生命保険料控除の仕組み|控除額の計算と確定申告での書き方を解説
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税金

生命保険料控除は、1年間に払った保険料に応じて一定額を所得から差し引ける制度で、正しく申告すれば所得税と住民税を確実に軽くできます。3つの区分と控除額の計算方法、確定申告書での書き方までを、はじめての方にもわかるように整理します。
毎年秋になると、契約している保険会社から「生命保険料控除証明書」というはがきや封書が届きます。「大切な書類です」と書かれているので捨てずに取っておいたものの、結局どう使えばいいのか分からないまま引き出しに眠っている、という方も少なくないのではないでしょうか。会社員であれば年末調整で会社が処理してくれますが、個人事業主やフリーランスの方は、自分で確定申告書に記入しなければなりません。仕組みさえつかめば決して難しいものではないので、順を追って確認していきましょう。
☑ 生命保険に入っているけれど、確定申告でどう申告すればいいのか分からない
☑ 「生命保険料控除」という言葉は聞くが、控除額がいくらになるのか計算方法を知らない
☑ 保険会社から届いた控除証明書を、どこに書き写せばいいのか毎年迷ってしまう
生命保険料控除とは何か
生命保険料控除は、1年間に支払った生命保険や個人年金保険などの保険料に応じて、一定額を所得から差し引ける「所得控除」のひとつです。所得が少なくなることで、所得税と住民税の負担が軽くなります。制度の全体像は、国税庁タックスアンサーNo.1140「生命保険料控除」で確認できます。
3つの区分に分かれている
現在の生命保険料控除は、契約内容によって次の3つの区分に分かれています。それぞれ別々に控除額を計算します。
一般生命保険料控除:死亡保険や学資保険など、生存・死亡に関わる保険
介護医療保険料控除:医療保険やがん保険、介護保険など
個人年金保険料控除:一定の条件を満たした個人年金保険
新制度と旧制度がある
生命保険料控除には、契約した時期によって「新制度」と「旧制度」の2種類があります。2012年1月1日以降に契約したものが新制度、それ以前に契約したものが旧制度です。新制度では上記の3区分ですが、旧制度では「一般」と「個人年金」の2区分のみで、介護医療保険料控除はありません。控除証明書には新旧どちらに該当するかが記載されているので、まずはそこを確認しましょう。
控除額の計算方法
控除額は、支払った保険料の金額に応じて段階的に決まります。保険料をたくさん払えばその分だけ無制限に控除されるわけではなく、上限が設けられている点がポイントです。
新制度の計算式
新制度では、各区分について年間の支払保険料に応じて控除額が決まります。年間8万円を超えて支払っている場合は、一律で上限の4万円が控除されます。具体的には、年間支払額が2万円以下なら全額、2万円超4万円以下なら「支払額×2分の1+1万円」、4万円超8万円以下なら「支払額×4分の1+2万円」、8万円超なら一律4万円という計算になります。
3区分を合計した上限
3つの区分はそれぞれ最大4万円まで控除されるため、新制度では合計で最大12万円が所得から差し引けます。旧制度は1区分あたり最大5万円、合計で最大10万円が上限です。新旧両方の契約がある場合は、有利になるよう組み合わせて計算しますが、合計の上限はやはり12万円です。住民税についても別途上限額が定められており、所得税とは控除額が異なる点に注意しましょう。住民税の仕組みは総務省「個人住民税」のページで確認できます。
確定申告書での書き方
控除額の計算ができたら、確定申告書に記入していきます。手書きでもe-Taxでも、基本的な流れは同じです。
必要な書類を準備する
記入の前に、以下を手元にそろえておきましょう。
保険会社から届いた生命保険料控除証明書
確定申告書(第一表・第二表)
計算した控除額のメモ
控除証明書には「申告額」または「証明額」が記載されています。年の途中まで支払った時点の金額と、年末まで支払った場合の見込み額の両方が書かれていることが多いので、12月まで払い続ける場合は見込み額のほうを使います。
第一表と第二表に記入する
確定申告書の第二表には、保険の種類ごとに支払った保険料の金額を記入する欄があります。新制度・旧制度、一般・介護医療・個人年金の区分に分けて、控除証明書の金額をそのまま書き写します。そして計算した控除額の合計を第一表の「生命保険料控除」の欄に記入します。e-Taxを使う場合は、画面の案内に従って金額を入力すれば控除額が自動計算されるため、計算ミスの心配が少なくなります。区分の書き分けや記入に不安があるなら、控除の記入まで見据えた記帳代行に任せる方法もあります。
申告する際の注意点
生命保険料控除は身近な控除ですが、いくつか見落としやすいポイントがあります。
控除証明書は必ず保管する
控除証明書は、確定申告で控除を受けるための大切な根拠書類です。e-Taxで申告する場合は提出を省略できることもありますが、一定期間の保管が必要です。紛失した場合は保険会社に再発行を依頼できますが、届くまでに時間がかかることもあるため、届いたらすぐに申告書類とまとめて保管しておくと安心です。
契約者と支払者の関係を確認する
生命保険料控除を受けられるのは、原則として保険料を実際に支払った人です。家族名義の契約でも、自分が保険料を負担していれば控除の対象になり得ます。逆に、契約者が自分でも、保険料を別の人が払っている場合は対象外となることがあります。夫婦それぞれに収入がある世帯では、どちらが控除を使うかで世帯全体の手取りが変わるため、世帯全体で手取りを最適化する控除の配分の考え方も参考になります。年度ごとの細かな取り扱いや最新の控除限度額については、国税庁のサイト等であわせてご確認ください。
受取人の条件にも注意する
一般生命保険料控除や個人年金保険料控除では、保険金の受取人が本人や配偶者、その他の親族であることが条件とされています。誰でも受け取れる契約だと控除の対象にならない場合があるため、契約内容を一度確認しておくと安心です。とくに個人年金保険料控除は、年金の受取期間や保険料の払込期間などにも一定の条件があり、その条件を満たした契約だけが対象となります。条件を満たすと「個人年金保険料税制適格特約」が付いた契約となり、控除証明書にもその旨が記載されます。逆に、貯蓄性を重視した一部の契約はこの区分では控除できず、一般生命保険料控除の扱いになることもあります。保険で将来に備えつつ税負担も抑えたいなら、将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方もあわせて見ておくと選択肢が広がります。控除証明書に記載された区分のとおりに申告すれば間違いありません。
よくある質問
Q. 控除証明書を紛失してしまいました。申告できませんか?
保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。コールスタッフへの電話やウェブの契約者ページから手続きできることが多く、数日から1週間程度で届きます。再発行された証明書をもとに、通常どおり申告できますのでご安心ください。
Q. 複数の保険に入っています。すべて合算してよいですか?
区分ごとに合算します。たとえば医療保険を2つ契約している場合は、どちらも介護医療保険料控除の区分で合計します。ただし区分ごとに控除の上限があるため、たくさん契約していても上限を超えた分は控除額に反映されません。各区分の合計額で計算してください。
Q. 年の途中で解約した保険の保険料も対象になりますか?
その年に実際に支払った保険料であれば、解約していても支払った分は控除の対象になります。控除証明書に記載された金額をもとに申告してください。判断に迷う場合は、保険会社や税務署に確認すると確実です。
まとめ|生命保険料控除で取りこぼしをなくす
生命保険料控除は、毎年支払っている保険料を申告に反映させるだけで、所得税と住民税の負担を確実に軽くできる制度です。3つの区分と新旧の制度を理解し、控除証明書の金額を確定申告書に正しく書き写すことがポイントになります。計算式は一見複雑に見えますが、年間8万円超なら上限4万円という目安を覚えておくだけでもイメージがつかみやすくなります。
忘れがちなのは、控除証明書をきちんと保管しておくことと、新旧の区分を間違えずに記入することです。せっかく加入している保険ですから、控除をもれなく受けて、納める税金をしっかり抑えていきましょう。保険以外にも、共済の掛金で将来に備えながら節税する方法など、備えと控除を両立できる手段はあります。最新の控除限度額や住民税の取り扱いは年度によって異なる場合があるため、国税庁のサイト等もあわせてご確認ください。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








