インボイスの経過措置(8割・5割控除)はいつまで?免税事業者との取引の損得を解説
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税金

インボイス制度の経過措置では、免税事業者からの仕入でも2026年9月末までは8割、2029年9月末までは5割を控除できます。経過措置の期限と割合、免税事業者と取引する際にどれだけ負担が変わるのかを、損得の視点で数字とともに整理します。
インボイス制度では、原則として適格請求書がない仕入は消費税を差し引けません。しかし急な負担増を避けるため、免税事業者などからの仕入にも一定割合を控除できる経過措置が設けられています。この期間と割合を知っておくと、取引先の選定や価格交渉の判断がしやすくなります。
☑ 免税事業者からの仕入がどこまで経費で控除できるのか知りたい
☑ 経過措置がいつまで、どの割合で使えるのか整理したい
☑ 免税事業者と取引を続けるべきか損得で判断したい
以下では、経過措置の期限と割合の一覧、負担の試算、そして取引を続ける際の実務的な考え方までを確認します。
インボイスの経過措置とは?
経過措置とは、インボイス制度の開始でいきなり控除がゼロにならないよう、免税事業者などからの仕入についても一定割合の仕入税額控除を認める仕組みです。制度開始からしばらくは8割、その後は5割と、段階的に控除できる割合が下がっていきます。買い手(発注する側)の負担に関わる措置です。
控除するための条件
経過措置で控除を受けるには、区分記載請求書と同じ記載事項がある請求書などの保存と、帳簿に「経過措置の適用を受ける旨」を記載することが必要です。帳簿への具体的な記載方法は免税事業者からの仕入れ8割控除の記帳で確認できます。制度の詳細は国税庁のインボイス制度特設サイトで確認できます。
免税事業者側にも関係する
この経過措置があるおかげで、免税事業者は「取引を打ち切られる」リスクをある程度和らげられています。免税事業者が取引先から求められる対応はインボイス制度で免税事業者が取引先から求められる対応で解説しています。
経過措置の期限と控除割合の一覧
控除できる割合は期間で決まっています。制度開始の2023年10月から3年間は8割、その後の3年間は5割で、2029年10月以降は原則として控除できなくなります。
期間別の控除割合
次の表は、免税事業者からの仕入について、時期ごとに控除できる割合をまとめたものです。
期間 | 免税事業者からの仕入で控除できる割合 |
|---|---|
2023年10月〜2026年9月 | 仕入にかかる消費税の80% |
2026年10月〜2029年9月 | 仕入にかかる消費税の50% |
2029年10月〜 | 原則として控除不可 |
期限が近づくほど控除できる割合が下がるため、免税事業者との取引にかかる実質的なコストは年々上がっていきます。この流れを踏まえて取引を考えることが大切です。
免税事業者との取引でどれだけ損得が変わる?
経過措置の割合が下がると、買い手が負担する消費税は増えていきます。免税事業者に11万円(税抜10万円+消費税相当1万円)を支払うケースで、控除できる金額の推移を見てみましょう。
買い手の実質負担の推移
次の表は、同じ11万円の支払いでも、時期によって買い手の実質負担がどう変わるかを示したものです。
時期 | 控除できる額 | 控除できない額(買い手負担) |
|---|---|---|
8割控除の期間 | 8,000円 | 2,000円 |
5割控除の期間 | 5,000円 | 5,000円 |
経過措置終了後 | 0円 | 10,000円 |
同じ支払いでも、経過措置が縮小するにつれて買い手の負担は2,000円→5,000円→1万円と増えていきます。この差を、免税事業者に値引きを求めるか、課税事業者との取引に切り替えるか、それとも取引関係を優先して負担を受け入れるか——という判断につなげます。
取引を続けるかどうかの実務判断
損得だけでなく、取引先の代替可能性や関係性も含めて考えるのが実務です。数字と関係性のバランスで判断しましょう。取引先ごとの区分や経過措置の記帳に手が回らない場合は、定額の記帳代行プランを見ると負担を抑えられます。
負担増を受け入れるケース
その免税事業者でなければ手に入らない技術やサービスがある、長年の信頼関係がある、といった場合は、多少の負担増を受け入れて取引を続ける判断も合理的です。控除できない分は仕入価格の一部と考え、価格設定に反映させる方法もあります。
価格交渉や取引見直しをするケース
代替できる取引先が複数ある場合は、控除できない分を踏まえた価格交渉をすることもあります。ただし、一方的な値下げの強要は独占禁止法・下請法上の問題になり得るため、双方が納得できる形での話し合いが前提です。なお、少額の取引には少額特例(1万円未満)という別の負担軽減策もあります。
よくある質問
Q. 経過措置の8割控除はいつまで使えますか?
8割控除が使えるのは2023年10月から2026年9月までの3年間です。2026年10月からは5割控除に下がり、2029年10月以降は原則として免税事業者からの仕入は控除できなくなります。時期によって割合が変わる点に注意しましょう。
Q. 経過措置を使うのに特別な手続きは必要ですか?
特別な申請は不要ですが、請求書等の保存に加えて、帳簿に経過措置の適用を受ける旨を記載する必要があります。記載が漏れると経過措置による控除が認められないおそれがあるため、記帳の段階で対応しておくことが大切です。
Q. 少額の取引でも経過措置の記載が必要ですか?
一定規模以下の事業者は、税込1万円未満の課税仕入についてインボイスの保存が不要になる少額特例があり、この場合は経過措置の記載も要しません。適用できるかは自分の売上規模の確認が必要です。
結論:割合が下がる前に方針を決めておく
インボイスの経過措置は、免税事業者からの仕入について2026年9月末まで8割、2029年9月末まで5割を控除できる仕組みで、その後は原則控除できなくなります。割合が下がるほど買い手の負担は増えるため、取引先ごとに「続ける・交渉する・見直す」の方針を早めに決めておくことが損をしないコツです。
ただ、取引先ごとに免税・課税を区別し、経過措置の帳簿記載まで正しく行うのは、取引数が多いほど手間がかかります。記載漏れがあると控除できなくなるため、記帳の正確さがそのまま負担額に響き、記帳代行の現場でも区分の付け直しをご依頼いただくことがあります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








