受け取った金額が売上か預り金か立替金かを見分ける記帳判断を解説
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税務

取引先から振り込まれたお金は、すべてが売上とは限りません。売上・預り金・立替金を見分ける基準は「最終的に誰のお金になるか」の一点です。判断の考え方と、入金があったときの記帳の進め方を具体例で整理します。
口座に入金があると、つい全額を売上として記帳してしまいがちです。けれども中には、一時的に預かっているだけのお金や、立て替えた分が戻ってきただけのお金が混ざっていることがあります。これを区別せずに売上に含めると、所得が実際より大きく見え、納める税金まで変わってきます。
☑ 取引先から振り込まれたお金を、全部「売上」にして記帳してよいのか不安
☑ 一度立て替えた交通費や送料を後で精算してもらったとき、どう処理すればいいかわからない
☑ 預り金や立替金という言葉は聞くけれど、自分の仕事で使う場面が思い浮かばない
まず3つの言葉の意味を整理しましょう
売上とは「自分の仕事の対価」
売上は、あなたが提供した商品やサービスの対価として受け取るお金です。デザインを納品した報酬、コンサルティングの料金、物販の販売代金などがこれにあたります。売上は、その金額がそのまま事業の収入になり、最終的に所得税や住民税の計算のもとになります。受け取った金額の性質を考えるとき、まず「これは自分の仕事への支払いか?」と問いかけてみるのが出発点です(売上と消費税の関係は、消費税の基本的なしくみを示した国税庁タックスアンサーNo.6101「消費税の基本的なしくみ」も参考になります)。
預り金とは「他の人に渡すために一時的に預かるお金」
預り金は、最終的に別の相手へ渡すことが決まっていて、自分は通り道として一時的に保管しているだけのお金です。あなたの収入ではないため、売上にはなりません。代表的な例として、源泉徴収した所得税や、従業員から預かった社会保険料などがあります。預かった時点では「いったん手元にあるけれど、後で国や別の機関へ納める」という性質を持っています。
立替金とは「先に自分が払っておいたお金」
立替金は、本来は相手が負担すべき費用を、いったんあなたが先に支払っておき、後から返してもらうお金です。出張先までの交通費や、相手のために購入した材料費などを自分のお財布から出した場合がこれにあたります。後日その分が振り込まれても、それは「立て替えていた分が戻ってきただけ」であり、新たな売上ではありません。
なぜ区別が大切なのか
所得が実際より大きくなってしまう
預り金や立替金の回収分まで売上に含めてしまうと、帳簿上の収入が本当の収入より膨らみます。所得は「収入から必要経費を引いた金額」で計算されるため、収入が大きく見えれば、それだけ所得も大きく見えます。結果として、本来より多くの所得税や住民税、場合によっては国民健康保険料の負担にもつながりかねません。正しく区別することは、払いすぎを防ぐことにもなります。
消費税の判断にも関わってくる
受け取った金額が売上かどうかは、将来的に消費税の課税事業者になるかどうかの判定(売上高をもとにした判定)にも影響します。預り金や純粋な立替金は、原則として自分の売上には含まれません(納税義務の判定は国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」で確認できます)。インボイス制度の登録などで消費税を意識する場面が増えている今、免税事業者との取引の損得はインボイスの経過措置(8割・5割控除)もふまえて考えると整理しやすくなります。細かい取り扱いは状況によって変わるため、判断に迷うときは早めに専門家へ確認すると安心です。
取引先とのお金のやりとりが明確になる
立替金や預り金をきちんと帳簿で管理しておくと、「いくら立て替えて、いくら戻ってきたか」がひと目でわかります。精算漏れや二重請求といったトラブルを防ぎやすくなり、取引先との信頼関係を保つうえでも役立ちます。
見分けるための具体的な考え方
「最終的に誰のお金になるか」で判断する
もっともシンプルな見分け方は、そのお金が最終的に誰のものになるかを考えることです。最終的に自分の収入として残るなら売上、別の相手(国や取引先など)に渡すために一時的に持っているだけなら預り金、自分が先に払った分の返金なら立替金の回収、という整理ができます。入金があったら、まずこの問いを思い浮かべてみましょう。
判断に迷ったときのチェックポイント
そのお金は、自分が提供した商品やサービスの対価か? → 対価なら売上
そのお金は、後で別の相手へ納める・渡すことが決まっているか? → 渡すなら預り金
そのお金は、自分が先に立て替えた費用が戻ってきたものか? → 戻りなら立替金の回収
3つのどれにあたるか迷う場合は、契約書や請求書の内訳に「何の費用としていくら受け取るのか」が書かれていないかを確認しましょう。書面に内訳があれば、性質を判断する大きな手がかりになります。
請求書を分けて書くとわかりやすい
請求書を作るときに、報酬部分と立替分(交通費の実費など)を行を分けて記載しておくと、後の記帳がぐっと楽になります。「サービス料○○円」「立替交通費○○円」というように分けておけば、入金があったときに、どこまでが売上でどこからが立替金の回収かをすぐに見分けられます。記帳のしやすさは、請求書の書き方の段階から決まると言っても言い過ぎではありません。入金の仕分けから確定申告書の作成までまとめて任せたい場合は、確定申告の丸投げ代行という方法もあります。
実務でよくある場面と記帳の進め方
交通費や送料を立て替えたケース
取引先のもとへ出向くための交通費を自分で支払い、後で実費を精算してもらう、というのはよくある場面です。先に支払った時点では立替金として記録し、後で同額が振り込まれたら、その立替金が回収されたものとして処理します。立て替えた金額と戻ってきた金額が同じであれば、差し引きゼロで、新たな利益は生まれません。実費をそのまま精算してもらう純粋な立替えであれば、売上には計上しないのが基本的な考え方です。
報酬から源泉徴収された場合
原稿料やデザイン料などでは、取引先が報酬から所得税を源泉徴収し、差し引いた残りを振り込んでくることがあります。このとき注意したいのは、売上として記録するのは「振り込まれた手取り額」ではなく「源泉徴収される前の報酬総額」だという点です。差し引かれた源泉徴収税額は、確定申告のときに前払いした税金として精算されます。手取りだけを売上にしてしまうと、売上も源泉徴収税額も正しく反映されなくなるため気をつけましょう。
報酬と実費がまとめて入金されたケース
報酬と立替交通費がひとつの振込でまとめて入ってくることもあります。この場合は、入金額をそのまま全額売上にするのではなく、請求書の内訳にしたがって「報酬部分は売上」「立替部分は立替金の回収」と分けて記帳します。請求書を行ごとに分けておけば、この仕分けが迷わずできます。複数の売上先や決済サービスから入金がある場合は、売上と入金を合わせる突合の実務もあわせて確認しておくと安心です。内訳が曖昧なまま全額を売上にすると、収入が実際より大きくなってしまうので注意が必要です。
記帳でつまずかないためのコツ
入金の根拠書類を必ず残す
立替金や預り金として処理するなら、その根拠となる書類を残しておくことが大切です。交通費の領収書、立替えを記した請求書、精算の内訳メモなどがあれば、「これは売上ではなく立替えの精算だ」と後から説明できます。書類がないまま「立替金だから売上に入れていない」と主張するのは難しいため、証拠を残す習慣をつけましょう。
立替金は「精算できたか」を定期的に確認する
立て替えたお金が、きちんと戻ってきているかを定期的に見直しましょう。立替金として記録したまま回収を忘れていると、本来受け取れるはずのお金を取りこぼしてしまいます。月末や請求のタイミングで、未回収の立替金が残っていないかをチェックすると安心です。売掛金を手数料を払って早めに資金化した場合の記帳は、ファクタリング・電子記録債権で売掛金を早期資金化したときの記帳で扱っています。
判断に迷う取引はメモを添えておく
「これは売上か立替金か微妙だ」と感じた取引には、判断した理由を短くメモしておきましょう。後で見返したときや、確定申告の前に整理するときに、自分の判断の根拠をすぐ思い出せます。曖昧なまま処理を進めず、迷ったポイントを記録しておくことが、結果的にミスの少ない帳簿につながります。
よくある質問
Q. 立替えた交通費を、相手から少し多めにもらいました。その差額はどう扱いますか?
立て替えた実費よりも多く受け取った場合、その上回った差額は、立替えの精算とは言いにくくなります。実費を超える部分は、サービスの対価としての性質を帯びることがあるため、売上として扱うのが自然なケースもあります。実費をそのまま精算する形にしておくと判断がシンプルになります。金額や契約内容によって考え方が変わることもあるので、迷う場合は専門家に確認すると安心です。
Q. 手取り額を売上にしてしまっていました。どうすればいいですか?
源泉徴収された報酬を手取りだけで売上にしていた場合は、源泉徴収前の総額に直して記帳し直しましょう。差し引かれていた源泉徴収税額は、確定申告で前払いした税金として精算します。すでに申告を終えた後で気づいたときは、内容に応じて修正申告などの手続きで対応することになります。早めに気づいて直すほど、対応はシンプルになります。
Q. 預り金と立替金の違いが、いまひとつわかりません。
ざっくり言うと、預り金は「これから誰かに渡すために預かっているお金」、立替金は「すでに自分が払った分を返してもらうお金」です。お金が動く順番で考えるとわかりやすく、預り金は「先に受け取って後で渡す」、立替金は「先に払って後で受け取る」という流れになります。方向が逆になっている、とイメージすると区別しやすくなります。
結論:入金の性質を見分ければ帳簿はぐっと正確になる
受け取った金額は、すべてが売上とは限りません。「最終的に自分の収入になるか」「別の相手へ渡すために預かっているだけか」「先に立て替えた分が戻ってきただけか」という視点で見分ければ、売上・預り金・立替金の判断は決して難しくありません。請求書で報酬と実費を分けて書く、根拠書類を残す、迷った取引にはメモを添える、といった小さな工夫の積み重ねが、正確な帳簿と払いすぎない税金につながります。
とはいえ、入金のたびに性質を見分けて記帳し、本業をこなしながら確定申告まで自分で仕上げるのは、思った以上に手間のかかる作業です。記帳代行の現場でも、立替交通費を売上に含めたまま申告しかけていた、というご相談は珍しくありません。領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成まで対応します。何枚たまっていても定額 月額6,600円(税込)・契約の縛りもありません。判断に自信が持てないときは、入金の仕分けに迷わない体制を無料で相談してみるところから始めてみてください。まずは記帳代行とはどんなサービスかを知るだけでも参考になります。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








