退職金をもらった年の確定申告|退職所得と申告の要否をやさしく解説
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確定申告

退職金は退職所得として給与や事業の所得とは別枠で計算され、手続きが正しく済んでいれば確定申告は原則不要です。ただし年の途中で退職した場合など、申告で税金が戻るケースもあります。退職所得の仕組みと、申告が必要・した方が得な場面を整理しました。
長年勤めた会社を退職してまとまった退職金を受け取ったとき、「この大きな金額にも税金がかかるのだろうか」「確定申告をしないと損をするのでは」と心配になる方は少なくありません。退職金は給与とは違う特別なルールで税金が計算されるため、普段の所得と同じ感覚で考えると混乱してしまいます。
☑ 退職金を受け取ったが、確定申告が必要なのか分からない
☑ 「退職所得の受給に関する申告書」という書類を出した記憶があいまい
☑ 退職した年に独立・開業もしたので、税金の手続きが複雑で不安
退職金にかかる「退職所得」とはどんな所得か
退職金は税金の世界では「退職所得」と呼ばれ、給与所得や事業所得とは別枠で計算されます。長年の勤労に対する報いであり、老後の生活資金にもなる大切なお金であることから、税負担が軽くなるよう特別な配慮がされています。
退職所得は「分離課税」で計算される
退職所得は、他の所得と合算せずに単独で税額を計算する「分離課税」という方式が採られています。給与や事業の利益が多い年でも、退職金部分はそれらの所得とは切り離して計算されるため、税率が不当に高くなることを防いでくれます。
退職所得控除で大きく差し引ける
退職所得には「退職所得控除」という大きな控除があります。勤続年数が長いほど控除額が増える仕組みで、勤続年数に応じて差し引ける金額が決まります。多くのケースでは、この控除によって課税対象がかなり小さくなります。
勤続年数が長いほど控除額が大きくなる
控除しきれた残りがさらに2分の1されてから税額計算されることが多い
結果として税負担はかなり抑えられる傾向がある
確定申告が原則不要になる「申告書」の存在
退職金を受け取った多くの方が確定申告をしなくてよいのは、ある書類を会社に提出しているからです。それが「退職所得の受給に関する申告書」です。
「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば原則不要
この申告書を退職金の支払いを受ける前に勤務先へ提出していると、会社が退職所得控除を適用したうえで正しい税額を計算し、源泉徴収して納税まで済ませてくれます。つまり手続きが完結しているため、原則として自分で確定申告をする必要がありません。
出していないと高い税率で天引きされている可能性
もしこの申告書を出していなかった場合、退職所得控除が適用されず、一律の高い税率で税金が源泉徴収されている可能性があります。この場合は確定申告をすることで、控除を適用し直し、納めすぎた税金が戻ってくることが多いです。退職時に書類を出した記憶があいまいな方は、源泉徴収票で確認してみましょう。
退職金の源泉徴収票を手元に用意する
退職所得控除が反映されているか確認する
不明な場合は元の勤務先や税務署に問い合わせる
確定申告をした方が得になるケース
手続きが正しく済んでいても、あえて確定申告をすることで税金が戻ってくる場面があります。退職した年は所得の状況が変わりやすいため、見落とさないことが大切です。払いすぎた税金を取り戻すための申告は、国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」(国税庁)でも案内されています。
年の途中で退職し、給与の年末調整が済んでいない
年の途中で会社を辞めた場合、その年の給与については年末調整が行われていないことがあります。給与から天引きされた税金が払いすぎになっていることが多く、確定申告をすると還付を受けられる可能性があります。退職金とは別に、この給与分の精算も忘れないようにしましょう。年の途中で働き方が変わった年の申告は、病気・療養で年の途中に休業した個人事業主の確定申告の考え方も参考になります。
各種控除を使い切れていない場合
医療費控除や生命保険料控除、社会保険料控除など、年末調整で反映しきれなかった控除がある場合も、確定申告で適用できます。退職後に国民健康保険や国民年金を自分で納めた分は社会保険料控除の対象になり、思った以上に税金が戻ることもあります。この社会保険料控除の範囲は国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」(国税庁)で確認できます。
退職後に支払った国民健康保険料・国民年金保険料
1年間に多額の医療費がかかった場合の医療費控除
ふるさと納税など寄附金控除を使った場合
退職した年に開業・独立した場合の注意点
退職をきっかけに個人事業主として独立した方は、税金の手続きがやや複雑になります。所得の種類が複数にまたがるためです。退職を機に移住して働き方を変えた場合の申告は、地方移住・二拠点生活を始めた個人事業主の確定申告も参考になります。
退職所得・給与所得・事業所得が混在する
退職金は退職所得、退職までの給与は給与所得、独立後の収入は事業所得というように、1年の中で複数の所得が発生します。退職所得は分離して計算されますが、給与所得と事業所得は合算して申告する必要があるため、整理して計上することが大切です。
事業の経費と領収書の管理が重要になる
独立後は、事業のために使ったお金が経費になります。開業準備にかかった費用や備品の購入費なども対象になる場合があるため、領収書をしっかり保管しておくことが節税の第一歩です。退職直後は何かと忙しく、書類管理が後回しになりがちなので、早めに仕組みを整えておくと安心です。独立を機に青色申告を選ぶ場合は、記帳を怠ると承認が取り消されることもあるため、青色申告が取り消される条件と再申請の方法も押さえておきましょう。日々の記帳まで手が回らないなら、記帳代行というやり方で土台を整えておくと、独立初年度の申告がぐっと楽になります。
退職金を事業の元手にするときの考え方
退職金をそのまま事業の運転資金や設備投資に充てる方も多いでしょう。ここで覚えておきたいのは、退職金そのものは退職所得として税金の計算が完結しているという点です。事業の元手に使ったからといって、改めて事業の収入に加わるわけではありません。一方で、その資金で購入した備品や設備は事業の経費や資産として扱われるため、何にいくら使ったかを記録しておくことが、後の確定申告で役立ちます。お金の出どころと使い道を分けて整理しておくと、独立初年度の申告がぐっと分かりやすくなります。
よくある質問
Q. 退職金をもらったら必ず確定申告が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していれば、会社が正しく税額を計算して納税まで済ませているため、原則として確定申告は不要です。ただし、提出していなかった場合や、他に申告したい控除がある場合は、申告することで税金が戻ることがあります。
Q. 退職所得控除はどのくらい差し引けますか?
退職所得控除は勤続年数が長いほど大きくなる仕組みです。具体的な金額は勤続年数によって変わるため、ここでは断定的な数字は控えますが、長く勤めた方ほど課税対象が小さくなり、税負担が軽くなる傾向があります。正確な計算方法は国税庁サイト等でご確認ください。
Q. 年の途中で退職して再就職していません。確定申告は必要ですか?
その年に年末調整を受けていない場合、給与から払いすぎた税金がそのままになっている可能性があります。確定申告をすることで還付を受けられることが多いので、源泉徴収票を確認したうえで申告を検討することをおすすめします。
結論:退職金は仕組みを知れば怖くない
退職金は退職所得として給与などとは別枠で計算され、退職所得控除によって税負担が大きく軽くなるよう配慮されています。「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば原則として確定申告は不要ですが、年の途中で退職した場合や控除を使い切れていない場合は、申告することで税金が戻ってくることもあります。大切なのは、自分のケースがどれに当てはまるかを源泉徴収票などで確認することです。特に退職を機に独立・開業した方は所得の種類が増えるため、早めに状況を整理しておくと安心です。年度によって変わる税率や改正内容については、最新情報を国税庁サイト等でご確認ください。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








