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個人事業主が役員報酬で節税する仕組み(法...

2026/7/19

個人事業主が役員報酬で節税する仕組み(法人化後)を解説

  • 税金

役員報酬は、会社の利益を給与として外に出して法人税を抑え、受け取る側では給与所得控除も使える二段構えの節税の要です。法人化した後に報酬をいくらに決めれば会社と個人のトータルで得になるのか、その考え方と守るべきルールを整理します。

個人事業主から法人化して最初にぶつかる悩みのひとつが、自分の給料である役員報酬をいくらに設定するかです。役員報酬は単なる生活費ではなく、決め方しだいで会社と個人の税金、さらに社会保険料までもが動く項目のため、感覚だけで決めると損をすることがあります。まずは、なぜ役員報酬が節税につながるのかという土台から順に押さえていきましょう。

☑ 法人化したものの、自分の給料(役員報酬)をいくらに設定すべきか分からない

☑ 役員報酬で節税できると聞くが、その仕組みがピンとこない

☑ 報酬を高くすればいいのか、低くすればいいのか判断がつかない

役員報酬で節税できる基本の仕組み

まずは「なぜ役員報酬が節税につながるのか」という土台を理解しましょう。

会社の利益を給与として外に出せる

会社が稼いだ利益にはそのまま法人税がかかります。ところが、その利益の一部を自分への役員報酬として支払うと、その分は会社の経費(損金)になり、会社の利益を圧縮できます。結果として会社にかかる法人税を抑えられる、というのが役員報酬による節税の出発点です。

受け取る側では給与所得控除が使える

役員報酬を受け取る個人の側では、「給与所得控除」という控除が使えます。これは、給与をもらう人なら誰でも一定額を経費のように差し引ける仕組みです。会社の利益をそのまま個人事業の所得として受け取る場合には使えなかったこの控除を、法人化して給与の形で受け取ることで活用できる――この二段構えが、役員報酬による節税の核心です。給与所得控除の額の目安は、国税庁のタックスアンサーで確認できます。個人事業のままでも青色申告特別控除で所得を圧縮する方法があり、控除ごとの節税額は青色申告特別控除65万・55万・10万の節税額を段階別に試算した記事が参考になります。

会社と個人で「税金の分散」が起きる

利益を会社に残せば法人税、役員報酬として個人に移せば所得税・住民税がかかります。どちらか一方に寄せるのではなく、両者にうまく振り分けることで、全体の税負担をならすことができます。所得税は課税所得が大きいほど税率が上がる累進課税で、税率の刻みは国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」で確認できます。この「分散」の発想が、報酬額を考えるうえでの基本になります。

役員報酬の決め方にはルールがある

役員報酬は自由に決められるわけではありません。守るべきルールを知っておきましょう。

原則として毎月同額にする

役員報酬を経費として認めてもらうには、原則として毎月同じ額を支払う必要があります(定期同額給与と呼ばれます)。利益が出た月だけ増やす、といった調整は基本的に認められません。これは、報酬を使った恣意的な利益操作を防ぐためのルールです。

金額の変更は期首から一定期間内に

役員報酬の金額は、事業年度が始まってから一定の期間内に決めるのが原則です。年度の途中で「業績がよさそうだから報酬を上げよう」と自由に変えることは原則できません。だからこそ、年度の初めに一年の見通しを立てて報酬額を決めることが重要になります。

金額が高すぎると否認されることも

仕事の内容や会社の規模に対して不相応に高い役員報酬は、経費として認められない場合があります。あくまで「役員としての職務に見合った妥当な金額」であることが前提です。極端な金額設定は避けましょう。

報酬額を決めるときの3つの視点

では、いくらに設定すればよいのでしょうか。判断の軸を整理します。

会社に利益を残すか、個人に移すか

役員報酬を高くすると会社の利益(法人税)は減りますが、個人の所得税・住民税は増えます。逆に報酬を低くすると、個人の税負担は軽くなる一方、会社に利益が残って法人税がかかります。この綱引きのバランス点を探るのが、報酬額決定の基本です。

社会保険料への影響も忘れない

役員報酬の額は、社会保険料の金額にも直結します。報酬を高くすれば社会保険料の負担も増えます。税金だけを見て報酬を決めると、社会保険料の増加分を見落として「思ったより手取りが増えない」となりかねません。税金と社会保険料はセットで考えましょう。世帯に給与と事業の両方の収入があるなら、世帯全体の手取りを最適化する控除の配分の考え方もあわせて確認しておくと、報酬設定の判断がぶれにくくなります。

生活に必要な手取りも踏まえる

  • 節税だけを優先して報酬を低くしすぎると、日々の生活資金が足りなくなる

  • 会社にお金を残しても、個人が使うには改めて手続きや課税が必要になる

  • 毎月の生活費・将来への備えなど、必要な手取りから逆算する視点も大切

将来への備えを兼ねて税負担を抑えたいなら、共済や年金制度を組み合わせる方法もあります。制度ごとの効き方は将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方にまとめられています。役員報酬を最適に決めたいけれど、その前提になる会社の数字がまだ見えていないという段階なら、毎月の記帳をまるごと任せるという選択肢から検討するのも一つの手です。

役員報酬を活用するときの注意点

節税効果を狙うあまり、足元をすくわれないよう注意点も押さえておきましょう。

会社と個人のお金は明確に分ける

法人化すると、会社のお金と個人のお金はまったく別のものになります。役員報酬として支払われたお金が個人のものであり、それ以外の会社の資金を私的に使うことは原則できません。資金の線引きを曖昧にすると、思わぬ課税や指摘の対象になることがあります。

年度初めの見通しと記帳が成否を分ける

役員報酬は年度の初めに決め、原則として一年間変えられません。だからこそ、その年の利益をある程度見通せていることが大切です。日々の記帳がきちんとできていて、月ごとの売上や経費の傾向が見えていれば、より精度の高い報酬設定ができます。逆に数字が把握できていないと、見通しを誤って損をすることもあります。前期までの実績がきれいに整理されていれば、それを土台に今期の利益を予測しやすくなり、報酬額の判断にも自信が持てます。実際に、記帳が後回しになったまま報酬を決めてしまい、決算で慌てるというご相談は少なくありません。

節税だけを目的にしない

役員報酬の設定はたしかに節税の要ですが、税金を抑えることそのものが目的になってしまうと、かえって判断を誤ることがあります。報酬を低く抑えすぎて生活が苦しくなったり、会社にお金を残しすぎて結局は使いづらくなったりしては本末転倒です。事業を続けていくための資金繰り、家族の生活、将来への備えといった全体像のなかで、無理のない報酬額を見つけることが、結果として長く事業を続けるための賢い選択になります。

よくある質問

Q. 役員報酬は高くするほど節税になりますか?

一概にそうとはいえません。報酬を高くすると会社の法人税は減りますが、個人の所得税・住民税や社会保険料は増えます。会社と個人のトータルで負担が最も軽くなる水準を探すことが大切で、ただ高くすればよいわけではありません。

Q. 期の途中で役員報酬を変更できますか?

原則として、事業年度の途中で自由に変更することはできません。変更が認められるのは限られた場合のみです。だからこそ、年度の初めに一年の見通しを立てて慎重に金額を決める必要があります。

Q. 自分に合った報酬額はどう決めればいいですか?

会社の利益見込み、個人の税負担、社会保険料、必要な生活費など複数の要素を踏まえて総合的に判断します。要素が多く一人で最適解を出すのは難しいため、専門家に試算を依頼するのが確実です。最新の税制は国税庁サイト等でもご確認ください。

役員報酬額で迷ったときの結論

役員報酬は、会社の利益を給与として外に出すことで法人税を抑え、受け取る側では給与所得控除を活用できるという、二段構えの節税の仕組みを持っています。ただし、毎月同額にする、年度の初めに決めるといったルールがあり、金額の設定によって所得税・住民税や社会保険料も変わってきます。

大切なのは、会社と個人のどちらか一方ではなく、トータルでの負担と生活に必要な手取りのバランスを見て報酬額を決めることです。判断の要素が多いため、迷うときは専門家の試算を活用しましょう。税制の細かな取り扱いは改正で変わることがあるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認ください。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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