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2026/9/8

開業初年度にやるべき節税対策をやさしく解説

  • 税金

開業初年度の節税は、特別な裏ワザよりも「期限内に必要な届出を出すこと」が決め手です。青色申告の承認申請期限、開業前に払った費用の扱い、初年度から使える控除まで、やっておくべきことを順を追って整理します。

開業した最初の一年は、売上を伸ばし事業を軌道に乗せることで頭がいっぱいになりがちです。そのため税金は後回しになり、「あの手続きをしておけばもっと節税できたのに」と後で悔やむケースが少なくありません。初年度にはその年にしかできない手続きや、初年度ならではの節税のポイントがいくつもあります。個人事業主・フリーランスの方に向けて、開業届と青色申告の関係から実務の勘所まで、初年度に押さえておきたい対策をまとめました。

☑ 開業したばかりで、初年度にどんな節税をすればいいのか見当がつかない

☑ 開業前に買ったパソコンや備品の代金は経費にできるのか知りたい

☑ 青色申告がよいと聞くけれど、初年度から手続きが間に合うのか不安

開業初年度の節税は「手続きの期限」が最大のポイント

初年度の節税で一番大切なのは、テクニックよりも「期限内に必要な届出を出しておくこと」です。届出のタイミングを逃すと、本来使えたはずの制度がその年は使えなくなることがあるからです。

開業届は事業開始からおおむね1か月以内に

個人で事業を始めたら、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出します。提出の目安は事業開始からおおむね1か月以内とされています。開業届自体に直接の節税効果はありませんが、これを出していないと青色申告の承認申請がスムーズに進まないため、最初のステップとして必ず押さえておきたい書類です。

青色申告の承認申請には「開業日からの期限」がある

青色申告をしたい場合は「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。ここが初年度ならではの重要ポイントです。原則として申請の期限は対象となる年の3月15日までですが、その年の1月16日以降に新しく開業した場合は、開業日から2か月以内が申請期限になります。つまり、開業のタイミングによって期限が変わるため、「いつまでに出せばよいか」を開業直後に確認しておくことが大切です。

この申請が間に合わないと、初年度は白色申告となり、青色申告特別控除などのメリットを初年度から受けられなくなります。開業届と青色申告承認申請書は、できれば同時に提出してしまうのがおすすめです。

青色申告で初年度から受けられる節税メリット

青色申告は、初年度の節税効果がもっとも大きい選択肢のひとつです。手続きさえ間に合えば、初年度から複数のメリットを受けられます。

青色申告特別控除(最大65万円)

青色申告では、一定の帳簿付けと申告を行うことで、所得から最大65万円を差し引ける青色申告特別控除が使えます。65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存といった要件を満たす必要があります。要件を満たせない場合でも、簡易な帳簿による10万円の控除が用意されています。この控除があるだけで課税される所得が減り、所得税・住民税の負担を抑えられます。控除の要件は国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」で確認でき、65万・55万・10万円それぞれの節税額の違いは青色申告特別控除65万・55万・10万円の要件と節税額の試算で段階別に整理しています。

赤字を翌年以降に繰り越せる(純損失の繰越控除)

開業初年度は、設備投資や準備にお金がかかる一方で売上がまだ伸びず、赤字になることも珍しくありません。青色申告であれば、その年の赤字(純損失)を原則として翌年以降の所得から差し引ける「純損失の繰越控除」が使えます。たとえば初年度が赤字でも、翌年に黒字が出たときにその赤字分を相殺できるため、トータルでの税負担を平準化できます。これは初年度に赤字になりがちな事業ほど効果が大きい仕組みです。赤字を翌年以降にどう活かすかは、赤字を3年繰り越して翌年以降の税を抑える純損失の繰越で詳しく整理しています。

家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)

家族に事業を手伝ってもらっている場合、青色申告では「青色事業専従者給与」として、一定の届出をしたうえで家族への給与を経費にできます。こちらも届出の期限があるため、家族に手伝ってもらう予定があるなら初年度のうちに検討しましょう。届出や金額の要件は国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」で確認できます。

開業前にかかった費用は「開業費」にできる

初年度ならではの節税で見落とされやすいのが、開業前に支払った費用の扱いです。開業日より前に事業のために使ったお金も、条件を満たせば経費として計上できます。

開業費とは何か

開業費とは、事業を始めるための準備として、開業前に特別に支出した費用のことです。記帳代行の現場でも、開業初年度の方から「開業する前に買ったものは経費にできるのか」というご相談をよくいただきます。具体的には次のようなものが該当することが多いです。

  • 事業に使うための名刺やチラシ、ホームページの制作費

  • 開業に向けて参加したセミナーや研修、書籍の費用

  • 取引先や事業仲間との打ち合わせにかかった費用

  • 開業準備のための交通費や、事務所探しにかかった費用

一方で、商品の仕入れ代金や、10万円以上する備品(後述する固定資産にあたるもの)などは開業費に含めない点に注意が必要です。

開業費は「繰延資産」として好きなタイミングで経費化できる

開業費は「繰延資産」という扱いになり、原則として開業した年に一度に全額を経費にすることも、数年に分けて少しずつ経費にすることもできます。利益が出た年に多めに取り崩して経費にするといった調整ができるため、初年度が赤字なら無理に使い切らず、黒字になった年に活用する使い方も可能です。領収書を残しておくことが、開業費を活かす前提になります。

初年度に押さえたい経費と固定資産の考え方

初年度は備品をそろえる出費が多くなりがちです。何が経費になり、何が「固定資産」になるのかを知っておくと、ムダなく節税できます。

10万円が一つの目安

パソコンや機材などを買ったとき、その金額が10万円未満であれば、原則としてその年の経費(消耗品費など)としてまとめて計上できます。一方、10万円以上のものは「固定資産」となり、原則として何年かに分けて少しずつ経費にする「減価償却」の対象になります。同じ買い物でも、金額によって経費にできるタイミングが変わるという点が大切です。

少額減価償却資産の特例

青色申告をしている個人事業主には、30万円未満の資産であれば購入した年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」が用意されています(年間の合計額に上限があります)。初年度にパソコンやデスクなど、10万円以上30万円未満のものを買う予定があるなら、この特例を使えるかどうかで初年度の経費額が大きく変わります。これも青色申告のメリットのひとつです。

家事按分で生活費の一部も経費に

自宅を事務所として使っている場合、家賃・電気代・通信費などのうち、事業で使っている割合分を「家事按分」して経費にできます。たとえば自宅の一室を仕事専用にしているなら、その面積割合に応じて家賃の一部を経費にできます。按分の割合は、面積や使用時間など合理的な基準で決め、その根拠を説明できるようにしておくことが大切です。

初年度は届出と記帳が同時に押し寄せる時期でもあります。日々の帳簿づけまで手が回らないと感じたら、記帳をまるごと任せる記帳代行という方法もあります。事務作業を外に出すことで、初年度に取りこぼしがちな手続きの管理もしやすくなります。

所得控除も忘れずに使い切る

経費とは別に、所得から直接差し引ける「所得控除」も節税の柱です。初年度から使えるものが多いので、漏れなく申告しましょう。

社会保険料控除・小規模企業共済

会社員から独立した方は、国民健康保険料や国民年金保険料を自分で支払うことになります。これらは「社会保険料控除」として全額が所得から差し引けます。また、個人事業主の退職金代わりとして知られる「小規模企業共済」は、掛金の全額が所得控除の対象になり、将来への備えと節税を両立できる制度として検討する価値があります。赤字の年に共済の掛金をどう調整するかは、赤字の年こそ使いたい共済の掛金調整と繰越が参考になります。

iDeCoや医療費控除なども確認

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金も全額が所得控除の対象です。このほか、医療費が一定額を超えた場合の医療費控除、ふるさと納税(寄附金控除)など、事業とは直接関係しない控除も忘れずに確認しましょう。共済やiDeCoをどう組み合わせるかは、将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方にまとめています。

よくある質問

Q. 開業初年度は売上が少ないのですが、それでも確定申告は必要ですか?

所得(売上から経費を引いた利益)の状況によりますが、一定額を超える所得があれば確定申告が必要です。また、初年度が赤字でも、青色申告で確定申告をしておくと赤字を翌年以降に繰り越せるため、結果として節税につながります。「少ないから申告しなくてよい」と自己判断せず、申告しておくほうが有利になるケースが多い点を覚えておきましょう。

Q. 開業届を出さずに事業をしていました。今からでも青色申告はできますか?

開業届と青色申告承認申請書は、それぞれ提出期限があります。期限を過ぎてしまった場合、その年は青色申告ができず白色申告になることがあります。ただし翌年以降に向けて手続きをしておけば、次の年から青色申告に切り替えられます。まずは現状を確認し、できるだけ早く必要な届出を整えることをおすすめします。

Q. 確定申告の時期はいつですか?

個人事業主の確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。初年度の取引や領収書は、この時期に慌てて整理すると大変です。日々の記帳をこまめに進めておくことが、初年度の申告をスムーズにする近道です。

まとめ|初年度の一手間が、その後の税負担を左右する

開業初年度の節税は、特別な裏ワザよりも「期限内に青色申告の手続きをする」「開業前の費用や備品を正しく経費にする」「使える控除を漏れなく使う」という基本の積み重ねが効いてきます。開業届と青色申告承認申請書を早めに出し、開業費の領収書を残し、10万円・30万円といった金額のラインを意識して備品を計上する。そして社会保険料控除や小規模企業共済などの所得控除も忘れずに使う。こうした一つひとつの手続きが、初年度だけでなく翌年以降の税負担にも影響します。

開業直後の慌ただしさの中で、届出の期限や日々の帳簿づけまで一人で抱えるのは大変です。慣れない記帳に時間を取られて、本来やるべき営業や制作の時間が削られては本末転倒です。記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する開業初年度の節税を取りこぼさず整えるために、無料で相談してみる初回のご相談から記帳開始までの流れ

【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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