産休・育休中の個人事業主の確定申告|出産・子育て期の税金と保険料を解説
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確定申告

産休・育休中の個人事業主は、出産育児一時金や国民年金の産前産後免除など、使える制度が着実に整っています。会社員との給付の違いから、出産した年の医療費控除・還付申告、税金と保険料を軽くする制度までを整理します。
「出産や子育てで仕事をセーブしたら、収入が減るのに税金や保険料の支払いは続くの?」——これから出産を迎えるフリーランス・個人事業主の方にとって、お金の不安はとても大きいものです。会社員のような産休・育休の制度が整っていないからこそ、何が使えて何が使えないのかを正しく知っておくことが安心につながります。
☑ 出産や育児で仕事を休む間の税金・保険料が心配
☑ 個人事業主でも産休・育休の手当がもらえるのか知りたい
☑ 出産した年の確定申告で何に気をつければいいかわからない
以下では、産休・育休にあたる時期の個人事業主が知っておきたい確定申告のポイントと、税金・保険料の負担を軽くできる制度を整理します。
個人事業主に「産休・育休の給付」はある?
会社員との大きな違いを知っておきましょう
会社員が受け取れる出産手当金(産休中の収入補償)や育児休業給付金は、勤務先の健康保険や雇用保険にもとづく制度です。国民健康保険に加入する個人事業主は、原則としてこれらの給付の対象外となります。「休んでいる間の収入の補償はない」という前提を踏まえて、出産前から資金計画を立てておくことが大切です。そのぶん、個人事業主には仕事を再開する時期や働き方を自分で決められるという柔軟さがあります。
出産育児一時金は個人事業主でも受け取れます
一方で、出産したときに支給される出産育児一時金は、国民健康保険の加入者も対象です。出産費用に充てられる心強い制度なので、忘れずに申請しましょう。多くの医療機関では、一時金を出産費用の支払いに直接充ててもらえる仕組み(直接支払制度)を利用できます。
国民年金保険料には産前産後の免除制度があります
国民年金の第1号被保険者には、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間、保険料が免除される産前産後免除制度があります(制度の詳細は日本年金機構の案内で確認できます)。しかもこの期間は保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金額が減らないのが大きなメリットです。双子などの多胎妊娠の場合は、免除される期間がさらに長くなります。お住まいの市区町村の窓口で手続きできます。
出産した年の確定申告のポイント
所得が減った年こそ申告のメリットが大きい
出産や育児で働く時間が減ると、その年の所得は少なくなります。所得が少なければ税金の負担も下がりますが、報酬から源泉徴収されている方は、確定申告をすることで払いすぎた税金の還付を受けられる可能性が高くなります。「収入が少なかったから申告しなくていいや」ではなく、むしろ取り戻すチャンスの年と考えましょう。同じように年の途中で休業して所得が減る場面の申告のしかたは、病気・療養で年の途中に休業した個人事業主の確定申告も参考になります。申告の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
医療費控除で出産費用を申告できます
出産に関する費用の多くは、医療費控除の対象になります(対象になる費用の範囲は国税庁タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」で確認できます)。具体的には、次のような支出が代表例です。
妊婦健診や検査の費用
分娩費・入院費
通院のための電車・バスなどの交通費
出産で入院する際のタクシー代(公共交通機関の利用が難しい場合)
1年間の医療費が一定額を超えた場合に確定申告で控除を受けられ、生計を一にする家族の医療費を合算できるのもポイントです。妊娠がわかったら、レシートや領収書をひとまとめに保管する習慣をつけましょう。
出産育児一時金は医療費から差し引きます
医療費控除を計算するときは、支払った医療費から出産育児一時金などの補てんされた金額を差し引く必要があります。差し引くのは「その給付の対象になった出産費用」からだけでよく、家族の他の治療費から引く必要はありません。間違えやすい部分なので、丁寧に整理しましょう。
税金・保険料の負担を軽くできる制度
国民健康保険料にも産前産後の軽減があります
国民健康保険にも、出産する方の保険料が産前産後の一定期間軽減される制度が設けられています。対象となる期間や手続き方法は市区町村によって案内が異なるため、母子健康手帳を受け取ったタイミングで早めに窓口へ問い合わせておくと安心です。
予定納税がある方は減額申請を検討しましょう
前年の所得が一定以上あると、当年の税金を前払いする「予定納税」の通知が届くことがあります。出産や育児で当年の所得が明らかに減りそうな場合は、税務署に減額申請をすることで前払いの負担を抑えられる可能性があります。減額申請には期限があるため、通知が届いたら早めに検討しましょう。資金繰りが厳しくなりがちな時期だからこそ、知っておきたい制度です。
配偶者控除・配偶者特別控除の対象になることも
休業して所得が一定額以下になった年は、配偶者の税金の計算において配偶者控除や配偶者特別控除の対象になる場合があります。世帯全体で見れば税負担を抑えられる可能性があるため、ご自身の所得の見込みが立った時点で確認してみましょう。世帯で損をしない申告の考え方は、夫婦ともに個人事業主の世帯で損しない申告と経費配分で整理しています。
休業中の事業はどうする?青色申告との付き合い方
休業しても青色申告をやめる必要はありません
「しばらく仕事を休むなら廃業届を出すべき?」と悩む方もいますが、育児が落ち着いたら事業を再開するつもりであれば、廃業せずに休業のまま続けるのが一般的です。廃業して青色申告をやめてしまうと、再開するときに承認申請をやり直すことになります。青色申告が取り消される条件や再申請の流れは、青色申告が取り消される条件と再申請の方法で確認できます。事業を続けていれば、再開後も最大65万円の青色申告特別控除を引き続き活用できます。
帳簿づけと書類の保管は続けましょう
休業中でも、わずかな売上や経費、固定費の支払いが発生することはあります。後から「いつ何を払ったかわからない」とならないよう、領収書の保管と最低限の記帳は続けておきましょう。手が回らないときは、記帳代行に最低限の帳簿づけを任せると、再開後の確定申告がぐっと楽になります。
保育園の申し込みにも確定申告書類が役立ちます
個人事業主が保育園の入園を申し込む際は、就労状況を証明する書類として確定申告書の控えの提出を求められることが一般的です。毎年きちんと申告しておくことが、子育てと仕事を両立するための土台にもなります。申告書の控えは、いつでも提出できるよう大切に保管しておきましょう。
よくある質問
Q. 出産費用はすべて医療費控除の対象になりますか?
分娩費や入院費、妊婦健診の費用などは対象ですが、里帰り出産のための帰省費用や、自己都合で利用した差額ベッド代などは対象外とされています。判断に迷うものは領収書を残しておき、申告の際に確認しましょう。
Q. 育児で収入がほぼゼロの年も確定申告は必要ですか?
所得が控除の範囲内であれば、申告義務がない場合もあります。ただし、国民健康保険料の算定や保育園の手続きのために住民税の申告が必要になることが多く、源泉徴収された税金があれば還付も受けられるため、申告しておくのがおすすめです。なお、所得がない年でも国民年金や国民健康保険の保険料は原則かかるため、負担が重いときは免除や軽減の相談をしてみましょう。
Q. ベビーシッター代や保育料は経費になりますか?
仕事のために預けた場合でも、子どもの保育にかかる費用は家事上の支出と考えられ、原則として事業の経費にはなりません。一方で、自治体や国の助成制度を利用できる場合があるため、お住まいの地域の子育て支援策を確認してみましょう。
出産・子育て期を安心して迎えるために
個人事業主には会社員のような産休・育休の給付はありませんが、出産育児一時金や、国民年金・国民健康保険の産前産後の免除・軽減など、活用できる制度は着実に整ってきています。出産した年は医療費控除や還付申告のメリットも大きく、確定申告がむしろ味方になってくれる年だといえます。
大切なのは、妊娠中から領収書を保管し、使える制度を一つずつ確認しておくことです。事業を休んでいる間も帳簿と書類を整えておけば、仕事を再開するときのスタートもスムーズになります。わからないことを一人で抱え込まず、税務署や専門家に相談することも立派な備えのひとつです。
妊娠中から領収書を保管し、使える制度を確認しておくことが安心につながります。とはいえ、出産・育児で帳簿づけまで手が回らないという時期は必ずあります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








