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セミナー講師・研修講師の確定申告|謝礼・...

2026/7/19

セミナー講師・研修講師の確定申告|謝礼・源泉徴収・経費の処理を解説

  • 確定申告

セミナー講師・研修講師の謝礼は源泉徴収されて振り込まれますが、確定申告で経費や控除を反映すれば、払い過ぎた税金が還付されるケースが多くあります。所得区分・源泉徴収・講師業ならではの経費を押さえれば手取りを守れます。

講師として活動していると、依頼元から受け取る謝礼から、すでに税金が差し引かれた金額が振り込まれることがあります。「源泉徴収されているなら、確定申告はいらないのでは」と感じる方も多いのですが、実はその逆で、申告することで払い過ぎた税金が戻ってくることが少なくありません。講師業に固有の実務ポイントを中心に、順を追って整理します。

☑ セミナーの謝礼から税金が引かれていたけれど、確定申告は必要なのか分からない

☑ 源泉徴収された分は戻ってくるのか、どう申告すればいいのか不安

☑ 研修先への交通費や資料作成費を経費にできるのか知りたい

セミナー・研修の謝礼はどんな所得になるのか

講師の謝礼は、活動の規模や継続性によって「事業所得」か「雑所得」に分かれます。継続的に講師業を営むなら事業所得、本業が別で年に数回だけなら雑所得となるのが一般的です。区分によって使える優遇が変わります。

「事業所得」か「雑所得」かで扱いが変わる

講師として受け取る謝礼は、活動の規模や継続性によって所得の区分が変わります。講師業を継続的・反復的に行い、それで生計を立てているなら「事業所得」になるのが一般的です。一方、本業が別にあり、年に数回だけ単発で登壇する場合は「雑所得」として扱われることが多くなります。

この区分は単なる呼び名の違いではありません。事業所得であれば、後述する青色申告特別控除を使えたり、赤字が出たときに他の所得と相殺(損益通算)できたりと、税金面で有利な仕組みが使えます。雑所得ではこうした優遇が基本的に使えないため、自分がどちらに当たるかを早めに整理しておきましょう。講師と近い実演系の所得区分の考え方は、舞台俳優・ダンサーの確定申告も参考になります。

給与として支払われる場合との違い

同じ「講師」でも、企業に雇用されて社内研修を担当する場合などは、謝礼ではなく「給与」として支払われることがあります。給与であれば源泉徴収票が発行され、年末調整の対象になることもあります。一方、外部の講師として個人で契約し報酬を受け取る場合は、自分で確定申告をする必要があります。会社員が副業で登壇する場合に申告が必要になる基準は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。

振り込まれたお金が「報酬」なのか「給与」なのかは、依頼元から渡される支払調書や源泉徴収票で確認できます。複数の依頼元から仕事を受けている方は、収入ごとに区分を確かめておきましょう。講師と別の事業を掛け持ちしている場合の収支の分け方は、複数事業を営む個人事業主の確定申告で整理しています。

謝礼から引かれる源泉徴収のしくみ

講師料は「源泉徴収の対象となる報酬」に含まれ、依頼元が所得税分を差し引いてから振り込みます。契約上の謝礼より振込額が少ないのはこのためです。交通費・宿泊費の扱いは契約の仕方で変わります。

講師の報酬は源泉徴収の対象になる

セミナーや研修の講師料は、所得税法上「源泉徴収の対象となる報酬」に含まれます。そのため依頼元(支払者)があらかじめ所得税分を差し引いた金額を振り込み、差し引いた分を国に納めます。たとえば契約上の謝礼が10万円でも、実際の振込額がそれより少ないのは源泉徴収が行われているためです。

源泉徴収される税率は、報酬額に応じた一定の割合(復興特別所得税を含む)が適用されます。1回の支払額が一定額を超えると、超えた部分の税率が変わる二段階の計算になるのが講師報酬の特徴です。正確な割合は支払調書や振込明細で確認できます。

交通費や宿泊費が報酬に含まれるかで変わる

地方での研修などで交通費・宿泊費を受け取る場合、その扱いは契約の仕方によって変わります。交通費が「報酬の一部」として講師料に上乗せされる場合は、その分も源泉徴収の対象になることがあります。一方、依頼元が実費を直接負担したり別建てで精算したりする場合は、源泉徴収の対象から外れることがあります。

どちらの形で支払われるかによって、課税される収入金額も変わります。請求書では講師料と交通費・宿泊費を分けて記載しておくと、後の経理処理が分かりやすくなります。

源泉徴収された税金は確定申告で精算される

源泉徴収は「概算で先に税金を預かる」しくみです。1年間の収入から経費や控除を差し引いた所得に対する本来の税額より多く引かれていれば、差額は還付されます。講師業は経費が幅広く、還付になるケースが多く見られます。

払い過ぎた税金が還付される可能性がある

源泉徴収は、あくまで「概算で先に税金を預かる」しくみです。実際の所得税は、1年間の収入から必要経費や各種控除を差し引いた所得に対して計算されます。源泉徴収であらかじめ引かれた金額が本来納めるべき税額より多ければ、その差額は還付金として戻ってきます。

講師業は経費にできる支出が幅広く、基礎控除や社会保険料控除なども差し引けます。その結果、源泉徴収で引かれた分のほうが多くなり、申告で税金が戻るケースが多く見られます。「申告すると追加で取られるのでは」と申告を避けると、戻るはずのお金を受け取りそびれてしまいます。源泉徴収の精算まで含めてまるごと任せたい場合は、源泉徴収の精算まで含めた確定申告の代行という選択肢もあります。

源泉徴収された金額は申告書に正しく記入する

確定申告では、1年間に受け取った謝礼の合計(源泉徴収される前の総額)を収入として申告し、すでに差し引かれた源泉徴収税額を申告書の所定の欄に記入します。この税額は所得税額から納めた分として差し引かれ、納め過ぎていれば還付、不足していれば追加納付となります。

記入のもとになるのが、各依頼元から受け取る支払調書や振込明細です。支払調書は必ずしも全員に交付されるとは限らないため、自分でも振込額と源泉徴収額を記録しておきましょう。

講師業ならではの経費の考え方

経費は「収入を得るためにかかった費用」です。講師の場合、登壇そのものだけでなく準備や自己研鑽の費用も幅広く対象になります。プライベートとの線引きに注意しながら計上しましょう。

登壇・準備にかかる費用を経費にする

経費とは、収入を得るためにかかった費用のことです。講師の場合、登壇そのものだけでなく、その準備にかかる費用も幅広く経費の対象になります。代表的なものを挙げます。

  • 会場までの交通費、遠方の場合の宿泊費

  • 講演資料・レジュメの印刷費、配布物の作成費

  • スライド作成ソフトの利用料、登壇用の機材(マイク、Webカメラなど)

  • 登壇に必要な書籍・専門誌などの資料代

これらは「その仕事のために必要だった」と説明できることが前提です。領収書やレシートを保管し、何のための支出かを後から分かるようにしておきましょう。同じレッスン料・教材費を扱う語学講師の経費の切り口は、語学・英会話講師の確定申告でも詳しく解説しています。

オンライン登壇・自己研鑽の費用も忘れずに

近年はオンラインでのセミナー・研修も増えています。Web会議システムの利用料、配信用の照明やマイク、通信費の一部なども経費に含められる場合があります。自宅から配信しているなら、家賃や電気代のうち仕事に使っている割合分を経費にする「家事按分」という考え方も使えます。

また、登壇する分野の受講料やセミナー参加費、関連資格の更新費用なども、業務との関連が説明できれば経費の対象になり得ます。こうした自己研鑽の費用を見落とさないことが手取りを守るポイントです。実際にお預かりする資料でも、書籍代や研修参加費が経費に入れられないまま眠っている、というケースをよく見かけます。

プライベートとの線引きに注意する

注意したいのは、仕事とプライベートが混ざりやすい支出です。たとえば登壇のために購入したスーツや、移動のついでの食事代などは、業務との関連がはっきりしないと経費として認められにくくなります。家事按分も、使用時間や面積などの合理的な基準で割合を決めることが求められます。

迷ったときは「これは収入を得るために必要だったか」を基準に考え、説明できる範囲にとどめておくのが安全です。

講師業の確定申告の進め方

事業所得として申告できる規模なら、青色申告で最大65万円の特別控除を受けられます。日々の記録を積み重ねておくことが、申告期の負担を大きく減らします。

青色申告と白色申告のどちらを選ぶか

事業所得として申告できる規模であれば、青色申告を選ぶと税制上の優遇を受けられます。複式簿記で記帳し、必要な書類を期限内に提出するなどの要件を満たせば、青色申告特別控除として最大65万円を所得から差し引けます。手続きが簡単な白色申告には、こうした大きな控除はありません。青色申告特別控除の要件は、国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」で確認できます。

青色申告を始めるには、原則として事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。本格的に講師業を続けていくなら、早めに青色申告への切り替えを検討するとよいでしょう。なお、要件を満たせずに青色申告が取り消される条件や再申請の流れは、青色申告が取り消される条件と再申請の方法で確認できます。

申告の時期と日々の準備

確定申告は、原則として毎年2月16日から3月15日までの期間に、前年1年間(1月1日〜12月31日)の所得について行います。この時期にまとめて作業しようとすると、1年分の振込明細や領収書を一気に整理することになり、大きな負担になります。

負担を減らすコツは、日々の積み重ねです。報酬を受け取ったら収入と源泉徴収額を記録し、経費が発生したら領収書をその都度まとめておく。この習慣があるだけで、申告期間の作業は格段に楽になります。

よくある質問

Q. 副業で年に数回だけ登壇しています。それでも確定申告は必要ですか?

会社員の方が副業として講師をしている場合、給与以外の所得(経費を差し引いた後の金額)が一定額を超えると確定申告が必要になります。金額が小さくても、謝礼から源泉徴収されているなら、申告することで税金が還付される可能性があり、申告しておくほうが得になるケースが多いといえます。

Q. 支払調書が依頼元からもらえません。どうすればいいですか?

支払調書は、必ずしもすべての講師に交付が義務づけられているわけではありません。もらえない場合でも、振込明細や自分の記録から収入額と源泉徴収額を把握できれば申告は可能です。日頃から振込額をメモし、契約金額との差額を控えておきましょう。

Q. 交通費は依頼元が払ってくれたので、経費にしなくていいですよね?

交通費が報酬に上乗せして支払われ、収入として計上されている場合は、その実費を経費として差し引けます。一方、依頼元が実費を別途精算し、自分の収入に含まれていない場合は、二重に経費計上することはできません。どちらの扱いかを請求書や明細で確認しましょう。

手取りを守る講師の確定申告・要点整理

セミナー講師・研修講師の謝礼は源泉徴収の対象となり、税金が差し引かれた状態で振り込まれることが多くあります。しかし源泉徴収はあくまで概算であり、経費や各種控除を反映して確定申告をすれば、払い過ぎた税金が還付されるケースが少なくありません。事業所得か雑所得かの区分を整理し、登壇・準備・自己研鑽の費用をもれなく経費に計上し、日々の記録を積み重ねておくことが、講師業で手取りを守る近道です。

とはいえ、登壇の準備や打ち合わせに追われる中で、振込明細の管理から経費の仕分け、源泉徴収額の集計までを一人で行うのは大きな負担です。本業に集中するほど経理や申告は後回しになりがちで、申告期間に慌ててしまう方も少なくありません。

登壇準備に追われるほど、振込明細や源泉徴収額の整理は後回しになりがちです。依頼元が増えるほど、収入ごとの区分の管理も複雑になっていきます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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