自宅兼事務所の家賃を経費にする方法|賃貸と持ち家の違いを解説
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税金

自宅兼事務所の家賃や光熱費は、事業で使う分だけを「家事按分」で経費にできます。賃貸は面積割合、持ち家は減価償却費や固定資産税が対象です。按分の決め方と賃貸・持ち家の違い、つまずきやすい注意点を具体的に整理します。
自宅の一室を仕事場にする、リビングの一角でパソコン作業をする——フリーランスや個人事業主には、こうした働き方がとても多いものです。事務所を借りずに済むのは身軽ですが、いざ申告となると「家賃や光熱費って経費にできるの?」と迷いがちです。見落として損をしたり、入れすぎて不安になったりしないよう、考え方から押さえていきましょう。
☑ 自宅で仕事をしているが、家賃を経費にできるのか分からない
☑ どこまでを経費にしてよいのか、線引きに自信がない
☑ 賃貸と持ち家で扱いが違うのか気になっている
☑ 按分の割合をどう決めれば説明できるのか不安がある
自宅兼事務所の費用が経費になる仕組み
まずは「なぜ自宅の費用が経費になるのか」という土台の考え方から押さえていきましょう。ここが分かれば、あとの判断がぐっと楽になります。
事業で使っている分だけが経費になる
自宅は本来、生活のための場所です。そのため、自宅にかかる費用をまるごと経費にすることはできません。あくまで「事業に使っている部分」だけが経費になります。たとえば家全体のうち一室を仕事専用に使っているなら、その一室にかかる分が経費の対象になる、という考え方です。事業のための支出が必要経費になるという基本の考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」で確認できます。
家事按分という分け方
生活と事業の両方にまたがる費用を、合理的な基準で分けることを「家事按分」といいます。家賃であれば「使っている面積の割合」、光熱費であれば「使用時間の割合」など、実態に合った基準で事業分を計算します。この割合の出し方に正解が一つあるわけではなく、誰が見ても納得できる根拠を持って決めることが大切です。
賃貸の場合の家賃の経費化
まずは、賃貸住宅にお住まいの方のケースから見ていきましょう。比較的シンプルで分かりやすいのが特徴です。
面積割合で按分するのが基本
賃貸の場合、支払っている家賃のうち、仕事に使っている面積の割合分を経費にできます。たとえば家全体が50平方メートルで、そのうち10平方メートルを仕事部屋として使っているなら、家賃の5分の1(20パーセント)を経費にする、といった具合です。部屋単位で「この部屋は仕事用」と分けられる場合は、説明もしやすくなります。
家賃以外にも対象になるもの
共益費・管理費(家賃と同じ割合で按分)
電気・ガス・水道などの光熱費(使用実態に応じて按分)
インターネット回線などの通信費(仕事で使う割合分)
家賃だけに目が行きがちですが、こうした費用も事業で使っている分は経費にできます。見落とすともったいないので、忘れずに確認しておきましょう。按分で経費を積んだうえで、青色申告特別控除65万・55万・10万の違いと節税額も押さえると、所得をさらに抑えられます。
持ち家の場合はどうなるか
持ち家の方は、賃貸とは少し考え方が変わります。「家賃を払っていないから経費はゼロ」というわけではありません。
家賃がなくても経費にできるものがある
持ち家には毎月の家賃がありませんが、その代わりに次のような費用がかかっています。これらの事業使用分は経費の対象になり得ます。
建物の減価償却費(建物の取得費を一定の年数で按分したもの)
固定資産税
住宅にかかる火災保険料
電気・ガス・水道などの光熱費
これらを、賃貸と同じように事業で使っている割合で按分して経費にしていきます。賃貸より計算がやや複雑になるため、慣れていないと戸惑いやすい部分です。建物の減価償却費の計算の考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。より踏み込んで節税につなげたい方は、減価償却の特例を組み合わせる方法もあわせて参考になります。
住宅ローン控除との関係に注意
住宅ローンを利用している方は、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けているケースが多いでしょう。自宅の一部を事業に使い、その割合が大きいと、住宅ローン控除に影響が出る場合があります。経費にできる金額と控除のどちらを優先すべきか、バランスを見る必要があるため、判断に迷うときは専門家に相談すると安心です。なお、ローンの利息のうち事業使用分を経費にできる場合もありますが、元本部分は経費になりません。借入金の利息を経費にする考え方は、事業性ローン・借入金利息を経費化する考え方と按分も参考になります。
按分割合の決め方と根拠の残し方
家事按分でいちばん大切なのが、「割合をどう決め、どう説明できるようにしておくか」です。ここを丁寧にしておくと、あとで安心です。
合理的な基準を選ぶ
按分の基準は、費用の性質に合ったものを選びます。代表的なのは次のような考え方です。
家賃・固定資産税など:仕事に使う面積の割合
光熱費:使用時間や使う部屋の割合
通信費:仕事で使う時間やデータ量の割合
大事なのは、その割合にした理由を自分の言葉で説明できることです。「なんとなく半分」ではなく、「全体のこの部分を、平日のこの時間帯に仕事で使っているから」と根拠を示せるようにしておきましょう。按分の計算や根拠づくりに不安がある方は、家事按分の計算ごと任せる記帳代行という方法もあります。実際に、按分の割合をどう決めればよいか判断がつかない、というご相談は多くいただきます。
記録を残しておく
按分の根拠となる資料は、しっかり保管しておくことが大切です。賃貸借契約書、間取りが分かる図面、家賃や光熱費の支払い記録などを残しておくと、あとから割合の妥当性を説明しやすくなります。領収書や明細は捨てずにとっておきましょう。
やりがちな注意点
最後に、自宅兼事務所の経費でつまずきやすいポイントを確認しておきましょう。知っておくだけで余計な不安を防げます。
事業割合を大きくしすぎない
経費を多くしたいからといって、実態とかけ離れた高い割合を設定するのは避けましょう。生活の場でもある以上、事業割合が極端に高いと、説明に無理が出てしまいます。あくまで実際の使い方に即した、自然な割合にすることが基本です。
毎年見直してもよい
働き方や部屋の使い方が変われば、按分の割合も変わって構いません。引っ越しをした、仕事部屋を増やした、在宅時間が変わったなど、状況に合わせて見直すのは自然なことです。ただし、毎年コロコロ変える場合は、それぞれの年の根拠を残しておくようにしましょう。
よくある質問
Q. 仕事専用の部屋がなくても家賃を経費にできますか?
はい、専用の部屋がなくても、リビングの一角など実際に仕事で使っているスペースがあれば、その分を経費にできます。ただし、専用部屋がある場合に比べて割合の根拠を示しにくいため、「ダイニングテーブルのこのあたりで、一日のこのくらいの時間、仕事をしている」といった使い方を整理し、無理のない範囲で割合を決めることが大切です。実態に合った控えめな設定を心がけましょう。
Q. 家族名義の家でも家賃や費用を経費にできますか?
状況によります。たとえば配偶者など生計を同じくする家族が所有する家に住んでいる場合、家族へ支払う家賃そのものは経費にできないことが多い一方で、その家にかかる固定資産税や減価償却費などの事業使用分を経費にできるケースがあります。名義や生計の状況によって扱いが変わり、判断が難しい部分なので、専門家に確認することをおすすめします。
Q. 持ち家を売るときに何か影響はありますか?
自宅の一部を事業に使い、減価償却費などを経費にしていた場合、その家を売却するときの税金の計算に影響が出ることがあります。マイホームを売ったときの特例の適用範囲などに関わる場合があるため、将来売却の予定がある方は、経費にする前にその点も含めて検討しておくと安心です。詳しい取り扱いは状況により異なるため、専門家に相談しましょう。
まとめ|自宅の費用は実態に合わせて按分する
自宅で仕事をしている個人事業主にとって、家賃や光熱費などの家事按分は、見落としやすいけれど大切な節税のポイントです。賃貸なら家賃や共益費を面積割合で、持ち家なら減価償却費や固定資産税などを事業使用分だけ、それぞれ合理的な基準で按分して経費にできます。専用の部屋がなくても、実際に使っているスペースがあれば対象になります。
一方で、事業割合を大きくしすぎないこと、根拠となる記録を残しておくこと、持ち家では住宅ローン控除や将来の売却との関係に注意することなど、気をつけたい点もいくつかあります。賃貸と持ち家で考え方が違ううえ、家族名義のケースなど判断の難しい場面もあるため、迷ったときは一人で抱え込まず専門家に確認するのが安心です。
「自宅の費用をどこまで経費にしてよいのか」「按分の割合に自信がない」——そんな悩みは、按分の計算ごと任せてしまうと解決します。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








