住宅の省エネ改修・バリアフリー改修の所得税の特別控除を個人事業主向けに解説
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税金

住宅の省エネ改修・バリアフリー改修をすると、工事費用の一部を所得税から直接差し引ける税額控除を受けられる場合があります。ローンを組まず自己資金でも使え、個人事業主でも改修したのが居住用の住宅なら対象です。対象になる工事と、確定申告での手続きを整理していきます。
自宅の省エネ改修やバリアフリー改修をすると、所得税の特別控除が受けられる場合があります。とはいえ、住宅ローン控除との違いがわかりにくく、「自分のケースで使えるのか」「いくら戻るのか」がつかみにくい制度でもあります。特に個人事業主やフリーランスの方は、自宅を事務所として使っていることも多く、判断に迷いやすいところです。
☑ 自宅の断熱リフォームや手すりの設置をしたが、所得税が安くなる制度があると聞いて気になっている
☑ 住宅ローン控除と省エネ・バリアフリー改修の控除は、どう違うのか整理できていない
☑ 個人事業主の自分でも使える制度なのか、自宅兼事務所の場合はどうなるのか知りたい
このコラムでは、住宅の省エネ改修・バリアフリー改修にかかる所得税の特別控除について、個人事業主の方が押さえておきたいポイントを整理します。どんな改修が対象になり、確定申告でどう手続きするのか、全体像をつかんでいきましょう。
住宅改修の特別控除とはどんな制度か
一定の改修工事をすると所得税が控除される仕組み
マイホームに省エネやバリアフリーなどの一定の改修工事を行うと、その工事費用の一部にあたる金額を、その年の所得税から直接差し引ける制度があります。これは「住宅特定改修特別税額控除」などと呼ばれる、税額控除の仕組みです。所得控除が課税対象の所得を減らすのに対し、税額控除は計算した税額そのものから差し引くため、減税の効果を実感しやすいのが特徴です。税額の計算のもとになる税率は国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」で確認できます。
対象となる改修にはいくつかの種類があり、代表的なものが省エネ改修とバリアフリー改修です。このほか、耐震改修や多世帯同居のための改修、子育てに対応した改修なども、それぞれ要件を満たせば対象となる場合があります。
住宅ローンを使わなくても受けられるのがポイント
住宅まわりの減税というと住宅ローン控除を思い浮かべる方が多いですが、省エネ改修やバリアフリー改修の特別控除は、ローンを組まずに自己資金で工事をした場合でも受けられるのが大きな特徴です。手元の貯金や事業の利益でリフォーム代を支払ったケースでも、要件を満たせば控除の対象になります。住宅ローンを使う場合の控除の考え方は住宅ローンの借り換えと節税で確認できます。比較的小規模なリフォームでも使える可能性があるため、「ローンは関係ない」と決めつけずに確認してみる価値があります。
個人事業主でも自宅であれば対象になる
この制度は事業者向けの優遇ではなく、あくまで「自分が住む家」を改修した個人に対する所得税の制度です。そのため、個人事業主やフリーランスの方であっても、改修したのが自分の居住用の住宅であれば対象になります。会社員でも個人事業主でも、扱いは基本的に同じと考えてよいでしょう。ただし、後述するように自宅兼事務所の場合は注意点があります。
省エネ改修・バリアフリー改修それぞれの対象工事
省エネ改修の主な対象工事
省エネ改修は、家の断熱性能を高めて消費エネルギーを抑えるための工事が中心です。代表的なものとして、次のような工事が挙げられます。
窓の断熱改修(内窓の設置、複層ガラスへの交換など)
床・天井・壁などの断熱工事
あわせて行う太陽光発電設備や高効率な給湯器などの設置
省エネ改修では、窓の断熱改修が必須とされ、それと一体で行う床や壁の断熱工事などが対象に加わるのが基本的な考え方です。どの工事が対象になるかは細かな基準があるため、リフォーム会社や専門家に確認しながら計画を進めると安心です。
バリアフリー改修の主な対象工事
バリアフリー改修は、高齢の方や体の不自由な方が安全に暮らせるようにするための工事が対象です。具体的には次のようなものがあります。
手すりの取り付け
段差の解消
廊下や出入り口の幅を広げる工事
滑りにくい床材への変更、引き戸などへの扉の交換
洋式トイレへの取り替え
バリアフリー改修は、誰でも受けられるわけではなく、50歳以上の方、要介護・要支援の認定を受けている方、障害のある方、またはそうした方と同居している方など、対象となる人の要件が定められています。介護に関わる支出では医療費控除の節税と試算もあわせて確認しておくと、使える制度を取りこぼしにくくなります。家族構成や状況によって使えるかどうかが変わる点に注意しましょう。
控除額には上限が定められている
これらの控除は、工事費用がそのまま全額戻るわけではありません。対象となる工事費用の額をもとに計算しますが、工事の種類ごとに控除の対象となる限度額が定められています。そのため、高額な工事をしたからといって青天井で控除されるわけではない、という点は理解しておきましょう。実際の控除額は、工事の内容や金額、その年の所得税額によって変わってきます。
個人事業主が特に気をつけたい自宅兼事務所のケース
居住用部分と事業用部分は分けて考える
個人事業主の方で多いのが、自宅の一部を仕事場や事務所として使っているケースです。この場合、住宅改修の特別控除はあくまで「居住用」の部分が対象となります。家全体のうち事業に使っている割合が大きいと、控除の対象も住んでいる部分に応じた範囲に限られると考えておきましょう。改修工事が居住スペースのものか、仕事部屋のものかによっても扱いが変わってきます。
経費との二重取りはできない
事業用に使っている部分の改修費用を、事業の必要経費(または減価償却)として処理している場合、同じ部分について重ねてこの税額控除を受けることはできません。どちらか有利な方を選ぶ、あるいは居住用と事業用をきちんと按分して整理する必要があります。経費にするか控除にするかで税負担が変わることもあるため、判断に迷うときは専門家に相談するのが安全です。
所得が少ない年は効果が小さくなることも
税額控除は、その年に納める所得税から差し引く仕組みです。そのため、もともとの所得税額が小さい年は、控除の枠をすべて使い切れないこともあります。事業の利益が年によって大きく変動する個人事業主の方は、改修のタイミングと自分の所得の見込みも、あわせて考えておくとよいでしょう。
確定申告での手続きと必要書類
これらの控除は確定申告が必要
会社員の住宅ローン控除は2年目以降は年末調整で済みますが、省エネ改修・バリアフリー改修の特別控除は、原則として確定申告で手続きをする必要があります。もともと事業所得を確定申告している個人事業主の方であれば、その申告にあわせて控除の手続きを行う形になります。改修の控除を含む申告書の作成に不安があるときは、確定申告の丸投げ代行という方法もあります。確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。
用意しておきたい主な書類
控除を受けるためには、改修工事の内容や費用を証明する書類が必要です。一般的に、次のような書類を準備します。
工事の内容や金額がわかる契約書・領収書
工事が対象の改修であることを示す証明書(増改築等工事証明書など)
改修後の住宅の登記事項証明書など、住まいに関する書類
特に、工事が制度の基準を満たしていることを示す証明書は、施工した事業者や建築士などに発行してもらうものです。工事を依頼する段階から「この控除を使いたい」と伝えておくと、必要な書類を準備してもらいやすくなります。住宅に関わる控除では地震保険料控除の計算も押さえておくと、申告時の取りこぼしを防げます。
領収書や契約書は必ず保管しておく
改修費用を支払った領収書や契約書は、控除の根拠となる大切な資料です。工事が複数回に分かれた場合は、それぞれの領収書をまとめて保管しておきましょう。事業の帳簿づけと同じように、住宅改修に関する書類も日ごろから整理しておくと、確定申告のときに慌てずに済みます。
よくある質問
Q. 住宅ローン控除と省エネ・バリアフリー改修の控除は、両方使えますか?
住宅ローンを利用して増改築をした場合のローン控除と、ローンを使わない改修の特別控除は、同じ工事について両方を重ねて受けることは基本的にできません。どちらの要件にも当てはまりそうな場合は、自分の状況でどちらが有利になるかを比べて選ぶことになります。判断が難しいと感じたら、税務署や税理士に確認すると安心です。
Q. 賃貸住宅やマンションでも対象になりますか?
この制度は、自分が所有して住んでいる住宅の改修が対象です。賃貸で借りている住まいを自分の費用で改修しても、原則として対象にはなりません。分譲マンションの場合は、自分が所有する専有部分の改修であれば対象となり得ますが、共用部分の工事は対象外と考えておきましょう。
Q. 工事をすれば必ず控除を受けられますか?
いいえ、工事をすれば自動的に受けられるわけではありません。対象となる工事の種類や金額、住む人の要件、住宅の床面積などの条件をすべて満たし、確定申告で必要書類とともに手続きをして初めて控除が認められます。計画の段階で要件を確認し、証明書類を取りそろえておくことが大切です。
まとめ|制度を知り書類をそろえて確実に活用する
住宅の省エネ改修・バリアフリー改修の所得税の特別控除は、ローンを組まずに自己資金で工事をした場合でも使える、活用しやすい制度です。個人事業主の方でも、改修したのが自分の居住用の住宅であれば対象になります。一方で、自宅兼事務所の場合は居住用と事業用を分けて考える必要があり、経費との二重取りはできないなど、判断に迷うポイントもあります。対象工事や控除額の上限を確認し、証明書類をきちんとそろえて確定申告で手続きすることが、確実に活用するための近道です。
ただ、本業が忙しい中で、住宅改修の控除を調べながら日々の記帳から確定申告書類の作成まで自分ですべて行うのは重くのしかかります。控除の要件や書類の扱いに不安を感じたまま、申告の期限間際に慌ててしまう方も少なくありません。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








