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決算で未収収益・未払費用を正しく計上する...

2026/7/18

決算で未収収益・未払費用を正しく計上する手順をやさしく解説

  • 税務

決算で計上する未収収益・未払費用は、お金の動きではなく取引が発生した年度で収益・費用を区切る調整です。対象の見分け方と計上・振り戻しの手順、間違えやすいポイントを、個人事業主向けに具体例を交えて整理します。

確定申告の時期が近づき、いざ帳簿を締めようとすると「未収収益」「未払費用」といった見慣れない勘定科目に手が止まってしまう方は少なくありません。お金がまだ動いていないのに今年の決算に入れる、という考え方は最初はなかなか直感に合わないものです。

☑ 年末の決算で「未収収益」「未払費用」という言葉が出てきたが、何を指すのかよくわからない

☑ どの取引をいつの年度の収入や経費にすればよいのか、線引きに自信がない

☑ 翌年に入金・支払いがある分まで今年の決算に入れる必要があるのか不安だ

「この取引は今年と来年のどちらの数字なのか」を自分で判断できるよう、決算整理の考え方と手順を順を追って確認していきます。お金が動いていないのに計上するという発想も、理由がわかれば迷わなくなります。

未収収益・未払費用とは何かを整理しましょう

「発生主義」という考え方が出発点

未収収益・未払費用を理解する出発点が発生主義という考え方です。発生主義とは、お金が実際に入ったか出たかではなく、取引による収益や費用が「発生した時点」でその年度の数字として認識するルールのことを指します。

たとえば12月に仕事を終えて売上が確定していれば、入金が翌年1月であっても、その売上は今年の収入として扱います。逆に、お金が動いた時点だけで記録する考え方を現金主義といいますが、所得税の計算は原則として発生主義で行うことになっています。所得計算の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサー「No.1000 所得税のしくみ」で確認できます。決算で未収・未払を計上するのは、この発生主義を正しく反映させるための作業です。

未収収益と未払費用の意味

  • 未収収益…今年すでに提供した役務やサービスに対して、対価を受け取る権利は確定しているのに、まだ入金されていない収益

  • 未払費用…今年すでに提供を受けたサービスなどに対して、支払う義務は発生しているのに、まだ支払っていない費用

どちらも「今年の活動で生じたのに、お金の受け渡しが決算日をまたいでいる」という共通点があります。決算日(個人事業主は原則12月31日)を境に、お金の動きと取引の発生時期がずれているものを、正しい年度に振り分けるのが計上の目的です。締め日と決算月がずれる場面の実務は月の締め日と決算月のズレの実務もあわせて確認しておくと理解しやすくなります。

似た科目との違いに注意

未収収益とよく混同されるものに「売掛金」があります。売掛金は商品の販売やサービス提供がすでに完了し、請求額も確定している場合の未回収分を指します。一方の未収収益は、家賃や利息のように、契約に基づいて時の経過とともに発生する収益のうち、まだ受け取っていない分を指すのが本来の意味です。受け取ったお金が売上か預り金か立替金かで迷う場面は、受け取った金額が売上か預り金か立替金かを見分ける記帳判断も参考になります。実務では細かく使い分ける場面もありますが、まずは「発生しているのに未回収・未払いのものを正しい年度に入れる」という大きな目的を押さえておきましょう。

計上すべき取引かどうかの見分け方

判断の軸は「いつ発生したか」

ある取引を今年の決算に入れるかどうかは、お金の動いた日ではなく、収益や費用が発生した日が決算日より前かどうかで判断します。年末の数日間や年明けの取引は特に判断が分かれやすいため、契約書や納品書、請求書の日付を一つひとつ確認することが大切です。

「12月中に仕事は終わっているか」「サービスの提供期間は今年にかかっているか」を基準に考えると、迷いが少なくなります。

未収収益になりやすい代表例

  • 12月に納品・役務提供を完了し、入金が翌年になる報酬や売上

  • 事務所などを貸している場合の、今年分に対応する未収の家賃

  • 預けている資金にかかる、今年分に対応する未収の利息

いずれも「今年のうちに受け取る権利が生じている」点が共通します。請求書を出していなくても、仕事が完了していれば計上の対象になり得ます。なお、計上した未収の売上が回収できず焦げ付いた場合の扱いは貸倒れになった売上の記帳で確認できます。

未払費用になりやすい代表例

  • 12月に利用した外注費や業務委託費で、支払いが翌年になるもの

  • 当月分の家賃や水道光熱費のうち、今年に対応するのに未払いの分

  • 借入金の利息のうち、今年の期間に対応するのにまだ支払っていない分

これらは「今年すでにサービスの提供を受けている」ことが計上の根拠になります。請求書の到着や引き落としが翌年でも、今年の費用として扱うのが原則です。

決算をまたぐ取引の仕分けを毎回自分で判断するのが不安なら、決算整理まで含めて記帳を任せる方法もあります。

未収収益・未払費用を計上する手順

手順1:決算日をまたぐ取引を洗い出す

まずは12月から翌年1月にかけての取引を中心に、入金・支払いの時期が決算日をまたぐものを一覧にします。通帳の動き、請求書、納品書、契約書を見比べながら、「発生は今年・お金は来年」となるものを拾い出していきましょう。年をまたぐ継続的な契約(家賃・保守料・利息など)は特に見落としやすいので注意が必要です。確定申告全体の流れは国税庁タックスアンサー「No.2020 確定申告」で確認できます。

手順2:今年に対応する金額を計算する

洗い出した取引について、今年分にあたる金額を計算します。たとえば、サービス期間が今年と来年にまたがる契約なら、月割りや日割りで今年に対応する分だけを切り出します。1年分まとめて支払う・受け取る契約ほど、按分(あんぶん)の計算が重要になります。計算の根拠は、後から見返せるようにメモや計算書として残しておくと安心です。

手順3:決算整理仕訳として帳簿に記録する

金額が固まったら、決算整理仕訳として帳簿に記録します。未収収益は資産として、未払費用は負債として計上し、相手科目に売上や各経費を立てるのが基本的な形です。会計ソフトを使っている場合は「決算整理」や「決算仕訳」の機能から入力でき、貸借のバランスが自動でチェックされるため、手書きより間違いが起きにくくなります。

手順4:翌年に「振り戻し」を行う

今年計上した未収収益・未払費用は、翌年に実際の入金や支払いが行われたときに二重計上にならないよう、翌期の最初に反対の仕訳(振り戻し・再振替)を行って打ち消すのが一般的です。これをしておくと、翌年に入金・支払いを通常どおり記帳しても、収益や費用が重複しません。計上したら振り戻しまでがワンセット、と覚えておきましょう。

計上で間違えやすいポイント

金額のずれと二重計上

  • 按分計算を誤り、今年分でない金額まで計上してしまう

  • 翌年の振り戻しを忘れ、同じ収益・費用を2回計上してしまう

  • すでに前払い・前受けしている分を、未収・未払と取り違える

これらは決算の数字を直接ゆがめてしまうため、計上した一覧と翌年の入出金を突き合わせて確認する習慣をつけると安心です。前払費用・前受収益とは資産・負債の方向が逆になる点も意識しておきましょう。前払いした費用を全額その年の経費にできる特例は短期前払費用の使い方と年払いの試算で扱っています。

根拠書類の保存と判断のメモ

未収・未払の計上は、なぜその年度に入れたのかを後から説明できることが大切です。納品日や役務の提供期間がわかる書類を保存し、按分計算の考え方をメモに残しておきましょう。判断に迷う取引は、無理に断定せず、契約内容や提供時期という事実に立ち返って整理するのが基本です。

よくある質問

Q. 金額が小さい未収・未払も、必ず計上しなければいけませんか?

原則として、発生している収益・費用は正しい年度に計上するのが基本です。ただし、毎期継続して同じ処理を行うことを前提に、金額的な影響が小さく重要性が低いものについては、簡便的な扱いが認められる場合もあります。判断に迷うときは、毎年同じルールで一貫して処理することを心がけ、不安な場合は専門家に相談しましょう。

Q. 売掛金と未収収益は、どちらの科目を使えばよいですか?

商品の販売やサービス提供が完了し、請求額も確定している未回収分は「売掛金」を使うのが一般的です。家賃や利息のように、時の経過に応じて発生する収益のうち未受領の分は「未収収益」が本来の科目です。実務では事業の内容に合わせて使い分けますが、いずれにしても今年発生した収益を漏らさず計上するという目的は同じです。

Q. 現金主義で記帳していても、未払費用を計上する必要はありますか?

所得税の計算は原則として発生主義によります。一定の要件を満たして現金主義での記帳が認められている場合を除き、今年に発生した費用は未払いであっても計上するのが原則です。自分がどちらの方法で記帳しているのか不明な場合は、無理に判断せず専門家に確認することをおすすめします。

未収・未払で迷ったときの結論

未収収益・未払費用の計上は、お金が動いた日ではなく取引が発生した日を基準に、収益や費用を正しい年度に振り分ける作業です。決算日をまたぐ取引を洗い出し、今年分を按分して計上し、翌年に振り戻すという流れさえつかめば、決して難しいものではありません。根拠書類をそろえ、毎年同じルールで処理することが、ミスを防ぐ一番の近道です。

とはいえ、本業が忙しい中で、年末から年明けにかけての取引を一つひとつ確認し、按分計算や決算整理仕訳まで自分で行うのは、大きな負担になりがちです。判断に迷う取引が多いほど、決算作業は時間も神経も使います。記帳代行の現場でも、決算前になって未収・未払の判断が追いつかないというご相談は少なくありません。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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