個人事業主が住民税非課税になる条件と確定申告をやさしく解説
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確定申告

個人事業主が住民税非課税になるかは、収入ではなく経費を引いた合計所得金額で決まります。基準額は扶養人数や自治体によって変わり、所得が少ない年ほど申告が大切です。非課税になる条件と、確定申告・住民税申告の扱いを、できるだけ分かりやすく整理します。
「今年はあまり稼げなかったから、税金はかからないかもしれない」。個人事業主やフリーランスとして働いていると、収入が落ち込んだ年にこんな思いがよぎることがあります。実際、所得が一定の基準を下回れば住民税がかからない「非課税」という仕組みがあり、対象になれば負担は大きく軽くなります。ただ、その条件は所得税とは別のルールで決まるため、分かりにくいと感じる方も多いはずです。
☑ 収入が少ない年でも住民税を払わなければいけないのか気になっている
☑ 「住民税非課税世帯」という言葉は聞くけれど、自分が当てはまるのかわからない
☑ 所得が低くても確定申告をする必要があるのか判断がつかない
そもそも住民税とはどんな税金でしょうか
住民税は「所得割」と「均等割」の2つでできている
住民税は、お住まいの都道府県と市区町村に納める地方税です。大きく分けて、所得に応じて金額が変わる所得割と、所得に関わらず一定額がかかる均等割の2つで構成されています。所得税が国に納める税金であるのに対し、住民税は地域の行政サービスを支えるための税金という位置づけです。個人住民税の仕組みは、総務省「個人住民税」(個人住民税|総務省)で確認できます。
「住民税が非課税になる」と言うときは、この所得割と均等割の両方がかからない状態を指すことが一般的です。所得割だけがかからず、均等割は課されるという中間的なケースもあります。
前年の所得をもとに計算される
住民税の大きな特徴は、前年1年間の所得をもとに翌年度の税額が決まる点です。たとえば、ある年の収入が少なかった場合、その影響が出るのは翌年度の住民税です。「去年は稼げたのに今年は収入が減った」という年は、収入が減った年の住民税ではなく、その前年の所得に応じた住民税を納めることになるため、タイミングのずれに注意が必要です。病気や療養で年の途中に休業した年の申告の考え方は、病気・療養で年の途中に休業した個人事業主の確定申告もあわせて確認しておくと安心です。
個人事業主が住民税非課税になる条件
判定の基準は「合計所得金額」
住民税が非課税になるかどうかは、収入そのものではなく、収入から必要経費を差し引いた合計所得金額をもとに判定されます。個人事業主の場合、売上から経費を引いた事業所得が中心になります。同じ売上でも経費の額によって所得は変わるため、日々の経費をきちんと計上しておくことが、判定にも影響してきます。なお、クラウドファンディングや支援金など事業以外の収入があると所得区分の扱いが変わることがあります。判定の考え方はクラウドファンディング・寄付型支援を受けた人の所得区分で確認できます。
非課税になる主なケース
合計所得金額が一定の基準以下の場合(均等割・所得割ともに非課税)
生活保護を受けている場合
障害者・未成年者・寡婦・ひとり親などで、合計所得金額が定められた額以下の場合
非課税となる所得の基準額は、扶養している家族の人数や、お住まいの自治体によって異なります。同じ所得でも、扶養親族がいる方のほうが基準額は高くなる仕組みです。夫婦がともに個人事業主の場合など、世帯での申告と扶養の考え方は夫婦ともに個人事業主の確定申告が参考になります。具体的な金額のラインは自治体ごとに設定されているため、正確な基準は、お住まいの市区町村の窓口やホームページでご確認ください。
「所得割だけ非課税」という段階もある
所得が、均等割が非課税になるほどは低くないものの、所得割の基準は下回っている、という場合には、均等割だけがかかり所得割はかからないという段階もあります。「非課税かどうか」は0か100かではなく、所得の水準に応じて段階的に決まると理解しておくと、自分の状況をつかみやすくなります。
非課税かどうかで何が変わるのでしょうか
税負担そのものが軽くなる
当然ながら、住民税が非課税になればその分の納税負担はなくなります。所得が少ない年は、家計の中で税金の占める割合が重く感じられがちです。非課税の対象になることで、限られた収入を生活に回しやすくなる点は大きなメリットといえます。
各種の支援制度の判定にも使われる
住民税が非課税であることは、税金以外のさまざまな場面でも基準として使われます。たとえば、医療や介護にかかる費用の自己負担の軽減、保育料、各種の給付金や減免制度などで、「住民税非課税世帯であること」が条件になっていることがあります。
医療・介護の自己負担額の上限が下がる場合がある
保育料や教育費の負担が軽くなる制度の対象になることがある
自治体や国の給付金の支給対象になることがある
こうした制度の多くは、住民税の課税状況をもとに判定されます。そのため、「税金がかからないなら何もしなくてよい」と考えるのは早計で、申告をしておくことが各種制度を受けるうえで大切になります。
所得が少なくても確定申告・住民税申告はしておきましょう
確定申告をすると住民税の手続きも進む
確定申告をすると、その内容は税務署から市区町村にも共有され、住民税の計算に使われます。つまり、確定申告を行えば、別途住民税の申告をしなくても住民税側の手続きが進む仕組みです。確定申告そのものの対象や仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」(確定申告|国税庁)で確認できます。事業所得がある個人事業主の方は、まず確定申告を正しく行うことが基本になります。記帳から申告書類の作成までまとめて任せたい場合は、確定申告を丸ごと任せる方法もあります。
申告しないと「所得がわからない人」になってしまう
所得が少なく税金がかからない場合でも、申告をしないと、自治体側では「所得が把握できていない人」という扱いになってしまいます。すると、本来は非課税の証明を受けられるはずなのに、所得を証明する書類(課税・非課税証明書)が発行できない、各種制度の判定ができない、といった不都合が生じることがあります。
確定申告が不要な場合は住民税申告を
所得が一定額以下で所得税の確定申告までは必要ない場合でも、住民税については申告が求められることがあります。これを住民税申告といい、お住まいの市区町村に対して行います。地方へ移住した場合など、どの自治体に申告するかで迷うときは、地方移住・二拠点生活を始めた個人事業主の確定申告で住所の扱いを確認しておくとよいでしょう。非課税であることをはっきりさせ、証明書の発行や制度の利用につなげるためにも、収入の有無や金額を自治体に伝えておくことが大切です。
判定をスムーズにするための日頃の準備
収入と経費をこまめに記録する
住民税の判定の土台になるのは、正しく計算された所得です。そして所得は、売上から必要経費を差し引いて求めます。日頃から売上と経費をこまめに記録し、領収書や請求書を整理しておけば、年度末に所得を確定させる作業がぐっと楽になります。記帳代行の現場でも、収入が少ない年ほど「正確に申告して非課税を証明したい」というご相談をいただきます。
証明書類はまとめて保管する
取引先からの支払いがわかる書類(請求書・通帳の記録など)
経費の領収書・レシート
国民年金・国民健康保険などの支払いがわかる書類
これらを年間を通じて1か所にまとめておくと、申告のときに慌てずに済みます。特に経費の証拠となる領収書は、所得を正しく計算するうえで欠かせません。
よくある質問
Q. 収入がゼロの年でも申告は必要ですか?
所得税の確定申告が必要かどうかは状況によりますが、住民税については、収入がない場合でも申告をしておくことをおすすめします。申告しておかないと自治体が所得を把握できず、非課税であることの証明や、各種制度の判定が受けられないことがあるためです。詳しい取り扱いはお住まいの市区町村にご確認ください。
Q. 住民税非課税世帯かどうかは、いつの所得で決まりますか?
住民税は前年1年間の所得をもとに計算されるため、ある年度の非課税かどうかは、その前年の所得で判定されます。収入が減った年そのものではなく、翌年度の住民税に反映される点に注意しましょう。
Q. 自分が非課税に当てはまるか、どこで確認できますか?
非課税となる所得の基準額は自治体や扶養人数によって異なるため、最も確実なのは、お住まいの市区町村の住民税担当窓口に問い合わせることです。あわせて、最新の制度内容は国税庁サイトや各自治体のホームページでご確認ください。
所得が少ない年こそ申告を大切にする
住民税が非課税になるかどうかは、収入ではなく、経費を差し引いた合計所得金額で判定されます。扶養家族の人数や自治体によって基準は変わるため、一律の金額で覚えるよりも、自分の所得を正しく把握しておくことが第一歩になります。そして、所得が少なく税金がかからない場合でも、申告をしておくことには大きな意味があります。非課税であることを証明できれば、医療・介護・保育などさまざまな支援の入口になるからです。「稼げなかったから何もしない」ではなく、「だからこそ申告しておく」という意識を持ちましょう。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








