覧ください。
本則課税に切り替える判断のしかた
投資の予定が分かっているなら、その年が始まる前に方式を見直すのが鉄則です。切り替えには届出と期限があるため、計画的な準備が欠かせません。
簡易課税をやめる届出を期限内に出す
簡易課税をやめて本則課税に戻すには、「簡易課税制度選択不適用届出書」を、やめたい課税期間が始まる前までに提出する必要があります。ただし2年縛りの期間中は取りやめられないため、投資の時期と縛りの期間を照らし合わせて計画しましょう。
投資年に合わせて選択のタイミングを設計する
大きな投資が来年に決まっているなら、今のうちに簡易課税をやめる手続きを進め、投資年を本則課税で迎えられるようにします。逆に、投資が数年先なら簡易課税を続けた方が有利なこともあります。数年単位で見通すことがポイントです。負担の見極めは、方式ごとの納税額を実際の数字で試算してから判断すると確実です。
本則課税は記帳とインボイス保存が前提
本則課税で還付を受けるには、課税仕入を漏れなく記帳し、適格請求書を保存しておく必要があります。集計や保存が不十分だと、せっかくの控除を取りこぼしかねません。区分経理の考え方は税込経理と税抜経理の違いと選び方もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. 簡易課税でも設備投資の消費税は少しは戻りますか?
いいえ、簡易課税は預かった消費税とみなし仕入率だけで納税額を計算するため、設備投資でいくら消費税を払っても控除額は変わらず、還付も生じません。投資の消費税を取り戻したいなら、その年を本則課税にする必要があります。
Q. 投資の予定を忘れて簡易課税を続けてしまいました。今から戻せますか?
簡易課税は2年縛りがあり、その期間中は本則課税に戻せません。縛りが明ける課税期間の前までに不適用の届出を出せば戻せますが、それより前の投資年には間に合いません。投資計画は早めに方式へ反映させることが重要です。
Q. 2割特例なら設備投資でも損しませんか?
2割特例も簡易課税と同じく預かった消費税の一定割合で計算するため、還付は生じません。大きな設備投資がある年は、2割特例より本則課税の方が有利になることがあります。投資年だけは本則課税を検討する価値があります。
投資の年こそ方式を見直す
簡易課税は経費が少ない年には有利ですが、設備投資や大きな仕入れがある年は本則課税より損をし、還付のチャンスも逃してしまいます。簡易課税には2年縛りがあるため、投資の予定が分かった時点で早めに方式を見直し、投資年を本則課税で迎えられるよう準備することが損をしないコツです。
とはいえ、数年先の投資計画まで見据えて方式を設計し、届出の期限を管理しながら本則課税の記帳を整えるのは、本業が忙しい個人事業主には負担の大きい作業です。判断のもとになる数字が整っていないと、有利な選択を逃しかねません。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








