iDeCoの出口戦略|一時金・年金どちらで受け取ると個人事業主は得かを解説
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税金

iDeCoは受け取り方で税額が変わり、退職金のない個人事業主は退職所得控除を活かせる一時金受け取りが基本の軸になります。一時金・年金・併用それぞれの課税のしくみと、出口で損をしないための判断のポイントを整理します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は掛金が全額所得控除になるため、節税策として個人事業主やフリーランスに人気の制度です。ところが「入口」の節税ばかりが注目され、受け取る「出口」でどう課税されるかまで考えている方は多くありません。受け取り方を誤ると、積み立てた資産に思いのほか税金がかかってしまうこともあります。
☑ iDeCoの掛金は節税になると聞いて続けてきたが、受け取るときに税金がかかると知って不安だ
☑ 一時金と年金、どちらで受け取ると個人事業主にとって有利なのか判断できない
☑ 退職金がない個人事業主だからこそ、iDeCoの出口で損をしたくない
以下では、iDeCoの受け取り方(一時金・年金・併用)ごとの税金のしくみと、退職金のない個人事業主が出口で損をしないために考えておきたいポイントを、具体例を交えて確認します。掛金の「入口」の節税額を所得別に確かめたい場合は、iDeCoの節税効果を所得別に試算もあわせてご覧ください。
iDeCoは「入口」だけでなく「出口」も大切です
iDeCoは掛金を払う「入口」で節税でき、受け取る「出口」でも控除が使える制度です。ただし出口の受け取り方を選び間違えると、控除の枠を活かしきれず税負担が増えることがあります。
掛金の節税効果はあくまで「入口」の話
iDeCoの大きな魅力は、支払った掛金が全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引ける点にあります。所得税と住民税の両方が軽くなるため、現役で稼いでいる個人事業主にとっては毎年の節税効果が大きい制度です。
ただし、これはあくまで積み立てている期間、つまり「入口」での話です。iDeCoで積み立てたお金は、原則60歳以降に受け取ることになり、その受け取り時には課税の対象になります。入口で節税できた分、出口でまったく税金がかからないわけではない、という点をまず押さえておきましょう。
受け取り方は大きく3つから選べる
iDeCoの受け取り方には、主に次の3つのパターンがあります。
一時金として一括で受け取る
年金として分割で受け取る
一時金と年金を併用して受け取る
どの方法を選ぶかによって、適用される控除も税金の計算方法も変わります。そして個人事業主の場合、会社員のように退職金を別途受け取るわけではないため、この選び方が老後の手取りに直結しやすいという特徴があります。
一時金で受け取る場合のしくみ
一時金は「退職所得」として扱われ、大きな退職所得控除が使えるうえ課税対象も半分になるため、多くの場合に税負担が軽くなりやすい受け取り方です。
「退職所得」として扱われ、退職所得控除が使える
iDeCoを一時金で受け取ると、税法上は「退職所得」として扱われます。退職所得には「退職所得控除」という大きな控除が用意されており、これが一時金受け取りの最大のメリットです。
退職所得控除は、iDeCoに加入していた年数(積立年数)に応じて増えていきます。一般的に、加入年数が20年までは1年あたり40万円、20年を超える部分は1年あたり70万円という形で控除額が計算されます。たとえば加入年数が長いほど控除の枠が大きくなり、その範囲内に収まれば税金がかからない、または非常に軽く済む可能性があります。
退職所得は税負担が軽くなりやすい
退職所得は、控除を引いた後の金額をさらに2分の1にしてから税率を掛ける、という計算になります(一定の例外を除く)。つまり控除が大きいうえに、課税対象も半分になるため、ほかの所得に比べて税負担がぐっと軽くなりやすい所得区分です。
また、退職所得は給与所得や事業所得とは合算されず、分離して課税されます。そのため、その年の事業所得が多くても、iDeCoの一時金部分だけで税額が計算される点も有利に働きやすいポイントです。
注意したいのは「他の退職金との合算」
個人事業主が見落としやすいのが、小規模企業共済との関係です。小規模企業共済の共済金を一括で受け取る場合も退職所得扱いとなり、iDeCoの一時金と受け取る時期が近いと、退職所得控除を共有する形で調整されることがあります。両方に加入している方は、受け取る年をずらすなど、控除の枠を有効に使う工夫が必要になる場合があります。
年金で受け取る場合のしくみ
年金受け取りは「公的年金等に係る雑所得」となり、毎年の収入を平準化できる一方、公的年金と合算されて控除の枠を超えると課税される部分が増える点に注意が必要です。
「公的年金等」として雑所得になる
iDeCoを年金形式で分割して受け取る場合は、税法上「公的年金等に係る雑所得」として扱われます。このとき使えるのが「公的年金等控除」です。国民年金や厚生年金など、ほかの公的年金と合算したうえで、年齢や収入に応じた控除を差し引いて課税所得を計算します。公的年金そのもののしくみは日本年金機構で確認できます。
年金として少しずつ受け取ると、毎年の収入を平準化できるため、一度に大きな所得が発生しにくいというメリットがあります。生活費として計画的に取り崩したい方には、年金受け取りが向いている面があります。
公的年金と合算される点に注意
一方で気をつけたいのは、iDeCoの年金が国民年金などの公的年金と合算される点です。公的年金等控除の枠には限りがあるため、もともと受け取る公的年金が多い方の場合、iDeCoの年金が上乗せされることで控除の枠を超え、課税される部分が増えてしまうこともあります。
さらに、年金として受け取る期間中の所得が増えると、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料の計算にも影響することがあります。税金だけでなく、こうした保険料も含めて考えることが大切です。
受け取りのたびに手数料がかかる点も
年金形式は分割で受け取るため、受け取りの都度、所定の給付手数料がかかるのが一般的です。1回あたりの金額は大きくありませんが、受け取り回数が多いと積み重なります。受け取り期間や回数を長く設定する場合は、この点も頭に入れておきましょう。
個人事業主はどう考えると損をしにくいか
退職金のない個人事業主は、退職所得控除の枠を最大限に活かせるかどうかが出口戦略の中心になります。日々の帳簿づけと確定申告を回しておくことが、こうした設計を落ち着いて考える前提です。記帳に時間を取られたくない場合は、日々の記帳を任せる記帳代行という選択肢もあります。
まずは退職所得控除の枠を意識する
会社員と違い、個人事業主には会社から支給される退職金がありません。だからこそ、退職所得控除という大きな枠を最大限に活かせるかどうかが、出口戦略の中心になります。多くのケースで、退職所得控除の枠に収まる範囲は一時金で受け取るのが税負担を抑えやすい方向性といえます。
一方で、積立額が大きく退職所得控除の枠を超えてしまう場合は、超えた部分を年金で受け取り、毎年の公的年金等控除を使って分散させる、という併用の考え方が有効になることもあります。
小規模企業共済・国民年金基金との順番を考える
個人事業主の老後資金づくりでは、iDeCoだけでなく小規模企業共済や国民年金基金を併用している方も少なくありません。これらをいつ、どの形で受け取るかによって、控除の使い方が変わってきます。複数の制度をどう組み合わせるかは資産形成と節税を両立する制度の組み合わせ方で整理しています。
退職所得扱いになる一時金は、受け取る年を分けて控除枠を重複させない工夫を検討する
公的年金等控除を使う年金部分は、公的年金とのバランスを見て金額を調整する
その年の事業所得の見込みも踏まえ、所得が集中しすぎないようにする
このように、複数の制度を「いつ・どの順番で・どの形で」受け取るかを組み合わせて考えることが、出口での手取りを左右します。iDeCoと別に個人年金保険を積み立てている方は、個人年金保険料控除を使った節税との兼ね合いもあわせて確認しておくと安心です。
受け取り開始のタイミングも選択肢のひとつ
iDeCoは原則60歳から受け取れますが、受け取りを始める時期にはある程度の幅があります。事業を続けていて事業所得がまだ多い時期に大きな所得を上乗せすると、税負担が重くなりがちです。事業を縮小して所得が下がってから受け取りを始める、といったタイミングの調整も、出口戦略の一部として考える価値があります。高齢になっても働き続ける場合の年金と節税の関係は高齢になっても働き続ける個人事業主の年金と節税の両立も参考になります。
よくある質問
Q. 結局、一時金と年金のどちらが得なのですか?
一概にどちらが得とは言えず、積立額・加入年数・ほかの退職金や年金の状況・受け取る年の所得などによって変わります。傾向としては、退職所得控除の枠に収まる範囲なら一時金が有利になりやすく、枠を超える大きな金額は一時金と年金を併用して分散させる方が税負担を抑えやすい、と考えるとよいでしょう。ご自身の状況に当てはめて試算することが大切です。
Q. iDeCoの入口で節税できたのに、出口で税金がかかるなら意味がないのでは?
そうとは限りません。入口では所得税・住民税が毎年軽くなり、運用中の利益も非課税で再投資できます。出口でも退職所得控除や公的年金等控除といった控除が使えるため、受け取り方を工夫すれば、トータルでの税負担は通常の貯蓄や課税口座での運用より軽くなりやすい制度です。出口を意識して受け取り方を設計することが、メリットを活かす鍵になります。
Q. iDeCoの受け取りも確定申告が必要ですか?
一時金で受け取る場合は、原則として「退職所得の受給に関する申告書」を金融機関に提出していれば、受け取り時に源泉徴収で課税関係が完結し、確定申告が不要になることが多いです。年金で受け取る場合は公的年金等として源泉徴収されますが、ほかの所得との兼ね合いで確定申告が必要になるケースがあります。ご自身の所得状況に応じて確認しておきましょう。
iDeCoで迷ったときの結論——出口の設計まで含めて考える
iDeCoは、掛金が全額所得控除になる「入口」の節税効果だけでなく、退職所得控除や公的年金等控除を使う「出口」の受け取り方まで含めて考えてこそ、メリットを最大限に活かせる制度です。退職金のない個人事業主にとっては、退職所得控除の枠を意識し、小規模企業共済や公的年金とのバランス、受け取る年や順番まで含めて設計することが、手取りを守る近道になります。受け取り方は一度決めると後から変えにくいため、早めに方向性を考えておくことをおすすめします。
ただ、こうした出口戦略を落ち着いて考える前提として、日々の帳簿づけや毎年の確定申告をきちんと回しておくことが欠かせません。本業が忙しい中で、記帳から申告書類の作成までをすべて自分で行うのは、想像以上に大きな負担になりがちです。数字まわりを専門家に預けておくと、節税の判断にも時間を割けるようになります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








