個人年金保険料控除を使った節税|対象になる契約と控除額の上限を解説
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税金

個人年金保険料控除は、税制適格特約の付いた契約であれば、老後資金を準備しながら毎年の所得税・住民税を軽くできる所得控除です。対象になる契約の4つの条件と、新制度・旧制度による控除額の上限を押さえれば、自分の保険が節税に使えるかどうかを判断できます。
生命保険料控除の一部だと聞いたことはあっても、どの契約が対象でいくら控除されるのかまでは押さえきれていない方は少なくありません。まずは、次のような疑問に心当たりがないかを確認してみましょう。
☑ 老後資金のために個人年金保険に入っているが、節税につながるのか把握できていない
☑ 契約している保険が「個人年金保険料控除」の対象になるのか自信がない
☑ 控除でいくら税金が減るのか、上限額や計算方法がよくわからない
将来に備えて個人年金保険に加入したものの、それが税金の面でどれだけ得になっているのか、はっきりわからないまま放置している方は意外と多いものです。生命保険料控除の一部だと聞いたことはあっても、どの契約が対象で、いくら控除されるのかまでは押さえきれていないのではないでしょうか。
以下では、個人年金保険料控除のしくみと、対象になる契約の条件、控除額の上限や計算方法を、個人事業主・フリーランスの方向けに整理します。ご自身の保険が節税に使えるかどうかを判断できるようになります。
個人年金保険料控除とはどんな制度か
生命保険料控除の3つの枠のひとつ
個人年金保険料控除は、1年間に支払った個人年金保険の保険料に応じて、その一部を所得から差し引ける所得控除です。じつは単独の制度ではなく、生命保険料控除という大きな枠組みの中に含まれています。生命保険料控除(国税庁「No.1140 生命保険料控除」)は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つに分かれており、それぞれ別々に控除額を計算できるしくみです。
つまり、医療保険や死亡保障の保険とは別の枠として、個人年金保険の保険料も控除に使えるということです。複数の枠を活用すれば、その分だけ課税対象となる所得を抑えられます。
所得控除だから税金が直接減るわけではない
ここで注意したいのが、個人年金保険料控除は「所得控除」であって「税額控除」ではないという点です。所得控除は、支払った保険料の一部を所得から差し引くことで課税される所得金額を小さくし、その結果として所得税や住民税を軽くするものです。
たとえば控除額が4万円だったとしても、税金が4万円安くなるわけではありません。実際に減る税額は、控除額に税率を掛けた分です。所得税率が10パーセントの方であれば、4万円の控除でおよそ4千円の所得税が軽くなる、というイメージになります。住民税の軽減分も加わるため、合計するとさらに効果は大きくなります。
個人事業主にとっての位置づけ
会社員であれば年末調整で処理されることが多い控除ですが、個人事業主・フリーランスの方は確定申告で自分で申告しなければ控除を受けられません。事業の経費とは別枠で、所得から差し引ける数少ない節税手段のひとつなので、加入している方は忘れずに活用したいところです。なお、将来この個人年金を受け取り始めたときの税金の扱いは、個人年金・企業年金を受け取る人の確定申告で解説しています。
控除の対象になる契約・ならない契約
対象になるための4つの条件
支払った保険料が個人年金保険料控除の対象になるには、契約が一定の条件を満たし、「個人年金保険料税制適格特約」が付いている必要があります。主な条件は次のとおりです。
年金の受取人が、契約者本人またはその配偶者であること
年金の受取人が、被保険者と同じ人であること
保険料の払込期間が10年以上で、毎年など定期的に支払う契約であること(一時払いは対象外)
年金の受け取り開始が原則60歳以降で、受取期間が10年以上であること(終身年金は除く)
これらをすべて満たし、税制適格特約が付帯されている契約であれば、個人年金保険料控除の枠で申告できます。条件は一見細かく見えますが、老後の生活資金を計画的に準備するための契約を後押しする、という制度の趣旨に沿ったものになっています。
対象にならない代表的なケース
一方で、同じ「個人年金保険」という名前でも控除の対象にならない契約があります。代表的なのは次のようなケースです。
税制適格特約が付いていない契約
保険料を一時払い(まとめて一括で支払う形)にした契約
年金の受取人が、契約者本人とその配偶者のどちらでもない契約
変額個人年金保険など、運用実績で年金額が変わるタイプの一部
変額個人年金保険は、条件を満たせば一般生命保険料控除の対象になる場合があり、個人年金保険料控除の枠では扱われないことがあります。自分の契約がどの枠に当たるかは、後述する控除証明書で確認するのが確実です。
控除証明書で枠を確認する
毎年秋ごろになると、保険会社から生命保険料控除証明書が送られてきます。この証明書には、その契約が「一般」「介護医療」「個人年金」のどの区分に該当するかが明記されています。個人年金保険料控除を使えるかどうかは、この区分表示を見れば一目でわかります。確定申告の際にも添付または提示が必要になる大切な書類なので、届いたら申告まで大切に保管しておきましょう。
控除額の上限と計算のしくみ
新制度と旧制度で上限が異なる
生命保険料控除には、契約した時期によって「新制度」と「旧制度」の2つがあります。区切りとなるのは平成24年(2012年)1月1日で、それ以降に契約したものが新制度、それより前に契約したものが旧制度として扱われます。個人年金保険料控除も、この区分に従って計算方法と上限額が変わります。
おおまかには、新制度では個人年金保険料控除の所得税の上限が4万円、旧制度では5万円が目安です。住民税についてはこれとは別に上限が定められており、所得税よりやや低めの金額になっています。新旧どちらに当たるかも、控除証明書に記載されています。
支払った保険料に応じて控除額が決まる
控除額は、1年間に支払った保険料の全額がそのまま差し引けるわけではなく、保険料の金額帯ごとに決められた計算式で求めます。支払額が少ないうちは支払額に応じて控除額が増えていきますが、一定額を超えると頭打ちになり、それ以上は上限額で固定されます。
たとえば新制度の場合、年間の保険料が一定額を超えると、それ以上いくら払っても控除額は上限の4万円のまま変わりません。節税だけを目的に保険料を増やしても、控除の面では効果が頭打ちになる点は意識しておきたいところです。
3つの枠を合算した全体の上限
個人年金保険料控除は単独でも使えますが、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除と合算したときの全体の上限も決まっています。新制度では3つの枠を合わせて所得税で最大12万円、旧制度を含む計算でも一定の上限が設けられています。
言い換えると、個人年金保険だけでなく医療保険や死亡保障の保険にも入っている場合、それぞれの枠を埋めることで合計の控除額を大きくできます。逆に、すでに他の枠で上限近くまで使っている場合は、個人年金保険を増やしても全体の控除額があまり伸びないこともあります。手持ちの契約全体のバランスを見て考えることが大切です。
確定申告での書き方と必要書類
申告に向けて用意するもの
個人事業主・フリーランスの方が個人年金保険料控除を受けるには、確定申告書に金額を記入し、控除を裏づける書類をそろえる必要があります。最低限そろえておきたいのは次のものです。
保険会社から届く生命保険料控除証明書(個人年金の区分のもの)
1年間に支払った保険料がわかる記録
確定申告書(第一表・第二表)
控除証明書は、申告でそのまま使う金額のもとになります。年の途中で支払額が変わった場合などは、証明書に記載された金額をよく確認してから記入しましょう。証明書の管理や日々の記帳まで手が回らないときは、控除の申告準備を軽くする記帳代行を使って書類の整理から任せる方法もあります。
申告書への記入の流れ
確定申告書では、まず第二表の生命保険料控除に関する欄に、支払った保険料の区分(新・旧、個人年金など)ごとの金額を記入します。次に、計算式に当てはめて求めた控除額を、第一表の「生命保険料控除」の欄に記載します。第二表の内訳と第一表の控除額がきちんと対応しているかを、提出前に確認しておくと安心です。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、証明書の金額を入力するだけで控除額が自動計算されるため、計算ミスを防ぎやすくなります。手計算に不安がある方は、こうしたツールの利用も検討してみましょう。
申告し忘れたときの対応
もし過去の確定申告で個人年金保険料控除を入れ忘れていた場合でも、原則として一定期間内であれば「更正の請求」という手続きで払いすぎた税金の還付を求められることがあります。気づいた時点で控除証明書を探し、早めに税務署や専門家へ相談してみるとよいでしょう。
節税効果を高めるための考え方
他の所得控除と組み合わせる
個人年金保険料控除は、それ単体での金額はそれほど大きくありません。しかし、社会保険料控除(国税庁「No.1130 社会保険料控除」)や小規模企業共済等掛金控除、医療費控除といった他の所得控除と組み合わせることで、全体としての節税効果を高められます。個人事業主の方であれば、小規模企業共済やiDeCoといった老後資金づくりの制度と役割を分担しながら、控除枠を上手に使い分ける視点が役立ちます。控除全体を活かして税負担を抑える考え方は、各種控除を活かして個人事業税を抑える考え方もあわせて確認できます。
節税目的だけで保険を選ばない
控除があるからといって、節税だけを理由に保険料を増やすのは慎重に考えたいところです。前述のとおり控除額には上限があり、一定額を超えた保険料は控除に反映されません。あくまで老後資金の準備という本来の目的に合っているか、毎年無理なく払い続けられる金額かを基準に判断し、控除はその副次的なメリットと捉えるのがおすすめです。
毎年の見直しを習慣にする
収入や家族構成、加入している保険の内容は年々変わっていきます。年に一度、控除証明書が届くタイミングで、どの枠をどれだけ使えているかを点検する習慣をつけると、控除のとりこぼしを防げます。家族構成が変わる年は控除全体を見直す好機なので、ライフステージが変わる年の控除の組み替えも参考になります。確定申告の準備とあわせて確認すると効率的です。
よくある質問
Q. 個人年金保険料控除と生命保険料控除は別々に使えますか?
個人年金保険料控除は生命保険料控除の中の一区分なので、まったく別の制度というわけではありません。ただし「一般」「介護医療」「個人年金」の3つは別々の枠として計算でき、条件を満たせばそれぞれの控除額を合算できます。手持ちの契約が複数の区分にまたがっている場合は、区分ごとに分けて申告することになります。
Q. 一時払いの個人年金保険でも控除は受けられますか?
保険料を一時払い(一括払い)にした個人年金保険は、原則として個人年金保険料控除の対象になりません。控除を受けるには、保険料を10年以上にわたって定期的に支払う契約である必要があるためです。控除の対象かどうかは、保険会社から届く控除証明書の区分表示で確認するのが確実です。
Q. 専業主婦の配偶者が契約者でも夫の申告で控除できますか?
控除を受けられるのは、原則としてその保険料を実際に支払った人です。契約者と保険料を負担している人が異なる場合は、誰が支払っているかによって判断が変わります。判断に迷うケースもあるため、心配な場合は税務署や専門家に確認すると安心です。
個人年金保険料控除を使いこなす結論
個人年金保険料控除は、税制適格特約の付いた契約であれば、老後資金の準備をしながら毎年の所得税・住民税を軽くできる、個人事業主にとって貴重な節税手段です。対象になる契約の条件と、新制度・旧制度による上限の違い、そして3つの枠を合算した全体の上限を押さえておけば、自分の契約がどれだけ節税に役立つかを判断できます。届いた控除証明書を保管し、確定申告で確実に申告することが、とりこぼしを防ぐ一番の近道です。
とはいえ、控除の区分や計算方法を毎年確認しながら、本業のかたわらで記帳から申告書の作成まですべて自分で行うのは、決して軽い負担ではありません。数字の整理に追われて、せっかく使える控除を見落としてしまっては本末転倒です。
領収書丸投げドットコムは、領収書や請求書を郵送またはスマホで撮影して送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成まで代行します。税理士監修のもとで使える控除の反映まで確認するので、申告の準備に時間を割けない個人事業主・フリーランスの方も任せきりにできます。使える控除を漏れなく反映した申告を無料で相談することから始められます(相談は無料です)。確定申告代行の内容を見ることもできます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








