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一年に開業・廃業・再就職が重なった年の確...

2026/7/19

一年に開業・廃業・再就職が重なった年の確定申告を整理して解説

  • 確定申告

一年に開業・廃業・再就職が重なった年でも、確定申告は事業所得と給与所得をそれぞれ計算し、一枚の申告書に合算する流れで整理できます。所得の分け方、開業届・廃業届や青色申告の手続き、経費と控除の考え方をまとめました。

一年のあいだに開業して事業を始め、事情があって廃業し、その後また会社に再就職する。こうした働き方の変化が一つの年に重なると、「自分は結局どんな申告をすればよいのか」と戸惑ってしまう方は少なくありません。事業所得と給与所得が混在し、そこに開業・廃業の手続きも絡んでくるため、一つずつ整理しないと全体像が見えにくいのが正直なところではないでしょうか。

☑ 同じ年に個人事業を始めて、途中でやめて、また会社員に戻ったので申告のやり方がわからない

☑ 事業所得と給与所得が両方ある年は、確定申告書にどう書き分ければよいか不安だ

☑ 開業届や廃業届をどこまで出せばよいのか、青色申告はどうなるのかを知りたい

同じ年に開業・廃業・再就職が重なったケースを想定し、確定申告で押さえておきたい所得の分け方、必要な手続き、経費や控除の考え方を整理します。自分がどの所得をどう申告すればよいのか、大きな流れがイメージできるようになります。

まず「所得の種類」で頭を整理しましょう

事業でも給与でも、最後は一つの確定申告にまとめる

働き方が年の途中で変わっても、確定申告は「その年の1月1日から12月31日までの所得をまとめて計算する」という基本は変わりません。開業していた期間の事業の利益は事業所得、会社員として働いていた期間の給料は給与所得として、それぞれ計算したうえで、一枚の確定申告書に合算していきます。

つまり、「事業の分」と「給与の分」を別々に申告するわけではなく、種類ごとに所得を出してから、最終的に一つの申告にまとめる、と考えると整理しやすくなります。所得の種類が複数あること自体は珍しくなく、正しく分けて計算すれば難しいことはありません。

開業前・廃業後の会社員期間の給与も忘れずに

一年のなかで会社員 → 個人事業主 → 再び会社員、というように立場が変わった場合、給与をもらった期間が年の前半と後半に分かれていることがあります。それぞれの勤務先から受け取った源泉徴収票をすべてそろえ、給与所得はまとめて計算します。前の勤務先の源泉徴収票が手元にない場合は、早めに再発行を依頼しておきましょう。

複数の勤務先から給与を受け取っていると、年末調整だけでは税額の精算が終わらないことが多く、確定申告で改めて合算する必要が出てきます(確定申告が必要になる給与の条件は、国税庁No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人で確認できます)。この点も、申告が必要になる典型的なパターンの一つです。

どこからどこまでが「事業の期間」か

事業所得として計算するのは、あくまで個人事業主として活動していた期間の売上と経費です。開業してから廃業するまでのあいだに発生した収入と、それに対応する経費を集計します。会社員に戻ったあとに事業とは無関係の給与が入っても、それは給与所得であり、事業所得には含めません。期間ごとに「これは事業の分」「これは給与の分」と仕分ける意識を持つと、集計が楽になります。

開業・廃業に関する手続きを確認しましょう

開業届と廃業届の考え方

個人事業を始めたときは「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を、やめたときは同じ様式で「廃業」として税務署に提出するのが原則です。同じ年のうちに始めて終えた場合でも、開業と廃業の両方を届け出ておくと、事業を行っていた期間が明確になり、その後のやり取りがスムーズになります。

提出をうっかり忘れていたことに気づいても、慌てる必要はありません。実際に事業を行っていた事実があれば、確定申告で事業所得として申告すること自体は可能です。ただし、手続きの整合性を保つためにも、気づいた時点で届出について税務署に相談しておくと安心です。

青色申告をしていた場合の注意点

開業にあわせて青色申告の承認申請を出していた場合、その年の事業所得については青色申告のルールで計算できます。廃業したときは「青色申告の取りやめ届出書」を提出するのが原則です。青色申告には青色申告特別控除や赤字の繰り越しといったメリットがありますが、これらは事業所得などに対して適用されるもので、給与所得そのものを直接減らす控除ではない点は押さえておきましょう。年の途中で開業した場合の青色申告の申請期限は、途中開業と青色申告の期限で確認しておきましょう。

青色申告特別控除の65万円(または55万円・10万円)は、事業の所得金額を上限に差し引かれます。事業期間が短く利益が小さい場合は、控除しきれる金額もその範囲にとどまる、という点も知っておくと計算のイメージがつかみやすくなります。

廃業した年ならではの費用

事業をたたむ際には、在庫の処分や設備の整理など、廃業に伴う費用が発生することがあります。事業に関連して生じた費用は、事業所得の必要経費として計上できる場合があります。廃業のタイミングで支払った家賃や通信費なども、事業に使っていた分は経費の対象になり得ます。領収書はきちんと保管し、事業期間との対応関係がわかるようにしておきましょう。事業の縮小や撤退にともなう税務の考え方は、事業の縮小・撤退と節税も参考になります。

事業所得と給与所得の申告のしかた

それぞれの所得を計算する順番

まず事業の分は、売上から必要経費を差し引いて事業所得を計算します。青色申告の方は青色申告決算書、白色申告の方は収支内訳書に、事業期間の収支をまとめます。次に給与の分は、すべての源泉徴収票をもとに給与所得を計算します。給与所得には収入に応じた給与所得控除があらかじめ用意されているため、事業所得のように経費を積み上げる必要はありません。

この二つを確定申告書に転記し、合算したうえで所得控除を差し引き、税額を計算していきます。すでに給与から源泉徴収されている税金があるので、最終的にその分を精算し、納める税額または還付される税額が決まります。

所得控除は「その人」に一度だけ

基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除といった所得控除は、事業所得と給与所得のどちらかにひも付くものではなく、その人の一年分の所得全体に対して差し引くものです。事業の分と給与の分で二重に使うことはできません。合算した所得から、まとめて控除する、と理解しておきましょう。

なお、事業をしていた期間に自分で支払った国民年金や国民健康保険の保険料は、社会保険料控除の対象になります。会社員に戻ってから給与天引きされた社会保険料と合わせて、一年分をもれなく集計してください。

源泉徴収された税金・予定納税の反映

給与から天引きされていた所得税は、源泉徴収票に記載された金額を申告書に反映します。事業について報酬から源泉徴収されていたものがあれば、その分も忘れずに記入します。これらは前払いした税金にあたるため、記入漏れがあると本来戻るはずの還付が受けられなくなることもあります。源泉徴収税額の欄は特に丁寧に確認しましょう。

ミスを防ぐための実務のコツ

期間ごとに書類を分けて保管する

  • 事業期間の売上・経費がわかる請求書、領収書、通帳の記録

  • 会社員期間ごとの源泉徴収票(前半・後半で勤務先が違う場合はそれぞれ)

  • 国民年金・国民健康保険など、自分で払った社会保険料の証明書類

  • 生命保険料控除証明書や、ふるさと納税の寄附金受領証明書など各種控除の書類

働き方が変わった年は、時期によって書類の出どころがばらばらになりがちです。「事業の分」「給与の分」とフォルダを分けて集めておくだけで、集計のときの混乱をぐっと減らせます。事業と給与が混ざった年の申告を一人で仕上げるのが不安なら、混在した所得の申告代行を利用する方法もあります。

還付につながりやすいケースを知っておく

会社を年の途中で辞めて事業を始めた場合、辞めた時点では年末調整が行われていないことがあります。また、事業期間が赤字だった場合、給与所得と相殺(損益通算)できることもあり、結果として納めすぎた税金が戻ってくるケースがあります。確定申告の基本は国税庁No.2020 確定申告で確認でき、年末調整で控除を反映できなかった場合の還付は年末調整の控除漏れと還付申告で整理しています。「申告するとかえって得になる」場面は意外と多いので、面倒に感じても一度きちんと計算してみることをおすすめします。

住民税や国民健康保険への影響も意識する

確定申告で確定した所得は、翌年度の住民税や、加入していた期間の国民健康保険料の計算にも使われます。事業所得と給与所得を正しく合算しておくことは、所得税だけでなく、その後の負担を適切にするうえでも大切です。目先の申告書だけでなく、翌年以降のことも少し意識しておくと安心です。

よくある質問

Q. 事業がほとんど利益にならないまま廃業しました。それでも確定申告は必要ですか?

事業の利益が小さくても、給与所得と合わせると申告が必要になることが多くあります。特に、途中で退職して年末調整を受けていない給与がある場合や、複数の勤務先から給与を受け取っている場合は、確定申告で精算するのが原則です。また、事業が赤字なら給与と相殺して税金が戻る可能性もあるため、利益が少なくても計算してみる価値があります。

Q. 開業届を出さずに事業をしていました。事業所得として申告できますか?

開業届の提出の有無にかかわらず、実際に事業として活動していた実態があれば、その収入は事業所得などとして申告することになります。ただし、届出を出していないと青色申告のメリットが使えないなどの違いが出ます。申告と手続きの整合性を保つためにも、届出の扱いについては税務署や専門家に相談しておくとよいでしょう。

Q. 事業のときの経費と、会社員に戻ってからの支出は分けなければいけませんか?

はい、分ける必要があります。必要経費として計上できるのは、あくまで事業を行っていた期間に、その事業のために使った支出です。会社員に戻ってからの生活費や、給与を得るための個人的な支出は事業の経費にはできません。支払った時期と目的を手がかりに、事業の分だけを切り出して集計しましょう。

結論:一つずつ分ければ、複雑な年の申告も整理できる

同じ年に開業・廃業・再就職が重なると申告が複雑に思えますが、やることは「事業の期間の所得」と「給与の期間の所得」をそれぞれ計算し、最後に一つの確定申告書に合算する、という流れに尽きます。開業届・廃業届や青色申告の手続きを確認し、源泉徴収票や保険料の証明書を期間ごとにそろえておけば、落ち着いて進められます。

とはいえ、事業の帳簿づけと給与の整理を並行しながら、再就職後の忙しい日々のなかで申告まで一人で仕上げるのは、思いのほか骨が折れます。所得の種類が複数ある年は、集計や書き分けでつまずきやすく、無理をすると期限間際に慌てることにもなりかねません。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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