溶接工・鉄工所の確定申告|資材仕入・溶接材・設備の償却を解説
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確定申告

溶接工・鉄工所の確定申告は、鋼材の仕入と在庫、溶接材やガスの消耗品、溶接機・工作機械の減価償却がポイントです。独立した溶接業・鉄工業の個人事業主が経費で損しないための処理を、償却の試算を交えて整理します。
溶接や鉄工で独立すると、鋼材の仕入や溶接材・ガスの消費、そして溶接機や切断機といった設備投資まで、経費の種類が多岐にわたります。材料の在庫をどう扱うか、高額な機械をどう経費化するかで、申告する利益と税額が変わります。ここを整理して、正しく節税しましょう。
☑ 鋼材の仕入と、年末に残った材料の在庫の扱いがわからない
☑ 溶接ワイヤー・溶接棒・ガスなどの消耗品をどの科目で処理するか迷う
☑ 溶接機や工作機械などの設備を、どう経費化するのか知りたい
この記事を読むと、溶接工・鉄工所の仕入と在庫の処理、経費一覧、設備の減価償却、そして消費税や青色申告での節税まで、独立後の申告に必要な知識が数値例つきでわかります。
溶接・鉄工業の売上と仕入の対応
溶接・鉄工業では、加工・製作の代金を売上に、鋼材や部材の仕入を材料費に計上します。材料込みで製作を請けるのが一般的なため、受け取る代金の総額を売上とし、仕入れた鋼材を経費に計上するのが基本です。
材料込みで請けたときの記帳
鋼材を仕入れて製作物を作る場合、受け取った製作代金の総額が売上、仕入れた鋼材・部材が材料費です。支給材(客先から材料が支給される場合)は自分の売上・経費には含めません。契約が材料込みか支給材かを見積書・請求書で明確にしておくと処理に迷いません。
売上の計上時期
売上は、製作物が完成して引き渡した時点で計上します。年末をまたぐ製作案件は、完成・引渡しのタイミングで判定します。入金が翌年でも、引渡しが年内なら年内の売上です。加工賃や修理の売上も、作業が完了した時点で計上します。
鋼材の在庫(棚卸)の考え方
溶接・鉄工業では、仕入れた鋼材が年末に使い切れず残ることがよくあります。年末時点で残っている鋼材は棚卸資産として翌年に繰り越し、その年の経費から除きます。この棚卸をしないと、実際の利益より経費が多く計上されてしまいます。
棚卸で経費が変わる数値例
その年に鋼材を150万円分仕入れ、年末に40万円分が在庫として残ったとします。この場合、当年の材料費として経費にできるのは「仕入150万円 − 期末在庫40万円 = 110万円」です。残った40万円は翌年に繰り越します。棚卸を忘れて150万円全額を経費にすると、利益を40万円少なく申告することになり、後で修正が必要になります。在庫の記帳は在庫やロスが多い事業の記帳が参考になります。
溶接工・鉄工所が経費にできるものの一覧
溶接・鉄工業の経費は、材料費・溶接材・ガス・工場経費・設備償却が中心です。工場を構える場合は家賃や電気代も大きな経費になります。代表的な科目を押さえましょう。
よく使う経費
材料費・仕入:鋼材、鉄骨、アングル、パイプ、ボルト
消耗品費:溶接ワイヤー・溶接棒、切断砥石、グラインダー刃、10万円未満の工具
ガス代・水道光熱費:アセチレン・酸素・炭酸ガス、工場の電気・水道
地代家賃:作業場・工場の賃料
工具器具・減価償却費:溶接機、切断機、ボール盤、プレス機などの設備
車両費・外注費:運搬車の燃料代、メッキ・塗装などの外注
工場の電気代は溶接で大量に消費するため、事業用として計上します。自宅の一角を作業場にしている場合は、事業割合で按分します。必要経費の基本は国税庁No.2210 必要経費の知識で確認できます。仕入・在庫・設備の償却まで含めて日々の記帳をまとめて任せたい場合は、記帳代行という選択肢もあります。
溶接機・工作機械の減価償却
溶接機や切断機、ボール盤などの設備は、金額に応じて経費化の方法が変わります。10万円未満は買った年に全額経費、10万円以上は原則として資産計上して償却しますが、青色申告なら30万円未満を一括経費にできる特例が使えます。
設備投資の償却イメージ
たとえば60万円の工作機械(耐用年数の目安が数年程度の設備)を買った場合、購入年に全額を経費にはできず、耐用年数にわたって少しずつ減価償却費として計上します。一方、25万円の溶接機なら、青色申告の少額減価償却資産の特例を使って購入年に全額経費にできます(年間合計300万円まで)。高額な設備を導入する年は、この特例をどう使うかで税額が変わります。
設備の金額 | 処理方法 |
|---|---|
10万円未満 | 消耗品費として全額その年の経費 |
10万円以上30万円未満(青色申告) | 少額減価償却資産の特例で全額経費 |
30万円以上 | 減価償却資産として耐用年数で償却 |
減価償却の仕組みは国税庁No.2100 減価償却のあらましで確認できます。中古設備なら耐用年数が短くなり、早く経費化できます。
消費税・青色申告で鉄工所が押さえる点
溶接・鉄工業(製造業)は、消費税の簡易課税では第3種事業(みなし仕入率70%)に区分されます。ただし加工賃中心で材料支給が多い場合は第4種になることもあります。売上規模と取引形態で判断しましょう。
簡易課税の事業区分
自分で材料を仕入れて製作するなら第3種(製造業)、客先支給材の加工賃が中心なら第4種になる場合があります。区分により納税額が変わるため、国税庁No.6509 簡易課税制度の事業区分で確認しましょう。事業区分の考え方やみなし仕入率の全体像は簡易課税の事業区分とみなし仕入率で詳しく解説しています。材料仕入が多ければ本則課税が有利なこともあり、本則課税と簡易課税の選び方で比べられます。インボイスの詳細はインボイス制度特設サイトを確認してください。
青色申告で設備投資を活かす
複式簿記で記帳し電子申告すれば最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。要件は国税庁No.2072 青色申告特別控除で確認できます。設備投資が多い鉄工業では、青色申告の特例で機械をまとめて経費化できるメリットが大きくなります。
よくある質問
Q. 年末に残った鋼材は経費にできますか?
年末時点で使わずに残っている鋼材は、その年の経費にはできません。棚卸資産として金額を計算し、翌年に繰り越します。その鋼材を使って製作した年に、経費として計上されます。年末に在庫を数える棚卸は、正しい利益計算のために欠かせない作業です。
Q. 溶接ワイヤーやガス代はどの科目で処理しますか?
溶接ワイヤー・溶接棒・切断砥石などは消耗品費、アセチレンや酸素・炭酸ガスなどのガス代はガス代(水道光熱費や消耗品費でも可)として処理します。継続して同じ科目を使えば問題ありません。工場の電気代は溶接で多く消費するため、事業用の水道光熱費として計上します。
Q. 60万円の工作機械は一度に経費にできますか?
30万円以上の設備は、青色申告の少額減価償却資産の特例の対象外のため、一度には経費にできません。資産に計上して耐用年数にわたり減価償却します。ただし設備投資を後押しする税制優遇(特別償却や税額控除)が使える場合もあるため、高額な設備を導入する際は制度を確認しましょう。
Q. 自宅の一角を作業場にしています。家賃や電気代は経費になりますか?
はい、自宅兼作業場の家賃・電気代は、事業で使う割合の分を経費にできます。作業場として使う面積の割合や、溶接で消費する電力量などを基準に合理的に按分します。按分の根拠として、面積図や使用状況のメモを残しておくと税務署に説明しやすくなります。
結論:鉄工所の申告は仕入・在庫・設備償却がカギ
溶接工・鉄工所の確定申告は、鋼材の仕入と在庫を正しく管理し、溶接材やガス、設備の減価償却を適切に処理することが基本です。設備投資と材料仕入が多い業種のため、消費税の事業区分の確認と青色申告の活用が節税のカギになります。独立初年度から帳簿を整えておくと安心です。
火花を散らして製作や加工に没頭したあと、鋼材の伝票や設備のリース書類を前に記帳の手が止まる——取引金額が大きい溶接・鉄工の仕事ほど、記帳の正確さがそのまま税額に直結します。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








