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所得1000万円超の個人事業主が検討すべ...

2026/7/19

所得1000万円超の個人事業主が検討すべき節税と法人化を解説

  • 税金

所得1000万円超の個人事業主は、小規模企業共済やiDeCoで土台を固め、専従者給与や設備投資で所得を圧縮し、法人化まで視野に入れるのが王道です。累進課税で重くなる税負担への対策を解説します。

事業が軌道に乗り、所得が1000万円を超えてくると、これまでとは桁違いの税負担に驚く方が少なくありません。所得税は累進課税のため、所得が増えるほど税率も上がり、住民税や国民健康保険料まで含めると「稼いだ実感がわかない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

☑ 所得が1000万円を超えて、税金が一気に重く感じるようになった

☑ 個人のままがよいのか、法人化すべきなのか判断がつかない

☑ 高所得者向けの節税策が多すぎて、何から手をつければよいかわからない

所得1000万円超の個人事業主が検討すべき節税策と、法人化の判断基準を整理します。所得控除の積み上げから法人化のメリット・デメリットまで、優先順位をつけて、自分の状況に当てはめながら読み進められるように進めます。

所得1000万円超で税負担が重くなる理由

累進課税で高い税率がかかる仕組み

所得税は、課税所得が増えるほど税率が段階的に上がる累進課税を採用しています。課税所得が900万円を超えると所得税率は33%、さらに上の区分では40%超の税率がかかる部分も生じます。これに住民税のおおむね10%が加わるため、所得の高い部分には合計で40%を大きく超える税率がかかることになります。

つまり、所得1000万円超のゾーンでは「あと100万円稼いでも、その多くが税金で消える」という感覚になりやすいのです。だからこそ、課税される所得をいかに圧縮するかが、この層の節税のカギになります。決算期をにらんで利益をならす考え方は決算期をにらんだ所得の平準化も参考になります。

社会保険料・国保も負担を押し上げる

個人事業主が加入する国民健康保険料は、所得に応じて計算され、上限はあるものの所得が高いほど負担も大きくなります。国民年金と合わせると、税金とは別に相当額が出ていきます。所得が高い層では、税金だけでなくこうした社会保険料も含めた「手取り全体」で対策を考える視点が欠かせません。

「所得を減らす」と「効率よく備える」の両立

高所得者の節税は、単に課税所得を減らすだけでなく、減らしたお金を将来の備えや事業の成長に振り向けられるかどうかが重要です。やみくもに経費を使って所得を減らすのではなく、退職金や年金の原資、設備投資など、後で自分や事業に返ってくる形で課税所得を圧縮するのが理想です。

まず固めたい所得控除・共済の活用

小規模企業共済で将来の退職金を準備

小規模企業共済は、個人事業主が将来の廃業や引退に備えて積み立てる制度で、掛金は全額が所得控除の対象になります。掛金は月額で上限が定められており、年間でまとまった額を所得から差し引けるため、高所得者ほど節税効果が大きくなります。受け取るときも退職所得や公的年金等として扱われ、税制面で優遇されている点が魅力です。

iDeCoで老後資金と節税を同時に

iDeCo(個人型確定拠出年金)も、掛金が全額所得控除になる制度です。国民年金基金や付加保険料と合わせた範囲内で掛けることができ、運用益が非課税になる点も含めて、老後資金づくりと節税を両立できます。所得が高く税率も高い方ほど、控除による還付効果を実感しやすい仕組みです。

経営セーフティ共済で利益を繰り延べる

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産に備える制度ですが、掛金を必要経費に算入できるため、利益の繰り延べ手段としても使われます。掛金には月額・累計の上限があり、一定期間納め続ければ解約時に掛金がほぼ戻ってきます。ただし解約時の返戻金は収入として課税されるため、「いつ解約するか」の出口戦略とセットで考えることが大切です。

事業の所得そのものを圧縮する方法

家族への専従者給与で所得を分散

事業を手伝ってくれる家族がいる場合、青色事業専従者給与を活用すると、世帯全体での税負担を抑えられることがあります。所得1000万円超の本人に所得が集中していると高い税率がかかりますが、適正な範囲で家族に給与を支払えば、累進税率の低い部分に所得を分散できます(制度の要件は国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」)。基本的な考え方は青色事業専従者給与とはで解説しています。ただし、実際の労働の対価として妥当な金額であること、事前に届出を行うことなどの要件があり、過大な給与は否認されるリスクがある点に注意が必要です。

必要な設備投資と少額減価償却の特例

事業の成長に必要な設備投資は、減価償却を通じて複数年にわたり経費化できます。青色申告者であれば、一定額未満の少額な減価償却資産について、購入した年に一括で経費にできる特例を使える場合があります。利益が大きく出た年に必要な投資を前倒しすることで、課税所得を抑えつつ事業基盤を強化できます。ただし、節税のためだけに不要なものを買うのは本末転倒です。

青色申告特別控除と正確な経費計上

基本に立ち返ると、青色申告特別控除(最大65万円)を確実に受けることや、事業に関連する経費を漏れなく正確に計上することも、立派な節税です。所得が高いほど、控除や経費1円あたりの節税効果は大きくなります。複式簿記による記帳とe-Taxでの申告など、65万円控除の要件を満たしているか、改めて確認しておきましょう。取引が増えて記帳が追いつかない場合は、記帳代行というやり方で帳簿を正確に保つのが近道です。

法人化(法人成り)を検討するタイミング

個人と法人の税率差がメリットの源泉

所得が1000万円を超えるあたりから、多くの個人事業主にとって法人化が現実的な選択肢になります。個人の所得税は累進課税で最高税率が高い一方、法人税はおおむね一定の税率で、利益が大きいほど個人より税率が低くなる傾向があります。この税率差に加え、自分への役員報酬に給与所得控除が使える点も、法人化の大きなメリットです。役員報酬による所得分散の考え方は法人と個人の給与分散による節税で整理しています。

法人化で広がる節税・制度の選択肢

  • 役員報酬を通じて所得を法人と個人に分けられる

  • 役員退職金の支給で、将来まとまった資金を税制優遇のある形で受け取れる

  • 生命保険や福利厚生など、法人ならではの制度を活用できる

  • 取引先によっては法人のほうが信用を得やすく、事業拡大につながる

このように、法人化は単なる節税にとどまらず、事業の成長や信用面でもプラスに働くことがあります。所得が高く、今後も事業を伸ばしていきたい方ほど、検討する価値があります。個人事業と小さな法人を併用する考え方はマイクロ法人という二刀流にまとめています。

法人化のデメリットとコストも直視する

一方で、法人化には見落とせないコストもあります。設立に費用がかかるほか、利益が出ていなくても毎年かかる住民税の均等割、社会保険への加入義務、会計や申告が複雑になることによる税理士報酬の増加などです。社会保険料は会社負担分も発生するため、トータルの負担が増えるケースもあります。節税額がこれらのコストを上回るかを、具体的な数字でシミュレーションしてから判断することが欠かせません。

判断を誤らないための進め方

「所得」と「手取り・将来」を切り分けて考える

節税策を選ぶときは、目先の税額だけでなく、将来戻ってくるお金や手取りへの影響まで含めて考えることが大切です。たとえば共済やiDeCoは今の所得を減らしつつ将来の自分に返ってきますが、経費を使い切る節税は手元のお金そのものが減ります。所得1000万円超の層では、「お金を残しながら税金を抑える」発想が特に重要になります。

シミュレーションは複数年・複数パターンで

法人化や大きな共済の活用は、1年だけ見て判断すると誤りやすい施策です。所得が今後も安定して高い水準で続くのか、一時的なものなのかによって、最適な選択は変わります。複数年・複数パターンで税額と手取りを試算し、無理のない範囲で対策を組み合わせましょう。

専門家への相談で全体最適を図る

高所得者の節税は、所得税・住民税・社会保険・消費税・将来の相続まで関わる総合的な判断が必要です。個別の制度を断片的に使うより、全体のバランスを見ながら設計したほうが効果は高まります。判断に迷うときは、早めに税理士など専門家へ相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 所得がいくらになったら法人化を考えるべきですか?

明確な基準があるわけではありませんが、課税所得がおおむね800万〜1000万円を超えるあたりが、法人化を具体的に検討し始める一つの目安とされています。ただし、社会保険料の負担増や法人維持コストもあるため、金額だけで一律に決めるのではなく、事業の見通しや将来の手取りを含めてシミュレーションしたうえで判断することが大切です。

Q. 高所得だと税務調査が入りやすいというのは本当ですか?

所得が大きいほど、申告内容に誤りがあった場合の影響も大きいため、税務当局の関心が高まりやすいのは事実です。だからこそ、過度な節税や根拠のない経費計上は避け、帳簿と証拠書類をきちんと整え、正確な申告を行うことが何よりの備えになります。正しい記帳は、安心して節税策を活用するための土台です。

Q. とにかく経費を増やせば節税になりますか?

事業に必要な支出であれば経費計上は正当な節税ですが、節税のためだけに不要なものを買うのは、結局は手元のお金を減らすだけになりがちです。所得が高い層ほど、共済やiDeCoのように「将来に返ってくる形」で課税所得を圧縮する方法を優先し、経費はあくまで事業に本当に必要なものに絞るのが賢明です。

所得1000万円超は「攻めの節税」と「正確な記帳」の両輪で|まとめ

所得1000万円超の個人事業主にとっては、小規模企業共済やiDeCo、経営セーフティ共済といった所得控除・繰り延べ策で土台を固めたうえで、専従者給与や必要な設備投資で所得を圧縮し、さらに法人化まで視野に入れるのが王道の流れです。いずれも目先の税額だけでなく、将来の手取りまで見据えて、複数年で考えることがポイントになります。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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