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2026/7/19

小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金を比較|個人事業主の老後資金の選び方

  • 税金

小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金は、いずれも掛金が控除になり節税しながら老後に備えられます。「退職金」「運用」「年金」という役割の違いを押さえれば、自分の受け取り方から逆算して制度を選べるようになります。

個人事業主の老後資金づくりには、節税につながる制度がいくつもあります。どれも魅力的に見える一方で、「結局どれを選べばいいの」「全部やるべきなの」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。大切なのは、それぞれの役割と違いを理解したうえで、自分の状況に合うものを選ぶことです。3つの制度の特徴を比較しながら整理します。

☑ 老後資金の制度がいろいろあって、どれを選べばいいか分からない

☑ 節税しながら老後に備えたいが、違いが理解できていない

☑ 小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金の使い分けを知りたい

3つの制度のざっくりした役割

3つはいずれも節税につながりますが、目的と受け取り方が異なります。まとまった退職金なら小規模企業共済、運用で増やすならiDeCo、終身の年金なら国民年金基金、という立ち位置を押さえましょう。

それぞれの立ち位置を押さえる

まずは大まかな役割を整理しましょう。3つはいずれも節税につながりますが、目的や受け取り方が異なります。

  • 小規模企業共済:経営者・個人事業主のための「退職金」を準備する制度

  • iDeCo(個人型確定拠出年金):自分で運用しながら老後資金をつくる制度

  • 国民年金基金:国民年金に上乗せして「年金」を増やす制度

「退職金」「運用」「年金」で考える

ざっくり言えば、廃業・引退時にまとまったお金がほしいなら小規模企業共済、運用で増やす可能性を取りたいならiDeCo、終身で受け取れる年金の安心感がほしいなら国民年金基金、というイメージです。役割が違うため、どれか一つだけが正解というわけではありません。会社員であれば退職金や厚生年金が自動的に用意されますが、個人事業主はそうした仕組みがない分、これらの制度を自分で組み合わせて「自前の退職金・年金」をつくっていく必要があります。だからこそ、それぞれの性格を理解しておくことが第一歩になります。将来に備える制度全体の組み合わせ方は、フリーランスが将来に備えながら節税する制度の組み合わせ方でも解説しています。

小規模企業共済の特徴

小規模企業共済は、個人事業主が廃業・引退に備えて退職金を積み立てる制度です。掛金は月1,000円から70,000円で全額が所得控除の対象になり、引退時にまとまった共済金を受け取れます。

掛金と控除の仕組み

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が、廃業や引退に備えて退職金を積み立てる制度です。掛金は月額1,000円から70,000円までの範囲で、500円単位で設定できます。支払った掛金は全額が所得控除の対象になり、節税効果が期待できます。なお、小規模企業共済やiDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」、国民年金基金の掛金は社会保険料控除の対象で、社会保険料控除の仕組みは国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」で確認できます。

受け取りと注意点

積み立てたお金は、廃業時などに「共済金」として受け取れます。受け取り方によって退職所得や公的年金等として扱われ、税制上の優遇が用意されています。一方で、加入期間が短いうちに任意解約すると元本割れになる場合があるため、長く続ける前提で考えることが大切です。「現役のうちは控除で節税し、引退時にまとまったお金を退職金として受け取る」という流れが基本になります。会社員でいう退職金にあたる部分を自分で用意したい方に向いた制度といえます。掛金の範囲が月1,000円から70,000円までと幅広いため、収入の変動に合わせて調整しやすいのも、個人事業主にとって使いやすいポイントです。利益が落ちた年の掛金調整や備えの考え方は、赤字の年こそ使いたい節税の備えで詳しく解説しています。

iDeCoの特徴

iDeCoは、自分で掛金を出して運用しながら老後資金をつくる制度です。運用益が非課税で、掛金は全額が所得控除の対象になります。原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。

自分で運用して老後資金をつくる

iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で選んだ商品で運用しながら老後資金を準備する制度です。運用で得た利益は非課税で再投資され、掛金は全額が所得控除の対象になります。「節税しながら運用できる」点が大きな魅力です。

運用リスクと受け取り

一方で、運用する以上は値動きがあり、選んだ商品によっては資産が減る可能性もあります。原則60歳まで引き出せないという制約もあります。受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除の対象となる仕組みがありますが、扱いは制度改正で変わることもあるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認ください。投資信託のような値動きのある商品だけでなく、元本確保型の商品も選べるため、リスクをどこまで取るかは自分で調整できます。「運用は不安だが、節税メリットは受けたい」という場合でも活用しやすい制度です。

国民年金基金の特徴

国民年金基金は、国民年金に上乗せして終身年金などを受け取れる制度です。年金額があらかじめ決まり見通しを立てやすく、掛金は全額が社会保険料控除の対象です。iDeCoと掛金枠を共有する点に注意します。

終身で受け取れる安心感

国民年金基金は、国民年金に上乗せして年金を受け取れる制度で、中心となる終身年金は生きている限り受け取れます。あらかじめ年金額が決まっているため、将来の見通しを立てやすい点が特徴です。掛金は全額が社会保険料控除の対象になります。

掛金の枠に注意

国民年金基金とiDeCoは、掛金の上限が合算で月額68,000円までという共通の枠になっています。両方に加入する場合は、この枠を分け合うことになる点に注意しましょう。また、付加年金とは併用できず、どちらか一方を選ぶ必要があります。

3つをどう選び、組み合わせるか

選ぶ軸は「いつ・どう受け取りたいか」と「運用リスクをどこまで取れるか」です。役割が違うため組み合わせて使うこともでき、手元の生活資金とのバランスを見ながら配分するのが基本です。

目的とリスク許容度で考える

選ぶときの軸は、「いつ・どう受け取りたいか」と「運用リスクをどこまで取れるか」です。引退時にまとまったお金がほしいなら小規模企業共済、増やす可能性を重視するならiDeCo、安定した終身年金がほしいなら国民年金基金、と整理すると考えやすくなります。世帯に事業と給与の両方がある場合は、控除の配分もあわせて考えると手取りを最適化しやすくなります。詳しくは夫婦で事業と給与がある世帯の手取り最適化で解説しています。

併用の考え方

3つは目的が異なるため、組み合わせて使うこともできます。よくある考え方を挙げます。

  • 退職金代わりに小規模企業共済を土台にする

  • 運用で増やす部分としてiDeCoを加える

  • 終身の安心がほしければ国民年金基金を検討(ただしiDeCoと掛金枠は共通)

ただし、掛けすぎて手元の生活資金が不足しては本末転倒です。事業の状況や家計とのバランスを見ながら、無理のない範囲で配分しましょう。

ライフステージに合わせて見直す

老後資金づくりは、一度決めたら終わりではありません。事業を始めたばかりで収入が不安定な時期は付加年金や少額の掛金から始め、利益が安定してきたら小規模企業共済やiDeCoの掛金を増やす、というように、ライフステージに合わせて見直していくのが現実的です。収入が落ちた年には掛金を減らすなど、柔軟に調整できる制度を選んでおくと、長く無理なく続けられます。「最初に完璧な配分を決める」よりも「続けながら整えていく」という姿勢が大切です。掛金を確定申告の控除に確実に反映させたい場合は、掛金の控除を申告に反映する確定申告代行という選択肢もあります。

よくある質問

Q. 全部に加入したほうが得ですか?

必ずしもそうとは限りません。それぞれ目的が違い、iDeCoと国民年金基金は掛金枠が共通という制約もあります。節税効果は所得によって異なり、掛けすぎは資金繰りを圧迫します。自分の優先順位に合わせて選ぶことが大切です。

Q. まず何から始めるのがおすすめですか?

一概には言えませんが、引退時の退職金を重視するなら小規模企業共済、運用しながら増やしたいならiDeCo、というように目的から考えるのが分かりやすい進め方です。少額から試したい場合は付加年金という選択肢もあります。

Q. 途中で掛金を変えたり減らしたりできますか?

多くの制度で掛金の見直しは可能ですが、変更できる範囲やタイミングは制度ごとに異なります。収入が変動しやすい個人事業主は、まず無理のない金額から始め、状況に応じて調整していくと続けやすくなります。

老後資金は「受け取り方」から逆算して選ぶ

小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金は、いずれも節税しながら老後に備えられる心強い制度です。ただし「退職金」「運用」「年金」という役割の違いがあり、どれが正解かは人によって変わります。大切なのは、将来どう受け取りたいかを起点に、自分に合うものを選ぶことです。

また、いずれの制度も掛金が控除になる一方、受け取り時の課税や引き出し制限などの注意点があります。出口まで含めて考えること、そして手元資金とのバランスを崩さないことが、後悔しない選び方のポイントです。迷うときは、ご自身の所得状況を踏まえて専門家に相談すると安心でしょう。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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