住宅ローンの借り換えと住宅ローン控除|残高・年数が変わるときの注意点を解説
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税金

住宅ローンを借り換えても、新しいローンが従来ローンの返済のためのもので返済期間が10年以上残るなどの要件を満たせば、住宅ローン控除は引き続き受けられます。控除期間そのものは延びない点や、当初残高を超えて借りた場合の注意点まで整理します。
金利の低いローンへ借り換えると、毎月の返済額や総支払額を抑えられる可能性があります。一方で、「せっかく受けていた住宅ローン控除がなくなってしまうのでは」と心配になり、借り換えに踏み切れない方も少なくありません。控除と借り換えの関係には、たしかに少しわかりにくい部分があります。
☑ 住宅ローンを借り換えたいけれど、住宅ローン控除がそのまま続くのか不安だ
☑ 借り換えで返済期間や残高が変わると、控除額にどう影響するのかわからない
☑ 借り換えをした年は、確定申告で何か特別な手続きが必要なのか知りたい
ここでは、残高や返済期間が変わる場合に押さえておきたいポイントを、個人事業主やフリーランスの方にも分かりやすく整理します。借り換えを検討するときにどこへ注意すればよいかが見えてくるはずです。
そもそも住宅ローン控除とはどんな制度か
年末残高に応じて所得税が軽くなる仕組み
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得・新築・増改築した場合に、年末時点のローン残高に一定の割合を掛けた金額を、一定期間にわたって所得税から差し引ける制度です。差し引ききれない分は、翌年度の住民税から一部控除される仕組みもあります。
所得控除ではなく税額控除である点が大きな特徴です。所得控除が課税対象の所得を減らすのに対し、税額控除は計算した税額そのものから直接差し引かれるため、節税効果を実感しやすい制度といえます。所得控除と税額控除の位置づけの違いは、国税庁タックスアンサーNo.1000「所得税のしくみ」(国税庁 No.1000)で確認できます。控除を受けられる年数や控除率、対象となる残高の上限は、住宅の種類や入居した年によって定められています。
控除を受けるための主な要件
取得した住宅に自分が住んでいること(原則として取得後一定期間内に入居)
返済期間が10年以上の住宅ローンであること
その年の合計所得金額が定められた基準以下であること
登記上の床面積など、住宅そのものが要件を満たしていること
これらの要件は、最初にローンを組んだときだけでなく、借り換えをした後も引き続き満たしている必要があります。特に「返済期間が10年以上であること」は、借り換えで見落とされやすいポイントです。なお、住まいに関わる控除には地震保険料控除もあり、その計算方法は地震保険料控除の計算方法にまとめています。
借り換えても住宅ローン控除は続けられるのか
原則として控除は引き継げる
結論からいうと、住宅ローンの借り換えをしても、一定の条件を満たせば住宅ローン控除は引き続き受けられます。借り換えによって金融機関や契約内容が変わっても、それだけで控除が打ち切られるわけではありません。借り換えで返済負担を軽くしつつ、控除のメリットも維持できる可能性があるということです。
ただし、無条件で続けられるわけではない点に注意が必要です。借り換え後のローンが、もともとの住宅ローンを返済するためのものであること、そして住宅ローン控除の要件を満たしていることが前提になります。
引き継ぐために満たしたい条件
新しいローンが、従来の住宅ローンの返済にあてられたものであること
新しいローンも、住宅の取得などのための借り入れと認められる内容であること
借り換え後の返済期間が10年以上残っていること
注意したいのは返済期間です。借り換えのタイミングで返済期間を短く設定し直すと、残りの期間が10年未満になってしまうことがあります。そうなると要件を満たさなくなり、控除を受けられなくなる可能性があります。借り換えで期間を短縮する場合は、控除との兼ね合いも合わせて検討しましょう。
控除を受けられる期間は延びない
借り換えをしても、住宅ローン控除を受けられる期間そのものが延長されるわけではありません。控除期間は、最初にマイホームへ入居した年を起点に数えます。たとえば入居から数年が経過してから借り換えた場合、残りの控除期間はもとの予定どおりであり、借り換えによってリセットされたり、延びたりすることはありません。「借り換えれば控除期間がもう一度始まる」と誤解しないように気をつけましょう。
残高や返済期間が変わるときの控除額への影響
控除の対象になる年末残高の考え方
住宅ローン控除の金額は、その年の年末残高をもとに計算します。借り換えによって残高が変わると、当然ながら控除額にも影響します。注意したいのは、借り換えで当初の残高より大きい金額を借りた場合です。生活費や他の借入の返済など、住宅取得とは関係のない目的を上乗せして借りた分は、住宅ローン控除の対象にはなりません。
このようなケースでは、控除の対象となる残高を一定の計算式で調整する必要があります。借り換えの金額が当初の住宅ローン残高を上回る場合は、対象となる残高がそのままの金額ではなくなることを覚えておきましょう。
借り換えで残高が減った場合
繰り上げ返済をあわせて行うなどして残高が減った場合は、その減った後の年末残高をもとに控除額が計算されます。残高が小さくなれば控除額も小さくなりますが、これは制度上自然な動きです。総返済額を減らすメリットと、控除額が小さくなることのバランスを見て判断するとよいでしょう。
返済期間の数え方に注意
前述のとおり、借り換え後の返済期間が10年以上残っていることが、控除を続けるための大切な条件です。返済期間は借り換え後の新しいローンの契約内容で判断されるため、毎月の返済額を増やして期間を大きく短縮すると、思わぬところで要件から外れてしまうことがあります。返済額を見直す際は、金利・毎月の負担・控除のメリットを総合的に比べて検討しましょう。
借り換えをした年の確定申告と手続き
会社員でも借り換えの年は確認が必要
住宅ローン控除は、最初の年に確定申告をして適用を受けた後、会社員であれば翌年以降は年末調整で手続きできるのが一般的です。借り換えをした場合も、控除の要件を満たしていれば引き続き年末調整で対応できることが多いですが、新しい借入額や残高をもとに金額を計算し直す必要があります。借り換え後の金融機関から送られてくる年末残高の証明書を、忘れずに勤務先へ提出しましょう。
個人事業主は毎年の確定申告で対応
個人事業主やフリーランスの方は、そもそも年末調整がないため、住宅ローン控除も毎年の確定申告で適用を受けます。確定申告の手続きの基本は、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」(国税庁 No.2020)で確認できます。借り換えをした年も、新しいローンの年末残高証明書をもとに控除額を計算し、確定申告書に反映させます。確定申告の期間は原則として毎年2月16日から3月15日までです。事業の帳簿づけと住宅ローン控除の計算を並行して進めるのが負担なら、日々の記帳を記帳代行に任せる方法もあります。生命保険料控除など、確定申告でまとめて申告するほかの控除については生命保険料控除の計算と上限も参考になります。
用意しておきたい主な書類
借り換え後のローンの年末残高証明書(金融機関から発行されます)
借り換え前後の契約内容がわかる書類(金銭消費貸借契約書など)
当初の住宅取得時の控除に関する資料
借り換えをすると、当初の借入と新しい借入の両方の情報が関係してきます。どの書類がどの借入に対応するのか整理しておくと、申告の際に迷わずに済みます。
借り換え前に確認しておきたいチェックポイント
控除のメリットと借り換え効果を合わせて考える
借り換えの判断は、金利が下がることによる返済額の軽減効果だけで決めてしまいがちです。しかし住宅ローン控除を受けている期間中は、控除によって戻ってくる税額も含めて全体で比較することが大切です。金利差による軽減効果が大きくても、借り換えに伴う手数料や諸費用、控除額の変化を踏まえると、思ったほどの差にならない場合もあります。
諸費用も含めた総額で判断する
借り換えには、事務手数料、保証料、登記関連の費用など、まとまった諸費用がかかることがあります。これらを含めた総額で、借り換えによる効果が本当にプラスになるかを確認しましょう。目先の金利だけでなく、最後まで支払う総コストで比べる視点が重要です。なお、住まいを買い換える場合の税金は借り換えとは扱いが異なり、マイホームを買い換えたときの譲渡損の申告で別途整理しています。
返済期間を短縮する場合は要件に注意
繰り返しになりますが、借り換えを機に返済期間を短くすると、残りの期間が10年未満となり住宅ローン控除を受けられなくなる可能性があります。期間短縮を考えている方は、控除を受けられる期間が残っているかどうかを必ず確認したうえで判断しましょう。控除のメリットがまだ大きい時期なのか、すでに終盤なのかによっても、最適な選択は変わってきます。
よくある質問
Q. 借り換えをすると、住宅ローン控除はいったん途切れますか?
要件を満たしていれば、借り換えをしても住宅ローン控除は引き続き受けられます。新しいローンが従来の住宅ローンの返済のためのものであること、返済期間が10年以上残っていることなどが条件です。途切れるかどうか不安な場合は、借り換え前に金融機関や専門家に確認しておくと安心です。
Q. 借り換えで控除期間が延びることはありますか?
延びることはありません。住宅ローン控除を受けられる期間は、最初にマイホームへ入居した年を起点に数えます。借り換えをしても起点が変わらないため、残りの控除期間はもとの予定どおりです。借り換えによって控除が新たに始まるわけではない点に注意しましょう。
Q. 当初の残高より多く借り換えた場合はどうなりますか?
住宅取得と関係のない目的で上乗せして借りた分は、住宅ローン控除の対象になりません。借り換え後の借入額が当初の住宅ローン残高を上回る場合は、控除の対象となる残高を一定の計算で調整することになります。計算が複雑になりやすいので、判断に迷うときは専門家に相談するとよいでしょう。
借り換えで迷ったときの結論
住宅ローンの借り換えをしても、新しいローンが従来の住宅ローンの返済のためのものであり、返済期間が10年以上残っているなどの要件を満たしていれば、住宅ローン控除は引き続き受けられます。一方で、控除期間が延びるわけではないこと、当初の残高を上回って借りた分は対象外になること、期間短縮で要件から外れる場合があることなど、注意すべきポイントもあります。借り換えは金利だけでなく、控除のメリットと諸費用も含めた総額で判断することが大切です。
借り換え後の控除額の計算や確定申告での反映を、本業をこなしながら自分で正確に行うのは、なかなか骨の折れる作業です。特に個人事業主やフリーランスの方は、事業の記帳と並行して進める必要があり、申告直前に数字の確認へ追われがちです。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








