事業性ローン・借入金利息を経費化して節税する考え方と按分を解説
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税金

事業のための借入金の返済のうち経費になるのは利息部分だけで、借りたお金そのものである元金は経費になりません。さらに事業とプライベートがまざった借入では、事業で使う割合に応じて利息を按分します。返済表の見方から按分の考え方まで、無理なく節税につなげる方法を整理していきます。
個人事業主やフリーランスとして事業を続けていると、運転資金の確保や設備投資のために金融機関からお金を借りる場面が出てきます。その返済が始まると、「毎月口座から引き落とされるこの返済額は、確定申告でどう処理すればいいのだろう」と悩む方は少なくありません。とくに借入の利息は、経費になると聞いたことはあっても、正確な考え方まで理解している方は意外と多くないものです。
☑ 事業の運転資金や設備購入のために借入をしたが、返済しているお金のどこまでが経費になるのかわからない
☑ 住宅ローンや車のローンのように、事業と生活がまざった借入の利息をどう扱えばよいか迷っている
☑ 利息を経費にできると聞いたが、毎月の返済額をそのまま経費にしてよいのか不安だ
このコラムでは、事業のための借入金にかかる利息(支払利息)を経費にする基本的な考え方と、事業とプライベートがまざっている場合の按分の方法を整理します。返済額のうち何が経費になり、どこに注意すればよいのかをつかんでいきましょう。
まず「元金」と「利息」を分けて考えましょう
返済額そのものは経費にならない
借入の返済でいちばん誤解されやすいのが、「毎月返している金額がまるごと経費になる」という思い込みです。実際には、返済額のうち元金(借りたお金そのものの返済部分)は経費になりません。借りたときに受け取ったお金が売上などの収入として課税されていない以上、その返済も経費にはならない、という対応関係になっているからです。借入の返済と節税の全体像は借入金を返す年の節税の考え方にまとめています。
一方で、お金を借りたことへの対価である利息部分は経費になります。つまり、毎月の返済額をそのまま経費に計上するのは誤りで、返済額を「元金」と「利息」に分けたうえで、利息だけを経費にするのが基本の考え方です。
勘定科目は「支払利息」
事業のための借入金にかかる利息は、帳簿上「支払利息」という勘定科目で処理するのが一般的です。支払利息が必要経費になる考え方は国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」で確認できます。確定申告の決算書(青色申告決算書や収支内訳書)でも、経費の科目として記載していきます。利息と一緒に支払う融資の手数料や保証料なども、内容に応じて経費として扱える場合があります。
元金は「借入金」という負債の減少
では経費にならない元金はどう処理するのかというと、これは経費ではなく、貸借対照表上の「借入金」という負債が減っていく動きとして記録します。借入時に増えた負債を、返済のたびに少しずつ取り崩していくイメージです。複式簿記で記帳していれば、この元金部分は損益(もうけ)の計算には影響しません。
返済表(償還予定表)の見方を知っておく
毎月の元金と利息は変動する
借入をすると、金融機関から「返済予定表」や「償還予定表」と呼ばれる書類が渡されます。ここに、毎月の返済額が「元金部分」と「利息部分」に分けて記載されています。経費にできる利息額は、この表を見れば一目でわかります。
多くのローンで採用されている「元利均等返済」では、毎月の返済総額は一定でも、その内訳は返済が進むにつれて変化します。初期は利息の割合が大きく、後半になるほど元金の割合が増えていくのが特徴です。つまり、同じ返済額でも年によって経費にできる利息額は変わっていくということです。
1年分の利息を集計する
確定申告では、その年(1月1日〜12月31日)に実際に負担した利息を集計します。返済予定表の利息部分を1年分合計すれば、その年の支払利息の経費額がわかります。返済予定表を紛失した場合でも、金融機関に依頼すれば年間の利息額がわかる書類を発行してもらえることが多いので、確定申告前に手元にそろえておきましょう。
記帳のときに気をつけたいこと
口座から引き落とされた返済額を、利息と元金に分けずに丸ごと経費にしない
返済予定表に変更があった場合(借り換え・繰上返済など)は、新しい表で利息を確認する
遅延損害金などが発生した場合は、利息とは別に内容を確認して処理する
引き落とし額をそのまま経費にしてしまうと、経費が過大になり、後から修正が必要になります。手間でも、返済予定表で利息部分を確認する習慣をつけておくと安心です。元金と利息を分けた記帳や申告に不安があるときは、確定申告の丸投げ代行という方法もあります。
事業とプライベートがまざった借入は「按分」する
按分とは何か
借入の利息が経費になるのは、あくまで事業のために使ったお金に対応する部分です。借りたお金を事業だけに使っているなら利息の全額が経費になりますが、事業と生活の両方に使っている場合は、事業で使っている割合に応じて利息を分ける必要があります。この「事業分」と「プライベート分」を合理的な基準で分けることを按分といいます。
按分が必要になる典型的なケース
自宅兼事務所の建物を購入するために組んだ住宅ローン
事業にもプライベートにも使う自動車のローン(オートローン)
生活費と事業資金が一体になっている形での借入
たとえば自宅の一部を仕事部屋として使っていて、その建物のローンを返済している場合、利息のうち仕事で使っている面積の割合に相当する部分だけが経費になります。床面積の比率や使用時間など、実態に合った基準で割合を決めるのが原則です。
按分の割合は根拠を残しておく
按分の割合は、「なんとなく半分」ではなく、説明できる根拠を持って決めることが大切です。建物なら事業に使っている床面積の割合、車なら走行距離や使用日数の割合など、客観的に示せる基準を使い、その計算メモを残しておきましょう。後から税務署に質問されたときに、どういう考え方で割合を出したのかを説明できる状態にしておくことが、トラブルを防ぐポイントです。
住宅ローン・マイカーローンの注意点
住宅ローン控除との関係に注意
自宅兼事務所で住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用している方もいるでしょう。事業で使っている割合が大きいと、住宅ローン控除の対象となる金額が調整される場合があります。住宅ローンの借り換えと控除の関係は住宅ローンの借り換えと節税が参考になります。住宅ローンの利息を経費に按分するときは、住宅ローン控除との関係も合わせて整理しておく必要があります。判断に迷う場合は、税務署や専門家に確認するのが確実です。
マイカーローンは利息部分を按分
事業とプライベートで兼用している車をローンで購入した場合、支払利息のうち事業使用割合に応じた部分が経費になります。車そのものの取得費用は、利息とは別に「減価償却」という仕組みで数年に分けて経費にしていきます。事業使用割合の出し方は車の走行距離の記録と節税で確認できます。ガソリン代や車検費用などの維持費も同じ事業使用割合で按分するのが一般的なので、車に関する経費は割合をそろえて考えると整理しやすくなります。
カードローンや生活資金との混同を避ける
事業資金として借りたつもりでも、実際には生活費に充てている部分があると、その分の利息は経費になりません。とくにカードローンやフリーローンなど使い道が自由な借入は、事業に使った部分とそうでない部分の線引きがあいまいになりがちです。借入の段階から、何のために借りたお金なのかを意識し、できれば事業用の口座を分けて管理しておくと、後の処理がぐっと楽になります。
経費にする前に確認しておきたいこと
事業に関連する借入であること
利息を経費にできる大前提は、その借入が事業に関連していることです。純粋に生活のための借入や、家族の都合で組んだローンの利息は、事業の経費にはなりません。借入の目的が事業なのかどうかを、まず冷静に整理しておきましょう。
書類をそろえて保管する
金銭消費貸借契約書(借入の契約書)
返済予定表・償還予定表
年間の利息額がわかる金融機関発行の書類
これらは経費の根拠となる書類です。確定申告書には添付しない書類でも、一定期間の保管が求められますので、申告後もきちんと保存しておきましょう。
按分の考え方は毎年そろえる
按分の割合は、合理的な理由がない限り、年ごとにころころ変えるべきものではありません。事業の使い方が大きく変わった年は割合を見直す必要がありますが、その場合も「なぜ変えたのか」を説明できるようにしておきましょう。前年と同じ基準を使うのか、変えるのかを意識することで、申告内容の一貫性を保てます。
よくある質問
Q. 毎月の返済額をそのまま経費にしてはいけないのですか?
はい、返済額をそのまま経費にすることはできません。返済額には借りたお金そのものを返す「元金」が含まれており、この元金部分は経費になりません。経費にできるのは利息部分だけです。返済予定表で元金と利息の内訳を確認し、利息だけを「支払利息」として計上してください。
Q. 自宅兼事務所の住宅ローンの利息は、全額経費にできますか?
全額を経費にすることはできず、事業で使っている割合に応じて按分した部分のみが経費になります。たとえば自宅のうち事業に使っている床面積が3割なら、利息のうち3割を目安に経費とするイメージです。割合の根拠となる面積などのメモを残しておきましょう。また、住宅ローン控除を利用している場合は、その控除額への影響も合わせて確認することをおすすめします。
Q. 知人や親族からお金を借りた場合の利息も経費になりますか?
事業のための借入であり、実際に利息を支払っている実態があれば、経費として扱える場合があります。ただし、金融機関からの借入と違って契約や返済の記録が残りにくいため、借用書を交わし、振込などで支払いの記録を残しておくことが重要です。実態があいまいなまま利息を計上すると、後から否認されるおそれがあるため、慎重に対応しましょう。
結論|利息は事業分だけを正しく分けて経費にする
借入金の返済のうち経費になるのは利息部分だけで、元金は経費になりません。さらに、事業とプライベートがまざった借入では、事業で使っている割合に応じて利息を按分する必要があります。返済予定表で利息額を確認し、合理的な基準で按分し、その根拠となる書類やメモを残しておく。この一連の流れを押さえれば、借入金の利息を無理なく節税につなげることができます。
ただ、毎月の返済を元金と利息に分けて記帳し、住宅ローンや車のローンを按分しながら処理していくのは、本業が忙しい中で自分一人で行うには重い作業です。数字の扱いを少し間違えるだけで、経費が過大になったり、逆に受けられるはずの控除を取りこぼしたりすることもあります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








