太陽光発電の売電収入の確定申告|所得区分と経費を解説
#
確定申告

太陽光発電の売電収入は、経費を引いた「所得」の大きさと設置の目的で、確定申告の要否と所得区分が決まります。雑所得・事業所得・不動産所得の見分け方と、減価償却を中心とした経費の考え方を、実例を交えて具体的に整理します。
太陽光発電の売電収入は、設置の目的や規模によって税金の取り扱いが変わる、少しわかりにくい分野です。「全量買取で毎月そこそこの金額が入ってくるけれど、これって申告しないといけないの?」「自宅で使った残りを売っているだけだから関係ないと思っていた」など、人によって状況がまちまちで、ネットで調べても自分のケースに当てはまるのかピンとこない、という方が多いのではないでしょうか。
☑ 自宅の屋根に太陽光パネルをつけて売電しているけれど、確定申告が必要なのかわからない
☑ 売電収入は「雑所得」なのか「事業所得」なのか、どの区分で申告すればいいのか迷っている
☑ パネルの設置費用や点検費用を経費にできるのか、減価償却の計算方法を知りたい
この記事では、太陽光発電の売電収入について、確定申告が必要になるケース、所得区分(雑所得・事業所得・不動産所得)の考え方、計上できる経費と減価償却の基本、そして消費税の注意点までを、順を追って整理します。
太陽光発電の売電収入に確定申告は必要?
売電収入に確定申告が必要かどうかは、売電額そのものではなく、経費を引いた後の「所得」で判断します。会社員なら他の所得と合わせて年20万円を超えるか、個人事業主ならすべての所得を合算して申告するか、が出発点です。
そもそも売電収入とは何か
太陽光発電の売電収入とは、発電した電気を電力会社などに売って得る収入のことです。固定価格買取制度(FIT)などにもとづいて、契約した単価で電気を買い取ってもらいます。売電には大きく分けて、発電した電気をすべて売る「全量買取」と、自宅などで使った残りを売る「余剰買取」の2つのパターンがあります。一般的な住宅の屋根に載せるタイプは、余剰買取になっていることが多いです。
会社員でも申告が必要になるライン
給与を1か所からもらっている会社員の方の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。売電収入そのものではなく、売電収入から必要経費を差し引いた「所得」が判定の基準になる点に注意してください。たとえば売電収入が年30万円でも、減価償却費などの経費を引いた後の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要になるケースがあります。給与所得者で申告が必要になる要件は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。
ただし、この「20万円以下なら申告不要」というルールはあくまで所得税についての特例です。住民税にはこの基準がないため、所得税の申告が不要な場合でも、お住まいの市区町村への住民税の申告は別途必要になることがあります。判断に迷うときは、市区町村の窓口に確認すると安心です。
個人事業主・自営業の場合
もともと事業を営んでいて確定申告をしている個人事業主の方は、20万円以下なら申告不要という特例は使えません。売電による所得も含めて、その年のすべての所得をまとめて申告する必要があります。本業の傍らで太陽光発電をしている場合、本業の確定申告に売電分を漏れなく組み込むことが大切です。本業と売電のように収入源が複数あるときは、複数事業を営む場合の収支内訳と按分の考え方もあわせて確認しておくと、集計の全体像がつかみやすくなります。
売電収入の所得区分はどう決まる?
売電収入の所得区分は、設備の規模・売電形態・管理の実態を総合的に見て決まります。自宅屋根の余剰売電は雑所得、投資目的の大規模な全量売電は事業所得、賃貸物件と一体なら不動産所得になりやすい、というのが大まかな見取り図です。
余剰売電は基本「雑所得」
自宅の屋根に設置した住宅用の太陽光発電で、自家消費した残りを売っている余剰買取のケースでは、その売電収入は原則として「雑所得」に区分されるのが一般的です。給与所得が中心の会社員の方が、生活の延長で行っている小規模な売電は、多くがこのパターンにあたります。雑所得は他の所得と合算して総合課税の対象となります。
事業的規模なら「事業所得」になることも
一方で、投資目的でまとまった規模の設備を設置し、全量売電を行っているようなケースでは、「事業所得」として扱われることがあります。事業所得と認められるかどうかは、設備の規模、発電量、管理にかける労力、継続性などを総合的に見て判断されます。一般的には、出力の大きい産業用設備を所有し、反復継続して相当の収入を得ているような場合に事業性が認められやすくなります。
事業所得になると、青色申告を選択して帳簿をきちんとつけることで、青色申告特別控除(最大65万円)などのメリットを受けられる可能性があります。ただし、単に設備を持っているだけで自動的に事業所得になるわけではなく、実態が問われます。区分の判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談するのが確実です。収入の性質から「課税されるのか・どの区分か」を迷う点は、所得区分と課税の有無の判断の考え方も参考になります。
不動産所得に含まれるケース
賃貸アパートやマンションのオーナーが、その建物の屋根に太陽光設備を設置して売電している場合、売電収入が「不動産所得」に含まれて取り扱われることがあります。たとえば共用部分の電気をまかなう目的を兼ねているなど、不動産賃貸業と一体とみなされる場面です。どの区分に該当するかで経費の集計方法や申告書の書き方が変わるため、ご自身の設置目的を一度整理しておくとよいでしょう。
なお、地方移住や二拠点生活を機に、移住先の住まいに太陽光を設置して売電を始める方も増えています。この場合は、地方移住・二拠点生活での支援金と住所の扱いもあわせて押さえておくと、住所や各種支援金の申告漏れを防ぎやすくなります。
太陽光発電で経費にできるもの
経費の柱は、設備を耐用年数にわたって配分する「減価償却」です。そのほか点検費・保険料・監視システム利用料などが対象になり、自家消費と売電の両方に使う設備は、売電に対応する割合だけを按分して計上します。
設置費用は「減価償却」で計上する
太陽光発電の設備は、一度に全額を経費にするのではなく、「減価償却」という方法で複数年に分けて少しずつ経費にしていきます。設備は長く使うものなので、使う期間にわたって費用を配分するという考え方です。太陽光発電設備の法定耐用年数は、一般に17年とされています(設備の種類によって異なる場合があります)。減価償却の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。
たとえば設置費用が一定額だった場合、その金額を耐用年数にわたって毎年少しずつ経費化していきます。計算方法には定額法などがあり、毎年同じ額を計上していくのが基本です。減価償却費は、現金の支出を伴わなくても帳簿上で経費にできるため、所得を圧縮する大きな要素になります。
そのほか経費にできる主な費用
減価償却の対象となる設備本体以外にも、売電に関連して発生する費用は経費にできる可能性があります。代表的なものを挙げます。
パネルやパワーコンディショナーの定期点検・メンテナンス費用
故障した機器の修理費用
発電状況を遠隔監視するシステムの利用料や通信費
設備にかかる火災保険・損害保険の保険料
設備を設置した土地の固定資産税(投資用で土地を取得している場合など)
事業所得として行っている場合のローン金利の一部
自家消費分と按分する考え方
余剰買取で自宅でも電気を使っている場合、設備は「自家消費」と「売電」の両方に使われていることになります。そのため、経費にできるのは売電に対応する部分だけ、という考え方になります。発電量のうち売電した割合に応じて、減価償却費や点検費用などを按分して計上するのが一般的です。たとえば発電した電気の一定割合を売電している場合は、その割合分だけを経費に算入します。按分の根拠となる数字は、検針票や発電モニターの記録を残しておくと説明しやすくなります。売電割合の按分や減価償却の記録づけに手が回らないときは、日々の集計を預ける記帳代行という選択肢もあります。
申告時の注意点と消費税
売電収入は年間ベースで集計し、事業として行う全量売電は消費税の課税対象になり得ます。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となる点や、書類の保存が申告の土台になる点を押さえておきましょう。
収入の集計は年間ベースで
売電収入は、その年の1月1日から12月31日までに確定した金額を集計します。電力会社から毎月届く「購入明細書」や「振込のお知らせ」などをもとに、1年分を合計します。明細はこまめに保管し、年末にまとめて集計できるようにしておくと、申告の時期に慌てずにすみます。
消費税が関係してくる場合
売電、とくに事業として行う全量売電は、消費税の課税対象になります。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要になります。住宅用の小規模な余剰売電であれば、この金額に届かないことがほとんどですが、複数の設備を持っていたり、ほかの事業の売上と合算したりすると判断が変わることがあります。インボイス制度との関係もあるため、規模が大きい方は早めに確認しておくと安心です。
記録と書類の保存
確定申告では、売電収入と経費を裏づける書類の保存が欠かせません。電力会社からの売電明細、設備の購入契約書や領収書、点検・修理の請求書、保険料の証明書などは、まとめて保管しておきましょう。減価償却の計算には設備の取得価額と取得日が必要になるため、設置時の書類は特に大切です。書類が散らばっていると、申告のたびに探し回ることになり、計上漏れの原因にもなります。
よくある質問
Q. 売電収入が年間20万円以下なら、何もしなくていいですか?
所得税については、給与所得者で他の所得が20万円以下であれば確定申告が不要になるケースがあります。ただし、これは収入ではなく経費を引いた後の「所得」での判定です。また、この特例は所得税だけのもので、住民税は別途申告が必要になることがあります。ご自身が個人事業主としてすでに申告している場合は、20万円以下でも合算して申告する必要があります。
Q. 設置費用は買った年に全額経費にできますか?
原則として、設備は減価償却によって複数年に分けて経費化します。買った年に全額を一度に経費にすることは、基本的にはできません。耐用年数(一般に17年)にわたって、毎年少しずつ計上していくのが基本的な考え方です。なお、少額の備品など要件を満たすものは別の取り扱いになる場合もあるため、迷うときは専門家に確認しましょう。
Q. 雑所得と事業所得のどちらで申告すればよいか自分で判断できません。
区分は、設備の規模や売電形態、管理の実態などを総合的に見て判断します。自宅屋根の余剰売電は雑所得になりやすく、投資目的の大規模な全量売電は事業所得とみなされることがあります。判断に迷う場合は、自己流で決めてしまう前に、税務署や税理士に相談することをおすすめします。区分を誤ると、控除や経費の取り扱いに影響が出ることがあります。
太陽光の売電は所得区分と経費の整理がカギ
太陽光発電の売電収入は、まず確定申告が必要かどうかを「経費を引いた後の所得」で判断し、次に雑所得・事業所得・不動産所得のどの区分にあたるかを確認することが出発点です。経費は設備の減価償却を中心に、点検費用や保険料などを売電割合に応じて按分して計上します。年間の売電明細や設備の書類をきちんと保存しておくことが、正確な申告と計上漏れの防止につながります。
とはいえ、減価償却の計算や自家消費分との按分、所得区分の判断は、慣れていないと手間も悩みも多くなりがちです。本業や日々の暮らしで忙しい中、毎月の明細を集計し、経費を整理して、申告書まで自分で仕上げるのは骨が折れます。やり方に自信が持てないまま、申告の時期だけ毎年バタバタしてしまう、という方も少なくありません。
毎年の売電の集計を「送るだけ」で終わりにしたい方へ。領収書丸投げドットコムは、売電明細や設備の領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送っていただくだけで、記帳から確定申告書類の作成まで対応します。初期費用0円・契約の縛りなしなので、まずは売電の申告を丸ごと任せられるか無料で相談することから始められます。相談は無料です。太陽光の売電を含めた申告の進め方は、確定申告代行のサービス内容もご覧ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








