雑損控除とは?災害・盗難にあったときの税金の救済制度を解説
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確定申告

雑損控除は、災害・盗難・横領で生活に必要な資産が損害を受けたとき、損失額の一部を所得から差し引ける救済制度です。対象になる損害と2つの計算式、引ききれない分の繰越、災害減免法との使い分けまで、いざというときに役立つよう具体例で整理します。
地震、台風、豪雨、そして盗難。思いがけない災難は、ある日突然やってきます。住まいや家財が大きな被害を受けたとき、生活の立て直しだけでも大変なのに、税金の負担までのしかかってきたらと不安になる方も多いでしょう。そうした不慮の損害を受けた人を税の面から支えるための制度が、これから紹介する「雑損控除」です。
☑ 台風や地震で自宅や家財に被害を受けたが、税金で何か救済はないのか知りたい
☑ 空き巣や盗難の被害にあったが、確定申告で取り戻せるものがあるのか気になる
☑ 雑損控除という言葉を聞いたことはあるが、対象や手続きがわからない
雑損控除とはどんな制度か
不慮の損害から生活を守る所得控除
雑損控除とは、災害や盗難、横領などによって生活に必要な資産が損害を受けたとき、一定の金額を所得から差し引ける所得控除です。被害によって税金を負担する力が弱まったことを考慮し、その年の所得税や住民税を軽くする狙いがあります。日々の暮らしを守るための、まさにセーフティネットといえる制度です。対象や計算方法の詳細は、国税庁のタックスアンサー「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」で確認できます。
5つの原因による損害が対象
雑損控除の対象となるのは、次のような原因による損害です。
震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然災害
火災や火薬類の爆発などの人為的な災害
害虫など生物による異常な災害
盗難
横領
一方で、詐欺や恐喝による被害は、本人の意思が介在しているとみなされ、雑損控除の対象にはなりません。この点は誤解しやすいので注意が必要です。
対象になる資産・ならない資産
生活に必要な資産が対象
雑損控除の対象になるのは、納税者本人または生計を一にする家族が所有する、生活に通常必要な資産です。具体的には、住宅、家具、衣類、現金などが含まれます。家族が所有していても、その人の総所得金額等が48万円以下であれば対象になります。
趣味・娯楽・高額な資産は対象外
一方で、生活に通常必要でない資産は対象外です。たとえば、別荘や、書画・骨とう・貴金属などで1個または1組の価額が30万円を超えるものなどが該当します。事業用の資産も雑損控除ではなく、事業所得の計算上で別途扱われます。あくまで「ふだんの生活に必要なもの」が対象だと覚えておきましょう。
個人事業主は事業用資産との区別が大切
自宅の一部を仕事場として使っている個人事業主の方は、被害を受けた資産が生活用なのか事業用なのかを区別して考える必要があります。たとえば、自宅兼事務所が被災した場合、生活スペースにかかわる部分の損害は雑損控除の対象となり得ますが、事業に使っていた部分の損害は事業所得の計算のなかで経費として扱われることになります。どちらに含めるかで手続きが変わるため、被害を受けた資産の使い方を整理しておくことが、正しい申告につながります。日々の帳簿づけを整えておきたい方は、雑損控除を反映した申告を任せる方法もあわせて検討すると、生活用と事業用の切り分けを専門家と一緒に進められます。
控除額の計算方法
2つの計算式のうち多いほうを採用
雑損控除の金額は、次の2つの式で計算し、いずれか多いほうの金額となります。
(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金などで補てんされる金額)-(総所得金額等×10%)
(災害関連支出の金額-保険金などで補てんされる金額)-5万円
少し複雑に見えますが、要するに「被害額のうち、自分の所得の1割を超える部分」または「片付けなどにかかった実費から5万円を引いた額」のいずれか有利なほうを差し引ける、という考え方です。
災害関連支出も含められる
損害そのものの金額に加え、被害を受けた住宅や家財を取り壊したり撤去したりするためにかかった費用なども含めることができます。これを災害関連支出といいます。領収書をきちんと保管しておくことが、正しい計算のために欠かせません。
控除しきれない分は翌年以降に繰り越せる
雑損控除の大きな特徴は、その年の所得から引ききれなかった金額を、翌年以降に繰り越して差し引ける点です。原則として翌年以後3年間、繰り越すことができます。被害が大きく一年では控除しきれない場合でも、数年にわたって税負担を軽くできる仕組みになっています。
手続きと災害減免法との関係
確定申告で領収書とともに申告する
雑損控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告の基本的な流れは、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm)で確認できます。被害の状況がわかる資料や、災害関連支出の領収書などを準備して申告します。災害については、市区町村が発行する被災証明書などが役立つ場合もありますので、被害を受けたら早めに証明書類を集めておきましょう。被害の直後は片付けに追われて記録を残しにくいものですが、被害状況の写真を撮っておくだけでも、後の申告のときに大いに役立ちます。
災害減免法という別の制度もある
災害で住宅や家財に大きな損害を受けた場合には、雑損控除とは別に「災害減免法」による所得税の軽減・免除という制度も選べます。両方を同時に使うことはできず、どちらか有利なほうを選ぶことになります。所得や被害の規模によって有利な方法が変わるため、判断に迷う場合は専門家に相談すると安心です。なお、被災後に自治体などから支援金を受け取った場合の扱いは、支援金と住所の扱いを解説した記事や、寄付・支援を受けたときの所得区分と課税の有無を解説した記事も参考になります。
2つの制度の使い分けの目安
大まかな目安としては、雑損控除は所得の大きさにかかわらず利用でき、引ききれない分を翌年以降に繰り越せるという強みがあります。一方、災害減免法はその年の所得が一定額以下の場合に使える制度で、被害が大きく所得が比較的少ない年には有利になることがあります。どちらを選ぶかによって戻ってくる税額が変わってくるため、両方で試算してから決めるのが理想です。被害の状況が落ち着いてから、じっくり比較検討するとよいでしょう。病気や被災で年の途中から収入が落ち込んだ年の申告は、病気・療養で年の途中に休業した個人事業主の確定申告もあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 振り込め詐欺の被害は雑損控除の対象になりますか?
いいえ、対象になりません。雑損控除の対象は災害・盗難・横領による損害に限られており、詐欺や恐喝による被害は本人の意思がかかわるものとして対象外とされています。同じ財産の損失でも、原因によって扱いが異なる点にご注意ください。
Q. 保険金を受け取った場合はどうなりますか?
火災保険や地震保険などから保険金を受け取った場合は、その金額を損害額から差し引いて計算します。受け取った保険金が損害額を上回ったときは、控除を受けられないこともあります。補てんされた金額を正しく把握することが大切です。
Q. 被害を証明する書類は何が必要ですか?
災害の場合は市区町村が発行する被災証明書など、盗難の場合は警察への届け出の記録などが参考になります。あわせて、片付けや撤去にかかった費用の領収書も保管しておきましょう。必要書類の詳細は国税庁サイト等でご確認ください。
いざというときに思い出したい救済制度
雑損控除は、災害や盗難などの不慮の損害を受けた人を税の面から支える救済制度です。対象になるのは生活に必要な資産で、控除額は2つの計算式のうち多いほうを使います。引ききれなかった分は翌年以降3年間繰り越せるため、被害が大きい場合でも複数年にわたって税負担を和らげることができます。
大切なのは、被害を受けたときに証明書類や領収書をきちんと残しておくことです。また、災害の場合は災害減免法という別の制度との選択になるため、どちらが有利かを見極める必要があります。心身ともに大変な状況のなかで税の手続きまで考えるのは重荷ですので、こうした制度の存在を頭の片隅に置いておくだけでも、いざというときの助けになります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








