療養から復帰し年の途中で事業再開した個人事業主の確定申告を解説
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確定申告

療養から復帰して年の途中で事業を再開した年でも、確定申告は1月から12月までの所得をまとめて計算します。医療費控除や青色申告特別控除、純損失の繰越しを上手に使えば、売上が落ち込んだ年ほど納めすぎた税金を取り戻せる可能性があります。
休んでいた期間の売上はほとんどなく、その一方で医療費は重なり、家計のやりくりにも気を遣った一年だったのではないでしょうか。ふだんと勝手が違うぶん申告に不安を感じるのは自然なことですが、所得の数え方・控除の活かし方・復帰後の経費の考え方を順に押さえれば、落ち着いて準備を進められます。
☑ 病気やケガの療養で事業を休み、年の途中から再開したが、その年の確定申告がどうなるのか不安だ
☑ 休業中に医療費がかさんだので、医療費控除や傷病手当などの扱いを知りたい
☑ 売上が少なかった年でも、青色申告や経費の扱いがどうなるのか整理したい
年の途中で事業を再開した年の確定申告の基本
確定申告は「1年単位」で考える
確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの所得をまとめて計算する仕組みです。年の途中で休業や再開があっても、申告するのはあくまでその1年間全体の所得です。「休んでいた期間は申告に含めなくてよいのか」と迷う方もいますが、休業中も含めた一年分を一つの事業として計算するのが基本です。
たとえば、1月から3月まで通常どおり事業を行い、4月から8月まで療養で休業し、9月から再開したという場合でも、申告するのは1月から12月までを通した売上と経費です。休業期間があったからといって、申告の対象期間が短くなるわけではありません。
売上が少ない年でも申告した方がよい理由
療養で休んだ年は売上が大きく落ち込み、「これだけ少ないなら申告しなくてもよいのでは」と考えてしまいがちです。しかし、次のような理由から、申告しておいた方が有利になるケースが多くあります。
取引先で源泉徴収されていた場合、申告によって納めすぎた税金が還付されることがある
所得が少ない年は、医療費控除などと組み合わせて税負担をさらに抑えられることがある
青色申告で赤字になった場合、その損失を翌年以降に繰り越せる場合がある
申告は単なる義務というだけでなく、納めすぎた税金を取り戻したり、翌年以降の負担を軽くしたりする手段でもあります。売上が少ない年ほど、申告のメリットを確認しておく価値があります。
所得の計算は休業前後を通算する
事業所得は、一年間の売上から必要経費を差し引いて計算します。休業前の売上と再開後の売上を合算し、そこから一年分の経費を引いた金額が事業所得です。休業期間を境にして別々に計算するのではなく、ひとつながりの数字として整理するのがポイントです。帳簿づけも、休業期間を含めて1月から12月まで一冊でまとめておくと、申告の際に集計しやすくなります。
療養中の医療費と各種控除を活かす
医療費控除で税負担を軽くする
療養中はどうしても医療費がかさみます。一年間に支払った医療費が一定額を超える場合、医療費控除を受けることで課税対象の所得を減らせます。対象になるのは、診察料や入院費、処方された薬代のほか、通院のための交通費なども含まれる場合があります。家族分の医療費も、生計を一にしていればまとめて申告できるのが一般的です。医療費控除の対象範囲や計算のしかたは、国税庁タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」で確認できます。実際にどのくらい戻るかの目安は医療費控除の節税額シミュレーションが参考になります。
医療費控除を受けるには、支払った医療費の領収書や明細をもとに「医療費控除の明細書」を作成する必要があります。健康保険組合などから届く医療費のお知らせを活用できる場合もありますので、療養中に受け取った書類はまとめて保管しておきましょう。
傷病手当金などの扱いを確認する
休業中に受け取ったお金がある場合、その性質によって確定申告での扱いが変わります。たとえば、保険から支払われる入院給付金や、ケガ・病気を理由に受け取る一定の給付金は、課税の対象とならないものも多くあります。一方で、事業の売上として受け取ったものは当然ながら所得に含めます。
休業中に受け取ったお金が「事業の収入なのか」「課税対象外の給付なのか」を一つひとつ整理することが大切です。判断に迷うものがある場合は、後述するように専門家に確認するのが確実です。
基礎控除や社会保険料控除も忘れずに
所得が少ない年でも、基礎控除は誰でも受けられます。また、休業中に国民健康保険や国民年金を自分で納めていた場合は、その全額が社会保険料控除の対象です。療養で収入が減ると保険料の負担が重く感じられますが、納めた分はきちんと控除に反映させましょう。国民年金・国民健康保険などの保険料は、国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」のとおり、納めた全額が控除の対象です。控除をもれなく使うことで、ただでさえ少ない所得にかかる税負担をさらに抑えられます。
青色申告をしている人が気をつけたいこと
休業しても青色申告は続けられる
青色申告の承認を受けている方は、療養で休業した年も引き続き青色申告で申告できます。休業したからといって、自動的に白色申告に戻るわけではありません。青色申告特別控除(最大65万円)も、要件を満たしていれば休業のあった年でも適用できます。ただし、控除は所得の範囲内でしか引けないため、所得が控除額に満たない場合は、その所得を上限とした金額が控除される点に注意しましょう。
赤字になった場合の純損失の繰越し
療養で売上が大きく落ち込み、経費が売上を上回って赤字(純損失)になることもあります。青色申告をしていれば、この赤字を一定期間にわたって翌年以降に繰り越し、将来の黒字と相殺できる仕組みがあります。これを純損失の繰越控除といいます。事業を再開して翌年以降に所得が回復したとき、繰り越した赤字の分だけ税負担を軽くできる可能性があります。赤字を翌年以降の黒字と相殺する具体的な進め方は青色申告の赤字繰越の活用で、開業してまもない時期に赤字となった年の国保・年金の考え方は開業初年度に赤字でも損しない確定申告の考え方で確認できます。
この繰越しを使うには、赤字になった年に期限内で青色申告をしておくことが前提です。「赤字だから申告しなくてもよい」と考えて申告を見送ると、繰越しのメリットを受けられなくなることがあるため注意してください。
帳簿づけは休業中も意識する
青色申告特別控除の大きな金額を受けるには、複式簿記による帳簿づけが求められます。休業期間は取引が少ないとはいえ、固定費の支払いなどは発生していることが多いものです。休業中の取引も含めて、一年を通して帳簿を整えておくことが、控除を受けるための条件を満たすうえで欠かせません。
事業再開後の経費と帳簿の整理
休業中にかかった費用の扱い
休業期間中でも、事業のために支払い続けた費用は経費にできるものがあります。たとえば、事務所や店舗の家賃、通信費、サブスクリプションの利用料などは、事業を維持するためにかかった費用として計上できる場合があります。一方で、療養そのものにかかった個人的な費用は事業の経費にはならず、医療費控除の対象として整理するのが基本です。
「これは事業の経費か、それとも私的な支出か」を区別することが、休業をはさんだ年の帳簿づけでは特に重要になります。家事按分が必要な費用については、事業に使った割合を合理的に説明できるようにしておきましょう。
再開のために使った費用
事業を再開するにあたって、設備の修理や買い替え、宣伝のための費用などが発生することもあります。これらは事業のための支出として経費になるものが多いですが、金額が大きいものは資産として計上し、複数年に分けて費用化(減価償却)するケースもあります。再開時の支出は記録を残し、領収書をきちんと保管しておきましょう。
領収書と帳簿は一年分をまとめて保管
休業をはさんだ年は、書類が休業前と再開後に分かれてしまい、整理が後回しになりがちです。療養中は手続きどころではなかった、という方も少なくありません。だからこそ、復帰後に落ち着いたタイミングで、一年分の領収書や請求書をまとめて見直しておくことをおすすめします。経費の計上もれや控除の取りこぼしを防ぐことにつながります。
申告の準備と相談のすすめ
準備しておきたい書類
休業前・再開後の売上がわかる請求書や通帳の記録
一年分の経費の領収書、固定費の支払い記録
医療費の領収書や医療費のお知らせ、控除証明書類
国民健康保険・国民年金の納付額がわかる書類
これらをそろえてから申告書の作成に進むと、途中で手が止まることなくスムーズに進められます。療養で生活リズムが乱れていた年ほど、書類が散らばりやすいので、早めに集めはじめるのがコツです。
無理をせず専門家に相談する
療養明けで体力や気力が戻りきっていない時期に、慣れない確定申告をすべて自分でこなすのは大きな負担です。所得の計算や控除の判断に少しでも迷いがある場合は、税務署の相談窓口や税理士などの専門家に早めに相談しましょう。申告期限の直前になって慌てるより、余裕を持って準備を進めることが、心身の負担を減らすことにもつながります。記帳から申告書の作成まで気力が持たないと感じるときは、確定申告そのものを代行に任せるやり方も検討してみてください。
よくある質問
Q. 休業していた期間が長く、その年の売上がほとんどありません。それでも確定申告は必要ですか?
所得が一定額以下であれば、所得税の申告が必須にならない場合もあります。ただし、取引先で源泉徴収されていた税金の還付を受けたい場合や、青色申告で赤字を翌年以降に繰り越したい場合は、申告しておく方が有利です。また、所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。売上が少ない年でも、まずは申告した方がよいかどうかを確認することをおすすめします。
Q. 療養中に加入していた保険から受け取った給付金は、確定申告で収入として申告するのですか?
ケガや病気を理由に受け取る入院給付金などは、課税の対象とならないものが多くあります。一方、事業の売上として受け取ったお金は所得に含めて申告します。受け取ったお金がどちらにあたるかは、その性質によって判断が分かれますので、不明なものがある場合は専門家に確認すると安心です。
Q. 赤字になった年でも青色申告特別控除は受けられますか?
青色申告特別控除は、所得がある場合にその所得を上限として差し引かれる仕組みです。そのため、赤字の年は控除を引いて所得をさらにマイナスにすることはできません。ただし、青色申告をしておくことで、その年の赤字を翌年以降に繰り越せる仕組みを使える場合があります。赤字の年こそ、期限内に青色申告をしておく意味は大きいといえます。
結論|休業をはさんだ年こそ申告で取り戻せるものがある
療養から復帰して年の途中で事業を再開した年の確定申告は、一年全体の所得をまとめて計算し、医療費控除や社会保険料控除、青色申告特別控除や純損失の繰越しといった仕組みを上手に活かすことがポイントです。売上が少なかった年でも、申告することで納めすぎた税金が戻ったり、翌年以降の負担を軽くできたりすることがあります。書類を早めにそろえ、休業前と再開後を通した数字を丁寧に整理することが、スムーズな申告への近道です。
療養明けで生活のリズムを取り戻すだけでも大変な時期に、慣れない記帳から申告書づくりまで一人で抱え込むと、体調にも響きかねません。
記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。体調を整えながら今年の申告を終える方法を相談する。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








