家族を雇って節税する方法|専従者給与とパート扶養の使い分けを解説
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税金

家族を雇って節税する方法には、青色申告者が使う「青色事業専従者給与」と、家族にパート勤務してもらい「扶養」を活かす方法があります。専従者給与を選ぶと配偶者控除は使えなくなるため、世帯全体の損得で見分ける軸を整理します。
家族に経理や接客を手伝ってもらう場面は自然と増えますが、「家族へのお給料は経費にならない」と聞いて、労働の対価を経費にできずにいる方は少なくありません。一方で扶養に入れたまま外でパート勤務をしてもらう選択肢もあり、どちらが世帯全体で得なのか迷うのが正直なところではないでしょうか。
☑ 家族に手伝ってもらっているのに、その分をまったく経費にできていない
☑ 専従者給与とパート(扶養)の働き方、どちらが税金面で得なのか判断できない
☑ 家族に給与を払うと逆に税金や社会保険で損をしそうで踏み出せない
自分の家庭ではどちらの形が合っているのか、判断の軸が見えるように整理していきます。
そもそも家族への給与は原則として経費にできません
「生計を一にする家族」への支払いは特別扱い
所得税の世界では、個人事業主が生計を一にする配偶者や親族に支払った給与は、原則として必要経費に算入できないというルールがあります。これは、家族間でお金を動かすだけで自由に経費を作り出し、税負担を不当に減らせてしまうことを防ぐための考え方です。
つまり、なんの届出もせずに「妻に毎月10万円払っているから経費にしよう」とはできない、というのが出発点になります。ただし、これには大切な例外が用意されています。それが、これから解説する「青色事業専従者給与」と「事業専従者控除」です。
例外として認められる2つの制度
青色事業専従者給与:青色申告をしている人が、届出の範囲内で支払った家族への給与を全額経費にできる制度
事業専従者控除:白色申告の人が、一定額を所得から差し引ける制度(配偶者86万円、その他の親族50万円が上限の目安)
このように、青色申告か白色申告かで使える制度も金額の柔軟さも大きく変わります。制度の詳しい要件は国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」で確認できます。家族の労働を経費化したいなら、青色申告を選ぶメリットは非常に大きいといえます。
青色事業専従者給与の仕組みと要件
専従者として認められる条件
青色事業専従者給与を使うには、その家族が「専従者」として認められる必要があります。主な条件は次のとおりです。
青色申告者と生計を一にする配偶者やその他の親族であること
その年の12月31日時点で15歳以上であること
その年を通じて原則6か月を超える期間、その事業に専ら従事していること
ポイントは「専ら従事」という部分です。日中はフルタイムで別の会社に勤めていたり、ほかの事業で忙しかったりすると、専従とは認められにくくなります。学生として通学している家族も、原則として専従者にはなれません。あくまで「その事業の仕事に主に携わっている」状態が求められます。
事前の届出が必須
青色事業専従者給与を経費にするには、税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。提出期限は、適用を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以降に新たに事業を始めた場合や、新たに専従者が増えた場合は、その日から2か月以内)が原則です。
この届出には、専従者の氏名、仕事の内容、給与の金額や賞与の支給時期などを記載します。届出に書いた金額の範囲内でなければ経費にできないため、後から増やす可能性も見込んで余裕をもった金額で届け出ておくと安心です。適正な給与額の考え方は、専従者給与の金額の決め方が参考になります。
「労務の対価として相当な金額」であること
専従者給与は、いくらでも好きな額を経費にできるわけではありません。仕事の内容や従事の程度に見合った、相当な金額であることが求められます。たとえば、月に数時間だけ簡単な事務を手伝う配偶者に月50万円を支払うような設定は、不相当に高額として否認されるおそれがあります。
目安としては、同じ仕事を他人に頼んだらいくら払うか、世間の給与水準と比べて極端に高くないか、という視点で考えると整理しやすくなります。仕事の実態と給与のバランスが取れていることが、安心して経費計上するための前提です。
専従者給与とパート扶養、どちらが得かを考える
専従者給与を選ぶと配偶者控除は使えない
ここで多くの方が見落としがちな点があります。配偶者を青色事業専従者にして給与を払うと、その配偶者については配偶者控除や配偶者特別控除を受けられなくなります。配偶者控除の要件は国税庁タックスアンサーNo.1191「配偶者控除」で確認できます。専従者給与として経費にする以上、扶養の対象からは外れる、という関係です。
つまり「専従者給与で経費を作る」効果と、「配偶者控除で所得を減らす」効果は、両取りできません。どちらか一方を選ぶことになるため、どちらが世帯全体で有利かを比較する必要があります。世帯の手取りで見た比較は、夫婦・世帯の手取りを最適化する考え方が参考になります。
判断の目安は「事業所得の大きさ」と「家族の働き方」
ざっくりした考え方として、次のような整理ができます。
家族が実際にしっかり事業を手伝っているなら、配偶者控除(最大38万円)を超える金額を専従者給与として経費にできることが多く、専従者給与が有利になりやすい
家族はほとんど手伝っておらず、外でパート勤務をしているなら、扶養の範囲で働いてもらい、配偶者控除を使う方がシンプルで有利なことが多い
事業所得が大きく所得税率が高い人ほど、給与を経費にして所得を圧縮する効果は大きくなります。逆に、事業がまだ小さい段階では、無理に専従者給与を出すより扶養で整えた方が手続きもシンプルです。
パート扶養を選ぶ場合に意識したい収入の壁
家族に外でパートとして働いてもらい扶養を活かす場合、いわゆる「収入の壁」を意識することになります。所得税の配偶者控除は配偶者の給与収入が一定額までであれば満額を受けられ、それを超えると配偶者特別控除へ移り、収入が増えるにつれて控除額が段階的に減っていきます。
さらに、税金とは別に社会保険の扶養の基準もあります。一定の収入を超えると配偶者自身が社会保険に加入する必要が出てくるため、世帯全体の手取りで見たときに損益分岐点が変わってきます。税金の壁と社会保険の壁は基準が異なる点に注意しましょう。
家族を雇うときの実務上の注意点
給与の支払いと記録をきちんと残す
専従者給与は「実際に支払っている」ことが大前提です。帳簿に計上するだけで、現実にはお金を渡していない、というのは認められません。次のような記録を整えておきましょう。
専従者本人名義の口座へ、毎月決まった日に振り込む
賃金台帳や給与明細を作成し、勤務の実態がわかるようにしておく
仕事の内容(経理・配送・接客など)を具体的に説明できるようにしておく
家族だからと口頭のやり取りだけで済ませず、第三者に説明できる形で残しておくことが、いざというときに自分を守ってくれます。給与計算や記帳をまとめて任せたい場合は、記帳代行というやり方もあります。
源泉徴収や年末調整も必要になる
専従者であっても給与を支払う以上、金額によっては源泉徴収が必要になり、年末には年末調整の手続きが発生します。月々の給与が一定額を超えると所得税を天引きして納める義務が生じ、給与額によっては専従者本人にも所得税や住民税がかかります。賞与を含めた源泉徴収の実務は賞与・給与の源泉徴収の実務にまとめています。経費にできる額と、家族側で発生する税負担の両方を見たうえで、給与額を決めるのが賢明です。
社会保険・扶養への影響も忘れずに
専従者に支払う給与の額によっては、配偶者がこれまで入っていた社会保険の扶養から外れることがあります。経費を増やしたつもりが、世帯全体では社会保険料の負担が増えて手取りが減る、というケースもありえます。給与額を決めるときは、税金だけでなく社会保険まで含めたトータルで考えることが大切です。
よくある質問
Q. 白色申告でも家族への給与を経費にできますか?
白色申告の場合は「青色事業専従者給与」は使えませんが、代わりに「事業専従者控除」が利用できます。配偶者は最大86万円、その他の親族は1人あたり最大50万円を上限の目安として所得から差し引けます。ただし、青色のように実際の給与額をそのまま経費にできるわけではなく、控除額には上限がある点が大きな違いです。より柔軟に家族の労働を経費化したいなら、青色申告への切り替えを検討する価値があります。
Q. 専従者にしている配偶者が、少しだけ外でパートをしてもよいですか?
少しの就労であれば直ちに専従者から外れるとは限りませんが、外での勤務が中心になってしまうと「専ら事業に従事している」とは認められにくくなります。専従者は、あくまでその事業の仕事に主に携わっていることが前提です。外でしっかり働くなら扶養(パート)として整理する、事業を主に手伝うなら専従者にする、というように働き方の実態に合わせて選ぶのが安全です。
Q. 子どもを専従者にして給与を払うことはできますか?
その年の12月31日時点で15歳以上であり、学業ではなく事業に専ら従事しているなど要件を満たせば、子どもを青色事業専従者にすることは可能です。ただし、学生として通学している場合は専従とは認められないのが原則です。また、子どもを専従者にすると、その子について扶養控除が受けられなくなる点にも注意が必要です。扶養の組み替えは子どもの成人に伴う扶養の組み替えもあわせて確認しておくとよいでしょう。
結論:家族の働き方に合わせて制度を使い分けましょう
家族を雇って節税する方法には、青色申告者が使える「青色事業専従者給与」と、家族にパート勤務をしてもらいながら「扶養(配偶者控除など)」を活かす方法の大きく2つがあります。家族がしっかり事業を手伝っているなら専従者給与で労働の対価を経費にし、外で働くのが中心なら扶養の範囲で整えるというように、実態に合わせて使い分けることが基本です。専従者給与を選ぶと配偶者控除は使えなくなるため、税金と社会保険を含めた世帯全体の損得で判断することが欠かせません。
専従者給与の届出、相当な給与額の設定、源泉徴収や年末調整、社会保険への影響まで、自分だけで正しく組み立てるのは負担の大きい作業です。判断を誤ると、せっかくの節税が逆効果になってしまうこともあります。領収書丸投げドットコムは、領収書や請求書を郵送またはスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までをサポートします。家族の働き方に合った、無理のない節税の形を一緒に整えます。専従者給与と扶養のどちらが得か無料で相談することができます(相談は無料です)。料金の目安は料金プランのページでご確認いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








