少額特例(1万円未満)でインボイス保存を省略できる条件を解説
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税務

少額特例を使えば、税込1万円未満の課税仕入れはインボイスの保存がなくても、帳簿の記載だけで仕入税額控除ができます。対象になる事業者の条件と1万円未満の判定、帳簿づけのポイントまで実務目線で整理します。
インボイス制度が始まってから、コンビニでの少額の買い物や自動販売機の利用まで請求書を集めるのかと、事務負担に頭を悩ませる個人事業主やフリーランスは少なくありません。少額特例は、そうした手間を軽くするために設けられた仕組みです。まずは自分が対象となる事業者にあたるのかを確認していきましょう。
☑ 1万円未満の経費まで毎回インボイス(適格請求書)を集めるのが大変だと感じている
☑ 「少額特例」という言葉は聞いたが、自分が使えるのかどうかわからない
☑ 帳簿だけで仕入税額控除ができる条件を、わかりやすく知っておきたい
インボイス制度と仕入税額控除の基本をおさらい
仕入税額控除には「インボイスの保存」が原則必要
消費税を納める課税事業者は、売上にかかった消費税から、仕入れや経費にかかった消費税を差し引いて納税額を計算します。この差し引く仕組みを仕入税額控除といいます。インボイス制度のもとでは、この控除を受けるために、原則として取引先が発行した適格請求書(インボイス)と、一定の事項を記載した帳簿の両方を保存することが求められます。
つまり、インボイスがない経費については、原則として仕入税額控除ができず、その分だけ納める消費税が増えてしまう、という関係になっています。
少額な取引まで集めるのは事務負担が大きい
とはいえ、少額の経費のひとつひとつまでインボイスを受け取り、整理して保存するのは大きな手間です。日々の細かな支払いまで漏れなく管理するのは、特に一人で事業を回している個人事業主にとって重い作業です。こうした事務負担に配慮して、一定の事業者には期間限定で例外が認められています。それが次に説明する「少額特例」です。細かな仕入れの仕訳をまるごと任せたい場合は、記帳代行という選択肢もあります。
少額特例とは?まず全体像をつかみましょう
1万円未満ならインボイスなしでも控除できる仕組み
少額特例とは、対象となる事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても、一定の事項を記載した帳簿の保存だけで仕入税額控除を認める制度です。少額の経費についてはインボイスを集めなくてよくなるため、日々の経理がぐっと楽になります。
注意したいのは、これはあくまで「インボイスの保存を省略してよい」という特例であって、帳簿への記録まで不要になるわけではない、という点です。帳簿は引き続ききちんと付ける必要があります。
期間が限られた経過措置である点に注意
少額特例は、インボイス制度への移行をスムーズにするために設けられた、期間が区切られた経過的な措置です。制度開始からしばらくの間に行う仕入れが対象とされており、恒久的な制度ではありません。そのため、「ずっとこのやり方で大丈夫」と考えるのではなく、対象期間がいつまでなのかを、国税庁の「特集 インボイス制度」などで確認しながら運用していくことが大切です。期間の終了後は、原則どおりインボイスの保存が必要になる点を頭に入れておきましょう。
少額特例を使える事業者の条件
基準期間の課税売上高で判定する
少額特例は、すべての事業者が使えるわけではなく、比較的小規模な事業者を対象としています。具体的には、基準期間における課税売上高が1億円以下の事業者が対象です。基準期間とは、個人事業主の場合は前々年を指します。たとえば、ある年の取引について判定するなら、その2年前の課税売上高を見る、というイメージです。
多くの個人事業主やフリーランスの方は、この売上規模の条件に当てはまるため、少額特例を使える可能性が高いといえます。
特定期間の課税売上高による判定もある
基準期間の課税売上高が1億円を超えてしまう場合でも、特定期間の課税売上高が5,000万円以下であれば、少額特例の対象になります。特定期間とは、個人事業主の場合、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間を指します。
基準期間(前々年)の課税売上高が1億円以下なら対象
1億円を超えても、特定期間(前年上半期)の課税売上高が5,000万円以下なら対象
どちらの基準で見ても規模が大きい事業者は対象外となり、原則どおりインボイスの保存が必要になります。自分がどちらに当てはまるか、まずは過去の売上高を確認してみましょう。
免税事業者や簡易課税の人との関係
少額特例は、仕入税額控除を実際に計算する課税事業者にとって意味のある制度です。そもそも消費税の納税義務がない免税事業者には関係がありません。また、簡易課税制度やいわゆる2割特例を使って消費税を計算している方は、実際の仕入れにかかった消費税を集計して控除する方式ではないため、少額特例を意識する場面はほとんどないといえます(簡易課税の考え方は国税庁タックスアンサーNo.6505「簡易課税制度」で確認できます)。自分がどの計算方法で消費税を申告しているのかを確認したうえで、必要に応じて少額特例を活用しましょう。
「1万円未満」の判定と対象になる取引
税込金額・1回の取引単位で判定する
少額特例の「1万円未満」は、税込価格で判定します。税抜きではない点に注意しましょう。また、判定は商品1個ごとではなく、原則として1回の取引(1回の課税仕入れ)の合計額で見ます。たとえば1個4,000円の商品を3個まとめて購入し、合計が1万2,000円になった場合は、1回の取引が1万円以上となるため、少額特例の対象にはなりません。
「単価が安いから大丈夫」と単品で判断するのではなく、その取引全体でいくらになるかで考える、という点を押さえておきましょう。
どんな経費が対象になりやすいか
少額特例の対象になりやすいのは、日々発生する細かな課税仕入れです。具体的には、次のようなものが該当しやすいといえます。
少額の消耗品や事務用品の購入
打ち合わせ時の飲み物や少額の飲食代
近距離の交通費や駐車場代 など
これらは件数が多くなりがちで、1件ずつインボイスを集めるのは大変です。少額特例を使えば、こうした経費について帳簿の記録だけで控除が認められるため、経理の負担を大きく減らせます。なお、業種によってどんな少額経費が多いかは変わります。たとえば店舗型のサービス業なら、まつげエクステサロンの施術材料費と売上の帳簿づけのように、業種ごとの記帳の勘所を押さえておくと整理しやすくなります。
1万円以上の取引は原則どおりの扱い
当然ですが、1回の取引が税込1万円以上になる課税仕入れは、少額特例の対象外です。これらについては、これまでどおりインボイスを受け取り、帳簿とあわせて保存しておく必要があります。少額特例を意識するあまり、高額な取引のインボイスを集め忘れることがないようにしましょう。
帳簿の記載と保存で気をつけたいこと
帳簿に記載すべき基本的な事項
少額特例を使う場合でも、帳簿への記録は欠かせません。一般的に、課税仕入れについては次のような事項を帳簿に記載します。
取引の相手方(仕入先・支払先)の名称
取引を行った年月日
取引の内容(何を買ったか・何の経費か)
支払った金額
インボイスの保存を省略できるからといって、帳簿づけがいい加減でよいわけではありません。むしろ、控除の根拠が帳簿だけになる分、内容がわかるように丁寧に記録しておくことが大切です。
インボイスがあるなら保存しておくと安心
少額特例の対象であっても、レシートや領収書を受け取った場合は、無理に捨てる必要はありません。経費の内容を後から確認できるよう、手元に残しておくと安心です。経費の証拠として保管しておくことは、税務上の説明のしやすさという面でもメリットがあります。
会計ソフトや専門家の活用も検討する
少額特例は便利な反面、「対象事業者かどうか」「1万円未満かどうか」「対象期間かどうか」といった判定を、日々の取引ごとに意識する必要があります。判定を誤ると、本来できるはずの控除ができなかったり、逆に対象外の取引を誤って処理してしまったりするおそれがあります。取引量が多い場合は、会計ソフトで処理を自動化したり、専門家に相談したりすることで、ミスを防ぎながら効率よく経理を進められます。複数の決済や入金経路がある場合は、複数の入金経路がある事業の売上と入金の突合の考え方もあわせて確認しておくと、記帳の抜け漏れを防げます。
よくある質問
Q. 少額特例を使うために、事前の届出や申請は必要ですか?
少額特例を使うために、特別な届出や申請は必要ありません。対象となる事業者であれば、条件を満たす取引について帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。ただし、自分が対象事業者の条件(基準期間の課税売上高など)を満たしているかどうかは、あらかじめ確認しておきましょう。
Q. 相手がインボイス発行事業者でない場合も、少額特例は使えますか?
少額特例は、相手が適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)かどうかにかかわらず適用できる仕組みです。対象事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れであれば、相手が免税事業者であっても、帳簿の保存だけで仕入税額控除が認められます。免税事業者との取引を続けるかどうかは、インボイスの経過措置(8割・5割控除)と免税事業者との取引の損得もふまえて判断するとよいでしょう。
Q. 1回の取引で複数の経費をまとめて支払った場合は、どう判定しますか?
判定は原則として1回の取引単位で行うため、まとめて支払った合計額が税込1万円未満かどうかで判断します。複数の品目を同時に購入しても、合計が1万円以上になれば対象外です。逆に、別々のタイミングで行った取引であれば、それぞれを1回の取引として判定します。迷ったときは、その支払いが「1回の取引」といえるかどうかを基準に考えるとよいでしょう。
まとめ|少額特例で日々の経理をシンプルに
少額特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下(または特定期間の課税売上高が5,000万円以下)の事業者が、税込1万円未満の課税仕入れについて、インボイスの保存なしで帳簿だけで仕入税額控除を受けられる経過的な制度です。1万円未満は税込・1回の取引単位で判定する点、帳簿づけ自体は引き続き必要な点、そして対象期間が区切られている点を押さえておけば、日々の細かな経費の処理を大きく軽くできます。
とはいえ、対象事業者かどうかや、取引ごとの金額・期間を確認しながら、本業の合間に記帳から消費税・確定申告まで仕上げるのは、思った以上に骨の折れる作業です。実際にお預かりする領収書でも、少額の交通費やコンビニ払いは件数が多く、仕分けに時間がかかりがちです。領収書丸投げドットコムなら、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成まで対応します。何枚たまっていても定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円です。まずは1万円未満の経費処理を今月からラクにする方法を相談する(無料)ところから始めてみてください。相談は無料で、料金プランを確認してから検討することもできます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








