個人事業主が育児・介護で休業した年の確定申告をやさしく解説
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確定申告

育児・介護で休業した年こそ、確定申告で納めすぎた税金の還付や赤字の繰越しといったメリットが受けられます。申告の要否、休業中でも計上できる経費の扱い、見落としやすい扶養・医療費・社会保険料の控除まで、損をしないためのポイントを整理します。
個人事業主は、会社員のように育児休業や介護休業の制度・手当が手厚く用意されているわけではないため、「収入が減った年の税金はどうなるのだろう」「休んだ年も確定申告はしなければいけないの」と不安になる方が多いものです。休業した年は申告をしないことで損をしてしまう場面もあります。申告の要否から順に確認していきましょう。
☑ 育児や介護で事業を休んだ年も、確定申告は必要なのか分からない
☑ 収入がほとんどなかった年でも申告したほうがよいのか迷っている
☑ 休業中に出た赤字や経費をどう扱えばよいのか知りたい
☑ 予定納税や源泉徴収で前払いした税金が戻るのか気になっている
休業した年でも確定申告を検討すべき理由
「ほとんど働いていないのだから申告は関係ない」と思われがちですが、休業した年だからこそ申告にメリットがあるケースが多くあります。まずはその理由を押さえましょう。
所得が少なければ納めすぎた税金が戻ることがある
事業を休んで収入が大きく減った年は、所得が少なくなります。それまでに予定納税をしていた場合や、報酬から源泉徴収されていた場合には、納めすぎた税金が確定申告によって還付されることがあります。働けなかった年だからこそ、戻ってくるお金を取り逃さないことが大切です。還付を受けるための申告の仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm)で確認できます。
住民税や保険料にも影響する
確定申告の内容は、翌年の住民税や国民健康保険料の計算の基礎になります。所得が少なかったことを正しく申告しておくと、翌年の負担が適正に軽くなる可能性があります。申告をしないと所得の状況が役所に正しく伝わらず、負担の調整がされないこともあるため注意が必要です。
源泉徴収や予定納税分が還付されることがある
翌年の住民税の計算に反映される
国民健康保険料などの軽減につながることがある
休業中の赤字や経費の扱い
事業を休んでいても、固定費などの支出は続くことがあります。こうした支出をどう扱うかで、税金の結果が変わってきます。
休業中でも発生する経費がある
事業を休んでいる間も、事務所の家賃や通信費、各種会費など、事業を続けるためにかかる費用は発生します。これらは事業に関連する支出として経費に計上できることがあります。収入が少ない年は、経費を差し引いた結果、所得がマイナス(赤字)になることもあります。休業中だからといって支出をすべて無視してしまうと、本来差し引けたはずの経費を取りこぼし、所得を実際より多く申告してしまうおそれがあります。同じように年の途中で活動を止めた場合の考え方は、病気・療養で年の途中に休業した場合の確定申告も参考になります。
青色申告なら赤字を繰り越せる
青色申告をしている個人事業主は、その年に出た赤字を翌年以降の所得から差し引ける「損失の繰越し」が認められています。休業した年の赤字を、事業を再開して利益が出た年に繰り越して使えるため、将来の税負担を軽くできる可能性があります。これは申告をして初めて受けられる仕組みです。青色申告で受けられる特典の全体像は、国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm)で確認できます。
休業中の家賃・通信費・会費なども経費になり得る
収入より経費が多ければ赤字になることがある
青色申告なら赤字を翌年以降に繰り越せる
育児・介護に関連して使える控除
休業の背景に育児や介護がある場合、それに関連して使える所得控除があります。見落とすと税金が高いままになってしまうため、確認しておきましょう。休業中に申告書の作成まで手が回らない方には、申告書の作成まで任せられる確定申告の代行という方法もあります。
扶養に関する控除を確認する
子どもや、介護している家族を扶養している場合、扶養控除や配偶者控除などの対象になることがあります。家族構成や同居・別居の状況、家族の所得などによって適用が変わるため、自分の状況に当てはまる控除がないか確認しておきましょう。配偶者も個人事業を営んでいる場合の控除の考え方は、夫婦ともに個人事業主の場合の確定申告で整理しています。
医療費や社会保険料の控除も忘れずに
出産や介護では医療費がかさむことが多く、1年間の医療費が一定額を超えた場合は医療費控除の対象になります。対象範囲や計算方法は、国税庁タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)で確認できます。また、自分で支払った国民健康保険料や国民年金保険料は社会保険料控除の対象です。休業で収入が減った年でも、これらの控除を申告に反映させることで税負担を抑えられます。
子どもや家族を扶養していれば扶養控除等の対象になり得る
出産・介護でかかった医療費は医療費控除の対象になることがある
支払った国民健康保険料・国民年金は社会保険料控除の対象
休業中の経理を乱さないための工夫
休業中は事業のことから少し離れるため、書類の管理がつい後回しになりがちです。しかし、ここで記録が途切れると、後の確定申告で苦労することになります。記帳代行の現場でも、休業明けに「この時期の領収書がどこにあるか分からない」と困られる方は少なくありません。
支出の記録と領収書だけは残す
たとえ事業を休んでいても、家賃や通信費などの支払いは続きます。これらの領収書や明細だけは、いつもの場所にまとめて保管しておきましょう。後から「この支出は経費にできたのに記録がない」という事態を防げます。
事業再開時にスムーズに戻れるようにしておく
休業期間が終わって事業を再開するとき、休業中の記録がきちんと残っていれば、帳簿づけや申告の準備がスムーズに進みます。完璧に整える必要はなく、領収書を月ごとに分けておく程度でも、再開後の負担が大きく変わります。
休業の期間と理由をメモしておくと安心
育児や介護による休業は、いつからいつまで事業を休んでいたのかが後から分かりにくくなりがちです。「この月は収入がほとんどなかったが、なぜだったか」を思い出せないと、申告の際に事業の実態を説明しづらくなります。休業の開始時期、おおよその再開予定、休んでいた理由を簡単にメモしておくだけでも、後で振り返るときの助けになります。収入が大きく変動した年は、所得が前年と違う背景を整理しておくことで、保険料の軽減を申請する場面などでも説明がしやすくなります。家族で事業を分担している場合に誰が何を申告するかは、家族で一つの事業を営むときの申告の分担も参考になります。
よくある質問
Q. 育児で1年間ほとんど働きませんでした。確定申告は必要ですか?
所得がごく少ない場合、申告義務がないこともありますが、源泉徴収や予定納税で税金を前払いしている場合は、申告すれば還付を受けられることがあります。また、住民税や保険料に正しく反映させるためにも、申告しておく意味があります。状況に応じて検討することをおすすめします。
Q. 休業中に出た赤字はどうなりますか?
青色申告をしている場合、その年の赤字を翌年以降の所得から差し引く「損失の繰越し」が利用できます。事業を再開して利益が出たときに繰り越した赤字を使えるため、将来の税負担を軽くできます。ただし、申告をしていることが前提になります。
Q. 育児や介護で休んだことで使える特別な控除はありますか?
休業そのものに対する控除があるわけではありませんが、扶養している家族がいれば扶養控除や配偶者控除、医療費がかさめば医療費控除、保険料を払えば社会保険料控除など、状況に応じた控除が使えます。自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。
今日からできる休業年の申告対策
育児や介護で事業を休んだ年は収入が減るため、確定申告とは無縁に思えるかもしれません。しかし、納めすぎた税金の還付、翌年の住民税や保険料への反映、青色申告による赤字の繰越し、各種控除の適用など、申告しておくことで得られるメリットは少なくありません。むしろ休んだ年こそ、申告で損をしないことが大切です。ポイントは、休業中でも支出の記録と領収書を残しておくことです。年度によって変わる控除の要件などは、最新情報を国税庁サイト等でご確認ください。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








