個人事業税を抑える考え方|課税対象業種の判定と各種控除の活かし方を解説
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税金

個人事業税は都道府県に納める地方税で、法定業種に当てはまる事業の所得に課税されます。年間290万円の事業主控除や損失の繰越を活かせるか、そして青色申告特別控除が使えないといった所得税との違いを押さえられるかが、負担の抑え方を左右します。基本から控除の活かし方まで整理します。
所得税や消費税は意識していても、確定申告を終えた夏ごろに届く個人事業税の納税通知書で、はじめて金額に驚く方は少なくありません。まずは、次のような戸惑いに心当たりがないかを確認してみましょう。
☑ 確定申告は済ませたのに、夏ごろ届いた個人事業税の納税通知書に驚いてしまった
☑ 自分の仕事が個人事業税の課税対象なのかどうか、よくわからない
☑ 事業主控除や各種控除をうまく使って、負担を少しでも軽くしたい
所得税や住民税は意識していても、「個人事業税」と言われるとピンとこない方は少なくありません。確定申告を終えてほっとしていたところに、思いがけず納税通知書が届いて戸惑った、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。個人事業税は所得税や消費税とは別物で、しくみを知らないと「なぜこの金額なのか」が見えにくい税金です。
以下では、個人事業税の基本的なしくみから、課税対象になる業種の考え方、そして事業主控除をはじめとする各種控除の活かし方までを整理します。自分の場合はどう判断すればよいのか、負担を抑えるためにどこに目を向ければよいのかがつかめるようになります。
個人事業税とは?まずしくみを押さえましょう
都道府県に納める「地方税」です
個人事業税は、個人で事業を営む方が、その事業から得た所得に対して都道府県に納める地方税です。国に納める所得税とは納付先も計算のしくみも異なります。事業を行ううえで道路や公共サービスなど都道府県の行政サービスを利用していることから、その費用の一部を負担するという考え方に基づいています。
会社員の方には基本的になじみのない税金ですが、個人事業主やフリーランスとして事業所得がある方にとっては、所得税・住民税・消費税とならんで意識しておきたい税目のひとつです。
申告は原則不要、納付は年2回が基本
個人事業税の大きな特徴は、原則として自分で個別の申告をする必要がない点です。確定申告や住民税の申告をしていれば、その情報が都道府県に共有され、自動的に税額が計算されます。そのため、確定申告さえきちんと行っていれば、個人事業税のために別途書類を作る手間は基本的にかかりません。
納税通知書は例年、確定申告が終わったあとの夏ごろに届き、納付は年2回(一般的に8月と11月)に分けて行うのが基本です。届いたタイミングで慌てないよう、夏以降に納税通知書が来る可能性をあらかじめ頭に入れておくと安心です。
税率は業種によって決まっている
個人事業税の税率は、行っている事業の種類(法定業種)に応じて定められています。多くの業種では5パーセントが適用されますが、一部の業種では3パーセントや4パーセントといった税率が設定されています。自分の事業がどの区分に当たるかによって税率が変わるため、まずは自分の仕事がどの業種に分類されるのかを把握することが出発点になります。
自分の仕事は課税対象?業種判定の考え方
法律で定められた業種に当てはまるかどうか
個人事業税は、すべての事業に一律でかかるわけではありません。地方税法で定められた法定業種に該当する事業にのみ課税されるしくみです。製造業、小売業、飲食業、不動産貸付業、デザイン業、コンサルタント業など、幅広い業種が対象に含まれています。逆に言えば、これらの法定業種に当てはまらない事業であれば、課税の対象にならない場合があります。
自分の仕事がどの業種に当たるか迷う場合は、お住まいの都道府県の窓口やホームページで確認するのが確実です。同じような仕事でも、内容や実態によって判断が分かれることがあるためです。
課税対象になりにくいとされる仕事もある
一般に、いわゆる「文筆業」や芸術関連の一部の仕事などは、法定業種に明確には含まれていないと整理されることがあり、課税対象になりにくいと言われることがあります。ただし、実際にどう扱われるかは事業の具体的な内容や都道府県の判断によって変わり得ます。
同じ「ライティング」でも、内容や契約形態によって判断が分かれることがある
複数の業務を兼ねている場合、その中に法定業種が含まれていれば課税対象となり得る
「対象外だと思っていた」という思い込みは避け、通知書や窓口で確認するのが安全
断定的に「自分は対象外」と決めつけてしまうと、あとで通知書が届いて慌てることになりかねません。判断に迷うときは、専門家や都道府県の窓口に確認しておくと安心です。
事業の実態で判断される
業種の判定は、屋号や名乗っている肩書きではなく、実際に行っている事業の中身(実態)で判断されるのが基本です。たとえば「コンサルタント」を名乗っていても、実際の業務内容によって区分の捉え方が変わることがあります。日々の仕事の内容を正確に把握しておくことが、適切な判定にもつながります。
個人事業税の計算のしくみ
所得税の所得とは少し違う
個人事業税の課税の基礎となる所得は、基本的には確定申告で計算した事業所得をもとにしますが、所得税とまったく同じではありません。たとえば、青色申告特別控除は個人事業税の計算では適用されないという違いがあります。青色申告特別控除(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)はあくまで所得税の制度で、事業税の計算には反映されません。「青色申告で65万円控除を受けたから事業税も同じように減る」と考えてしまうと、実際の通知額とのずれに戸惑うことがあるので注意しましょう。
一方で、個人事業税には所得税にはない独自の控除や、繰越に関する取り扱いなどがあります。所得税の延長線上で考えるのではなく、「別の計算ルールがある税金」として捉えておくと理解しやすくなります。
計算の大まかな流れ
個人事業税の税額は、おおまかに次のような流れで計算されます。事業の所得から各種の控除を差し引いて課税の基礎となる金額を求め、そこに業種ごとの税率を掛けて税額を出すという考え方です。
事業の所得を求める(青色申告特別控除は加算して計算する点に注意)
そこから事業主控除など適用できる控除を差し引く
残った金額(課税の基礎)に業種ごとの税率を掛ける
この流れの中で、控除をきちんと活かせているかどうかが負担の大きさを左右します。所得の波が大きい事業なら、前払・共済で所得の波をならす節税で年ごとの所得をならす工夫も、事業税の負担を平準化するのに役立ちます。次の章で、代表的な控除を見ていきましょう。
負担を抑えるカギは「各種控除」の活用
すべての対象者に関わる「事業主控除」
個人事業税には、事業主控除という大きな控除があります。これは、1年間を通じて事業を営んだ方に対して、年間で290万円を所得から差し引けるというものです。つまり、事業の所得がこの事業主控除の額以下であれば、計算上、個人事業税はかからないことになります。
なお、年の途中で開業・廃業した場合など、事業を営んだ期間が1年に満たないときは、その期間(月数)に応じて控除額が調整されます。開業初年度などは、この点も踏まえて通知書を確認するとよいでしょう。
赤字を翌年以降に活かす「損失の繰越」
青色申告(国税庁「No.2070 青色申告制度」)をしている方は、事業で生じた損失(赤字)を翌年以降に繰り越し、将来の所得から差し引ける取り扱いがあります。これは所得税だけでなく、個人事業税の計算でも一定の繰越のしくみが設けられています。赤字が出た年こそ、青色申告できちんと申告しておくことが、将来の負担を抑えることにつながります。
控除を活かす前提は「正しい申告」
事業主控除や損失の繰越といった控除を活かすうえで欠かせないのが、確定申告を正確に行っておくことです。個人事業税は確定申告の内容をもとに自動で計算されるため、申告内容が事業の実態を正しく反映していなければ、本来受けられる控除や有利な取り扱いを取りこぼしてしまう可能性があります。
経費を漏れなく計上し、所得を正しく把握する
青色申告を選び、損失の繰越などのしくみを使える状態にしておく
業種や事業内容を正確に申告し、適切な区分で判定されるようにする
「個人事業税を抑える」ことの土台は、特別な裏技ではなく、日々の記帳と正確な確定申告の積み重ねにあると言えます。経費の計上時期を工夫する期末の経費前倒しで節税する方法も、所得を適正に整えるうえで参考になります。所得税だけでなく事業税まで見据えて正しく申告する自信がないときは、事業税まで見据えた確定申告の代行に任せる方法もあります。
個人事業税を払うときに知っておきたいこと
支払った個人事業税は経費にできる
納めた個人事業税は、事業の必要経費として計上できる税金です。これは所得税や住民税が経費にできないのとは異なる点です。経費に計上することで、翌年以降の所得税や事業税の計算上、所得を小さくする効果が期待できます。納付した記録はきちんと残し、忘れずに帳簿に反映させましょう。納付記録を含めて日々の経理を整える土台づくりには、開業時に揃えたい経理の道具とクラウド会計が参考になります。
納付の方法と期限を確認する
個人事業税は、届いた納税通知書に記載された期限までに、年2回に分けて納めるのが基本です。金融機関やコンビニでの納付のほか、口座振替やクレジットカード、スマホアプリでの納付などに対応している自治体もあります。うっかり納め忘れると延滞金が生じることもあるため、通知書が届いたら期限を早めに確認しておきましょう。
所得税の還付があっても事業税は別
確定申告で所得税の還付を受けられた場合でも、個人事業税はそれとは別に課税されることがあります。「所得税が戻ってきたから事業税もかからないだろう」と考えるのは早計です。所得税・住民税・個人事業税はそれぞれ別の税金として動いている、という前提で資金繰りを考えておくと安心です。
よくある質問
Q. 個人事業税のために、確定申告とは別に申告が必要ですか?
原則として、個人事業税のための個別の申告は不要です。確定申告(または住民税の申告)を行っていれば、その内容が都道府県に共有され、自動的に税額が計算されて納税通知書が届きます。まずは確定申告を正確に行うことが、個人事業税への一番の備えになります。
Q. 事業の所得が290万円以下なら、個人事業税はかからないのですか?
事業主控除として年間290万円を所得から差し引けるため、1年を通じて事業を営んだ方で、控除を差し引いたあとの金額が残らない場合は、計算上、個人事業税はかからないことになります。ただし、青色申告特別控除は事業税の計算では適用されないなど、所得税とは計算のしくみが異なる点に注意が必要です。
Q. 自分の仕事が課税対象かどうか、自分で確実に判断できますか?
業種の判定は事業の実態に基づいて行われ、似たような仕事でも内容によって扱いが分かれることがあります。自己判断で「対象外」と決めつけるのは避け、判断に迷う場合はお住まいの都道府県の窓口や税の専門家に確認するのが確実です。
個人事業税に備えるための要点整理
個人事業税は、都道府県に納める地方税で、法定業種に該当する事業の所得に課税されます。年間290万円の事業主控除や損失の繰越などのしくみを活かせるかどうか、そして青色申告特別控除が適用されないといった所得税との違いを理解できているかどうかが、負担感を左右します。そして、それらの土台にあるのは、経費を漏れなく計上した正確な確定申告にほかなりません。
とはいえ、本業が忙しい中で、日々の記帳から確定申告書類の作成までをすべて自分で行うのは、大きな負担になりがちです。所得税だけでなく個人事業税まで見据えて正しく申告しようとすると、調べることも増えてしまいます。無理をして数字に不安を抱えたまま申告するより、専門家の力を借りるのも賢い選択肢のひとつです。
領収書丸投げドットコムは、領収書や請求書を郵送またはスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成まで代行します。税理士監修のもとで所得を正しく整えるので、事業税まで見据えた申告に不安がある方も任せきりにできます。事業税まで見据えた申告を任せられるか無料で相談することから始められます(相談は無料です)。記帳代行の仕事内容を見ることもできます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








