商品券・ギフトカードを発行・受領したときの記帳と売上計上を解説
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税務

商品券・ギフトカードは、もらった側は資産、贈答用に買った側は渡したときに経費、発行した側は前受金として扱い、使われたときに売上へ振り替えるのが基本です。立場ごとの記帳と売上計上のタイミングを整理します。
商品券は現金でも商品でもない中間的な性格のため、いざ記帳しようとすると仕訳に迷いがちです。受け取った側か発行した側か、贈答用に買ったのか自社で発行したのかで処理が正反対になる点を、先に押さえておきましょう。
☑ お得意先からお歳暮代わりに商品券をもらったが、売上として記帳するのか経費なのか判断がつかない
☑ サービスのお礼に自社でギフトカードを配ったとき、どの勘定科目で処理すればよいかわからない
☑ 商品券を発行して後日商品と引き換えたが、売上を計上するタイミングがあいまいで不安だ
商品券やギフトカードは、贈り物としても販売促進の手段としても身近な存在です。ところがいざ記帳しようとすると、「現金でもないし、商品でもない」中間的な性格のため、どう仕訳すればよいのか迷ってしまう方が少なくありません。受け取った側なのか発行した側なのかでも処理がまったく変わるため、混乱しやすいテーマです。
個人事業主やフリーランスの方が商品券・ギフトカードを「もらったとき」「使ったとき」「発行したとき」「受け取って使われたとき」に、それぞれどう記帳し、いつ売上を計上するのかを整理します。自分のケースでどの勘定科目を使い、どのタイミングで計上すればよいかをイメージする手がかりにしてください。
商品券・ギフトカードの基本的な性格を押さえましょう
商品券は「お金に近い券」
商品券やギフトカードは、決まった金額分の商品やサービスと引き換えられる券です。額面分の価値を持ち、現金のように使える点が特徴で、会計の世界では金券として扱われます。切手や収入印紙、プリペイドカードなどと同じ仲間と考えると、性格がつかみやすくなります。
大切なのは、「券そのもの」と「券で買える商品」を分けて考えることです。券を持っているだけでは、まだ商品やサービスを受け取っていません。実際に使って初めて、商品やサービスとの交換が成立します。このズレを意識することが、記帳のポイントになります。
「もらった側」と「発行した側」で処理は逆になる
同じ商品券でも、立場によって会計上の意味は正反対になります。
もらった側・買った側:将来使える価値を手に入れた状態。資産を受け取った、または経費を支払ったと考えます。
発行した側・売った側:将来商品やサービスを渡す約束をした状態。代金を先に受け取った「預かり」のような性格を持ちます。
まずは「自分はどちらの立場なのか」をはっきりさせることが、正しい記帳の出発点です。以下では立場ごとに分けて見ていきます。
商品券・ギフトカードを「もらった」「受け取った」ときの記帳
取引先からお礼や贈答として受け取った場合
事業に関連して取引先から商品券を受け取った場合、それは事業上の収入にあたると考えるのが基本です。たとえば紹介のお礼や、取引のお祝いとして商品券をもらったケースです。受け取った時点で、額面の金額を雑収入などの収入として計上します。
受け取った商品券をすぐに使わず手元に保管している間は、現金と同じような資産として扱います。帳簿上は「他店商品券」や「商品券」といった資産科目、あるいは仕訳をシンプルにしたい場合は現金に準じて管理する方法もあります。額面と使った記録をメモしておくと、後で残高が合わなくなる心配が減ります。
もらった商品券を事業の支払いに使ったとき
受け取って資産として持っていた商品券を、事業の備品購入などに使った場合は、商品券という資産が減り、代わりに経費や物品を手に入れた形になります。たとえば消耗品を商品券で購入したなら、消耗品費などの経費を計上し、その分だけ手元の商品券残高を減らします。
一方、もらった商品券をプライベートな買い物に使った場合は、事業の経費にはなりません。事業として受け取った収入を、私的に使ったという扱いになります。事業用とプライベートをきちんと区別しておくことが、後々のトラブルを防ぎます。
自分でお金を出して商品券を購入したとき
取引先への贈答用などに、自分でお金を出して商品券を買うこともあります。この場合、買った時点ではまだ「金券という資産」を現金に換えただけで、経費にはなりません。実際に贈答として相手に渡したときに、その目的に応じて接待交際費などの経費として計上するのが原則的な考え方です。贈答用の商品券は、お中元・お歳暮の品物と同じく、お中元・お歳暮・手土産と交際費の使い分けや、贈答にかかる費用と節税の考え方もあわせて確認しておくと、科目の判断がしやすくなります。
つまり「購入したとき」と「経費になるとき」がずれる点に注意が必要です。買ってから渡すまでに期間が空く場合は、未使用の商品券を資産として把握しておきましょう。なお、贈答の相手や目的によって使う勘定科目が変わることがあるため、判断に迷う場合は無理に断定せず、目的を記録に残しておくと安心です。
商品券・ギフトカードを「発行した」ときの売上計上
発行・販売した時点では売上にしないのが原則
自分のお店やサービスで使える商品券・ギフトカードを発行して販売した場合、現金は手元に入ってきますが、その時点ではまだ商品やサービスを提供していません。お客さまに対して「後で商品やサービスを渡します」という約束をしただけの状態です。
そのため、発行・販売した時点では売上に計上せず、預り金や前受金のような負債として扱うのが原則的な考え方です。受け取った現金は資産として増えますが、同じ額だけ「将来提供する義務」という負債も増える、とイメージするとわかりやすくなります。
商品券が使われたときに売上を計上する
お客さまが発行済みの商品券を持ってきて、実際に商品やサービスと引き換えたときに、はじめて売上を計上します。このとき、発行時に計上していた前受金などの負債を取り崩し、その金額を売上に振り替えます。
流れを整理すると、次のようになります。
発行・販売したとき:現金を受け取り、同額を前受金(負債)として計上する
商品券が使われたとき:前受金を取り崩し、同額を売上として計上する
このように「お金を受け取ったタイミング」と「売上になるタイミング」が分かれる点が、商品券の記帳でいちばん間違えやすいところです。発行枚数や額面、使われた分を管理する一覧を作っておくと、残高の把握がぐっと楽になります。
お金を受け取るタイミングと売上になるタイミングが分かれる商品券の処理は、取引が増えるほど迷いやすくなります。仕訳ごと預けたいなら、記帳代行に任せるやり方もあります。
販売促進で無料配布した商品券の扱い
キャンペーンのお礼や来店促進のために、自社で使える商品券を無料で配ることもあります。この場合は代金を受け取っていないため、配った時点では売上も負債も発生しません。お客さまがその商品券を使って商品やサービスを受け取ったときに、通常どおり売上として計上し、値引きや販売促進費に相当する分を併せて整理する形になります。無料で配る景品や試供品の経費の考え方は、景品・試供品を配ったときの経費が参考になります。
無料配布の商品券は「いくら配って、いくら使われたか」が見えにくくなりがちです。配布数と利用数を記録しておくと、販促効果の検証にも役立ちますし、記帳のうえでも残高が把握しやすくなります。
消費税やインボイスとの関係で気をつけたいこと
商品券の発行・購入そのものは課税の対象外
商品券やギフトカードといった金券のやり取りそのものは、消費税の課税対象外(非課税の取り扱い)とされるのが一般的です。お金を別の形に換えているだけ、と考えると理解しやすくなります。消費税は、実際に商品券が使われて商品やサービスが提供されたときに、その取引に応じて考えるのが基本です。消費税の基本的なしくみは、国税庁タックスアンサーNo.6101「消費税の基本的なしくみ」で確認できます。
つまり「商品券を売った・買った」段階ではなく、「商品券で何かを買った・売った」段階で消費税を意識する、という整理になります。発行時点で消費税を計上してしまうミスは起こりやすいので、注意しておきましょう。
インボイス制度のもとでの考え方
インボイス制度に登録している事業者が、商品券で支払いを受けて商品やサービスを提供した場合も、求められれば適格請求書(インボイス)を発行する必要が出てくることがあります。支払い手段が現金か商品券かにかかわらず、提供した商品やサービスの内容に応じて対応するのが基本的な考え方です。インボイス制度の詳細は国税庁の特集ページ「インボイス制度」で確認できます。
細かい取り扱いは取引の形態によって異なるため、自分の商売で商品券を多く扱う場合は、断定的に自己判断せず、最新の情報を確認したり専門家に相談したりすると安心です。ここでは「支払い手段ではなく、提供した中身で考える」という大枠を押さえておきましょう。
記帳をスムーズにするための実務のコツ
商品券の「残高管理メモ」をつくる
商品券は現金と違って財布の中身を数えるだけでは把握しにくいため、別途メモや一覧で管理するのがおすすめです。もらった分・買った分・使った分・発行した分・使われた分を、日付と額面とともに記録しておけば、帳簿の数字と実際の残高を突き合わせやすくなります。
特に発行側の場合、未使用の商品券は「将来提供する義務」として残り続けます。どれだけ使われずに残っているかを定期的に確認しておくと、決算のときに慌てずに済みます。
勘定科目と計上タイミングを最初に決めておく
商品券の処理は、最初に「どの勘定科目を使うか」「いつ計上するか」を決めて、毎回同じルールで記帳することが大切です。ルールがぶれると、後から見返したときに残高が合わなくなり、原因を探すのに時間がかかってしまいます。
もらった商品券は資産として持ち、使ったときに減らす
贈答用に買った商品券は、渡したときに経費にする
発行した商品券は前受金にし、使われたときに売上へ振り替える
この3つの基本パターンを押さえておけば、たいていのケースに落ち着いて対応できます。
よくある質問
Q. 取引先からもらった商品券は、必ず売上(収入)にしないといけませんか?
事業に関連して受け取った商品券は、原則として事業の収入にあたると考えます。金額の大小にかかわらず、額面分を雑収入などで計上しておくのが基本です。一方で、事業とまったく関係のない個人的な贈り物として受け取った場合は、事業の帳簿には含めません。事業に関わる受領かどうかで判断するとわかりやすくなります。
Q. 自社で発行した商品券を売ったお金は、その月の売上にしてよいですか?
発行・販売した時点では、まだ商品やサービスを提供していないため、原則として売上にはせず前受金などの負債として扱います。お客さまがその商品券を使って実際に商品やサービスを受け取ったときに、売上へ振り替えるのが基本的な考え方です。受け取ったお金と売上の計上タイミングが分かれる点に注意しましょう。
Q. 発行した商品券が長期間使われないまま残っています。どうすればよいですか?
使われずに残っている商品券は、帳簿上は前受金などの負債として残り続けます。長期間にわたって使われない商品券の扱いは、有効期限の有無や事業の状況によって判断が変わることがあります。残高が大きくなってきた場合は、自己判断で安易に消し込まず、記録を整えたうえで専門家に相談すると安心です。
結論:立場と「使われたタイミング」で考えれば迷わない
商品券・ギフトカードの記帳は、「自分はもらった側か発行した側か」をはっきりさせ、「お金が動いたタイミング」と「商品券が使われたタイミング」を分けて考えることがコツです。もらった商品券は資産、贈答用に買った商品券は渡したときに経費、発行した商品券は前受金にして使われたときに売上、という基本の3パターンを押さえておけば、多くのケースに落ち着いて対応できます。
本業が忙しい中で、こうした金券の残高管理や売上計上のタイミングまで正確に追いかけ、記帳から確定申告まで自分で行うのは大変です。商品券のように処理を迷いやすい取引が増えるほど、帳簿づけに割く時間も増えてしまいます。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








