締め日が月末でない事業の記帳|20日締めなど決算日とのズレの処理を解説
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税務

締め日が20日など月末でない事業でも、記帳は「発生主義」で1月1日から12月31日までを区切るのが基本です。締め後・年末までの売上は売掛金、経費は未払金で拾う——決算日とのズレの処理を、具体例を交えて整理します。
取引先ごとに「毎月20日締め」「25日締め」といったルールで請求書を出していると、1月1日から12月31日までで区切る確定申告とのあいだに、どうしてもズレが生まれます。「締め後の数日分はどう扱えばいいの?」と、毎年同じ場所で手が止まってしまう個人事業主やフリーランスの方は少なくありません。
☑ 売上の締め日が20日なのに、決算は12月31日締めでよいのか迷っている
☑ 12月21日から31日までの売上を、その年に入れるのか翌年に回すのか判断できない
☑ 締め日と決算日がズレている分の処理を、毎年なんとなくで済ませてしまっている
締め日と決算日がなぜズレるのか、締め後・年末までの売上と経費をどの年度に入れるのか。発生主義の考え方から具体的な仕訳の流れまで、順を追って確認していきます。
なぜ「締め日」と「決算日」のズレが問題になるのか
締め日と決算日は別物です
まず言葉を整理しておきましょう。締め日とは、請求や支払いの金額をいったん区切る日のことです。「毎月20日締め・翌月末払い」のように、取引先との約束で決まります。一方の決算日とは、1年間の所得を計算するための区切りの日です。個人事業主の場合、決算日は原則として毎年12月31日と決まっており、自分で変えることはできません。
つまり、日々の請求は20日などで区切っているのに、税金の計算は12月31日で区切らなければならない、というところに食い違いが生まれます。たとえば11月21日から12月20日までの売上は請求書に載りますが、12月21日から31日までの売上は、その月の請求書にはまだ載っていません。この「締め後・年末まで」の数日から十数日分をどう扱うかが、今回のテーマの中心です。
個人事業主の決算日は変えられない
会社(法人)であれば決算日を自由に決められますが、個人事業主は12月31日で固定されています。そのため「締め日を月末にそろえれば解決する」という単純な話にはなりません。締め日は取引先との取り決めなので、こちらの都合だけで変えにくいケースも多いはずです。
大切なのは、締め日がいつであっても、1月1日から12月31日までに発生した取引は、その年の所得として計算するという原則を押さえることです。締め日に引きずられて、年末ぎりぎりの売上を翌年に回してしまうと、本来その年に申告すべき所得が抜け落ちてしまいます。
記帳の基本ルール「発生主義」を理解する
お金が動いた日ではなく「取引が起きた日」で記帳する
締め日とのズレを正しく処理するうえで欠かせないのが、発生主義という考え方です。これは、実際に現金が入ってきた・出ていった日ではなく、取引が成立した日(売上なら商品やサービスを提供した日、経費なら費用が発生した日)を基準に記帳するルールです。
たとえば12月25日に納品して、入金が翌年1月末だったとしても、売上が「発生」したのは12月25日です。発生主義では、この売上は12月、つまりその年の所得として計上します。締め日や入金日に関係なく、「いつ仕事をしたか・いつ費用がかかったか」で年度を判断するのが基本です。
青色申告と発生主義の関係
青色申告で65万円(または55万円)の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳が求められ、その前提として発生主義での記録が必要になります。青色申告と現金主義の特例を含めた全体像は、国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」で確認できます。現金の出入りだけを追う「現金主義」では、締め後の売上や未入金の経費が漏れやすく、正確な所得計算ができません。
逆にいえば、発生主義をきちんと使えていれば、締め日が20日でも25日でも、年末で区切る処理は自然と正しくできるようになります。締め日とのズレに悩む方は、まず「発生主義で考えているか」を確認するのが近道です。
白色申告や現金主義の場合の注意点
白色申告の方や、一定の要件を満たして現金主義を選んでいる方もいます。ただ、現金主義は入金・出金のタイミングで記帳するため、締め後の売上や年をまたぐ経費の扱いがかえって複雑になることもあります。どちらの方法を採るにせよ、毎年同じルールで一貫して処理することが、税務上もわかりやすさの上でも重要です。
締め後・年末までの売上をどう処理するか
「締め後売上」は売掛金として計上する
20日締めの場合、12月21日から31日までに提供した分は、請求書にはまだ反映されていません。しかし発生主義では、この期間に売上が発生していれば、その年の収入として計上する必要があります。この締め後の売上を、会計では売掛金(まだ受け取っていない代金)として記録します。
具体的には、年末の時点で「12月21日〜31日にいくら売上があったか」を集計し、その金額を売上高に加えたうえで、相手科目を売掛金とします。翌年に請求・入金されたときは、その売掛金を消し込む処理を行います。これにより、同じ売上を2年にわたって二重計上したり、逆にどちらの年にも入れ忘れたりすることを防げます。
具体例で見る年末の締め後処理
イメージしやすいよう、簡単な例で考えてみましょう。20日締めで、11月21日〜12月20日の売上はすでに請求済み、12月21日〜31日の売上が15万円あったとします。
請求済みの分(〜12月20日)は、通常どおりその年の売上に計上します
締め後の12月21日〜31日の15万円は、年末に売掛金として、その年の売上に追加で計上します
翌年、この15万円が請求・入金されたら、売上ではなく売掛金の回収として処理します
このように、締め後の数日分を漏らさず拾うことで、その年の所得を正しく申告できます。ポイントは「請求書のタイミング」ではなく「売上が発生したタイミング」で年度を区切ることです。
締め後・年末までの経費の処理
支払いがまだでも、発生していれば「未払金」で計上
売上と同じ考え方は、経費にも当てはまります。年末までに発生した費用は、支払いが翌年であっても、その年の経費として計上できます。経費をいつの年度に計上するかの考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」も参考になります。たとえば12月に使った外注費や仕入れで、支払いが翌月末になるものは、年末時点で未払金(まだ支払っていない費用)として記録します。
締め後の売上だけを意識して、経費の締め後分を入れ忘れると、本来計上できるはずの経費が抜けて、所得が実際より大きくなってしまいます。売上と経費は両方とも同じ基準(発生主義)でそろえることが大切です。
家賃や保険料など「前払い」した費用の扱い
逆に、翌年分の費用を年内に先に支払っているケースもあります。たとえば12月に翌年1月分の家賃を支払った場合、その1月分は本来翌年の経費です。こうした分は前払費用として、いったんその年の経費から外し、翌年に振り替えるのが原則です。前払いを節税に活かす具体的な試算は、短期前払費用で節税する具体例にまとめています。
ただし、継続的なサービスに対する1年以内の前払いについては、毎年継続して支払った年の経費にする取り扱いが認められる場合もあります。どちらにするかを毎年コロコロ変えると整合性が取れなくなるため、自分のルールを決めて一貫させましょう。売上に季節の波がある事業なら、期をまたぐ所得の平準化の考え方もあわせて知っておくと、年ごとの税負担を見通せます。
ズレの処理を間違えないためのコツ
年末は「締め日のあとから31日まで」を必ず確認する
締め日と決算日のズレで起きるミスの多くは、年末の締め後分の集計漏れです。年末・年始のタイミングで、次のような点をチェックする習慣をつけると安心です。取引先ごとの請求管理は請求書番号の連番ルールと保存とあわせて整えておくと、締め後分の照合がしやすくなります。
取引先ごとの締め日を一覧にし、12月の締め日から31日までに売上・経費がないかを確認する
締め後の売上は売掛金、締め後の経費は未払金として、その年に計上できているか確認する
翌年に入金・支払いがあったとき、売掛金・未払金の消し込みを忘れていないか確認する
取引先が多いほど締め後分の集計は手間がかかりますが、ここを丁寧に行うことが、正しい申告への一番の近道です。締め後分の集計が毎年重い場合は、締め日のズレも含めて任せる記帳代行という方法もあります。
毎年同じやり方をくり返すことが信頼につながる
記帳の処理方法は、一度決めたら毎年同じやり方を続けることが基本です。ある年は締め後分を入れ、別の年は入れない、といった不安定な処理は、所得計算を不正確にするだけでなく、後から見返したときにも混乱のもとになります。一貫性を保つことが、結果的に自分自身の手間を減らし、税務上の説明もしやすくなります。
よくある質問
Q. 締め日を月末にそろえれば、ズレの処理は不要になりますか?
取引先と合意して締め日を月末にできれば、12月の締め後分が発生しなくなるため、年末の処理はシンプルになります。ただし締め日は相手との取り決めなので、すべての取引先で変更できるとは限りません。締め日が月末でない取引先が一つでも残れば、その分の締め後処理は必要になります。締め日の変更が難しい場合は、発生主義で正しく締め後分を拾う方法を身につけるのが現実的です。
Q. 12月21日から31日までの売上が少額でも、必ず計上しなければいけませんか?
金額の大小にかかわらず、その年に発生した売上はその年の所得に含めるのが原則です。少額だからと翌年に回してしまうと、本来その年に申告すべき所得が漏れることになります。毎年同じ基準で、締め後分も含めて正しく計上する姿勢が大切です。判断に迷う場合は、専門家に相談すると安心です。
Q. これまで締め日基準(締め後分を翌年扱い)で申告してきました。やり方を変えるべきですか?
本来は発生主義で、年末までに発生した分はその年に計上するのが原則です。これまでの処理が適切でなかった場合は、今後の処理を正しい方法に切り替えることを検討しましょう。過去分の取り扱いをどうするかも含め、自己判断で進めるより、税理士などの専門家に一度確認してもらうことをおすすめします。
締め日が月末でない事業の記帳の結論
締め日と決算日がズレていても、考え方はシンプルです。締め日や入金日に引きずられず、1月1日から12月31日までに発生した売上・経費を、その年の所得として計算する。これが発生主義の基本です。年末は締め後から31日までの分を売掛金・未払金として拾い、翌年に消し込む。この流れさえ押さえれば、20日締めでも25日締めでも、迷わず処理できるようになります。
とはいえ、取引先ごとに締め日が違ったり、締め後の集計が毎年発生したりする中で、本業をこなしながら記帳から申告まですべて自分で行うのは、決して小さくない負担です。締め後分の拾い漏れや二重計上が不安なまま、年末を迎えている方も多いのではないでしょうか。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








