個人事業主の退職金づくり|共済・保険・積立の選択肢を比較解説
#
税金

個人事業主の退職金は、掛金が所得控除になる制度を使えば節税しながら準備できます。小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金・民間保険の特徴を並べ、廃業や老後といった目的別の組み合わせ方まで具体的に比較します。
会社員であれば、退職時にまとまった退職金を受け取れたり、勤務先の年金制度に加入できたりすることが一般的です。しかし、個人事業主には会社が用意してくれる退職金制度がありません。日々の事業に追われていると、つい後回しにしてしまいがちですが、廃業後や老後の生活を支えるお金は、自分自身で計画的に準備していく必要があります。
☑ 会社員と違って退職金がなく、将来のお金にぼんやりとした不安がある
☑ 老後資金や事業をやめた後の備えを、何から始めればよいか分からない
☑ できれば節税しながら、無理なく将来のお金を準備したい
実は、個人事業主が将来に備える方法の中には、掛金が所得控除の対象になるなど、節税しながら積み立てられる仕組みもあります。ここからは、退職金づくりに使える主な選択肢を、それぞれの特徴とともに比較しながら見ていきましょう。
なぜ個人事業主に退職金づくりが必要なのか
まずは、なぜ自分で備える必要があるのか、その背景を整理しておきましょう。
会社員との制度の違い
会社員は、勤務先の退職金制度や厚生年金に加入していますが、個人事業主が加入するのは原則として国民年金のみです。受け取れる年金額に差が出やすいため、その分を自分で補う意識が大切になります。
事業をやめた後の生活費
個人事業主は、自分が働けるうちは収入を得られますが、体調や年齢の事情で事業を続けられなくなったとき、収入が途絶えてしまうリスクがあります。廃業後の生活を支える資金を、現役のうちに少しずつ準備しておくことが安心につながります。
早く始めるほど有利になる
将来のための積み立ては、時間をかけてコツコツ続けることで負担を抑えられます。毎月の掛金が小さくても、長く続ければまとまった額になります。だからこそ、思い立ったときに早めに始めることが大切です。また、掛金が所得控除の対象になる制度であれば、積み立てを続けている期間中ずっと節税の効果が得られます。つまり「将来への備え」と「毎年の節税」を同時に進められるわけで、早く始めるほどその恩恵を受けられる期間も長くなります。後回しにするほど、本来得られたはずのメリットを取りこぼしてしまうことになりかねません。
選択肢1:小規模企業共済
個人事業主の退職金づくりの代表格といえるのが、小規模企業共済です。多くの個人事業主が活用している制度です。
制度の概要
小規模企業共済は、小規模な事業者が廃業や引退に備えて積み立てる、いわば「経営者のための退職金制度」です。掛金は月額1,000円から70,000円までの範囲で、500円単位で自由に設定でき、事業の状況に応じて増減も可能です。
税制上のメリット
支払った掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になる
受け取る共済金は、退職所得や公的年金等の扱いとなり、税制上の優遇を受けられる
注意しておきたい点
掛金の納付期間が短いうちに任意で解約すると、受け取れる額が払い込んだ掛金を下回る場合があります。短期での引き出しを前提とせず、長く続けることを想定して始めるのが望ましい制度です。なお、加入できるのは一定規模以下の事業者などに限られているため、自分が対象になるかどうかは事前に確認しておきましょう。掛金は事業の経費そのものではなく所得控除として扱われる点も、覚えておきたいポイントです。掛金を事業の状況に合わせて増減する考え方や、赤字の年の使い方は赤字の年こそ使いたい節税の備えで解説しています。
選択肢2:iDeCo(個人型確定拠出年金)
老後資金づくりの手段として広く知られているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。自分で運用しながら老後資金を準備する制度です。
制度の概要
iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用しながら、原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。掛金の上限は加入区分によって異なり、個人事業主の場合は会社員より高めに設定されています。
税制上のメリット
掛金は全額が所得控除の対象になる
運用中に得られた利益に対する税金が優遇される
受け取り時にも、退職所得控除や公的年金等控除といった優遇がある
注意しておきたい点
iDeCoは老後資金づくりを目的とした制度のため、原則として60歳まで引き出すことができません。また、運用成果によって将来受け取る額が変動する点も理解しておく必要があります。
選択肢3:その他の備え方
共済やiDeCoのほかにも、将来に備える方法はあります。それぞれの特徴を知り、組み合わせて考えることが大切です。
国民年金基金・付加年金
国民年金に上乗せする形で年金額を増やす方法として、国民年金基金や付加年金があります。いずれも将来受け取る年金を手厚くするための仕組みで、掛金は所得控除(社会保険料控除)の対象になります(国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」国税庁)。なお、付加年金とiDeCoなど、併用に制限がある組み合わせもあるため、加入前に確認しておきましょう。
民間の保険・積立
生命保険会社などが扱う個人年金保険や、その他の積立商品も選択肢の一つです。一定の要件を満たせば生命保険料控除の対象になるものもあります(国税庁タックスアンサーNo.1140「生命保険料控除」国税庁)。ただし、商品によって仕組みや手数料が異なるため、内容をよく理解したうえで選ぶことが大切です。
制度を組み合わせて考える
節税効果を重視するなら、所得控除が大きい制度を中心に検討する
急な資金需要に備えるなら、引き出しやすさも考慮する
一つに偏らず、複数を組み合わせてバランスをとる
たとえば、廃業や引退に備える資金は小規模企業共済で、老後の年金は iDeCo で、というように目的別に使い分ける方法があります。それぞれの制度には掛金の上限があるため、複数を組み合わせることで、より多くの金額を所得控除に活かせる場合もあります。制度を上手に組み合わせる具体的な考え方は将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方が参考になります。所得控除と並ぶ代表的な節税策として、青色申告特別控除65万・55万・10万の違いもあわせて検討する価値があります。掛金を正しく所得控除に反映させる申告に不安がある方は、所得控除の反映まで任せる確定申告代行という選択肢もあります。ただし、加入できる条件や併用の制限は制度によって異なるため、自分の状況で何が利用できるのかを確認したうえで設計することが大切です。無理のない範囲で、長く続けられる組み合わせを選びましょう。
よくある質問
Q. 収入が不安定でも積み立てを始められますか?
小規模企業共済のように、掛金を月1,000円から設定でき、後から増減できる制度もあります。無理のない金額から始め、事業が好調なときに増やすなど、柔軟に調整しながら続けることが可能です。
Q. 節税のためだけに加入してもよいのでしょうか?
掛金が所得控除になる制度は確かに節税につながりますが、本来の目的は将来への備えです。引き出しの制限や元本割れの可能性なども踏まえ、ご自身のライフプランに合うかどうかを基準に判断することをおすすめします。
Q. どの制度が一番おすすめですか?
最適な選択肢は、年齢や収入、いつ・どのように資金を使いたいかによって変わります。一つに絞る必要はなく、複数を組み合わせる方法もあります。判断に迷う場合は、専門家に相談しながら検討すると安心です。
今日から始める個人事業主の退職金づくり
個人事業主には会社が用意してくれる退職金制度がない分、将来の資金は自分で計画的に準備していく必要があります。小規模企業共済やiDeCoは、掛金が所得控除の対象になり、節税しながら備えられる代表的な制度です。さらに国民年金基金や民間の保険なども組み合わせることで、より自分に合った備え方ができます。大切なのは、それぞれの制度のメリットだけでなく、引き出しの制限や元本割れの可能性といった注意点も理解したうえで選ぶことです。無理のない金額から早めに始め、事業の状況に応じて調整していきましょう。なお、制度の詳細や控除の取り扱いは変わることもあるため、最新情報は国税庁サイトや各制度の公式窓口等でご確認ください。
将来への備えを進めても、その掛金を申告できちんと控除に反映できなければ節税効果は活きません。領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書をお送りいただくだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までをサポートし、共済やiDeCoなどの掛金を正しく所得控除に反映させるお手伝いもしています。初期費用0円・税理士監修で、将来への備えと日々の経理を両立できます。節税と経理を両立できるか、無料相談で確かめてみることができ、相談は無料です。はじめての方はサービス開始までの流れを確認すると安心して始められます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








