所得控除と税額控除の違い|節税効果が大きいのはどっち?をやさしく解説
#
税金

所得控除と税額控除は、税金が計算されるどの段階で差し引くかが異なり、同じ金額なら税額控除のほうが減税効果は大きくなります。2つの違いを税額計算の流れに沿って整理し、控除を取りこぼさないコツまでまとめました。
確定申告の説明を読んでいると、「所得控除」と「税額控除」というよく似た言葉が出てきます。どちらも税金を安くする仕組みだと何となく分かっていても、その違いをはっきり説明できる方は意外と少ないものです。この2つは、税金が計算される過程のどの段階で差し引かれるかがまったく異なり、その違いが節税効果の大きさに直結します。
☑ 「所得控除」と「税額控除」という言葉を聞くが、何が違うのかピンとこない
☑ 確定申告でいろいろな控除を使っているが、それぞれどう税金が安くなるのか分からない
☑ 同じ控除でも節税効果に差があると聞いたが、どちらが得なのか判断できない
そもそも所得税はどう計算されるのか
所得控除と税額控除の違いを理解するには、まず所得税がどのような順番で計算されるのかを知っておくと分かりやすくなります。所得税の全体像は、国税庁タックスアンサーNo.1000「所得税のしくみ」国税庁の解説ページで確認できます。
税額が決まるまでの流れ
所得税は、おおまかに次のような流れで計算されます。この「どの段階で控除が効くか」が、2つの控除の決定的な違いになります。
(1) 収入から経費を引いて「所得」を出す
(2) 所得から「所得控除」を引いて「課税所得」を出す
(3) 課税所得に税率を掛けて「税額」を出す
(4) 税額から「税額控除」を引いて「納める税金」が決まる
控除が効く位置が違う
この流れを見ると、所得控除は(2)の段階、つまり税率を掛ける前に所得を減らす控除であることが分かります。一方、税額控除は(4)の段階、つまり税率を掛けて計算された税額そのものから直接差し引く控除です。同じ「控除」でも、効くタイミングがまるで違うのです。
所得控除とは
所得控除は、税率を掛ける前の所得を小さくする控除です。所得が小さくなれば、それに税率を掛けた税額も小さくなる、という間接的な効き方をします。
所得控除の主な例
所得控除には、生活の事情に応じた多くの種類があります。代表的なものを挙げます。
基礎控除(だれもが受けられる基本の控除)
配偶者控除・扶養控除(家族を養っている場合)
社会保険料控除(国民年金・国民健康保険など)
生命保険料控除・地震保険料控除
医療費控除・寄附金控除・小規模企業共済等掛金控除
節税効果は税率によって変わる
所得控除の特徴は、節税効果がその人の税率によって変わる点です。所得税は累進課税で、所得が高いほど高い税率が適用されます。適用される税率は、国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」国税庁の解説ページで確認できます。同じ10万円の所得控除でも、税率が高い人ほど軽減される税額が大きくなります。たとえば税率が高い人の10万円の所得控除と、税率が低い人の10万円の所得控除では、後者のほうが軽減額は小さくなります。所得控除は「所得を減らす」控除なので、効果は税率次第というわけです。青色申告特別控除の段階別の節税額は、青色申告特別控除65万・55万・10万の節税額の試算で確認できます。
税額控除とは
税額控除は、計算された税額から直接差し引く控除です。所得を経由せず、税金そのものを減らすため、控除額がそのまま減税額になるのが大きな特徴です。
税額控除の主な例
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
配当控除
政党等寄附金特別控除や認定NPO法人等への寄附金特別控除(税額控除を選んだ場合)
外国税額控除
控除額がそのまま減税につながる
税額控除は、たとえば10万円の税額控除であれば、納める税金が原則そのまま10万円減ります。所得控除のように税率の高さで効果が変わることがなく、控除額イコール減税額になります。そのため、同じ金額であれば税額控除のほうが減税のインパクトは大きくなるのが一般的です。住宅ローン控除が「節税効果が大きい」と言われるのは、この税額控除の仕組みによるものです。
節税効果が大きいのはどっち?
ここまでの説明をふまえて、本記事の核心である「どちらの節税効果が大きいのか」を整理します。
金額が同じなら税額控除が有利
同じ金額であれば、税額控除のほうが減税効果は大きくなります。税額控除は税金から直接引かれるのに対し、所得控除は税率を掛ける前の所得から引かれるため、実際の減税額は控除額に税率を掛けた分にとどまるからです。たとえば控除額が同じ10万円でも、税額控除なら約10万円の減税、所得控除なら税率分の減税という違いが生まれます。
単純比較できないことも多い
とはいえ、所得控除と税額控除は対象となる支出や事情がそれぞれ異なり、自由に選べるものではありません。多くの控除は「これは所得控除」「これは税額控除」と決まっています。一部の寄附金のように選択できるケースもありますが、その場合は両方で試算して有利なほうを選ぶのが基本です。どちらが得かを気にするよりも、「自分が使える控除をもれなく適用する」ことが、結果として最も大きな節税につながります。記帳代行のご相談でも「この支出は控除の対象になりますか」という質問は特に多く、日々の記録が整っているほど使える控除を見つけやすくなります。どの支出がどの控除に当たるか判断まで任せたいなら、控除の判断ごと申告を任せる方法もあります。最新の控除内容や適用要件は年度によって変わることがあるため、国税庁のサイト等もあわせてご確認ください。
順番に注目すると見えてくること
もう一度、税金が計算される流れを思い出してみましょう。所得控除は「所得を減らす」段階で効き、税額控除は「税額を減らす」最後の段階で効きます。この順番を意識すると、たとえば医療費控除や社会保険料控除といった所得控除をしっかり積み上げて課税所得を下げ、そのうえで住宅ローン控除のような税額控除で最後に税額を直接減らす、という二段構えの効果がイメージしやすくなります。所得控除で土台を整え、税額控除で仕上げる、と考えると分かりやすいでしょう。個人事業主の方であれば、小規模企業共済等掛金控除のように、将来への備えをしながら所得控除を増やせる制度を活用するのも一つの方法です。小規模企業共済の掛金は月額1,000円から7万円までの範囲で設定でき、支払った全額が所得控除の対象になります。こうした制度の組み合わせ方は、フリーランスが将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方で整理しています。無理のない範囲で課税所得を抑えることができます。
よくある質問
Q. 結局、自分でどちらを選べるのですか?
ほとんどの控除は、所得控除か税額控除かがあらかじめ決まっており、自分で選ぶことはできません。たとえば生命保険料控除は所得控除、住宅ローン控除は税額控除と決まっています。一部の寄附金のように選択できる例外がありますが、基本は「使える控除をすべて使う」と考えておけば問題ありません。
Q. 税額控除が税額より大きい場合はどうなりますか?
税額控除の種類によって扱いが異なります。控除しきれなかった分が翌年以降に繰り越せるものや、住民税から差し引けるものもありますが、引ききれずに切り捨てられる場合もあります。控除の種類ごとに取り扱いが違うため、詳しくは国税庁のサイトや税務署で確認すると確実です。
Q. 所得控除をたくさん使っても、所得が少ないと意味がないのですか?
所得控除は所得を減らす仕組みなので、もともと所得が少なく税金がほとんど発生しない場合は、控除を増やしても軽減できる税額は限られます。ただし、所得控除は住民税の計算にも影響することが多く、無駄になるとは限りません。世帯で控除をどう配分すると手取りが増えるかは、夫婦で事業と給与がある世帯の手取り最適化で整理しています。自分の状況に合わせて、使える控除はもれなく申告しておくことをおすすめします。
結論|控除は取りこぼさないことが最大の節税
所得控除と税額控除は、どちらも税金を軽くする制度ですが、効く位置が異なります。所得控除は税率を掛ける前の所得を減らし、税額控除は計算後の税額から直接差し引きます。そのため、同じ金額であれば税額控除のほうが減税効果は大きくなるのが一般的です。住宅ローン控除のように節税効果が大きいと言われる控除は、この税額控除の仕組みによるものです。
もっとも、多くの控除はどちらに当たるかが決まっており、自由に選べるわけではありません。大切なのは違いを理解したうえで、自分が使える控除を一つも取りこぼさないことです。仕組みが分かれば、確定申告のときに「この支出は控除できるかもしれない」と気づけるようになり、結果として納める税金を適切に抑えられます。制度の詳細や年度ごとの変更点は、国税庁のサイト等で最新情報をご確認ください。
「どの控除が使えるのか、自分ではどうも自信が持てない」という方は、領収書丸投げドットコムにお任せください。領収書や請求書を送っていただくだけで、記帳から確定申告書類の作成までをトータルでサポートし、所得控除・税額控除のどちらに当たる支出なのかといった判断もおまかせいただけます。何枚送っても定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円で始められます。使える控除を取りこぼさない申告を相談してみることができます。相談は無料です。費用が気になる方は、料金プランを確かめるところからご覧ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








