年金をもらいながら働く個人事業主の確定申告|公的年金等控除との関係を解説
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確定申告

年金をもらいながら働く個人事業主は、年金を雑所得、事業の利益を事業所得として別々に計算し、合算して税額を求めます。公的年金等控除で年金部分の負担は抑えられ、事業所得が20万円を超えるかどうかが申告要否の目安です。所得の区分と申告のポイントを整理します。
定年後に個人事業を始める方や、年金を受け取る年齢になっても現役で事業を続ける方が増えています。そんな「年金+事業収入」の暮らしで気になるのが、確定申告のやり方ではないでしょうか。年金と事業の収入では税金の計算ルールが異なるため、仕組みを知らないままだと戸惑ってしまいがちです。まずは所得の区分から順に確認していきましょう。
☑ 年金を受け取りながら事業を続けているが、申告のやり方に自信がない
☑ 「公的年金等控除」の仕組みがよくわからない
☑ 自分は確定申告が必要なのかどうかを知りたい
年金と事業収入は「別々の所得」として計算します
公的年金は「雑所得」、事業の利益は「事業所得」
所得税では、収入をその性質ごとに区分して計算します。公的年金は「雑所得(公的年金等)」に、事業の利益は「事業所得」に区分されます。公的年金等にあたるのは、主に次のようなものです。
国民年金(老齢基礎年金)や厚生年金(老齢厚生年金)
共済組合などから支給される年金
確定拠出年金(iDeCoなど)を年金形式で受け取る老齢給付金
まずそれぞれの所得を別々に計算し、その後に合算して税金を求める、という二段階の流れを押さえておきましょう。複数の収入源をそれぞれ区分して集計する考え方は、複数事業を営む場合の収支内訳と按分とも共通しており、参考になります。
公的年金等控除とは?
公的年金等控除とは、年金収入から差し引くことができる控除のことです。給与収入に給与所得控除があるように、年金収入にも「この金額までは所得とみなさない」という枠が設けられています。年金の受取額がそのまま課税されるわけではないため、思っているよりも税負担は軽くなるケースが多いのです。控除額を確認する際は、毎年届く公的年金等の源泉徴収票や年金振込通知書で、収入金額を把握しておくとスムーズです。
2つの所得を合算して税金を計算します
事業所得と年金の雑所得は、合算したうえで基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引き、残った金額に税率をかけて所得税を計算します。差し引ける社会保険料控除の範囲は、国税庁タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1130.htm)で確認できます。事業の利益が増えれば全体の税額にも影響するため、「事業と年金をまとめて考える」という視点が大切です。
確定申告は必要?「確定申告不要制度」との関係
年金400万円以下・その他の所得20万円以下なら申告不要
年金受給者には「確定申告不要制度」があり、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告をしなくてよいとされています。年金収入が中心で、事業はごく小規模という方は、この制度の対象になる可能性があります。
事業の所得が20万円を超えると確定申告が必要です
ここでいう20万円は「売上」ではなく、売上から経費を差し引いた「所得」で判定します。事業の所得が20万円を超える場合は、年金収入の額にかかわらず確定申告が必要です。「売上が20万円を超えたら申告」と誤解されがちな部分なので注意してください。事業を本格的に行っている方の多くは、申告が必要になると考えておきましょう。年金と事業の申告をまとめて任せたい方は、年金と事業の申告をまとめて任せる確定申告代行という方法もあります。
申告不要でも住民税の申告が必要なことがあります
確定申告不要制度は、あくまで所得税の申告に関するルールです。年金以外の所得が少しでもある場合、住民税の申告は別途必要になることがあります。確定申告をすれば住民税の申告も兼ねられるため、迷ったら確定申告をしておくのがシンプルで安心です。手間はかかりますが、控除の適用漏れを防げるという安心感もあります。
公的年金等控除の仕組みをやさしく解説
65歳未満と65歳以上で控除額が変わります
公的年金等控除は、その年の12月31日時点の年齢によって控除額が変わり、65歳以上のほうが手厚く設定されています。たとえば年金以外の所得が一定以下の場合、65歳以上では最低でも110万円、65歳未満では最低でも60万円の控除があります。同じ年金額でも、年齢によって税負担が変わる点を覚えておきましょう。
控除を引いた後の金額が「雑所得」になります
年金の収入金額から公的年金等控除を差し引いた残りが、課税の対象となる雑所得です。たとえば65歳以上で年金収入が110万円以下であれば、年金部分の所得はゼロになる計算です。この場合、税金は主に事業所得の大きさによって決まることになります。
控除額の詳細は国税庁サイトで確認を
公的年金等控除の金額は、年金収入の額や年金以外の所得金額に応じて段階的に定められています。制度改正によって金額が見直されることもあるため、実際に計算する際は国税庁のタックスアンサー(公的年金等の課税関係)など、国税庁サイトで最新の情報をご確認ください。
年金受給中の個人事業主が知っておきたいポイント
事業でいくら稼いでも年金は原則減りません
働きながら厚生年金を受け取る会社員には、給与の額に応じて年金が減額される「在職老齢年金」の仕組みがありますが、これは厚生年金に加入して働く場合の制度です。個人事業主として得た事業収入は対象にならないため、原則として事業でいくら稼いでも老齢厚生年金が減額されることはありません。これは個人事業で働き続ける大きなメリットといえます。
申告したほうが得になるケースもあります
事業が赤字になった年は、確定申告をすることで赤字を年金の雑所得と損益通算でき、年金から源泉徴収された税金が還付される可能性があります。また、医療費控除や生命保険料控除など、申告しなければ受けられない控除もあります。入院や手術で医療費がかさんだ年などは、申告で税金が戻ることも珍しくありません。年の途中で療養し事業を休んだ場合の申告の考え方は、病気・療養で年の途中に休業した場合の確定申告も参考になります。申告義務の有無だけでなく、還付のチャンスにも目を向けましょう。
青色申告特別控除で事業所得を抑えられます
事業所得については、青色申告を選択して要件を満たすことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。年金と合算する前に事業所得そのものを小さくできるため、節税効果は大きめです。控除の要件は国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm)で確認できます。複式簿記での記帳などの手間はかかりますが、その分のメリットは十分にあります。
なお、記帳の不備などで青色申告の承認が取り消される場合もあるため、条件を知っておきたい方は青色申告が取り消される条件と再申請も確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 年金から税金が天引きされていれば申告は不要ですか?
年金からの源泉徴収はあくまで概算です。事業の所得が20万円を超える方は、源泉徴収の有無にかかわらず確定申告が必要です。反対に、源泉徴収されすぎている場合は、申告することで還付を受けられることもあります。
Q. 事業が赤字の場合、年金の所得と相殺できますか?
はい。事業所得の赤字は、損益通算によって公的年金等の雑所得など他の所得から差し引くことができます。その結果として全体の所得が下がり、源泉徴収された税金が還付されるケースもあります。赤字の年こそ、確定申告をする価値があるといえます。
Q. 国民健康保険料や介護保険料も控除できますか?
ご自身が支払った国民健康保険料や国民年金保険料、後期高齢者医療制度の保険料などは、社会保険料控除の対象です。なお、年金から天引き(特別徴収)されている介護保険料などは、天引きされている本人の控除になる点に注意しましょう。また、小規模企業共済やiDeCoの掛金も、全額が所得控除の対象になります。
年金+事業の申告で迷ったときの結論
年金をもらいながら事業を続ける場合、年金は雑所得、事業の利益は事業所得として別々に計算し、合算して税額を求めます。公的年金等控除のおかげで年金部分の税負担は抑えられており、事業の所得が20万円を超えるかどうかが、確定申告が必要かどうかの大きな目安になります。個人事業であれば在職老齢年金による減額を気にせず働けるうえ、青色申告特別控除や損益通算など、申告の工夫で手取りを増やせる余地もあります。迷ったときは、ご自身の収入の種類と金額を書き出して整理してみることが第一歩です。
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申し込みから始まるまでの手順は、申し込みから開始までの流れを見ると分かりやすくなります。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








