海外に資産・口座を持つ個人事業主の確定申告|国外財産調書の要否を解説
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確定申告

海外に資産や口座を持つ個人事業主は、居住者として海外の所得も日本で申告するのが原則です。「所得の申告」と、年末の海外財産を報告する「国外財産調書」を分けて考える視点を、外貨換算や外国税額控除とあわせて整理します。
海外赴任の経験があったり、外国の投資商品や不動産に興味があったりする個人事業主の方は、いつのまにか海外に口座や資産を持っているというケースが少なくありません。ところが、いざ確定申告の時期になると「これは日本でどう扱えばいいのだろう」「国外財産調書って自分も関係あるの?」と、手が止まってしまう方も多いものです。
☑ 海外の銀行口座や不動産を持っているが、確定申告で何か申告が必要なのかわからない
☑ 「国外財産調書」という書類の名前は聞いたことがあるが、自分が出す対象なのか判断できない
☑ 海外資産の利子や家賃も日本で申告するのか、二重課税にならないか不安だ
海外に資産や口座を持つ個人事業主に向けて、海外資産から生じる所得の確定申告での扱いと、「国外財産調書」を提出する必要があるかどうかの判断ポイントを、できるだけかみくだいて整理しました。自分が何をどこまで申告すべきか、全体像がつかめるよう順に見ていきます。
そもそも海外資産も日本で申告するの?居住者と所得の関係
日本の「居住者」は世界中の所得が課税対象
日本の所得税は、その人が「居住者」か「非居住者」かによって課税の範囲が大きく変わります。日本国内に住所があり、生活の拠点が日本にある個人事業主の多くは「居住者(非永住者以外の居住者)」にあたり、この場合は国内で得た所得だけでなく、海外で得た所得もあわせて日本で申告・納税するのが原則です。これを全世界所得課税といいます。所得税の基本的なしくみは国税庁タックスアンサー「No.1000 所得税のしくみ」(国税庁)で確認できます。
つまり、海外の銀行に預けた預金の利子や、海外の不動産から得た家賃収入、外国株式の配当なども、原則として日本の確定申告に含める必要があるということです。「海外で受け取ったお金だから日本には関係ない」と考えてしまいがちですが、居住者である限りはそうではない点に注意しましょう。海外へ移住する際にかかる出国時課税(国外転出時課税)の考え方は国外転出時課税(出国税)と節税で確認できます。
海外資産から生じる代表的な所得
海外の預金口座から受け取る利子(利子所得)
海外不動産を貸して得る家賃収入(不動産所得)
外国株式・外国ETFなどの配当(配当所得)
海外資産を売却して得た利益(譲渡所得 など)
これらは、種類ごとに所得の区分や計算方法が異なります。たとえば海外不動産の家賃であれば、現地で支払った管理費や固定資産税のような費用を必要経費として差し引いて、所得を計算するのが基本的な考え方です。円換算が必要になる点も含めて、後ほど触れていきます。
国外財産調書とは?確定申告書とは別の「財産の報告書」
所得の申告とは目的が違う書類
確定申告書が「1年間にいくら稼いで、税金をいくら納めるか」を計算する書類であるのに対し、国外財産調書は「年末時点で海外にどれだけの財産を持っているか」を報告するための書類です。両者は目的がまったく異なり、確定申告書を提出していても、別途この調書が必要になる場合があります。
制度の背景には、海外に置かれた財産の状況を正しく把握し、適正な課税につなげるという狙いがあります。海外資産は国内の資産にくらべて把握が難しいため、一定以上の海外財産を持つ人に、自分から内容を申告してもらう仕組みになっているとイメージするとわかりやすいでしょう。
調書に記載する財産の例
国外財産調書には、年末時点で海外に保有している財産を、種類・数量・価額などとともに記載します。対象となる財産の代表例としては、次のようなものが挙げられます。
海外の銀行口座にある預貯金
海外に所在する土地・建物などの不動産
外国法人の株式や、海外の証券口座で保有する有価証券
海外で貸し付けているお金(貸付金)や、海外に預けている動産 など
財産が「海外にあるかどうか」は、その財産の所在地によって判定するのが基本です。たとえば不動産であればその土地・建物がある場所、預金であれば預け入れている金融機関の営業所の場所で判断する、というイメージです。判定が難しい財産もあるため、迷ったときは個別に確認することをおすすめします。海外に扶養している親族がいる場合の扱いは国外扶養親族の確定申告で整理しています。
自分は国外財産調書の提出対象?判断のポイント
「居住者」で「一定額以上」が基本ライン
国外財産調書の提出が必要になるのは、ごく大まかにいえば「日本の居住者で、年末時点の海外財産の合計額が一定の基準を超える人」です。一般的な目安として、その年の12月31日時点で保有する国外財産の価額の合計が大きな金額に達している場合に、翌年の提出期限までに調書を提出することとされています。
ここで大切なのは、これは「海外資産の金額そのもの」を基準に判断するという点です。所得(もうけ)が出ていなくても、海外に大きな財産を持っているだけで対象になり得ます。逆に、海外資産があっても合計額が基準に届かなければ、調書の提出自体は不要となるのが原則です。なお、非居住者の方はこの調書の対象外とされています。
合計額の数え方と評価の考え方
提出が必要かどうかは、海外財産を「合計して」判定します。一つひとつの資産が少額でも、預金・不動産・有価証券などを合算すると基準を超える、というケースもあります。そのため、まずは自分がどんな海外資産をいくら持っているかを棚卸ししてみることが第一歩です。海外資産の全体像を棚卸ししたうえで日々の記帳まで手放したい場合は、記帳代行のしくみを知っておくと管理が楽になります。
各財産の価額は、年末時点の時価などをもとに評価し、外貨建ての財産は円に換算して合計します。為替レートによって合計額が基準ラインを行き来することもあるため、年末時点の状況をきちんと確認することが重要です。具体的な評価方法や換算の取り扱いは財産の種類によって細かく決められているので、金額が基準に近い場合は専門家に相談すると安心です。
提出のタイミングと、出さなかった場合の影響
国外財産調書は、対象となる年の翌年の決められた期限までに、住所地を管轄する税務署へ提出します。提出期限は確定申告期限の前後に設定されているため、確定申告の準備とあわせてスケジュールを意識しておくとよいでしょう。
この調書を期限内にきちんと提出しているかどうかは、後日その海外資産に関する申告漏れが見つかったときの取り扱いにも影響するとされています。逆に、提出が必要なのに出していなかった場合には不利に働くこともあるため、「対象かどうか」をあいまいにせず、早めに確認しておくことが大切です。
海外資産の所得を申告するときの実務ポイント
外貨は円に換算して記帳・申告する
海外資産から得た所得は、日本円に換算して確定申告に反映します。たとえば外貨建ての家賃収入や配当を受け取った場合、その受け取った日のレートなど、定められた考え方に従って円換算した金額で記帳するのが基本です。年末時点の残高を国外財産調書に記載する際も、同じように円換算が必要になります。外貨預金の為替評価の実務は外貨預金の為替評価の実務で具体的に確認できます。
外貨での取引は、為替レートをどう適用するかで金額が変わってきます。受け取りや支払いの都度、日付とレート、円換算後の金額を記録に残しておくと、申告時に慌てずに済みます。
海外で課税された税金は「外国税額控除」で調整
海外の利子や配当などは、現地でも税金が源泉徴収されることがあります。同じ所得に日本でも課税されると二重に税金を負担することになりかねませんが、これを調整する仕組みが外国税額控除です。一定の手続きをすることで、海外で納めた税金の一部を日本の所得税から差し引ける場合があります。
外国税額控除を受けるには、海外で課税されたことがわかる書類を保管し、確定申告で所定の計算と記載を行う必要があります。控除の対象や計算方法には細かいルールがあるため、海外で源泉徴収された記録は捨てずにとっておきましょう。
証拠書類は「現地のもの」も含めて保管する
海外口座の残高証明書や取引明細
海外不動産の賃貸契約書、現地で支払った費用の領収書
外国株式・ETFの配当計算書や売買報告書
現地で源泉徴収された税額がわかる書類
海外資産に関する書類は外国語で記載されていることも多く、後から内容を思い出すのが難しくなりがちです。誰から・いつ・いくら受け取り、現地でいくら税金を引かれたのかが分かるように、書類を種類ごとに整理して保管しておくことが、正確な申告と調書作成の土台になります。
よくある質問
Q. 海外の口座に少しだけ残高があります。国外財産調書は必ず出すのですか?
国外財産調書は、年末時点の海外財産の合計額が一定の基準を超える居住者の方が対象です。少額の口座が一つあるだけで合計額が基準に届かない場合は、調書の提出自体は不要となるのが原則です。ただし、不動産や有価証券など他の海外資産も合算すると基準を超えることがあるため、まずは海外資産の全体像を把握したうえで判断しましょう。なお、調書が不要な場合でも、海外口座の利子など所得が生じていれば、その所得の確定申告は別途必要になります。
Q. 海外で税金を払っているのに、日本でも申告すると二重課税になりませんか?
居住者の方は海外の所得も日本で申告するのが原則ですが、同じ所得に日本と海外の両方で課税された場合には、外国税額控除という仕組みで調整できる場合があります。これにより、二重に負担した税金の一部を日本の所得税から差し引ける可能性があります。適用には海外で課税されたことを示す書類の保管と、確定申告での所定の手続きが必要です。
Q. 海外資産の管理が複雑で、自分で正しく申告できるか不安です。
海外資産は、円換算や外国税額控除、財産の評価など、国内資産にはない論点が重なりやすい分野です。金額が大きい場合や、複数の国・通貨にまたがる場合は、判断を誤ると申告漏れや調書の出し忘れにつながりかねません。少しでも不安があるときは、早めに税理士などの専門家に相談し、自分が何を申告・提出すべきかを整理しておくと安心です。
まとめ|海外資産は「所得の申告」と「財産の報告」を分けて考える
海外に資産や口座を持つ個人事業主の方は、まず日本の居住者として海外の所得も含めて確定申告するという原則を押さえることが出発点です。そのうえで、年末時点の海外財産が一定額を超える場合には、所得の申告とは別に国外財産調書の提出が必要になることがあります。「もうけ(所得)の申告」と「持っている財産の報告」は目的が違う、と分けて考えると整理しやすくなります。外貨の円換算や外国税額控除など、実務上のポイントもあわせて確認しておきましょう。
海外資産がからむ申告は論点が多く、本業が忙しい中で記帳から申告、さらに調書の要否判断まで自分一人で行うのは、大きな負担になりがちです。判断を誤って後から指摘を受けるより、早い段階で整理しておくことが結果的に近道になります。領収書丸投げドットコムは、領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。外貨取引を含む日々の記帳も、税理士監修のもとでお預かりします。海外資産の申告まわりを整理して安心して申告する方法を相談する(相談は無料です)。申告そのものを任せたい方は確定申告代行の内容もご確認ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








