消費税の確定申告のやり方|個人事業主の計算と納付の流れを解説
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税務

消費税の確定申告は、預かった消費税から支払った消費税を引いて納めるという基本さえつかめば難しくありません。課税事業者になる条件、原則課税と簡易課税の選び方、申告から納付までの流れを、個人事業主向けに順を追って整理します。
はじめて消費税の確定申告をする年は、誰でも戸惑うものです。これまで所得税の申告だけだった方にとって、消費税は計算の考え方も申告の流れもまったく別物に感じられ、「何から手をつければいいのか」と不安になるのも無理はありません。期限までに正しく納められるか、心配になりますよね。けれども、消費税の申告は流れを一つずつ理解すれば、決して手に負えないものではありません。全体像をつかんで、落ち着いて準備を進めていきましょう。
☑ 所得税は分かるが、消費税の申告となると何をすればいいか分からない
☑ 消費税の計算方法に「原則」と「簡易」があると聞いて混乱している
☑ いつ、いくら、どうやって納めるのか流れがつかめていない
☑ インボイス登録をしたが、自分が申告の対象になるのか確信が持てない
消費税を申告するのはどんな人か
納税義務がある「課税事業者」
消費税の申告が必要なのは「課税事業者」です。原則として、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合に、課税事業者となります。また、インボイス制度に登録して適格請求書発行事業者になった方も、売上高にかかわらず課税事業者として申告が必要です。消費税の基本的なしくみは、国税庁タックスアンサーNo.6101「消費税の基本的なしくみ」で確認できます。
申告と納付の期限
個人事業主の消費税の確定申告と納付の期限は、原則として翌年の3月31日です。所得税の期限(3月15日)とは少しずれている点に注意が必要です。期限が近づいてから慌てないよう、早めに準備を進めておくと安心です。とくに初年度は、所得税の申告を終えてほっとしているうちに消費税の期限が迫ってくる、ということが起こりがちです。両方の期限を一つのカレンダーにまとめて管理しておくと、うっかり忘れを防げます。
消費税の計算の基本的な考え方
「預かった消費税」から「支払った消費税」を引く
消費税の基本は、とてもシンプルな引き算です。売上のときにお客様から預かった消費税から、仕入れや経費の支払いのときに自分が支払った消費税を差し引いた残りを、国に納めます。この、支払った消費税を差し引くしくみを「仕入税額控除」といいます。
売上で預かった消費税 …(A)
仕入れ・経費で支払った消費税 …(B)
納める消費税 = (A) − (B)
税率の区分にも注意
消費税には、標準税率10%と、飲食料品などにかかる軽減税率8%があります。売上や経費に両方の税率が混ざる場合は、税率ごとに分けて集計する必要があります。日々の記帳の段階で税率を区分しておくと、申告時の作業がぐっと楽になります。そもそもの帳簿づけに不安があれば、個人事業主の帳簿の付け方入門で基本を押さえておくとよいでしょう。
計算方法は「原則課税」と「簡易課税」の2つ
原則課税(本則課税)
原則課税は、実際に支払った消費税を一つひとつ集計して仕入税額控除を計算する方法です。実態に即した正確な計算ができる反面、すべての取引の消費税を区分して集計する必要があり、手間がかかります。
簡易課税
簡易課税は、課税売上高が一定額以下の事業者が選べる簡便な方法です。実際に支払った消費税を集計せず、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って控除額を計算します。制度の詳しい要件は国税庁タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」で確認できます。
仕入れの集計が不要なため、事務負担を大きく減らせます
業種によって控除の割合が決まっているため、計算がシンプルです
適用には事前の届出が必要で、原則として2年間は継続適用となります
なお、インボイスを機に課税事業者になった方には、納税額を売上にかかる消費税の2割に抑えられる経過措置(2割特例)を使える場合もあります。どの方法が有利かは事業の内容によって変わるため、迷う場合は専門家に相談すると安心です。
申告から納付までの実際の流れ
準備するもの
1年分の売上の記録(税率区分を含む)
仕入れ・経費の記録と領収書・請求書
インボイスの保存(原則課税で控除を受ける場合)
メールやネット注文で受け取った請求書・領収書は電子データでの保存が求められる場合があり、扱いは電子取引データの保存要件にまとめられています。
申告書の作成と提出
集計した数字をもとに、消費税の確定申告書を作成します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで申告書を作成できます。作成した申告書は、e-Taxまたは郵送・持参で税務署に提出します。
納付の方法
納付は、振替納税、ダイレクト納付、クレジットカード納付、金融機関やコンビニでの納付など、複数の方法から選べます。振替納税を選んでおくと、口座から自動で引き落とされるため、納め忘れを防げます。納付期限を過ぎると延滞税がかかることがあるため、期限管理は大切です。
はじめての年に気をつけたいこと
資金を準備しておく
消費税は、所得税とは別に納める必要があります。お客様から預かった消費税は「いずれ納めるお金」と考え、使い切ってしまわないよう、あらかじめ取り分けておくと納付のときに慌てません。
日々の記帳を税率区分で整える
申告期に一気に集計しようとすると大きな負担になります。日頃から、売上や経費を税率ごとに区分して記帳しておくことが、正確でスムーズな申告につながります。クラウド会計ソフトを使えば、取引を入力する際に税率を選ぶだけで自動的に区分されるため、集計の手間を減らせます。税率区分の記帳まで手が回らない場合は、税率区分を含めた記帳の代行に任せる方法もあります。
計算方法の選び方をもう少し詳しく
事業の経費構造で考える
原則課税と簡易課税のどちらが向いているかは、事業の経費の構造によって変わります。商品を仕入れて販売する事業や、外注費・材料費が多い事業は、支払う消費税が大きいため、それを差し引ける原則課税が有利になりやすい傾向があります。一方、人的なサービスが中心で経費の少ない事業は、簡易課税のほうが納税額を抑えられることがあります。
届出のタイミングに注意
簡易課税や2割特例といった有利な方法を使うには、事前の届出や適用要件があります。とくに簡易課税は、原則として適用したい課税期間が始まる前までに届出を出す必要があり、後から「やっぱり簡易課税にしたい」と思っても、その年には間に合わないことがあります。
制度を選ぶ前に、複数の方法で税額を試算して比べておく
届出の期限を事前に確認し、余裕をもって手続きする
一度選ぶと一定期間は変更できない方法もある点に留意する
制度の選び方ひとつで納税額が変わるため、最初の判断はとても大切です。インボイス制度の広がりで、これから課税事業者になる方も増えています。制度の変化に備える意味では、電子インボイス(Peppol)とは?個人事業主への影響も押さえておくとよいでしょう。具体的な要件や期限は国税庁サイト等でご確認ください。
よくある質問
Q. 所得税の申告とは別に手続きが必要ですか?
はい、消費税の確定申告は所得税の確定申告とは別の手続きです。申告書も納付も別々に行います。期限も所得税は3月15日、消費税は原則3月31日と異なるため、それぞれ忘れずに対応しましょう。
Q. 簡易課税と原則課税は、どちらが得ですか?
一概にはいえません。仕入れや経費が多い事業では原則課税が有利になることもあれば、経費が少ない事業では簡易課税が有利になることもあります。業種や経費の状況によって変わるため、両方で試算して比べるのがおすすめです。
Q. 納める消費税が払えそうにないときはどうすればいいですか?
まずは早めに税務署へ相談することが大切です。一定の要件を満たせば、分割して納める制度などを利用できる場合があります。放置すると延滞税が増えてしまうため、支払いが難しいと感じたら早めに動きましょう。詳細は国税庁サイト等でご確認ください。
結論:流れをつかめば消費税申告は難しくない
消費税の確定申告は、「預かった消費税から支払った消費税を引いて納める」という基本の考え方さえつかめれば、決して難しいものではありません。あとは、計算方法(原則課税か簡易課税か)を選び、申告書を作成し、期限までに納付するという流れを順番にこなしていくだけです。
はじめての年は不安が大きいかもしれませんが、いちばんの近道は、日々の記帳を税率区分で整えておくことです。日頃の積み重ねが、申告期の負担を大きく軽くしてくれます。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








