受取利息・受取配当金の記帳実務|源泉税の処理と勘定科目の選び方を解説
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税務

個人事業主の受取利息・受取配当金は、通帳に入るのが税引後の手取り額であること、事業所得とは別区分であることを押さえれば記帳は迷いません。事業主借を使った処理と源泉税の扱い、勘定科目の選び方を解説します。
事業用の口座に数十円の利息がついていたり、保有していた株式の配当金が振り込まれたりしたとき、「金額は小さいけれど、これって記帳が必要なの?」と手が止まってしまう方は少なくありません。受取利息や受取配当金は、入金額のうしろですでに税金が差し引かれていることが多く、ここが処理をわかりにくくしている原因です。
☑ 普通預金に少額の利息がついたけれど、どう記帳すればいいのかわからない
☑ 受取利息や配当金から源泉税が引かれているようだが、その処理の仕方が不安だ
☑ そもそも預金利息は事業の帳簿に入れるべきものなのか判断がつかない
以下では、個人事業主・フリーランスの方が受取利息・受取配当金をどう記帳すればよいか、使う勘定科目の選び方と源泉税の扱いを中心に整理します。入金された金額から逆算して正しく仕訳を起こす考え方が身につきます。
少額の仕訳まで自分で抱えるのが煩わしいときは、日々の記帳を任せられる記帳代行という方法もあります。まずは利息・配当の性格から確認しましょう。
受取利息・受取配当金とは何か、まず整理しましょう
受取利息と受取配当金の違い
受取利息は、預金や貸付金などに対して受け取る利息のことです。個人事業主にとって身近なのは、事業用の普通預金や定期預金につく利息でしょう。一方、受取配当金は、保有している株式や出資に対して、会社の利益の一部として分配されるお金です。両者は性質が異なるため、勘定科目も別々に扱うのが基本です。
どちらも共通しているのは、振り込まれる時点ですでに税金が天引き(源泉徴収)されているケースが多いという点です。つまり、通帳に記載される金額は「税引後の手取り額」であることがほとんどです。
所得の区分が事業所得とは異なる点に注意
受取利息は税法上「利子所得」、受取配当金は「配当所得」という、事業所得とは別の区分に分類されます(所得の区分は国税庁タックスアンサーNo.1000「所得税のしくみ」で確認できます)。事業の売上とは性質が違うため、後述するように個人事業主の帳簿では「事業主借」で処理するのが一般的です。ここを理解しておくと、なぜ売上として計上しないのかが腑に落ちやすくなります。
なぜ記帳がわかりにくく感じるのか
受取利息や受取配当金がわかりにくいのは、通帳に出てくる金額が「税金を引かれたあとの金額」だからです。本来の利息や配当の総額(税引前の額面)と、実際に入金された手取り額が一致しないため、「どの数字を帳簿に書けばいいの?」と迷いが生まれます。この差額の正体が源泉徴収された税金だと理解すれば、処理の道筋がはっきり見えてきます。
個人事業主の預金利息は「事業主借」で処理する
事業の収益ではなく事業主個人の所得として扱う
個人事業主の場合、事業用口座についた預金利息であっても、税法上は事業所得ではなく利子所得に区分されます。そのため、帳簿上は売上や雑収入として事業の収益に含めるのではなく、事業主借という勘定科目で処理するのが原則です。事業主借は、事業主個人のお金や所得が事業に入ってきたことを表す科目だと考えるとわかりやすいでしょう。
たとえば普通預金に利息が80円ついた場合、仕訳は「普通預金 80円/事業主借 80円」となります。利子所得は事業の利益計算には含めないため、損益には影響しない形で帳簿に記録される、という点がポイントです。
法人と個人事業主で扱いが違う
ここで混乱しやすいのが、法人の場合との違いです。法人では、受け取った預金利息は「受取利息」という収益の勘定科目で計上します。一方、個人事業主では先ほどのとおり事業主借で処理します。インターネット上の解説では法人向けの説明と個人事業主向けの説明が混在していることがあるため、自分がどちらに当てはまるのかを意識して情報を読むことが大切です。
少額でも記帳しておくと安心
「数十円の利息まで記帳する必要があるのか」と感じる方もいるでしょう。金額が小さくても、通帳に動きがある以上は帳簿と通帳残高を一致させておくほうが、後々の確認がしやすくなります。事業用口座を会計ソフトと連携している場合は、自動で取り込まれた利息を事業主借に振り分けるだけで済むことが多く、手間もそれほどかかりません(口座と会計ソフトの連携は銀行連携で記帳を自動化する、ネットバンクの決済連携はネットバンクの決済連携の実務を参照)。
源泉税が引かれているときの記帳の考え方
源泉徴収とは何か
受取利息や受取配当金は、支払う側(銀行や会社)があらかじめ税金を差し引いてから、残りを振り込む仕組みになっています。これを源泉徴収といいます。つまり、振り込まれた金額は「税引前の額面から税金を引いた手取り額」です。帳簿に正確に記録するには、この差し引かれた税金の存在を意識する必要があります。
法人の場合は源泉税を資産科目で処理する
法人が利息や配当を受け取る場合、源泉徴収された税金は最終的に法人税の前払いという扱いになるため、「仮払法人税等」などの資産科目で処理し、決算で精算します。たとえば額面100円のうち一定額が源泉徴収されて手取りが少なくなったとき、入金額を普通預金に、源泉税分を仮払法人税等に、合計の額面を受取利息として計上する、という形になります。源泉税分を取りこぼさずに記録することで、納める税金を二重に負担せずに済みます。
個人事業主は手取り額をそのまま事業主借にするのが基本
一方、個人事業主の場合は考え方がシンプルです。利子所得は基本的に源泉徴収だけで課税関係が完結する仕組みになっているため、事業の帳簿では入金された手取り額をそのまま事業主借で処理すれば足ります。源泉税の部分を事業の帳簿で別建てして管理する必要は、通常はありません。配当金については扱いがやや異なる場合があるため、次の章で詳しく見ていきましょう。
受取配当金の記帳と確定申告での扱い
配当金も個人事業主は事業主借が基本
個人で保有する株式の配当金を事業用口座で受け取った場合も、考え方は預金利息と似ています。配当所得は事業所得とは別の区分なので、事業の帳簿では入金された手取り額を事業主借で処理するのが基本です。「普通預金 ◯◯円/事業主借 ◯◯円」という形ですね。事業の売上に混ぜてしまわないよう注意しましょう。
そもそも事業用口座で受け取るべきか
個人的な投資による配当金は、本来は事業とは無関係なお金です。可能であれば、配当金はプライベート用の口座で受け取り、事業の帳簿には登場させないほうが、帳簿はすっきりします。事業用口座に振り込まれてしまった場合に限り、事業主借で受け止める、と整理しておくと迷いません。どの口座で何を受け取るかをあらかじめ決めておくことが、記帳をシンプルに保つコツです。
確定申告では「申告するかどうか」を選べる場合がある
配当所得には、確定申告をするかどうか、またどの課税方式を選ぶかを納税者が選択できる仕組みがあります。源泉徴収だけで済ませて申告に含めない方法のほか、申告に含めて配当控除などの適用を検討する方法もあります(上場株式の譲渡損との損益通算は上場株式の譲渡損失の繰越も参考になります)。どちらが有利かは、その年の所得全体の状況によって変わります。判断に迷う場合は、無理に自己判断せず税理士などの専門家に相談すると安心です。記帳(帳簿づけ)と、確定申告での所得の取り扱いは別の話だと切り分けて考えると、頭の中が整理しやすくなります。
記帳でつまずきやすいポイントと対処法
勘定科目を取り違えないために
個人事業主の預金利息は「受取利息」ではなく「事業主借」で処理する
受取利息と受取配当金は性質が違うので、安易にひとまとめにしない
法人向けの解説をそのまま個人事業主に当てはめない
ネット上には法人と個人事業主の情報が入り混じっています。「自分は個人事業主」という前提を忘れずに調べると、勘定科目の取り違えを防げます。
会計ソフトの自動取り込みを過信しない
銀行口座と会計ソフトを連携していると、利息や配当金が自動で取り込まれます。便利な反面、ソフトが提案する勘定科目が必ずしも自分のケースに合っているとは限りません。取り込まれた取引を確認し、個人事業主であれば事業主借に振り分け直す、といった見直しを習慣にしておきましょう。
判断に迷ったら記録を残して専門家に相談
受取利息・受取配当金は金額が小さいわりに、所得区分や確定申告での扱いが少し複雑です。処理に迷ったときは、いつ・どの口座に・いくら入金されたかという記録(通帳の写しや取引明細)を残しておけば、後から専門家に相談する際もスムーズです。曖昧なまま処理を進めるより、根拠を残しておくほうが結果的に安心につながります。
よくある質問
Q. 普通預金についた数十円の利息も、必ず記帳しないといけませんか?
事業用口座についた利息は、金額が小さくても記帳しておくことをおすすめします。記帳しないと帳簿上の残高と実際の通帳残高がずれてしまい、後で原因を探す手間がかかるためです。個人事業主の場合は「普通預金 ◯◯円/事業主借 ◯◯円」という仕訳で処理すれば、損益に影響を与えずに残高を合わせられます。
Q. 個人事業主はなぜ受取利息を「受取利息」科目で計上しないのですか?
個人事業主の預金利息は、税法上は事業所得ではなく利子所得という別の区分に分類されるためです。事業の利益計算に含めない所得なので、事業の収益科目である「受取利息」ではなく、事業主個人の所得が入ってきたことを表す「事業主借」で処理します。なお、法人の場合は収益として受取利息科目で計上するため、扱いが異なります。
Q. 株の配当金は事業の帳簿に入れる必要がありますか?
個人として保有する株式の配当金は本来事業とは無関係なので、できればプライベート用の口座で受け取り、事業の帳簿には載せないのがすっきりします。やむを得ず事業用口座に振り込まれた場合は、事業主借で受け止めます。確定申告で配当をどう扱うか(申告に含めるかどうか)はその年の所得状況によって有利不利が変わるため、判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。
手取り額と所得区分を押さえれば記帳は迷わない|まとめ
受取利息・受取配当金の記帳は、「通帳に振り込まれるのは税引後の手取り額であること」と「個人事業主にとっては事業所得とは別区分の所得であること」の2点さえ押さえれば、決して難しいものではありません。個人事業主であれば、入金された手取り額を事業主借で処理するのが基本の形です。法人の場合は受取利息などの収益科目で計上し、源泉税は資産科目で精算する、という違いも頭に入れておくと安心です。
とはいえ、所得区分の判断や確定申告での配当の扱いまで含めて考えると、本業が忙しい中で記帳から申告まですべて自分で行うのは大きな負担になりがちです。少額の取引ほど「これでいいのか」と確認に時間を取られ、気づけば申告期限が迫っているということも珍しくありません。
記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。細かい仕訳の負担を手放せるか無料で相談する。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








