インボイス制度で免税事業者が取引先から求められる対応を解説
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税務

免税事業者が取引先から求められるのは、多くの場合インボイス登録の有無や登録番号の確認、今後の取引条件の相談です。求められる対応の背景と落ち着いた向き合い方、そして登録するかどうかの判断の軸を整理します。
インボイス制度が始まってから、取引先とのやり取りで何を求められるのか分からず不安、という声を免税事業者の方からよくお聞きします。これまで消費税を意識せずに取引してきた方ほど、急に専門用語が飛び交うように感じて戸惑ってしまうのは自然なことです。あらかじめ知っておけば、落ち着いて対応できるようになります。
☑ 免税事業者のままでいると、取引先に迷惑をかけてしまうのか心配
☑ 取引先から「登録番号を教えてほしい」と言われて戸惑っている
☑ 登録すべきか、しないままでいるか、判断の軸が分からない
以下では、免税事業者が取引先からどのような対応を求められる可能性があるのか、そしてそれにどう向き合えばよいのかを、順を追って確認します。取引先の負担がなぜ生じるのか、その大元にある経過措置の損得は経過措置(8割・5割控除)はいつまで?で確認できます。
そもそも免税事業者とは
取引先からの求めに向き合う前に、まず自分が「免税事業者」であることの意味を確認しておきましょう。
消費税の納税が免除される事業者
免税事業者とは、一定の要件を満たすことで消費税の納税義務が免除されている事業者のことです。免除の要件は国税庁タックスアンサーNo.6501 納税義務の免除で確認できます。売上に対して消費税の申告・納税をしなくてよい立場であり、小規模な個人事業主やフリーランスの方の中には、この免税事業者に当てはまる方が多くいます。
インボイスを発行できない立場
免税事業者は、登録をしていない限り、仕入税額控除の要件を満たす「適格請求書(インボイス)」を発行することができません。ここがインボイス制度における免税事業者のポイントで、取引先との関係に影響してくる部分でもあります。
免税事業者は消費税の納税が免除されている
登録しないとインボイスは発行できない
この違いが取引先とのやり取りに関わってくる
取引先が気にしているのは何か
取引先がなぜ対応を求めてくるのか、その背景を理解すると、やり取りの意味が見えてきます。
取引先の仕入税額控除との関係
取引先が消費税の課税事業者である場合、その取引先は仕入れにかかった消費税を計算上で差し引く「仕入税額控除」を行います。消費税の基本的なしくみは国税庁タックスアンサーNo.6101 消費税の基本的なしくみで確認できます。この控除を受けるためには、原則としてインボイスの保存が必要です。そのため、取引先は「インボイスを発行してもらえるかどうか」を気にしている、というのが基本的な構図です。
取引先の立場によって温度感は変わる
同じ取引先でも、相手の事業のかたちによって気にする度合いは変わります。控除の影響が大きい相手ほど、確認や相談を持ちかけてくる傾向があります。一方で、相手が一般消費者であったり、控除の影響が小さい取引であれば、特に何も求められないこともあります。
取引先から求められる可能性のある対応
では、具体的にどのような対応を求められることがあるのかを見ていきましょう。
登録の有無や登録番号の確認
取引先から「インボイスの登録をしていますか」「登録番号を教えてください」といった確認をされることがあります。これは、取引先が自社の経理処理を確認するための、自然な問い合わせです。登録していない場合は、その旨を正直に伝えれば問題ありません。確認の連絡が来たからといって、すぐに何かを決めなければならないわけではないので、慌てずに対応すれば大丈夫です。
取引条件についての相談
取引先によっては、今後の取引の進め方について相談を持ちかけてくることがあります。こうした場面では、感情的にならず、お互いの状況を共有しながら話し合う姿勢が大切です。なお、取引上の力関係を背景にした一方的な要求については、独占禁止法や下請法などの観点から問題となる場合があり、関係省庁が注意を呼びかけています。値下げを求められたときの妥当な水準や交渉の考え方はインボイス未登録で値下げを求められたらで詳しく解説しています。
請求書の様式についての確認
これまで使っていた請求書の書き方で問題ないかの確認
消費税額の記載をどうするかについてのすり合わせ
登録していない場合の取り扱いについての共有
登録するかどうかをどう考えるか
免税事業者にとって悩ましいのが「そもそも登録すべきか」という判断です。考え方の軸を整理しておきましょう。
登録した場合に起こること
登録して課税事業者になると、インボイスを発行できるようになる一方で、消費税の申告と納税の義務が生じます。請求書の様式を整えたり、消費税額を集計したりといった事務も新たに発生します。こうした集計や記帳に不安があれば、消費税まわりの記帳を任せる記帳代行という選択肢もあります。つまり、取引先への対応がしやすくなる代わりに、自分側の負担が増えるという関係です。課税事業者になった後の記帳では、免税事業者からの仕入れの経過措置8割控除の記帳も必要になります。
登録しない場合に考えておくこと
登録しない選択をする場合は、取引先との関係でインボイスを発行できないことを前提に、どう取引を続けていくかを考えることになります。取引先と率直に状況を共有し、お互いに納得のいく形を探っていくことが大切です。どちらの選択にもメリットと負担があるため、自分の取引先の構成や事業の規模を踏まえて判断しましょう。一度決めた選択が、その後ずっと変えられないわけではありません。事業の状況が変われば、改めて考え直すこともできます。今の自分にとって無理のない選択をする、という姿勢で向き合うとよいでしょう。
不安なときの向き合い方
制度の話は難しく感じられますが、向き合い方のコツを押さえておくと気持ちが楽になります。
ひとりで抱え込まない
判断に迷ったり、取引先とのやり取りに不安を感じたりしたときは、税理士などの専門家に相談するのが安心です。制度の細かい部分は年度によって取扱いが変わることもあるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認いただきつつ、専門家の力を借りるのも有効です。同じような状況にある事業者は多く、決してあなただけが困っているわけではありません。情報を集め、相談できる相手を持っておくだけでも、不安はずいぶんと和らぐものです。
記録を残しておく
取引先とのやり取りや、自分が下した判断の経緯は、メモなどに記録して残しておくと、後から見返すときに役立ちます。特に取引条件の相談があった場合は、いつ、どのような話をしたのかを残しておくと安心です。
よくある質問
Q. 免税事業者のままだと、取引を断られてしまうのでしょうか?
必ず断られるわけではありません。取引先の事業のかたちや、その取引における控除の影響の大きさによって対応はさまざまです。まずは取引先と状況を共有し、お互いに納得できる形を話し合うことが大切です。一方的で不当な要求と感じた場合は、公的な相談窓口の情報を確認するとよいでしょう。
Q. 登録番号を聞かれましたが、登録していません。どう答えればよいですか?
登録していない場合は、その旨を正直に伝えて問題ありません。取引先は経理処理のために確認しているだけのことが多く、登録していないこと自体を責めるための質問ではないのが一般的です。誠実に状況を伝える姿勢が、良好な関係につながります。
Q. 登録すべきかどうか、自分では決められません。
判断の軸は、取引先の構成と、自分が増える事務負担をどう見るかにあります。取引先が課税事業者中心でインボイスを必要としているのか、それとも一般消費者中心なのかで考え方が変わります。迷う場合は、税理士などの専門家に相談して、自分の状況に合った判断をするのがおすすめです。
結論:状況を知って、落ち着いて取引先と向き合う
インボイス制度において免税事業者が取引先から求められるのは、多くの場合、登録の有無の確認や、取引の進め方についての相談です。背景には取引先の仕入税額控除という事情があり、それを理解しておくと、求められる対応の意味が見えてきます。求めへの向き合い方は、感情的にならず、お互いの状況を共有する姿勢が基本です。登録するかしないかは、取引先の構成や自分の事務負担を踏まえて判断するものです。正解は人それぞれ異なります。
とはいえ、登録して課税事業者になれば、消費税の集計や請求書の整理など、これまでなかった事務が一気に増えます。制度への対応で手が回らなくなり、本業がおろそかになっては本末転倒です。記帳代行の現場でも、登録を機に消費税の記帳をまるごとお預けいただくご相談は増えています。
領収書丸投げドットコムでは、お送りいただいた領収書や請求書をもとに記帳を代行し、煩雑になりがちな書類の管理と消費税の集計をお手伝いします。何枚でも定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円で、税理士監修のもと確定申告まで対応します。インボイス対応の事務負担を減らせるか相談する(無料)ところから始めてみてください。実際の依頼の様子は同じ立場の依頼事例を見ると参考になります。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








