白色申告と青色申告の違いをやさしく解説|初めてならどっちを選ぶべき?

白色申告と青色申告の違いは、帳簿付けの手間と、受けられる控除の大きさのバランスにあります。それぞれの特徴と向き・不向き、青色申告の10万円・55万円・65万円控除の選び方、申請の手続きと期限までを具体的に整理します。
個人事業主やフリーランスとして開業すると、避けて通れないのが確定申告です。白色と青色のどちらを選ぶかで税額や手間が大きく変わるため、最初にそれぞれの仕組みと、自分に合う申告方法を押さえておきましょう。
☑ 確定申告って白色と青色があるけど、どっちを選べばいいの?
☑ 青色申告は節税になるって聞くけど、本当にお得?
☑ 帳簿付けが大変そうで、白色申告のままでいいか迷っている
個人事業主やフリーランスとして開業すると、避けて通れないのが「確定申告」です。そして、その確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかで税金の額や手続きの手間が大きく変わってきます。
それぞれのメリット・デメリット、選び方の基準、申請方法までを順に確認し、自分にあった申告方法を選ぶ手がかりにしてください。
目次
白色申告と青色申告の違いを一表で理解しよう
白色申告の特徴とメリット・デメリット
青色申告の特徴とメリット・デメリット
青色申告「10万円控除」と「65万円控除」の違い
こんな人は白色申告が向いている
こんな人は青色申告を選ぶべき
青色申告を始めるための手続きと提出期限
初めての申告でやりがちな失敗パターン
Q&A|白色申告と青色申告に関するよくある質問
まとめ|迷ったら「青色申告10万円控除」から始めよう
白色申告と青色申告の違いを一表で理解しよう
白色申告と青色申告の主な違いは、「帳簿付けの手間」と「受けられる節税メリット」のバランスにあります。白色申告は手続きがシンプルで会計初心者でも取り組みやすい反面、青色申告のような大きな控除は受けられません。一方、青色申告は複式簿記というやや複雑な帳簿付けが必要ですが、最大で年間65万円の控除や赤字の繰り越しなど、多くの節税メリットを受けられます。
主な違いを整理すると、帳簿は白色が「単式簿記」、青色が「単式または複式簿記」となります。控除額は白色がゼロ円に対し、青色は10万円・55万円・65万円のいずれかを選べます。そして、事前申請は白色が不要、青色は「青色申告承認申請書」の提出が必要です。この違いを踏まえて、ご自身の状況に合う申告方法を選びましょう。
白色申告の特徴とメリット・デメリット
白色申告の最大の特徴は、手続きの簡単さです。事前申請は不要で、いつでも始められるうえに、帳簿も「単式簿記」と呼ばれるシンプルな記録方法で済みます。会計の知識がほとんどない方や、始めての確定申告で不安な方にとって、ハードルが低いのがメリットです。白色申告者にも記帳・帳簿保存の義務がある点は、国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます。
ただし、白色申告にはデメリットもあります。青色申告のような「青色申告特別控除」がないため、同じ所得でも納める税金が高くなりがちです。また、赤字を翌年に繰り越したり、家族への給与を全額経費にできたりというような特典も受けられません。売上が伸びてくると、この「控除のなさ」は大きな違いとなって表れます。
青色申告の特徴とメリット・デメリット
青色申告の最大の魅力は、豊富な節税メリットです。代表的なものは「青色申告特別控除」で、複式簿記による記帳とe-Taxを利用したオンライン提出を行うと、最大65万円を所得から控除できます。その他にも、赤字を最大三年間繰り越せる、家族への給与を経費にできる、一定額以下のパソコン・車両を即時償却できるなど、多彩な優遇措置があります。青色申告制度の全体像は国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」(国税庁 No.2070 青色申告制度)で確認できます。赤字の繰り越しを実際にどう使うかは、青色申告の赤字繰越の活用で具体的に整理しています。
デメリットとしては、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければならない点と、複式簿記というやや高度な帳簿付けが求められる点が挙げられます。複式簿記が不安で青色申告に踏み切れない場合は、記帳代行というやり方で解決できることもあります。とはいえ、現在はクラウド会計ソフトを使えば帳簿付けも始めやすくなっており、初心者でも比較的スムーズに青色申告を始められる環境が整っています。
青色申告「10万円控除」と「65万円控除」の違い
青色申告には「10万円控除」「55万円控除」「65万円控除」の3つの控除額があり、どれを選ぶかは帳簿の付け方と提出方法によって決まります。10万円控除は「単式簿記」でOKというのが大きな特徴で、白色申告と同じレベルの手間で青色申告のメリットを受けられます。控除額の要件は国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」(国税庁 No.2072 青色申告特別控除)で確認できます。
一方、65万円控除を受けるには「複式簿記」による記録と「e-Taxによる電子提出」または「電子帳簿保存」のいずれかが必要です。55万円控除は複式簿記は必要ですが、提出が紙でもOKなタイプです。帳簿付けの手間と控除額のバランスを考えて、ご自身にあった控除額を選ぶとよいでしょう。どの控除額が自分に向くか迷う場合は、青色申告特別控除65・55・10万円の試算が参考になります。
こんな人は白色申告が向いている
白色申告が向いているのは、「開業したばかりで売上が少ない方」や「副業レベルで事業所得が少ない方」です。具体的には、年間の事業所得が規模の小さいケースや、これから事業を始めて試行錯誤したいというスタートアップ期の方に適しています。
また、「帳簿付けに時間をかけたくない方」や「単発的な収入しかなく、必要経費もシンプルな方」にも白色申告は向いています。ただし、事業が軌道に乗って所得が年間300万円を超えるようになってきたら、青色申告への切り替えを検討すると節税効果を実感しやすくなります。
こんな人は青色申告を選ぶべき
青色申告を選ぶべきなのは、「本格的に事業を行っている個人事業主・フリーランス」や「事業拡大を見越している方」です。年間所得が100万円を超えるようになると、青色申告特別控除のメリットが帳簿付けの手間を上回るケースが増えてきます。
また、「赤字になる可能性がある方」や「家族を事業に関わらせている方」にも青色申告はおすすめです。青色申告なら赤字を最大三年間繰り越せますし、家族への給与も「青色事業専従者給与」として全額経費にできます。長期的に見れば、青色申告のメリットは大きいと言えるでしょう。
青色申告を始めるための手続きと提出期限
青色申告を始めるには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は、青色申告をしたい年の3月5日までです。ただし、その年の1月1日以降に新規開業した場合は、開業日から2ケ月以内に提出すればその年から青色申告が可能です。年の途中で開業した場合の期限の考え方は、年の途中で開業した場合の青色申告承認申請の期限で詳しく整理しています。
もし、期限を過ぎてしまうとその年は白色申告しか選べなくなるため、早めに手続きを進めることが重要です。申請書は国税庁のホームページからダウンロードでき、e-Taxでも提出可能です。以降の手間を考えると、開業と同時に「開業届」とあわせて提出しておくのがスムーズです。
初めての申告でやりがちな失敗パターン
初めての確定申告では、思わぬ落とし穴にはまってしまう人が少なくありません。よくある失敗パターンを事前に知っておくことで、同じようなミスを防ぐことができます。
青色申告承認申請書の提出を忘れている
「今年から青色申告をしよう」と思っても、事前に青色申告承認申請書を提出していなければ青色申告はできません。提出期限は早いため、開業時に一緒に提出しておくのが確実です。
複式簿記を「複雑そう」と避けてしまう
複式簿記と聞くと難しそうに感じますが、クラウド会計ソフトを使えば自動で仕訳してくれるため、仕組みはそれほど難しくありません。「難しそう」と諦めるだけで、65万円控除のチャンスを捨ててしまうのはもったいないです。
事業用とプライベートの経費を混同してしまう
個人事業主によくあるミスが、事業用とプライベート用の経費を混ぜてしまうこと。特に携帯代や電気代などは「家事按分」という考え方で、事業で使用した割合のみを経費計上する必要があります。
領収書や証憑書類を保管していない
確定申告のためには、領収書や控除の証憑書類をきちんと保管しておく必要があります。特に青色申告の場合、保存期間は7年間と長期に及ぶため、ファイルやクラウドストレージを活用して、見やすいシステムで保管しましょう。
Q&A|白色申告と青色申告に関するよくある質問
白色申告と青色申告に関して、初めての方からよくいただく質問をまとめました。以下のQ&Aを参考にして、ご自身にあった申告方法を検討してください。
Q. 白色から青色への切り替えはいつでもできる?
白色から青色への切り替えは可能ですが、事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要です。すでに事業を始めている方の場合、青色申告をしたい年の期限までに提出すれば、その年から青色申告が可能になります。
Q. 青色申告だと税務調査に入られやすい?
一部で「青色申告は税務調査に入られやすい」という話を耳にしますが、それは誤解です。逆に青色申告は複式簿記による記録で信頼性が高いため、白色申告よりも調査の対象になりにくいという見方もあります。重要なのは、どちらも「適切で正確な申告」を行うことです。
Q. 会社員の副業も青色申告できる?
会社員の副業でも、その収入が「事業所得」と認められる規模・継続性があると判断されれば青色申告は可能です。ただし、単発的な収入や継続性の低いケースだと「雑所得」とされ、青色申告の対象外となることがあります。不安な場合は税務署や専門家に確認しましょう。
Q. 赤字になった場合はどうなる?
赤字になった場合、白色申告だとその年の他の所得と相殺して終わりですが、青色申告なら赤字を最大三年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できます。これだけでも、事業を始めて赤字が見込まれる初期段階では青色申告にしておくメリットが大きいと言えます。
まとめ|迷ったら「青色申告10万円控除」から始めよう
白色申告と青色申告、どちらを選ぶか迷ったら、まずは「青色申告10万円控除」から始めるのがおすすめです。単式簿記でOKなため白色申告と同じレベルの手間で済み、それでも年10万円の控除を受けられるため、コストパフォーマンスが高いのです。
事業が軌道に乗ってきたら、複式簿記にステップアップして65万円控除を狙うとよいでしょう。クラウド会計ソフトを使えば、複式簿記も思った以上にスムーズに進められます。いずれにしても、青色申告をしておけば将来赤字になった際の繰り越しなどのメリットも受けられます。
青色申告の65万円控除を狙うと、複式簿記による帳簿付けが避けられません。本業のかたわらで正確に記帳を続けるのは、思った以上に骨の折れる作業です。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








