地方移住・二拠点生活を始めた個人事業主の確定申告|支援金と住所の扱いを解説
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確定申告

地方移住・二拠点生活を始めると、移住支援金の扱い、確定申告書に書く住所(納税地)、家賃や交通費の家事按分という論点が出てきます。共通するのは「お金や支出の性質を確認し、根拠となる書類を残しておく」ことです。
暮らし方の自由度が高い移住や二拠点生活は選択肢として広がる一方、自治体の支援金を受け取ったり拠点が複数に分かれたりすると、申告での疑問が一気に増えます。支援金・住所・経費の3つの論点を、自分のケースに当てはめて確認できるよう順に整理していきましょう。
☑ 地方移住で受け取った支援金が、確定申告でどう扱われるのかわからない
☑ 二拠点生活を始めたが、確定申告書にどの住所を書けばよいのか迷っている
☑ 移住先の家賃や往復の交通費を、経費にできるのか判断がつかない
移住支援金や補助金は確定申告でどう扱う?
受け取ったお金にも課税される場合がある
地方移住をきっかけに、自治体から「移住支援金」や各種の補助金を受け取る方は少なくありません。こうしたお金は、振り込まれた時点では収入として実感しにくいものですが、確定申告では課税の対象になる場合がある点に注意が必要です。受け取ったお金を「もらっただけだから関係ない」と考えて申告から漏らしてしまうと、後から指摘を受けることにもなりかねません。支援金や給付金が課税か非課税かを見分ける考え方は給付金の課税・非課税の扱いで整理しています。
どの所得区分で扱うかは、その支援金がどういう性質のものか、何のために支給されたのかによって変わってきます。一律にこう、と言い切れない部分があるため、支給時に交付決定通知書や要綱などの書類をきちんと保管しておくことが大切です。
事業に関する補助金と、生活に対する支援金は分けて考える
大きく分けて、お金の性質には次のような考え方があります。
事業の運営や設備のために交付された補助金は、事業所得に関わるものとして扱われることが多い
移住という生活そのものを後押しする支援金は、一時所得など事業所得とは別の区分で扱われる場合がある
同じ「支援金」という名前でも、自治体や制度によって性質が異なることがある
たとえば、事業用の機材を買うために受け取った補助金と、移住の生活を支えるために支給された支援金とでは、申告上の位置づけが変わってきます。受け取ったお金の名称だけで判断せず、交付の目的を確認することがポイントです。
事業用の補助金は「収入」と「経費」の対応に注意
事業に関わる補助金を受け取り、その補助金で機材や設備を購入した場合は、補助金として受け取った金額と、購入した資産の扱いを合わせて整理する必要があります。受け取ったお金を収入として計上する一方で、購入したものは経費や減価償却の対象になることがあり、両者の対応関係を帳簿の上で正しく記録しておくことが欠かせません。判断に迷う場合は、交付元の自治体や専門家に確認しながら進めると安心です。
確定申告書に書く住所はどこにする?
原則は「住所地」での申告
確定申告は、原則として申告する方の住所地(生活の本拠がある場所)を管轄する税務署に対して行います。地方移住で住民票を移したのであれば、新しい住所地が申告の基準になるのが基本です。引っ越しによって管轄の税務署が変わることもあるため、移住後初めての申告では、自分の住所地を管轄する税務署がどこかをあらかじめ確認しておきましょう。確定申告の基本的な仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」で確認できます。
二拠点生活では「生活の本拠」がどちらかを考える
二拠点生活をしている場合、「都市部と地方のどちらの住所を書けばよいのか」と迷う方が多くいます。考え方の軸になるのは、どちらが生活の本拠かという点です。日常的にどちらで過ごす時間が長いか、家族の生活拠点はどこか、住民票をどこに置いているか、といった事情を総合的にみて判断することになります。
住民票の所在地と実際の生活の中心が食い違っている場合は、扱いに迷いが生じやすいところです。判断に確信が持てないときは、思い込みで決めてしまわず、税務署や専門家に相談して確認しておくとよいでしょう。
事業の拠点(事業所)の住所は別に考える
申告書に書く住所と、事業を行っている場所(事業所や店舗、仕事場)の住所は、必ずしも同じとは限りません。たとえば住所地は地方の自宅にあり、仕事の打ち合わせは都市部のオフィスで行っている、というケースもあります。開業届や青色申告承認申請書を提出した際の納税地の考え方とも関係してくるため、移住で状況が変わったときは、自分の納税地がどこになるのかを整理しておくと申告がスムーズです。引っ越しに伴って必要な届出がないかも、あわせて確認しておきましょう。事務所の移転に伴う記帳や原状回復費の扱いは事務所移転と原状回復費の記帳が参考になります。
二拠点生活の家賃・交通費は経費にできる?
「事業のために使ったか」が判断の基準
経費にできるかどうかの基本は、その支出が事業のために必要だったかという点にあります。生活のための支出は経費にはなりませんが、事業に使った部分があれば、その分は経費として扱える可能性があります。二拠点生活では、生活と仕事の費用が混ざりやすいため、この線引きをていねいに考えることが特に大切になります。
家賃は「家事按分」で事業分を切り分ける
移住先や二拠点目の住まいを仕事場としても使っている場合、家賃の全額ではなく、事業に使っている割合に応じた金額を経費にできることがあります。これを家事按分と呼びます。たとえば、部屋の面積のうち仕事に使っているスペースの割合や、仕事に使っている時間の割合など、合理的な基準で事業分を計算します。家賃・地代を記帳するときの科目の使い分けは地代・家賃・賃借料の使い分けで確認できます。
仕事専用のスペースがあるなら、面積比で按分する
使う基準は、あとから説明できる合理的なものにする
按分の根拠(間取りや使用状況のメモなど)を残しておく
按分割合は、実態とかけ離れた数字にしないことがポイントです。「なぜこの割合にしたのか」を自分の言葉で説明できる状態にしておきましょう。
拠点間の移動にかかる交通費
二拠点を行き来する交通費についても、その移動が事業のためのものであれば経費として扱える場合があります。一方で、純粋に私生活のための移動は経費にはなりません。同じ移動の中に仕事の目的と私的な目的が混ざっている場合は、扱いが難しくなるため、何のための移動だったのかを記録しておくことが役立ちます。移動の日付・目的・行き先をメモしておくだけでも、後の整理がぐっと楽になります。
移住前後に整理しておきたい手続きと記録
住民票や届出の変更を確認する
移住で住所が変わると、住民票の異動のほか、事業に関わる各種の届出が必要になる場合があります。納税地に関する考え方も変わることがあるため、引っ越しのタイミングで「何を、どこに届け出る必要があるか」を一度整理しておくと安心です。手続きの抜け漏れは、後の申告で混乱の原因になりやすいところです。
支援金・補助金の書類は必ず保管する
移住支援金や補助金を受け取った場合は、交付決定の通知書や申請書類、振込の記録などを必ず保管しておきましょう。これらは、申告の際に「どういう性質のお金を、いつ、いくら受け取ったのか」を確認するための大切な根拠になります。受け取った時点ではあまり意識しなくても、申告の時期になって書類が見当たらず慌てる、ということは避けたいものです。
収支は移住前後で混ざらないよう記録する
移住の前後では、生活環境も支出の内容も変わります。家賃や交通費、光熱費などの按分の考え方も変わってくるため、いつから状況が変わったのかがわかるように、日付とともに記録を残しておくことが大切です。日々の記帳をこまめに行っておけば、申告期にまとめて思い出す負担を減らせます。移住前後で複雑になりがちな記帳を任せたい場合は、記帳代行の活用も検討してみてください。
よくある質問
Q. 移住支援金を受け取りましたが、確定申告は必要ですか?
受け取った支援金の性質や金額、ほかの所得の状況によって、申告が必要かどうかは変わってきます。支援金が課税の対象になる場合は、申告に含める必要が出てきます。「もらったお金だから申告しなくてよい」と自己判断せず、交付決定通知書などの書類を手元に用意したうえで、税務署や専門家に確認することをおすすめします。
Q. 二拠点生活で、住民票と実際の生活の中心が違う場合はどちらの住所で申告しますか?
確定申告は原則として生活の本拠がある住所地で行います。住民票と実際の生活の中心がずれている場合は判断に迷いやすいため、どちらが生活の本拠といえるかを、過ごす時間や家族の状況などから総合的に考える必要があります。確信が持てないときは、自己判断で決めず、税務署や専門家に相談しておくと安心です。
Q. 移住先の家賃は全額を経費にできますか?
自宅を兼ねた住まいの家賃を全額経費にすることは、原則として認められません。仕事に使っている部分と生活に使っている部分を、合理的な基準で按分し、事業に使っている割合に応じた金額だけを経費として扱います。按分の根拠を説明できるように、間取りや使用状況の記録を残しておきましょう。
結論:移住・二拠点ならではの論点は早めに整理を
地方移住や二拠点生活を始めた個人事業主の確定申告では、移住支援金や補助金の扱い、申告書に書く住所の考え方、家賃や交通費の家事按分という、暮らし方ならではの論点が出てきます。いずれも「お金や支出の性質を確認し、根拠となる書類や記録を残しておく」ことが共通の備えになります。状況が変わるタイミングで一度整理しておけば、申告期に慌てずに済みます。
移住の手続きや新しい環境での仕事に追われる中で、記帳から申告書の作成まで自分でこなすのは、想像以上に重い負担になりがちです。慣れない論点を抱えて期限間際に慌てるより、早めに手を借りるのが安心です。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








