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消耗品費と備品の違い|10万円・20万円...

2026/7/19

消耗品費と備品の違い|10万円・20万円・30万円の境界を解説

  • 税務

消耗品費と備品の違いは、取得価額が10万円・20万円・30万円のどのラインに収まるかで決まります。10万円未満は消耗品費、青色申告なら30万円未満まで一括で経費にできる特例など、金額別の処理を一枚の地図のように整理しました。

仕事に使う道具を買ったとき、「これは消耗品費でいいのか、それとも備品として何年かに分けるのか」と立ち止まった経験はないでしょうか。文房具やコピー用紙ならすぐに消耗品費だと分かりますが、パソコンや家具のように少し値の張るものになると、とたんに判断がむずかしくなります。そのモヤモヤを解くカギが、次に見る3つの金額の境界です。

☑ パソコンや机を買ったとき、消耗品費と備品のどちらにするか迷う

☑ 「10万円」「20万円」「30万円」という金額の境界がよく分からない

☑ 高い買い物をしたら、その年に全額経費にできるのか不安だ

消耗品費と備品はどう違うのか

まずは、消耗品費と備品(固定資産)の基本的な考え方を押さえましょう。両者の違いは「経費にするタイミング」にあります。どこまでが必要経費になるかの考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」国税庁の解説ページで確認できます。

消耗品費はその年に全額経費

消耗品費は、使えばなくなるものや、比較的安価で短期間しか使わないものにかかった費用です。買った年にそのまま全額を経費にできます。次のようなものが代表例です。

  • コピー用紙やインク、文房具

  • 梱包資材や清掃用品

  • 10万円未満の事務机や小型家電

備品は固定資産として数年に分ける

一方、長く使う高価なものは「備品」として固定資産に計上し、減価償却によって何年かに分けて少しずつ経費にしていきます。買った年に全額を経費にはできないのが原則です。

このように、同じ「買い物」でも、金額や使う期間によって処理が分かれます。その分かれ目になるのが、次に説明する金額の境界です。そもそもの帳簿づけの基本から確認したい方は、個人事業主の帳簿の付け方入門もあわせて読んでおくと理解が早くなります。

10万円・20万円・30万円の境界を整理する

判断の中心になるのが、取得価額(本体価格に送料や設置費用などを加えた金額)です。金額ごとに使える処理が変わります。

10万円未満なら消耗品費

取得価額が10万円未満のものは、消耗品費としてその年に全額を経費にできます。使う期間の長さに関係なく、金額が小さければシンプルに経費化できる、と考えるとよいでしょう。

10万円以上20万円未満は一括償却資産が使える

取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」という方法が選べます。これは、取得価額を3年間で均等に経費にしていく仕組みです。通常の減価償却より計算が簡単になるのが特徴です。

30万円未満は少額減価償却資産の特例

青色申告をしている個人事業主であれば、取得価額が30万円未満のものについて、その年に全額を経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)を使える場合があります。ただし年間の合計額に上限があるなど条件があり、適用期限が延長を重ねている制度でもあります。利用を検討する際は、国税庁「少額減価償却資産の特例」の案内で最新の適用条件をご確認ください。

金額の数え方で見落としやすい点

金額の境界を考えるうえで、つまずきやすいポイントがあります。ここを誤ると判定そのものが変わってしまうので、丁寧に確認しましょう。こうした判定ミスは、個人事業主の帳簿づけでよくある間違い10選でも取り上げられる典型例です。

本体価格だけで判断しない

10万円未満かどうかを判定するときは、本体価格だけでなく、購入にかかった付随費用も含めた取得価額で考えます。送料、設置費用、初期設定費用などが含まれることがあります。実際にお預かりする領収書でも、送料や設置費を足すと10万円をわずかに超えてしまう買い物は珍しくありません。ネット通販で安く本体を買えたつもりでも、送料や手数料を足すと境界を超えてしまうケースは多いので、購入時の明細を見て、合計でいくら支払ったのかを必ず確認しましょう。

セットで使うものは合計で見る

応接セットのように、ひとまとまりで初めて機能するものは、1点ずつではなくセット全体の金額で判断します。机と椅子を別々に数えれば10万円未満でも、本来セットで使うものなら合計額で判定する点に注意しましょう。

消費税の扱いは経理方式で変わる

取得価額を税込で見るか税抜で見るかは、採用している経理方式によって変わります。税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で判定するのが基本です。たとえば本体価格が税抜9万8千円のものは、税込にすると10万円を超えることがあります。どちらで判定するかによって、消耗品費にできるかどうかの結論が変わることもあるため、自分がどの経理方式を採用しているかを確認しておきましょう。

10万円ちょうどは「10万円以上」になる

境界の金額ちょうどのときの扱いも、つまずきやすいポイントです。「10万円未満」とは10万円を含まない金額を指します。つまり取得価額が10万円ちょうどの場合は「10万円以上」の扱いとなり、そのままでは消耗品費にできません。1円の差で処理が変わることもあるため、金額の端数まで正確に確認しましょう。

どの方法を選べばよいか

10万円以上の買い物では複数の処理方法が選べることがあり、どれを使うかで使い勝手が変わります。似た迷いは日々の科目選びでも起こります。地代家賃・賃借料・支払手数料の使い分けもあわせて見ておくと、勘定科目の判断が楽になります。

その年の利益とのバランスで考える

その年の利益が大きい場合は、特例を使って一度に経費化すると効果的なこともあります。一方、利益が少ない年は、無理に一括で経費にせず数年に分けたほうがよい場合もあります。一概にどれが得とは言えないため、その年の状況に合わせて選びましょう。

処理の手間も考慮する

一括償却資産は計算が簡単で、固定資産税(償却資産)の対象外になるという利点もあります。手間と効果の両面から、自分の事業に合った方法を選ぶことが大切です。とくに開業して間もない時期は、利益がまだ大きくないことも多いため、一度に経費化することにこだわりすぎないほうがよい場合もあります。毎回の判定や固定資産台帳の管理が負担なら、日々の記帳を任せる記帳代行という方法もあります。

選んだ後の管理も忘れずに

固定資産として計上したものは、毎年の決算で減価償却の計算を続けていく必要があります。買ったときの処理だけでなく、その後の管理まで見据えて方法を選ぶことが大切です。固定資産台帳のような形で、取得日・金額・選んだ処理方法をまとめて記録しておくと、翌年以降の作業がぐっと楽になります。後から「どう処理したか分からない」と困らないよう、買った時点でメモを残す習慣をつけましょう。

よくある質問

Q. 9万円のパソコンを2台買いました。合計18万円なので備品ですか?

判定は1台ごとに行うのが基本です。1台あたり9万円であれば10万円未満となり、それぞれ消耗品費として処理できます。合計額ではなく、1つの資産としての単位で考えると覚えておきましょう。

Q. 白色申告でも30万円未満の特例は使えますか?

少額減価償却資産の特例は青色申告をしている方が対象です。白色申告の場合は使えませんので、10万円以上のものは原則どおり減価償却するか、20万円未満であれば一括償却資産の方法を検討することになります。

Q. 中古で買ったものも同じ基準で判断しますか?

金額の境界(10万円・20万円・30万円)の考え方は中古でも同じです。ただし減価償却する場合の使用できる年数(耐用年数)は、中古資産特有の計算になることがあります。判断に迷う場合は専門家に確認すると安心です。

今日から使える判定の結論

消耗品費と備品の違いは、「金額がいくらか」と「どの申告方法を選んでいるか」で決まります。10万円未満なら消耗品費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産、青色申告なら30万円未満まで一括で経費にできる特例、という3つのラインを押さえておけば、迷う場面はぐっと減るはずです。

判定の際は、本体価格だけでなく送料や設置費用を含めた取得価額で考えること、セットで使うものは合計で見ること、消費税の扱いは経理方式に合わせることがポイントです。買ったときに「いくらだったか」「どう使うか」をメモしておくと、後の処理がスムーズになります。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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