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2026/7/19

単身赴任の配偶者がいる個人事業主の確定申告|扶養と各種控除の判定を解説

  • 確定申告

配偶者が単身赴任で別居していても、生活費を送り合うなど生計を一にしていれば、個人事業主のあなたの確定申告で配偶者控除や扶養控除、医療費控除の対象になります。判定のカギは住所ではなく生活の実態です。控除ごとの判定を順に整理します。

夫婦のどちらかが単身赴任をしていると、住所が別々になります。そのため確定申告のときに、別々に暮らしていても配偶者控除や扶養の対象になるのだろうかと迷う方は少なくありません。生活の実態は一つの家族なのに、住民票や住所だけを見ると別世帯のように見えてしまうからです。

☑ 配偶者が単身赴任で別の家に住んでいるが、自分の確定申告で配偶者控除は受けられるのか知りたい

☑ 別居していると「生計を一にする」に当てはまらず、扶養から外れてしまうのではと不安だ

☑ 配偶者の社会保険料や生命保険料を自分が払っている場合、誰の申告で控除するのか迷っている

配偶者控除・配偶者特別控除の判定から、扶養親族の判定、社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除の取り扱いまで、単身赴任のケースを一つずつ整理します。自分の家庭では何を、どちらの申告で控除すればよいのか、見当がつくようになります。

単身赴任でも「生計を一にする」と認められる理由

控除のカギは住所ではなく生活の実態

配偶者控除や扶養控除を考えるうえで、必ず出てくるのが「生計を一にする」という言葉です。これは「同じ財布で生活している」という意味で、家計が一つにつながっているかどうかを見る考え方です。ここで大切なのは、判定の基準が住所や住民票の場所ではなく、あくまで生活の実態にある、という点です。

単身赴任は、勤務の都合で一時的に住む場所が分かれているだけで、生活費を送金し合ったり、休暇のたびに行き来したりして、家計のつながりが続いているのが一般的です。このような場合は、別居していても「生計を一にする」と認められるのが原則です。住んでいる家が二つに分かれていることだけを理由に、扶養や控除から外れるわけではありません。

生計を一にすると判断されやすい具体例

たとえば、次のような実態があれば、単身赴任の配偶者と生計を一にしていると考えやすくなります。

  • 赴任先の生活費や住居費の一部を、事業主側の家計から送金している

  • 週末や長期休暇のたびに帰省し、家族として生活をともにしている

  • 子どもの教育費や住宅ローンなど、家計の大きな支出を一つの財布でまかなっている

逆に、生活費のやり取りがまったくなく、それぞれが完全に独立して家計を営んでいる場合は、生計を一にするとはいえないケースもあります。とはいえ、単身赴任という事情だけで自動的に別生計とみなされることはありません。実態に即して判断する、という基本を押さえておきましょう。

配偶者控除・配偶者特別控除の判定

まず確認したいのは配偶者の所得

配偶者が単身赴任をしている場合でも、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるかどうかは、基本的には通常の夫婦と同じ手順で判定します。生計を一にしていることに加えて、ポイントになるのは配偶者自身の年間の所得です。

配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が一定額以下のときに受けられます(判定の基準は国税庁タックスアンサーNo.1191 配偶者控除で確認できます)。配偶者がパートなどで給与をもらっている場合は、その収入から給与所得控除を差し引いた金額が「所得」になります。所得が配偶者控除の基準を少し超えても、一定の範囲までは段階的に控除が受けられる配偶者特別控除が用意されています。単身赴任で配偶者が勤務しているケースでは、この配偶者特別控除の対象になることも多いので、所得の金額をきちんと確認することが大切です。共働きの世帯全体で控除を組み立てる考え方は、共働き夫婦の確定申告も参考になります。

事業主側の所得にも上限がある点に注意

配偶者控除・配偶者特別控除には、控除を受ける本人(ここでは個人事業主であるあなた)の所得にも上限が設けられています。事業がうまくいって所得が大きくなりすぎると、配偶者の所得が基準内であっても、控除額が減ったり受けられなくなったりすることがあります。

つまり、配偶者控除まわりは「配偶者の所得」と「自分の所得」の両方を見て判定する仕組みです。年末から年明けにかけて、自分の事業の所得が大きくふくらみそうなときは、控除の見込みが変わる可能性があることを頭に入れておきましょう。

赴任先の手当の扱い

配偶者が会社員として単身赴任をしている場合、勤務先から単身赴任手当や住宅手当などが支給されることがあります。これらは配偶者本人の給与の一部として扱われ、配偶者自身の所得の計算に含まれます。配偶者の所得が思ったより増えていて、控除の判定が変わるケースもあるので、源泉徴収票で年間の収入と所得を確認しておくと安心です。

扶養親族の判定と子どもの扱い

子どもをどちらの扶養に入れるか

単身赴任の家庭では、子どもの扶養を「事業主である自分」と「単身赴任中の配偶者」のどちらに入れるかが論点になります。扶養控除は、同じ子どもについて夫婦のどちらか一方でしか受けられません。両方で重複して控除することはできない点に注意しましょう。

どちらの扶養に入れるかは、家庭の状況に応じて選べます。一般的には、所得が高く税率が高い側の扶養に入れたほうが、世帯全体での節税効果が大きくなる傾向があります。ただし、事業主側は所得が年によって変動しやすいので、毎年の見込みを踏まえて検討するとよいでしょう。どちらの扶養に付け替えると有利かは、子どもの扶養の付け替えで具体的に整理しています。

16歳未満の子どもと扶養控除

扶養控除の対象になるのは、原則として16歳以上の扶養親族です。16歳未満の子どもについては所得税の扶養控除はありませんが、住民税の計算や各種行政サービスの判定で扶養親族として申告する場面があります。確定申告書では16歳未満の扶養親族を記載する欄が別に設けられているので、記入漏れがないようにしましょう。単身赴任で配偶者と子どもが離れて暮らしていても、生計を一にしていれば扶養親族として申告できます。

赴任先に子どもが同行している場合

単身赴任といっても、配偶者が子どもを連れて赴任先に住むケースもあります。この場合でも、事業主であるあなたが生活費を負担し、家計が一つにつながっているのであれば、生計を一にすると考えられます。子どもがどこに住んでいるかではなく、家計のつながりがあるかどうかで判断するという基本は変わりません。

社会保険料控除・生命保険料控除の取り扱い

誰が払ったかで控除する人が決まる

社会保険料控除は、その保険料を実際に支払った人の申告で控除します。単身赴任中の配偶者の国民年金保険料や国民健康保険料を、事業主であるあなたが自分の財布から支払っているのであれば、あなたの確定申告でその分を社会保険料控除に含めることができます。生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を負担した場合は、負担した人の控除になる、という考え方です。

一方で、配偶者が会社員として給与から社会保険料を天引きされている場合は、それは配偶者自身が支払った保険料です。事業主であるあなたの申告で控除することはできません。「誰の口座から、誰の保険料を払ったか」を整理することが、控除の重複や漏れを防ぐコツです。

生命保険料控除も支払った人の控除

生命保険料控除も、契約者が誰かにかかわらず、実際に保険料を支払った人が控除を受けられます。単身赴任の配偶者を被保険者とする保険でも、保険料をあなたの家計から払っているなら、あなたの申告で生命保険料控除を適用できる場合があります。控除証明書を手元に置き、支払いの実態と合わせて確認しましょう。

二重に控除しないための確認

夫婦がそれぞれ確定申告や年末調整をする場合、同じ保険料を両方で控除してしまうミスが起こりがちです。とくに単身赴任で家計の管理が分かれていると、どちらが何を払ったかが曖昧になりやすいものです。次の点を、年に一度は夫婦で確認しておくと安心です。

  • 国民年金・国民健康保険などの社会保険料は、どちらの口座から払っているか

  • 生命保険料・地震保険料の支払口座と控除証明書の宛名

  • 同じ控除を夫婦の両方で使っていないか

医療費控除とその他の控除の考え方

家族の医療費はまとめて申告できる

医療費控除は、生計を一にする家族の医療費を合算して、まとめて一人が申告できる仕組みです(対象や計算方法は国税庁No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)で確認できます)。単身赴任中の配偶者が赴任先で支払った医療費も、生計を一にしていれば合算の対象になります。家族全員分の医療費の領収書を集め、所得が高い側でまとめて申告すると、控除を受けやすくなる場合があります。控除額の目安は医療費控除の節税試算で確認しておくと、集める手間の見当もつきます。

単身赴任の場合、配偶者の分の領収書が手元に届きにくいことがあります。年明けの確定申告に向けて、こまめに領収書を送ってもらう、写真で共有してもらうといった工夫をしておくと、申告の時期に慌てずに済みます。二つの家に分かれた書類を集めて申告まで一人で仕上げるのが難しいと感じたら、確定申告をまるごと代行してもらう方法もあります。

赴任に伴う引っ越し費用などの扱い

単身赴任に伴う引っ越し費用や赴任先の家賃は、あくまで家庭の生活上の支出であり、事業主であるあなたの事業の必要経費にはなりません。事業と家庭の支出は、はっきり分けて考える必要があります。

iDeCoや小規模企業共済は本人分のみ

小規模企業共済等掛金控除の対象になるiDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金は、社会保険料控除とは違い、掛金を払う本人だけが控除を受けられます。配偶者の分をあなたが肩代わりして払っても、あなたの控除にはできません。家族の保険料とは扱いが異なる点に注意しましょう。自分自身の掛金でどれだけ税金が減るかは、小規模企業共済の節税シミュレーションで試算できます。

よくある質問

Q. 配偶者が単身赴任で住民票を移していますが、配偶者控除は受けられますか?

住民票が別の市区町村に移っていても、生活費を送金し合うなどして生計を一にしている実態があり、配偶者の所得が基準内であれば、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるのが原則です。控除の判定は住所ではなく、家計のつながりという実態で行います。住民票の場所だけを理由に控除をあきらめる必要はありません。

Q. 子どもの扶養は、私と単身赴任中の配偶者のどちらに入れるべきですか?

同じ子どもの扶養控除は、夫婦のどちらか一方でしか受けられません。一般的には、所得が高く税率が高い側の扶養に入れたほうが世帯全体での節税につながりやすいですが、個人事業主は所得が変動しやすいため、その年の見込みを踏まえて判断するとよいでしょう。重複して申告しないよう、夫婦で必ず一致させておきましょう。

Q. 単身赴任中の配偶者が支払った医療費も、私の申告でまとめられますか?

生計を一にしていれば、別居している配偶者が赴任先で支払った医療費も、あなたの医療費控除に合算できます。領収書を送ってもらうなどして、家族分をまとめて所得の高い側で申告すると、控除を受けやすくなる場合があります。誰が立て替えたかよりも、生計を一にする家族の医療費かどうかが判断のポイントです。

まとめ|単身赴任でも「生計を一にする」かで判断する

配偶者が単身赴任をしていても、生活費を送金し合うなどして家計のつながりが続いていれば、別居していても「生計を一にする」と認められ、配偶者控除や扶養控除、医療費控除などの対象になります。判定のカギは住所ではなく生活の実態です。そのうえで、配偶者控除は配偶者と自分の双方の所得を確認し、社会保険料や生命保険料は実際に支払った人が控除する、子どもの扶養や控除は夫婦で重複させない、といった基本を押さえれば、迷いはかなり減らせます。

ここまでの判定を、別々に暮らす家族の所得・保険料・医療費の書類を一年分そろえながら、本業の合間に記帳から申告書の作成まで一人でこなすのは、書類が二つの家に分かれているぶん、余計に骨が折れます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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