鍼灸師・整骨院の確定申告|受領委任払いの保険診療収入と自費収入の処理を解説
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確定申告

整骨院・鍼灸院の確定申告は、受領委任払いの保険分を施術した年の売上に計上し、保険・自費・物販の収入を区分して記帳するのがカギです。未収金や回数券の前受金の扱いまで、勘定科目とあわせて整理します。
鍼灸師・柔道整復師として開業すると、施術の合間に帳簿づけや確定申告まで自分でこなさなければならず、「保険の入金は数か月遅れてくるけれど、これはいつの売上になるの?」と頭を抱える方は少なくありません。受領委任払いという独特の仕組みがあるぶん、一般的な現金商売のお店とは収入の数え方が違ってくるからです。
☑ 受領委任払いで入ってくる保険診療の収入を、いつ・いくらで計上すればよいかわからない
☑ 保険診療と自費診療(自由診療)の売上を、どう分けて帳簿につければいいのか迷っている
☑ 施術所の家賃や物販の仕入れなど、整骨院・鍼灸院ならではの経費の扱いに自信が持てない
整骨院・鍼灸院の確定申告でつまずきやすい「受領委任払いの保険診療収入」と「自費収入」の処理を中心に、勘定科目の分け方や経費のポイントまで整理しました。自分の売上をどう整理して帳簿につければよいか、全体像がつかめるよう順に見ていきます。
整骨院・鍼灸院の収入は「保険」と「自費」で性格が違う
収入は大きく2種類に分かれる
整骨院・鍼灸院の売上は、性格の異なる2つに分けて考えると整理しやすくなります。ひとつは健康保険などが適用される保険診療収入、もうひとつは患者さんが全額自己負担で支払う自費収入(自由診療収入)です。保険診療は柔道整復師であれば一定のケガ、鍼灸であれば医師の同意を得た特定の症状などが対象になり、それ以外の慰安目的の施術やリラクゼーションは自費収入として扱うのが基本です。整体・リラクゼーションの売上を分けて記帳する方法は整体・リラクゼーションの記帳も参考になります。
確定申告では、これらをまとめて「事業収入」として申告します。ただし帳簿の段階で保険と自費を分けて記録しておくと、後から経営状況を振り返るときにも、税務署から内容を聞かれたときにも、説明がしやすくなります。日々の帳簿づけの分け方は接骨院・整骨院の記帳のしかたで具体的に確認できます。
なぜ分けて記録した方がよいのか
保険診療と自費診療では入金の時期や流れがまったく異なるため、混ぜて記録すると売上の漏れや二重計上が起きやすい
自費の物販(サポーターやお灸などの商品販売)がある場合、施術収入と物販収入を分けておくと利益の把握がしやすい
後から「保険分はいくら、自費分はいくら」と問われても、すぐに答えられる
帳簿づけの段階でひと手間かけて区分しておくことが、結果的に申告作業をラクにしてくれます。
受領委任払いの保険診療収入はいつ計上する?
受領委任払いの仕組みをおさらい
受領委任払いとは、患者さんが窓口で一部負担金(たとえば3割)だけを支払い、残りの保険給付分(たとえば7割)については、患者さんに代わって施術所が保険者へ請求し、後日まとめて受け取る仕組みです。患者さんから「療養費の受領を委任してもらう」ためこの名前がついています。窓口の現金はその場で入りますが、保険分は申請してから実際の入金まで数か月かかることが珍しくありません。
原則は「発生主義」で考える
所得税の事業所得は、原則としてその年に発生した収入を計上する「発生主義」で計算します。つまり、施術を行ってサービスを提供した時点で売上が確定したと考えるのが基本です。受領委任払いの保険分も、実際の入金が翌年にずれ込んだとしても、施術を行った年の収入として計上するのが原則的な考え方になります。
そのため、年末をまたぐ施術には特に注意が必要です。たとえば12月に施術して保険請求をかけ、入金が翌年2月や3月になるケースでは、入金日ではなく施術した年の売上として記録します。「お金が入った日」で数えてしまうと、年をまたいだぶんの売上が抜け落ちてしまうおそれがあります。
年末時点の「未収金」を忘れずに
発生主義で計上すると、年末の時点で「施術は終わったがまだ入金されていない保険分」が残ります。これは未収金(売掛金)として帳簿に記録します。具体的には、施術した年に「売上」と「未収金」を立て、翌年に実際の入金があったときに未収金を消し込む流れです。
また、保険請求した金額がそのまま満額入金されるとは限らず、返戻(へんれい)といって一部が支払われずに差し戻されることもあります。この場合は、入金額との差額を改めて調整します。請求額と入金額がずれることがある点も、整骨院・鍼灸院ならではの注意点です。
自費収入と物販の処理のポイント
自費の施術収入はその場で計上
慰安目的のマッサージや、保険の対象外となる鍼灸施術などの自費収入は、患者さんがその場で全額を支払うため、原則として施術した日(=入金日とほぼ一致)に売上として計上します。受領委任払いのような時間差がないぶん、保険診療よりもシンプルです。現金やキャッシュレス決済の売上を、日々もれなく記録していきましょう。
回数券・前売りチケットの扱いに注意
整骨院・鍼灸院では、数回分をまとめて先に支払ってもらう回数券を販売することがあります。回数券は「お金を受け取った時点」と「施術を提供する時点」がずれるため、扱いに注意が必要です。一般的には、まだ使われていない回数券の分は前受金として扱い、実際に施術して消化したぶんを売上に振り替えていく考え方が基本になります。年末時点で売れ残っている(まだ使われていない)回数券の額をどう扱うかは、自己流で判断せず、整理しておきたいポイントです。
物販がある場合は仕入れと在庫を管理
サポーター、テーピング、健康器具、お灸などの商品を販売している場合、その売上は施術収入とは別の物販収入として把握しておくとわかりやすくなります。仕入れた商品のうち、年末時点で売れ残っているものは棚卸資産(在庫)として計上し、その年の経費から差し引きます。仕入れた金額がすべてその年の経費になるわけではない点に気をつけましょう。こうした売上区分や在庫の集計まで含めて任せたい場合は、確定申告代行の内容を知っておくと申告期の見通しが立ちます。
整骨院・鍼灸院でよく使う経費の考え方
施術所まわりの主な経費
施術所の家賃、水道光熱費(地代家賃・水道光熱費)
施術用ベッド、電気治療器などの備品(金額により減価償却の対象になることがあります)
消毒用品、テーピング、鍼、お灸などの消耗品(消耗品費)
白衣やタオルのクリーニング代、リネン代
柔道整復師会・鍼灸師会の会費や、賠償責任保険の保険料
毎日の施術に使うものは消耗品費、長く使う高額な機器は資産として数年に分けて経費にする減価償却、というように、性質によって扱いが変わります。レシートや請求書は科目ごとに分けて保管しておくと、集計がぐっとラクになります。
自宅兼施術所の場合の「家事按分」
自宅の一部を施術所として使っている場合は、家賃や水道光熱費のうち事業で使っている割合だけを経費にできます。これを家事按分といいます。たとえば部屋の面積や使用時間など、合理的な基準で「事業として使っている割合」を決め、その分だけを経費に計上します。割合の根拠は、後から説明できるようにメモを残しておくと安心です。
個人事業主自身の社会保険・年金は経費ではない
整骨院・鍼灸院を個人で営む場合、ご自身が支払う国民健康保険料や国民年金保険料は「経費」ではなく、確定申告書の所得控除(社会保険料控除)として差し引きます。社会保険料控除のしくみは国税庁タックスアンサー「No.1130 社会保険料控除」(国税庁)で確認できます。経費と所得控除は計算する場所が違うので、混同しないよう気をつけましょう。どちらも税金を減らす効果はありますが、書き込む欄が異なります。
青色申告で受けられるメリット
最大65万円の特別控除
事前に届出をして青色申告を選ぶと、要件を満たすことで青色申告特別控除(最大65万円)を受けられます。複式簿記で帳簿をつけ、e-Taxでの申告などの条件を満たすことが必要ですが、保険診療と自費収入をきちんと区分して記帳していれば、複式簿記での記録とも相性がよく、控除のハードルも下げられます。65万円・55万円・10万円の違いや要件は青色申告特別控除65万・55万・10万の違いで試算とあわせて確認できます。
赤字の繰り越しや家族への給与
青色申告には、特別控除のほかにもメリットがあります。たとえば、開業初年度などで赤字が出た場合に、その損失を翌年以降の所得から差し引ける繰越控除や、家族に支払う給与を一定の条件のもとで経費にできる青色事業専従者給与などです。青色事業専従者給与のしくみは国税庁タックスアンサー「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」(国税庁)で確認できます。受付や事務を家族に手伝ってもらっている整骨院・鍼灸院では、これが役立つ場面もあります。
帳簿づけの負担とのバランス
青色申告は節税メリットが大きい一方で、日々の正確な帳簿づけが前提になります。受領委任払いの未収金管理や回数券の前受金処理など、整骨院・鍼灸院には手間のかかる項目があるのも事実です。メリットを活かすには、無理なく続けられる記帳の仕組みを整えておくことが大切です。
よくある質問
Q. 保険分の入金が翌年になった場合、どちらの年の売上になりますか?
原則として、入金日ではなく施術を行った年の売上として計上します(発生主義)。年末時点で入金されていない保険分は未収金として記録し、翌年に実際に入金されたときに未収金を消し込みます。年をまたぐ施術は売上の計上時期を間違えやすいので、特に丁寧に確認しましょう。
Q. 保険診療と自費収入は、確定申告書で分けて書く必要がありますか?
確定申告書(決算書)上は、合算して事業収入として申告するのが一般的です。ただし、帳簿の段階では保険・自費・物販を分けて記録しておくことをおすすめします。経営状況の把握がしやすくなるうえ、税務署から内訳を尋ねられたときにもスムーズに対応できます。
Q. 返戻で保険分が満額入ってこなかったときはどう処理しますか?
請求額と実際の入金額に差が出た場合は、その差額を調整します。発生主義で売上を立てている場合、未収金として記録していた額と入金額の差を、入金時点で修正する形が基本です。返戻の連絡や入金明細は必ず保管し、どの請求がいくら入金されたかを照合できるようにしておきましょう。
まとめ|収入の「区分」と「計上時期」がカギ
整骨院・鍼灸院の確定申告でつまずきやすいのは、受領委任払いによる入金の時間差と、保険・自費・物販という収入の性格の違いです。保険分は原則として施術した年の売上として計上し、年末に残った未収金や回数券の前受金を正しく整理しておくこと。そして、収入を区分して記帳しておくこと。この2点を押さえれば、申告作業はぐっと見通しがよくなります。
毎日の施術で手いっぱいの中、未収金の管理や家事按分の計算、青色申告のための複式簿記まで自分一人でこなすのは、想像以上に大きな負担です。本業の患者さんへの施術に集中したいのに、夜や休みの日に帳簿と向き合うのは避けたい、と感じる方も多いのではないでしょうか。領収書丸投げドットコムは、領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。受領委任払いの収入整理や自費収入との区分も、税理士監修のもとでお預かりします。未収金と収入区分の整理を任せて施術に専念する方法を相談する(相談は無料です)。実際に依頼した院の様子は導入事例でご覧いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








